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   安倍政権の障害者差別政策を打ち破り、
      障害者解放運動の前進勝ち取れ!

  
 
                   川原 涼

 

 ●1章 障害者差別抹殺、天皇制優生思想攻撃許すな

 二〇一六年年七月二六日、相模原市の「津久井やまゆり園」で一九人の障害者が虐殺された。
 被告は、事件については謝罪や反省を全くしておらず、虐殺行為は正当であると宣言している。障害者差別抹殺を正義とし、「社会防衛」の観点を全面化させている。絶対許してはならない。
 被告に対して行われた精神鑑定は、「自己愛性パーソナリティ障害」というものであった。被告を「人格の障害」として評価し、被告の個人史に障害者抹殺の全責任を負わせ、日本における差別社会の深部にまで刷り込まれた天皇制優生思想の本質には全く触れない。
 日帝国家権力は、障害者差別虐殺事件の全責任を被告一人に負わせる一方、障害者抹殺の原因を究明するということではなく、抹殺した人格が措置入院経験者であることを最大限活用し、マスコミを最大限利用し、精神障害者から「社会を防衛する」との観点を全面化させる方向へ集約せんとしている。措置入院の退院後における地域監視網の強化を警察権力の全面介入をチラつかせて精神保健法の「改正」を目論んでいるのだ。
 精神障害者に対する保安処分の強化策動は、それにとどまらず、二〇一七年二月一九日に法務省法制審議会少年法・刑事法部会が、「少年法の『少年』の年齢を一八歳未満とすること、非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事の実体法・手続法の整備のあり方」という内容を盛り込んだ審議会を発足させた。一一月二日までに一一回の会議が行われている。
 審議会においては、「若年者に対する新たな処分」「起訴猶予等に伴う再犯防止措置の在り方」及び「保護観察・社会復帰支援施策の充実,社会内処遇における新たな措置の導入及び施設内処遇と社会内処遇との連携の在り方」などの意見交換を行っており、少年法、刑事法の改悪を目論み、警察権力と地域社会を結合させて、刑法改悪ー保安処分攻撃を一層強化させようとしているのだ。来年の国会上程が目論まれており、絶対に許してはならない。

 ●2章 優生保護法による強制不妊手術弾劾裁判に勝利しよう!

 二〇一八年一月三〇日、優生保護下、「優生手術」と称して不妊手術を強制されたとして、宮城県の女性が国賠訴訟を起こした。ナチスの断種法を元に成立した国民優生法(一九四〇年)よりもさらに強力に、「不良な子孫の出生を防止する」として、多くの障害者が差別され、殺されてきたことを忘れてはならない。国家による謝罪と補償を断固勝ち取ろう!
 優生保護法をめぐる訴訟は、その後神戸地裁に聴覚障害者四人、大阪地裁に一人など、一月の宮城県の女性障害者が初めて提訴して以来、北海道から九州まで全国六地裁で一三人となった。口頭弁論は、一〇月一〇日現在、五人について裁判が始まっている。
 二〇一八年九月二八日、札幌地裁において、不妊手術を強制されたとして障害者が国に慰謝料を求めた裁判の第一回口頭弁論が行われた。当日は人工呼吸器をつけた車椅子の障害者や、聴覚障害者などが傍聴した。一〇月一〇日には、熊本地裁において口頭弁論が行われた。
 実はこの問題は二〇一六年三月一六日時点において、すでに国連女性差別撤廃委員会が、日本政府に対し、優生保護法において不妊手術を強制された障害者に対する補償を行うよう勧告を行っている。対日定期審査「最終見解」において、当時約一万六五〇〇人が本人の意思によらず手術を強制されたにも関わらず、政府が補償や謝罪をしていないことを問題視した。「実態を調べ加害者を訴追し、被害者に法的な救済や補償を提供する」よう勧告している。政府はこの勧告をことごとく無視してきた。
 今回の裁判では、原告側は憲法が保障する幸福追求権や、性と生殖に関する権利を侵害していると主張しているのに対し、国側は、原告側主張の優生保護法の違憲性を一切認めず、請求の棄却を求めている。「不法行為への賠償制度を設けた国家賠償法がある」として、自らの差別性を一切認めず、原告側の責任のみを主張している。
 聴覚障害者に対する強制不妊手術は、「全日本ろうあ連盟」の調査によれば、一〇九人が手術を強制されたという。中には中絶後に不妊手術をされた聴覚障害者が少なくとも七人いたという。また生まれた子供を養子に出された人もいたという。
 一方で超党派議員連盟は一〇月三日、手術記録がない人なども含めて幅広く「救済する」という法律を策定する方針をまとめている。しかし記録などで特定された障害者に対して、一切通知せず、本人や法定代理人が申請した場合にのみに限るとしている。しかも五年という期限付きである。強制不妊手術を受けた障害者は三〇年も四〇年も誰にも言えず、許しがたい差別に必死に耐え続けてきたにも関わらず、五年たてば訴訟権すらも剥奪するという暴挙を許してはならない。
 一一月二日に明らかになった法案の骨子においては、この強制不妊手術の責任について主体は「国会議員を含む国民全体」を「我々」として「率直に反省し、深くお詫びする」とした。謝罪と補償の主体をとことん曖昧にしている。
 優生保護法による強制不妊手術は約二万五〇〇〇人が受けたとされる一方、個人が特定されたのは三〇三三人である。約12%しか特定できない中で、しかも本人が名乗り出てくる障害者のみを「救済」するという。裁判においては、謝罪もせず、原告の障害者に責任をなすりつけ、名乗り出た一握りの障害者だけにお金を渡して問題の幕引きを図ろうとするのである。絶対に許してはならない。

 ●3章 障害者雇用水増し問題の幕引きを許すな

 中央省庁における障害者の雇用水増し問題で、第三者検証委員会は二〇一八年一〇月二二日、検証結果を関係府省連絡会議に報告した。報告書は、雇用率に算入できる障害者の範囲などについて「厚生労働省の周知が不十分だった」と指摘し、各省庁が「法定雇用率を達成させようとするあまり、範囲や確認方法を恣意的に解釈していた」と認定した。
 「法定雇用率を達成しよう」としたことは一度もないからこそ、範囲や認定方法を恣意的に解釈していたのだ。検証委員会の報告は、偽善に満ちている。
 そうであるがゆえに、財務省などでは障害者の採用に関して「自力で通勤できる」「介護なしで業務の遂行が可能」などの、差別的な条件を堂々と示し続けてきたのだ。財務省は、障害者団体からの指摘があって初めて条件が差別的であると渋々認めたのだ。
 その後、この採用の差別条件は、全国三二都府県と九政令都市が同様の条件を試験の応募要項に盛り込んでいたことが暴露された。
 もともと障害者雇用に差別的であるという事実は消えない。障害者の生活、現実を嘲笑い、労働現場から締め出し、排除してきたのだ。絶対に許すな!

 ●4章 社会保障制度改悪、貧困と格差の拡大を許すな

 生活保護費削減がまた強行された。食費や光熱費といった「生活扶助費」が二〇一八年一〇月から変わる。需給世帯の26%が増額になるが、67%で減額になる。二〇一八年一〇月から三年かけて毎年一〇月に見直し、二〇二〇年には最大5%の減額になる。
 六五歳以上の単身世帯の76%、子供のいる世帯の43%で引き下げられる。深刻なのはひとり親世帯の母子加算が現在の月平均二万一〇〇〇円から三年後には一万七千円になる。生活はさらに苦しくなる一方である。二〇一八年九月一五日には受給者の支援団体が、一〇月からの生活保護費の引きさげは不当として都道府県に減額処分取り消しを求める審査請求を全国の受給者に呼びかけることを提案した。二〇一三年には三万人近くが審査請求して、全員認められず、約千人が訴訟。今回も大規模訴訟に発展する可能性がある。
 二〇一八年八月一日からは、所得の高い高齢者を対象に介護サービス利用の自己負担が二割から三割に引き上げられた。また、高齢者医療も五〇〇万人が負担増となる。
 全国に障害者差別が蔓延している。雇用差別や、虐待が横行し、それを正当化せんとする動きが広まっている。さらに貧困と格差の拡大で、被差別、労働者人民の生活は抜き差しならないものとなっている。こうした現実を跳ね返し、障害者解放―日帝打倒を勝ち取ろう!



 

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