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   基地建設反対住民に連帯し、

     イージス・アショア配備を阻止しよう

                 山口地区委員会

  
                  

 まずは、Googleマップで「山口県 むつみ演習場」を検索し、航空写真をご覧いただきたい。陸上自衛隊のむつみ演習場は、萩市むつみ地区(旧むつみ村)に在し、演習場の北と西とは阿武町に接する。海が見える大きさまでズームアウトするならば、海岸線からかなり奥地にあることが分かる。
 むつみ演習場から、朝鮮民主主義共和国に向けて線を引くと、その直線は阿武町の上を通過する。
 六月一日に防衛政務次官が山口県庁を訪れ、山口県、萩市、阿武町の各首長にイージス・アショア配備計画を伝達した。以降、六月、七月、八月と三度にわたる地元説明会が行われた。各説明会では、配備への不安や反対の声が多数を占めた。
 住民の不安は具体的なものである。第一に、レーダーが発する電磁波による健康やコンピューターへの影響である。現代の農業はコンピューターやドローンを使用しており、強力な電磁波は営農活動そのものを破壊しかねない。また、救急時のドクターヘリの飛行への影響も懸念されている。
 第二に、適地調査や工事に伴う水脈への影響である。演習場は集落より高台に位置し、麓からの湧き水を活かして生活、営農が行われている。適地調査や工事に伴い、水脈が断たれたり、水量が減ることがあれば生活への影響は必至である。
 第三に、地域のイメージへの影響である。阿武町は「選ばれるまちをつくる」をテーマに、農業、漁業でのまちづくりを目指しており、豊かな自然を求めて移住者も増えて来ている。むつみ地区も萩、津和野をつなぐ線上に位置し、歴史と自然をテーマにまちづくりを進めてきた。萩市、阿武町、山口市の阿東地域は「萩ジオパーク」として、今年九月二〇日に日本ジオパークにも認定された。イージス・アショアは、防衛のための施設といわれているが、配備するミサイルの種類を変更することで、敵基地攻撃能力をも持ちうる。集団的自衛権の行使を合憲化し、安保法制を通した今、政府の意向次第で、イージス・アショアはたやすく攻撃能力を持つ施設へと転換しうるということだ。と同時に施設自体が攻撃対象となりうる。まさに、自然と歴史をテーマにまちづくりを進めてきた住民にとっては、同地域がミサイル基地のある地域、軍事のまちとなることは、生き方を否定されるに等しいとの声も上がってきている。
 第四に、打ち出されたミサイルからの落下物についてである。これについては防衛省側の説明が度々変更されており、住民の不信を高めている。当初は、ミサイルから切り離されたブースターは、海に落ちるとされていたのであるが、その後、陸上に落ちることが明らかとなった。そうなると、「落下物は演習所内に落下させる」と、これまた無理な説明を行うといった具合である。
 防衛省は配備について地元の理解を求めるとしながら、一方で、地元の同意が設置の条件であるとはされていない。地元の選定にも疑問がある。説明会が開かれたのは阿武町と萩市の中心部、萩市のむつみ地区なのであるが、演習場に近い、萩市の須佐地区、福栄地区、山口市の阿東地域等では説明会が開かれていないのである。
 むつみ演習場をめぐっては、演習場が開設された一九六一年に陸上自衛隊山口駐屯地司令と、むつみ村長及び阿武町長とが、山口県知事の立会いのもとに交わした覚書が存在している。覚書のポイントは次の三点にまとめられる。①自衛隊側は民生(住民の生活)を阻害しない。②むつみ演習場は演習場として使用することしか認めない。③事件があった時は当事者間で協議し、協議が整わない場合は「協議会」を開く。
 地元住民は覚書を武器に闘っている。防衛省の担当者は、覚書は演習場の運営に関するものであり、演習場を他の施設に変更することに影響するものではないと主張している。
 こうした中、地元では「『イージス・アショア』配備計画の撤回を求める住民の会」「平和を願う福賀の会」等、イージス・アショア配備に反対する住民団体が立ち上げられた。
 九月一一日には、阿武町福賀地区の全一六自治会長らが配備計画撤回を求める請願書を阿武町議会に提出した。地元の農事組合法人の連名となっている。請願書は二〇日の町議会において採択され、阿武町長は配備反対を表明した。地域住民の闘いが自治体を動かすという事態が起こっている。
 「『イージス・アショア』配備計画の撤回を求める住民の会」が署名活動に取り組み、萩市むつみ地区一四五〇人のうち、過半数の七四九筆の署名を集めている(九月二六日発表)。七三三世帯中四〇一世帯が応じた形となっている。
 イージス・アショアに対する全県的な関心も高まっている。イージス・アショアは全県の問題であるとして、県民を対象とした説明会を求める申し入れが行われている。防衛省は県や市等からの要請があれば説明会を開催するとコメントしているが、県知事は萩市、阿武町以外での説明会は必要ないとの姿勢を示している。
 九月三〇日には、ミサイル基地をつくらせない県民大集会(主催:ミサイル基地をつくらせない県民大集会実行委員会)が取り組まれた。当初は演習場北側に隣接する西台にて行われる予定であったが、台風二四号接近のため、阿武町福賀の「阿武町のうそんセンター」にて開催された。悪天候にも関わらず二八〇名が結集した。
 一〇月一日、中国四国防衛局はむつみ地区に現地連絡所を開設した。適地調査が始まろうとしている。ミサイル基地建設に反対する住民の闘いに連帯し、闘おう。


 

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