共産主義者同盟(統一委員会)






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   ■住民食い物にし企業だけ儲けさせる

      維新の会10年の右翼反動政治

        
                                
 
 

 ●1章 大阪都構想と府・市の財政圧迫

 橋下徹が大阪の政界に登場してから一〇年になる。この間、「大阪都構想」や国政への進出などを掲げ、「日本維新の会」「維新の党」「おおさか維新の会」「日本維新の会」などの政党を創設し、大阪都構想などを進めてきた。一五年には都構想実現のための住民投票が行われ、僅差ではあるが都構想が否決されると、一二月の任期切れをもって橋下は政界を引退した。とはいえ現在も維新の会を通じて大きな影響力を持っている(現在は維新の会の法律政策顧問という立場)。大阪府知事は維新の会代表の松井一郎、橋下が退任したあとの大阪市長には維新の会の吉村洋文が就任しており、維新の会は府議会と市議会ではともに最大会派となっている。また、二二名の国会議員団や関西を中心に自治体議員も多数擁している。さらに、今年二月に行われた岸和田市長選挙では、維新の会の公認候補が当選するなど、維新の会は依然として大阪を中心に関西では影響力を保持している。
 維新の会は労働組合を敵視し、自治体労働者の人件費をカット、男女共同参画施設、図書館や体育館、保育所など住民向け施設やサービス・助成を縮小・廃止、あるいは民間へ売却するなど、弱者を切り捨て行政サービスを縮小し、インフラの整備や大型施設の誘致などに投資してきた。この姿勢は、橋下が引退して以降も全く変わっていない。そしてこの間は、カジノ、万博、G20サミットなどの誘致のために巨額の税金をつぎ込んできた。まさに、新自由主義政策を推し進めてきたのである。
 維新の会は「教育完全無償化」「統治機構改革」などを掲げて憲法改正を進め、「自衛隊を明文上合憲とする憲法改正は絶対に必要」とツイッターで発信する(橋下)など、安倍政権の憲法改悪策動を後押ししている。
 また、吉村・大阪市長は昨年一二月、米サンフランシスコ市が「慰安婦像」の寄贈を受け入れたことに抗議し、六〇年間続いてきた姉妹都市を解消することを決めた。昨年の衆議員選挙では、小池百合子が代表を努めていた希望の党と候補者調整を行い協力関係を結ぶなど、一貫して自民党を右から補完する右派政党の立場を取ってきている点にも変わりはない。

 ●2章 カジノ、万博の誘致と企業利益

 その維新の会が、今年九月か十月にも再度、「都構想」の是非を問う住民投票を行おうとしている。具体的には、今年夏までに、府と市で作る「法定協議会」で都構想案を可決し、その後に府・市議会でも可決させて、大阪市で住民投票を実施するということになる。
 この都構想案は、大阪市を廃止して現行の二四区を四つの特別区に再編するというものだが、法定協では特別区案とは別に、大阪市を存続させて八つの総合区へと再編し区の権限を強める案も議論されている。都構想を掲げている維新の会は、府・市議会で最大会派ではあっても過半数に満たず、公明などの賛成が必要となっている。
 維新の前代表である橋下徹は今年になってから「都構想は必要だが、今は府政と市政の連携がうまく行っているため、二重行政の弊害の解消という点では市民の理解が得られない」という理由で住民投票の先送りを提示している。こうした維新内部の意見対立が今後どのように収斂していくのか、また、八つの総合区への再編を主張する公明や、都構想に反対し総合区導入には賛成する自民、さらには他の会派との間でどのように調整が進んでいくのかは現状では不透明な部分も多いが、何らかの形で大阪を再編しようという動きが強まっていくことだろう。
 すでに、都構想・住民投票とは関係なく、二二年春に府立大学と市立大学を統合する構想が進んでおり一九年春に新法人を発足させることになった。さらに、今年四月には日本初の公営地下鉄として開業した大阪市営地下鉄と市バスを民営化する。また、大阪市内と関西空港とをより短時間で結ぶための新鉄道「なにわ筋線」を三一年に完成させることを府・市と鉄道会社の間で合意した。高速道路「淀川左岸線」の延伸事業も進められている。巨大なインフラ事業は、橋下が府知事だった一〇年に大阪府がまとめた「大阪の成長戦略」に盛り込まれていたものだ。
 こうした巨額の投資は、府・市の財政を圧迫している。市の試算では、今後一〇年間で四〇〇億円が不足するという。この財源を捻出するために、維新はあらためて都構想を進めようとしているのだ。

 ●3章 大阪市民、労働者の闘いに連帯を

 政府が今国会提出をもくろむIR(統合型リゾート)法案(通称「カジノ法案」)について維新の会は、政府に協力し成立を目指す方針だ。海外からの観光客を主な対象に、「成長戦略の一環」として、大阪湾岸部の人工島・夢洲(ゆめしま)へのIR施設誘致を前提にしている。IRの開業には一兆円を超える投資が見込まれ、大阪市はIR事業者に対して地下鉄建設費用二〇〇億円の負担を求めることを明らかにしている。
 まとめて言えば、行政サービスを削減して費用を捻出し、不足する分は民間業者に公共事業の費用の負担を求め、カジノ(ギャンブル)施設を作るということだ。住民をないがしろにし、資本の利益のために奉仕する自治体など、あってはならない。そもそも、ギャンブル依存症への予防策を講じたり、業者と「反社会的勢力」とのつながりなどを調査する「カジノ管理委員会」を内閣府の外局として設置しなければならないような施設を誘致させてよいはずがない。
 大阪府・市はまた、同じ夢洲に、二〇二五年開催の万国博覧会を誘致しようと活動している。ここでも、誘致委員会の「オフィシャルパートナー」になるためには、二〇〇万円以上の協賛金が必要だという。IR事業者三社がすでに協賛しているという。つまり、それ以上の利益が見込まれるということだ。どこまでも住民を食い物にし、企業だけを儲けさせる行政である。

 ●4章 大阪市民、労働者の闘いに連帯を

 大阪では、橋下が知事に就任して以降、自治体労働者が組織の違いを超え、連携して反撃の闘いを続けている。また、地域の住民運動・市民運動も維新・橋下・都構想に対する闘いを続けている。こうした闘いに注目し連帯しよう。


 

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