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   ■「働き方関連一括法案」粉砕

        全国で反撃し安倍政権打倒




 日帝―安倍政権は、四月六日「働き方改革関連法案」を閣議決定し、衆議院に上程した。しかし、この法案が提出される前からデータのご都合主義的な解釈などにより、法案の柱であった「裁量労働制の拡大」についてはこの法案に含めることができなかったことにも明らかなように、はじめからウソとペテンに満ちたものである。そして、森友・加計疑獄事件と財務省の公文書改竄(かいざん)、防衛省の自衛隊イラク派兵時の日報隠し、財務省トップのセクハラなど枚挙のいとまのないほどの腐敗、不正、ごまかしが明らかになり、安倍政権は追い込まれている。われわれは、安倍政権もろとも法案を粉砕すべく闘い抜こうではないか。

  ●1 労働法制の大改悪を許すな

 安倍政権の働き方関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)の提出理由は以下の通りである。「労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を推進するため、時間外労働の限度時間の設定、高度な専門的知識等を要する業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有する労働者に適用される労働時間制度の創設、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者と通常の労働者との間の不合理な待遇の相違の禁止、国による労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針の策定等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」。この目的に沿って、「雇用対策法」「労働基準法」「労働安全衛生法」「パートタイム労働法」「労働契約法」「労働者派遣法」など計三六の法律と「行政による履行確保および裁判外紛争手続きの整備」を「改正」「条文新設」などを行おうとしている。まさに労働法制の大改悪なのであり、このような多種多様な法律を一括して審議し、一挙に変えてしまうという戦争法(安保関連法)の時の手法を使って労働法制の改悪が行われるのである。絶対に許すことはできない。

  ●2 労働者の命と健康を奪う「働き方改革一括法案」

 このような労働法制の大改悪である「働き方改革一括法案」の主な特徴と批判点は以下の通りである。
 まず、第一にブルジョアマスコミが意図的に報道していないためあまり注目されていないが、「雇用対策法」の名称を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に変え、法律の目的を「『労働力の需給が質量両面にわたり均衡すること』」から「『労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上』に改める」とし、新たに次の項目を加えるとしている。
 「労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項(以下この項において「能力等」という。)の内容が明らかにされ、並びにこれらに即した評価方法により能力等を公正に評価され、当該評価に基づく処遇を受けることその他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする」。
 ここに表されていることは、労働者の失業対策が役割であったこの法律を、労働者は「生産性の向上」のために「能力が評価」され「評価に基づく処遇」をうける者として規定されるとした上で、一人ひとりの労働強化を目的とする法に改編するというのだ。まさにここに今回の「働かせ方改革」の真の狙いがある。労働者保護のための労働法制を生産力向上のための労働者支配法に改悪しようとするものである。
 そして「働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めること」としている。この閣議決定で定めることができる「基本方針」には、この間の労働法改悪に向けた各種審議会等の答申による「非雇用型を含む多様な就業形態の普及の推進」で明らかなように労働法制に守られない、使用者にとって都合のよい(個人事業主や個人請負型などの)労働者を増やそうとしていることは明らかである。
 第二に、これまで三六協定を結ぶことで残業が許されていたが、「労働基準法」を変えて、残業時間の上限を規定することとした。しかし、この残業時間の上限は「月四五時間、年三六〇時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年七二〇時間、単月一〇〇時間未満(休日労働 含む)、複数月平均八〇時間(休日労働含む)を限度に設定」と規定された。この結果、現在過労死ラインと言われている残業時間を「例外上限」と定めようとしている。これでは、過労死や過労による心身のダメージを受けた労働者や家族などが訴えても、使用者は「法律通り働かせていました」と言って責任逃れをすることを許すこととなる。
 また、「職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも一〇〇〇万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年間一〇四日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、 労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする」特定高度専門業務(高度プロフェッショナル制度)の創設を行おうとしている。しかし、この年収の上限は厚生労働省の省令でいつでも変えることができるのだ。まさに〝定額働かせ放題、残業代ゼロ法〟である。インターバル規制も努力義務であり、産業医の指導強化も働かせるための方便でしかない。
 第三に、「同一労働同一賃金」と喧伝されている正規と非正規の格差是正については、実はこの法案のどこにも「同一労働同一賃金」とは書かれてはいない。「短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・ 目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化」するとしている。
 「不合理な待遇の禁止」と書かれているが、「不合理か否か」と決めるのは使用者側であり、労働者は説明を求めることしかできない。これでは、差別合理化法である。
 また、現在数多くの裁判が提訴されている「労働契約法二〇条」を削除し、その適用範囲が狭い「パート労働法」と統合することは、差別に怒り闘い続ける労働者に冷水を浴びせかけるものにほかならない。郵政の職場においては二〇条裁判で不合理な格差として指弾された非正規労働者への住居手当の未支給を限定正社員への支給をなくすという、低い方に平準化して差別待遇はなくなったとする許すことのできないやり方が行われようとしている。

  ●3 全国各地で反撃の闘いを

 こうした安倍政権「働かせ方改革」に対して労働者は全国各地で反撃の闘いを開始している。
 四月一七日に結団した「『八時間働けば生活できる社会を』労働法制改悪を阻止する全国運動実行委員会」は、南は沖縄から四月二〇日キャラバンを出発させた。辺野古で新基地建設阻止を闘う労働者市民と共に闘いながら、沖縄人民と固く団結し安倍政権に挑む闘いを開始した。北は北海道帯広から闘いを開始し、連休を挟んで東北地方へとキャラバンが進められる。北九州ではメーデーを共に闘い、九州、関西、四国・中国地方、中部、関東と全国各地の闘いと闘う仲間を結びながら、五月二二日日比谷公園で開催される労働法制改悪反対の大結集を実現させ、安倍政権の働かせ方改悪を粉砕する決意だ。共に闘おう。



 

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