共産主義者同盟(統一委員会)






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   ■今こそ、働かせ方法案を粉砕しよう
        
                                
 

 安倍政権は、今国会を「働き方改革国会」と自ら名付けた。そして、「働き方改革」とは「産業競争力を強化し、生産性をあげるための改革である」と言っている。つまり、労働者の労働力を際限なく引き出し、搾取し続ける「働かせ方改革」であり、支配者階級が譲ることができない第一級の課題なのである。だからこそ、国会の論戦の中で裁量労働制の方が短時間労働だということを無理やり証明するために引用したデータが誤ったデータであったことを追及され、答弁を撤回しても法案そのものは取り下げないという強弁を繰り返しているのである。

 ●1章 企業活躍を最優先にした「働かせ方法案」

 労働政策審議会は、二〇一七年九月一五日「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」を発表した。しかし、九月一九日自民党は厚労部会や働き方改革特命委員会などの合同会議で「働き方改革関連法案」(「働かせ方法案」)の了承を見送った。これは、安倍首相が九月二九日臨時国会冒頭に衆議院解散を企てていることを受けた見送りであり、今年の通常国会での成立を目指した先送りだった。今、安倍は「日本を世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」とこの法律を一括法案として提案―成立を目論んでいる。
 法案要綱の内容は以下のとおりである。
①時間外労働(残業)の上限規制を導入。月四五時間かつ年三六〇時間を原則とし、特例でも単月一〇〇時間未満、複数月平均八〇時間(休日労働を含む)などの条件を付け最長でも七二〇時間までと明記する。(自動車運転業務・建設事業・医師等について実施の猶予期間を設ける。研究開発業務については適用除外)。
②終業から次の始業の間に一定の休息時間を設けるインターバルの導入を努力義務とする。また、産業医・産業保健機能の強化をおこなう。
③一部専門職を残業代支払いなどの労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ)を創設する。
④実際の労働時間に関係なく、あらかじめ決めた時間を働いた時間とみなす裁量労働制の対象労働者の拡大。
⑤不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣)短時間・有期雇用・派遣労働者などの均衡待遇に関するガイドラインの根拠規定を整備する等。また、労働者へ正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等の説明を義務化。裁判外紛争解決手続の整備を行う。

 ●2章 労働法制改悪反対の闘いを全国各地で展開しよう

 安倍政権は、法案への批判や自ら招いたずさんな答弁への追及を前に、法の適用時期の先送りでごまかそうとしている。しかし、改悪法の成立はあきらめていない。この法案のウソとペテンを徹底して暴露し反対の闘いを更に強めよう。
 まず、残業時間の規制であるが条件規制の罰則があるとはいえ「忙しい時の一カ月間は一〇〇時間未満であれば可能」など明らかに過労死ラインを超える労働を認める法案である。また、多くの残業代未払い裁判、過労死・過労自殺の裁判で明らかになっているように「上限規制」は合法的に働かせる(残業代が支払われる)上限であって、実際の労働時間はこの時間を超えた未払い残業が行われている実態がある。さらに、安倍政権が言う「働き方改革」の中で業務の効率化や過密な労働を強いられている実態が現在横行している。職場から闘いを作り過労死、過労自殺を一掃しよう。残業代未払い裁判を支援しよう。
 次に「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ)の新設の問題である。法案では「年収1075万円以上の高度な専門職の労働者」に適用するとしている。しかし、2005年に同趣旨の「ホワイトカラーエグゼンプション」が提案された際に経団連は年収の要件を400万円としていたという例を見ても一旦成立してしまえば年収要件や適用範囲はどんどん広げられる可能性がある。
 同時に「裁量労働制(定額働かせ放題制)の対象拡大」が目論まれている。裁量労働制は、1987年に労働基準法の「改正」により初めて導入された。この制度が適用されると、定額の残業代(みなし残業代)のみでいくら残業しても残業代は支払われない(深夜と休日の割り増し残業代の支払いはある)ので「定額働かせ放題法」と言われている。
 この制度は当初対象を研究開発の業務等に限定されていた。しかしその後、一九九八年の労働基準法改正の際、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」も対象に含まれた(この制度は一般に「企画業務型裁量労働制」とよばれる)。今回目論まれているのは「企画業務型裁量労働制」の対象範囲を企画や立案、調査を行う営業職にも広げようとしている。つまり、ある新商品の営業に行った際、その新製品の販売促進のために売り込み先企業が行う特別セールの企画や立案などセットで提案するというよく行われている営業の仕事もこの「裁量労働制」が適用される仕事となる。総務省の労働力調査によれば営業職の労働者は三六〇万人いる。しかも、年収の制限も、正規・非正規の制限もない。たとえば、裁量労働制により、年収三〇〇万円と決められた労働者は、何時間働いても三〇〇万円しか支払われない。さらに、本来「裁量労働制」が適応されない業務にも「わが社は裁量労働制なので残業代は払わない」という実態が暴露されている。「定額働かせ放題」のこの裁量労働制の拡大を絶対に許してはならない。
 更に許されないことは、この法案が一括法案としての提出が目論まれていることである。一方でざる法とは言え残業時間を規制しておいて、同じ関連法の中に残業代を払わなくてもいい労働者とみなし残業代を払えば働かせ放題の労働者を創り出す法律が織り込まれている。本来なら一つ一つの法律に対して時間をかけて審議する、可決、否決を決めるはずなのに「安保関連法」の時の手法が用いられ十分な審議もすることなく強行可決成立が目指されていることである。
 今、先進的な労働組合、労働者は「一日八時間働いて当たり前に暮らせるキャンペーン」を全国各地で行っている。このキャンペーンに多くの労働者の怒りの声が寄せられている。また、一括法案を粉砕する闘いとして「労働法制改悪反対全国キャラバン」の闘いも開始された。こうした取り組みを更に強化し、安倍政権もろとも労働法制改悪を粉砕しよう。

 

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