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   日米帝の戦争準備協議 2+2
     
 
                 排外主義激化と戦争動員を許すな!



 朝鮮半島・東アジア情勢が緊迫するなか、八月十七日、日米両国政府はワシントンでトランプ政権発足後最初の外務・防衛担当閣僚協議(2+2)を開催した。これに、日本側から河野太郎外相と小野寺五典防衛相、アメリカ側からはレックス・ティラーソン国務長官とジェームズ・マティス国防相が出席した。
 この2+2では、核開発・弾道ミサイル開発を進める朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)に対していかに対応するのかが中心的な課題であった。なにか新しい方針が提起されたわけではないが、両国は日米同盟の強化をもって共和国に対抗すること、米国が核兵器を含めたあらゆる戦力で日本の防衛に関与すること、自衛隊の役割を拡大していくことをあらためて確認した。日本側はその一環として、地上配備型の迎撃ミサイルであるイージス・アショアを自衛隊に配備することを米国に報告した。
 トランプ政権は発足後、「あらゆる選択肢が机上にある」として、共和国に対する先制攻撃を否定してこなかった。そして、今年の三月から五月のキーリゾルブやフォールイーグル、八月二十一日から三十一日のウルチ・フリーダムガーディアンなどの大規模な軍事演習をくり返してきた。しかし、トランプ政権にとっても、共和国に対する武力の行使は簡単ではない。共和国は、七月二十八日のICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験が示すように、ワシントンやニューヨークをも射程内とするICBMをすでに保持しており、その弾頭に核兵器を搭載するところにまで至っている可能性がある。トランプ政権による共和国への武力攻撃は、共和国によるアメリカへの核兵器を用いた報復、朝鮮半島・東アジアでの全面戦争になる危険性が高く、すさまじい破壊と犠牲者をもたらす。そして、以前から軍事力の行使に反対してきた中国・ロシアに加えて、韓国の文在寅大統領もまた、今年の光復節のあいさつで「韓国の同意なしにアメリカは北朝鮮を攻撃することはできない」「韓国は朝鮮半島での戦争に断固として反対する」と表明した。偶発的な戦争の勃発に至る危険性は否定できないが、東アジアの平和への転換点をつくりだしていかねばならない。アメリカが、共和国を軍事的に包囲・威嚇するあらゆる軍事演習を中止し、共和国もまた核開発・ICBM開発を停止し、朝鮮戦争の終結のための平和協定の締結、そのための六カ国協議の再開が急がれねばならないのだ。
 自衛隊によるイージス・アショアの配備について触れておきたい。アメリカや日本のミサイル防衛は、アメリカの軍事衛星によってミサイルの発射を把握し、イージス艦に搭載する迎撃ミサイルのSM3によって大気圏外で迎撃することを中心として、これによっては迎撃できなかったミサイルをPAC―3によって地上に到達する寸前に迎撃するという二段構えになっている。この数年アメリカは、XバンドレーダーとTHAADミサイルの配備よって大気圏再突入時の迎撃を可能とし、三段構えのミサイル防衛態勢を編成しようとしてきた。
 韓国・星州に配備されたTHAADは、このような動きの一環であった。しかし、韓国に配備されたTHAADの射程は半径約二百キロメートルであり、星州に配備してもソウルを防衛することにはまったく役立たない。日本の防衛省もまた、THAADミサイルの配備を検討してきた。しかし、2+2の直前に方針を転換し、地上配備型のイージス・アショアを配備すると決定した。その主要な理由は、財政問題だと報道されている。THAADミサイルは前述のように射程が短く、沖縄から北海道までカバーしようとすれば約十カ所への配備が必要になる。またSM―3ならば、すでに海上配備型のSM―3をイージス艦に搭載しているので自衛隊はその扱いに習熟しており、短期間に実戦配備することも可能だという判断もあったようである。
 それでは、SM―3やPAC―3は共和国のミサイルに対してどれほど有効なのか。七月二十八日に発射された共和国のICBM火星14の場合、ミサイルの最大高度はロフテッド軌道だったこともあって二千八百キロメートルに達した。SM―3の最大高度は約一千キロメートルなので、まったく届かない。またSM―3は、低い軌道で飛来するミサイルは迎撃できず、迎撃可能な最低高度は約七十キロメートルである。PAC―3は、最大高度が二十~三十キロメートルしかない。まさに地上に着弾する寸前に破壊するというものである。そもそも超高速で飛来するミサイルを迎撃すること自体がきわめて困難なのだ。最後に、現在各地で行われている避難訓練についてである。共和国が日本にむけてミサイルを発射した場合、発射から約十分で着弾する。日本政府は、そのような場合には「Jアラート」で警告するので、避難するように言う。しかし、「Jアラート」による警告が流れるのは最速でもミサイル発射四分~五分後であり、避難行動をとる時間的余裕はまったくない。問題は、このような何の意味もない避難訓練に人民を動員することによって、「北朝鮮の脅威」を浸透させ、戦争への動員体制が形成されていくことである。


 

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