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   衆院選の結果と安倍政権打倒の任務

        
朝鮮戦争、改憲攻撃を阻止しよう!



  ●1章 衆院選の結果

 十月二十二日衆院選は安倍政権の「圧勝」となった。だが選挙結果は、投票率が53・68%と戦後二番目に低く、人民の多くが総選挙を放棄した。安倍が森友・加計疑惑から逃れ、根強い不信をかかえたままで現状維持を果たしたにすぎない。むしろ安倍政権の構造的脆弱性をますます明らかにした。森友・加計疑惑の追及におびえる安倍自民党は、今後、「国難突破」と称した戦争・改憲など一連の反人民的反動的な歴史的攻撃を加速する情勢にある。とくに選挙直後の十一月五―七日のトランプ来日と日米首脳会談は、朝鮮戦争態勢の強化と戦争法発動、日米軍事一体化と沖縄―「本土」の軍事基地増強などを改めて確認した。この戦争・改憲攻撃との画歴史的攻防に断固として打ちかっていかねばならない。以下、衆院選挙が示す階級闘争攻防の特徴を分析し、課題を明らかにし、改憲阻止、安倍政権打倒の決意と方針を同志友人に訴えたい。
 まず10・22総選挙の概要をとらえていく。安倍の許しがたい国会冒頭解散の後から十月十日公示までに、野党再編、すなわち戦争法廃止と共謀罪廃棄などの「野党共闘」の縮小、第二右翼反動勢力の形成が進んだ。野党第一党・民進党が解党し、極右ファシスト小池の「希望の党」が安保法制反対派を排除・選別し、「野党共闘」をつぶした。これは自民「圧勝」の大きな要因となった。希望は「維新の会」と組んで、安倍自公と協力もあると吐露し、第二右翼反動勢力が形成された。民進党の安保法制反対派は立憲民主党を結成し、共産党・社民党との「野党共闘」が縮小されながら維持された。公示直前には、これらの三極構造に絞られ、攻防が繰り広げられた。
 選挙結果は、自民二百八十四(選挙前を維持)、公明二十九(五議席減)、希望四十九(八議席減)、維新十二(三議席減)、立憲民主五十五(四十議席増)、共産十二(九議席減)、社民二(維持)、無所属二十二(十五議席減)となった。
 すなわち自民は単独で過半数二百三十三を六十一議席を超える「絶対安定多数」を獲得した。公明を含めた与党で三百十三となり、自公だけで改憲発議の出来る三分の二議席(三百十)を超えた。希望・維新の第二右翼反動勢力は六十で惨敗であった。そして戦争法廃止と共謀罪廃棄などの「野党共闘」枠である立憲・共産・社民は改選前三十八から六十九へと躍進した。立憲は野党第一党となった。
 さらに比例代表の得票率だと、自公が45・78%、希望・維新が23・42%、そして立憲・共産・社民が29・45%で院内第二勢力なのである。

  ●2章 10・22総選挙の特徴

 したがって第一の特徴は、安倍自民が「圧勝」したけれども、得票率は野党側合計よりも相当低く、その脆弱性を明確に暴露したことである。小選挙区では投票に行かなかった人も含めた有権者全体のうち、25%、即ち四人に一人が自民に投票した。安倍自民は小選挙区制の非民主的な仕組みのために全体の75%の議席を奪い取った。
 安倍自民の九条改憲として自衛隊明記の公約には、賛成が38%であり、反対は52%でそれを大きく上回った(選挙後、共同通信)。選挙時出口調査では安倍首相を信用していないが51%だった(共同通信)。しかも公明は五議席減であり、自公与党が信任されたというよりも、小池・希望の改憲・戦争法支持や「排除」発言などによる茶番と失速が、「よりまし」という消極的支持として安倍自民に流れた。安倍自公のかろうじての現状維持となった。安倍は改憲公約や森友・加計疑惑の説明を選挙中まったくしなかった。安倍の九条改憲攻撃は、現状、信任されたどころか、反対が圧倒的に多い。自公と希望・維新を合わせた「院内改憲勢力」は八割となったが、人民大衆との距離とズレは大きい。改憲攻撃に対して、労働者人民がいっそう政治意識を階級的に強めることができれば、国民投票における安倍自公や希望・維新そして日本会議など極右の凄まじい九条改憲キャンペーン策動は、完全に粉砕できる。
 第二の特徴は、立憲民主が躍進し、併せて戦争法廃止・共謀罪廃棄などの「野党共闘」が一定の成果を上げたことである。安倍政権打倒の人民要求と期待・意欲は衰えていないことを示している。共産は選挙前よりも九議席減らしたが、六十数カ所で候補を取り下げ、「野党共闘」の全体の勝利を支えた。立憲民主は「永田町の数合わせでなく、立憲主義と草の根民主主義」をアピールし、反安倍の受け皿となった。二〇一五年の戦争法阻止をたたかった労働者・市民などの流れの一部は、立憲民主や「野党共闘」を支援した。労働者人民の反戦平和・九条改憲阻止・反原発の要求が、「院内抵抗勢力」として立憲民主・共産・社民の共闘枠へと一程度集約された。
 第三には、沖縄の普天間基地撤去・辺野古新基地建設阻止・オスプレイ配備撤回を掲げる「オール沖縄」勢力が沖縄全四区のうち、一区、二区、三区で勝利した。四区は「オール沖縄」の仲里候補が自民・西銘に僅差で敗れた。それは、最大の票田である宮古市で市議選が同時開催され、「オール沖縄」の選挙展開が分散されたことにある。自民側は、安倍の奇襲解散と総選挙、市議選の同時開催といった状況に対して、圧倒的かつ周到に事前準備を整えていた。全体として沖縄人民は、安倍政権と日米安保体制を根底から震撼させている。日米帝の沖縄差別軍事支配を強める安倍政権と真正面から対決し、基地撤去・安保粉砕を軸とする沖縄解放闘争がこの根底にはある。沖縄人民の圧倒的な民意は、普天間基地固定化と辺野古新基地建設などを強行する安倍政権打倒そのものである。沖縄―「本土」を貫く沖縄解放闘争勢力は、ますます怒りをもって日帝―安倍政権を打倒する決意とたたかいを燃え上がらせている。総選挙はそれを明確に示した。
 第四の特徴は、十八歳から二十代の若者層では、投票率が低く、また自民党支持へ流れたことである。十八―十九歳の自民支持率は39・9%、二十代のそれは40・6%で、全年齢帯の自民支持率36%より4%多い(共同通信)。学生・青年たちは、学業・就活・バイトや仕事その他に追われ、かつ貧困や閉塞感に叩きこまれている。選挙で何かが変わる期待は少なく、若者の無投票者は多い。二十代の投票率は30%代と推測されている。将来への希望や夢も乏しく、安定志向が強い。政策への最大の関心は「雇用」問題であり、アベノミクスの膨大なバラ撒きで雇用情勢の一時的「改善」も影響した。非正規を増大させ就職機会を上げ株高を演出する安倍政権の政策が「よりまし」だと誘導れた。こうした学生・青年をブルジョアジーや差別排外主義勢力の側に渡してはならない。プロレタリアート人民の解放闘争、即ち左派勢力の側が学生・青年たちを断固として組織すること、これが決定的に問われているのである。
 もちろん、経団連など独占ブルジョアジーは、安倍自公が圧倒的過半数を獲得したことを支持した。「アベノミクス、北朝鮮問題への対処」などへ期待を示した。日本独占ブルジョアジーは、朝鮮戦争重圧や自衛隊海外派兵を強め、九条改憲を求め、そして金融緩和・財政出動・新自由主義構造改革や海外権益拡大政策をいっそう推進せよ、と主張している。
 海外では、中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、フィリピンなど、アジア各国・地域人民は安倍右翼反動政権が九条改憲の政治日程を加速すると捉えた。日帝の再びの軍事大国化と侵略に警鐘を鳴らし、元日本軍「慰安婦」問題などを批判し、反日帝闘争を強める状況にある。
 10・22総選挙の結果をうけ、日帝―安倍政権は戦争と改憲の攻撃を加速している。戦争と改憲、差別排外主義・ファシスト勢力を許すのか、それともアジア人民と連帯した日帝―安倍政権打倒、プロレタリア革命勢力が統一戦線を強め、これらを粉砕するのか。まさに激動の時代に突入した。

  ●3章 安倍政権打倒の闘争任務と課題

 安倍右翼反動政権の森友・加計疑惑をとことん追及し、労働者人民の怒りを組織し、安倍政権打倒闘争を格段と強化していかねばならない。日帝―安倍政権による戦争・改憲、差別排外主義、新自由主義と海外権益拡大支配といった総攻撃に対して、これを粉砕していかねばならない。労働者、被抑圧人民、被差別大衆、青年・学生などのたたかう団結を飛躍的に拡大強化し、アジア人民と連帯した階級闘争の勝利的前進をかちとっていかねばならない。
 そのために第一には、森友・加計疑惑を徹底的に追及し、朝鮮戦争阻止、九条改憲粉砕、安倍政権打倒の全人民政治闘争を広範化し、たたかっていくことである。これを原則的な左派潮流が断固として牽引して行かねばならない。階級的労働運動、青年学生の決起、被差別解放戦線のたたかい、AWCや「戦争法廃止! 安倍たおせ! 反戦実」など全人民決起を各地でたたかっていこう。そこにおいて、立憲民主などの院内抵抗勢力は、日米帝の朝鮮民主主義人民共和国への敵視攻撃に動揺し、日米安保と自衛隊出動を容認し、ひいては朝鮮戦争攻撃に屈服する不十分さを有している。そうした秩序派の制動的傾向を突破し、朝鮮戦争攻撃・差別排外主義を粉砕する革命的祖国敗北主義に立った左派・反帝国際主義潮流を拡大し、改憲阻止―安倍政権打倒の全人民政治闘争を牽引していかねばならない。アジア各国・地域人民が怒りを持って日帝の軍事大国化を批判する今日、アジア人民と実際に連帯し、改憲阻止・安倍政権打倒をたたかうことは決定的である。
 第二には、沖縄・辺野古新基地建設阻止、三里塚軍事空港粉砕―市東さんの農地強奪阻止、これらの決戦を担い、日帝―安倍政権の実力打倒をたたかっていくことである。総選挙でほぼ勝利した「オール沖縄」のたたかいを押し上げているものこそ、キャンプシュワッブ・ゲート前での実力阻止行動であり、大浦湾でのカヌー隊などの海上阻止行動である。沖縄現地―「本土」を貫く辺野古新基地阻止の決戦に断固として勝利しよう。三里塚闘争では、市東さんの農地取り上げの強制執行阻止の決戦態勢をとっている。現在、強制執行阻止の異議審や耕作権裁判をたたかい、かつ農地強奪阻止の実力闘争をたたかっていこう。
 第三には、岩国基地強化反対、京丹後米軍Ⅹバンドレーダー基地撤去、神奈川・横田などの反基地闘争を進め、朝鮮戦争阻止と結合し、かつアジア人民と共に米軍総撤収をたたかっていくことである。
 第四には、原発再稼働阻止―核武装反対の現地闘争を繰り広げ、反原発の広範なたたかいを組織し、安倍政権打倒を進めることである。
 第五には、「働き方改革」法案など格差拡大・貧困化と権利剥奪・労働法制改悪などを阻止し、労働運動のたたかいを前進させることである。
 第六には、天皇制強化、差別排外主義攻撃と闘うことである。
 これらを通じて、労働者、被抑圧人民、被差別大衆、青年・学生の決起と団結・階級形成を大きく前進させ、階級闘争構造の大衆的建設に勝利していくことである。とくに、青年・学生のたたかいを各地で進める課題は重要である。これらのたたかいを有機的に連関させ、改憲阻止、安倍政権打倒にむけた攻勢を切り拓いていこう。


 

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