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   20春闘で大幅賃上げをかちとろう

     改憲阻止の闘いを職場から作ろう

                     
中央労働運動指導委員会


 

 ●1章 全世界で拡大する戦争と貧困、格差

 帝国主義諸国は〇八年のリーマンショック以降の世界金融恐慌の危機を克服できてはいない。各国中央銀行による金融緩和や、G20などによる「多国間の貿易ルール」などによって危機を先送りしてきたにすぎない。
 トランプ政権はそれらを一切配慮せず、「自国第一主義」を掲げ米中貿易戦争・通貨戦争をしかけ世界資本主義の危機を抜き差しならない状態に追い込んでいる。その結果、OECDによれば、一九年の世界経済の実質成長率は2・9%と見込まれ、前年の3・5%から低下しリーマンショック以降で最低となっている。
 トランプ政権は戦争の危機を意図的に煽りたてている。中東ではイラン核合意からの離脱、ホルムズ海峡への有志連合派遣、本年一月三日にはイラン革命防衛隊司令官ソレマイニ暗殺など軍事的な挑発を繰り返している。
 核軍事戦略の再編ももくろんでいる。中国の中距離核戦力開発への対抗から、一九年二月には、ロシアとの間で締結していた中距離核戦力全廃条約(INF)の廃止をロシアに通告し、中距離核戦力開発のフリーハンドを保持しようとしている。「小型核兵器」を開発し、核兵器の実戦投入を画策しているのだ。
 トランプ政権は同盟国であるNATO諸国、日本、韓国などに対しても、軍事費負担増を要求している。それは本年一一月の大統領選にむけた自らの支持基盤である産軍複合体と製造業労働者の支持の維持・確保にとどまらない。軍事同盟におけるアメリカの負担の軽減を口実に、同盟国に対してもアメリカの国益最優先の政治、経済体制を強要しようとするものである。
 トランプ政権の「自国第一主義」は、本質的な意味での帝国主義である。トランプ政権の資源、市場の獲得にむけた「自国第一主義」が、全世界における戦争と貧困、格差拡大の元凶となっている。トランプ政権の戦争をカードとした「ディール」は、主要帝国主義国、中国、ロシアにおいても同様の軍事外交路線を結果し、軍備拡大と国内独裁支配体制が強化され、戦争と貧困、格差が全世界に拡大していくことになる。
 トランプ政権をはじめとする帝国主義グローバリゼーションは労働者、民衆の生存を根底から脅かしている。反グローバリゼーション、緊縮財政反対を掲げた労働者、民衆の反撃は強権支配に屈することなく、全世界で連綿と継続していくことになる。

 ●2章 戦争国家化を推進する安倍政権

 日帝―安倍政権は世界各地に存在する帝国主義的な自らの権益確保にむけ必死となっている。日本の対外資産は世界最大の一〇一八兆円といわれている。世界情勢の不安定化のなかで、日帝の権益確保のため日米安保を基軸に、全世界で米帝と共に戦争をする日米共同作戦体制の強化、軍備増強、「海外派兵」策動、そのための改憲は、それ以外の選択肢がない不可避のものとしてある。
 安倍政権は、一八年の米朝首脳会談、南北首脳会談で実現された「朝鮮半島の平和」に一貫して敵対し、朝鮮に対する制裁を強調してきた。中国の海洋進出の活発化に対しては、排外主義を煽り立て「南西諸島防衛強化」を主張する。戦争の危機をあおり軍事的対抗を全面におしだして「戦争国家化」を進めている。
 「戦争国家化」と表裏の関係にある安倍政権による労働者、民衆の強搾取、強収奪も、アベノミクスの破綻の中で、更なる新自由主義強化・規制緩和として推進されている。昨年一〇月の消費税10%への増税、「老若男女を問わず寸暇を惜しんで死ぬまで働け」という「働き方改革」による長時間労働や労働強化、請け負い、「雇用類似の働き方」による雇用契約の形骸化など労働者保護法制の解体などが進行している。

 ●3章 進行する貧困と格差の拡大

 20春闘はアベノミクスが破綻し貧困と格差が拡大するなかでの春闘である。異次元の金融緩和、公共投資で利益をあげたのは大企業だけである。一八年度末の大企業(資本金一〇億円以上、金融、保険を含む)の内部留保は、四四九兆円(前年度比約二四兆円増)である。
 労働者の実質可処分所得は、〇三年の五一九万円から一八年の五三七万円へと一二万円も減少した。他方、税金、社会保険料は〇三年の一〇一・〇万円から一八年一二四・三万円となり約二三・三万円も増加している。
 安倍政権はアベノミクスによって失業率が低下し有効求人倍率が上昇したと主張するが、その内実は非正規労働者を中心とする低賃金労働者の増加によるものである。非正規労働者は一八年に過去最高の二一二〇万人(37・8%)となっている。年収二〇〇万円以下の労働者は一四年に正規労働者で三七六万人、非正規労働者で一四五九万人だった。一八年に正規労働者は三三三万人に減少したが、非正規労働者は一五〇三万人に増加している。
 非正規労働者と正規労働者との格差も埋まらない。正規雇用フルタイム男性労働者の年収(残業代除く)は推計で五四四万円だが、同じ雇用形態で女性は三九九万円、有期フルタイムの女性で二四五万円となっている。
 女性の非正規労働者の割合は55・5%、男性の非正規労働者の割合は21・9%であある。女性の非正規労働者の割合がこれほど多いのは、女性労働は補助的労働であり男性世帯主労働者の賃金を補填するものという社会的に蓄積された差別、偏見による低賃金の強要という側面がある。大企業で女性労働者の過半数が非正規雇用であるが、大企業は、この社会的偏見を利用し彼女たちに低賃金を強要し莫大な利益をあげている。
 それ以外に留意しなければならないのは、長時間労働の壁である。保育、子育て、介護支援策の不十分さと女性差別のなかで、育児・家事・介護負担は女性労働者に重くのしかかっている。子供のいる世帯では、夫が長時間労働であればあるほど、妻のフルタイム就業率は低下している。これは家事、育児などで妻の労働時間が短くなればなるほど、夫の労働時間は長くなるという悪循環を結果している。相変わらず女性労働者は、単身生活の維持すら困難な低賃金の非正規雇用から脱出することが難しい事態に直面している。政府のワークライフバランスなど何の実効性もない。
 長時間労働も蔓延している。一八年度の「毎月勤労統計調査」では、一般労働者は一一時間減少したが、それでも一般労働者の労働時間は一九九一時間と高水準のままである。
 産業別では建設業、運輸業が二〇〇〇時間を超えているが、パート労働者を含んでいるので、一般労働者の総労働時間は更に長い。
 「毎月勤労統計調査」は事業所調査であり、サービス残業などを含んでいない可能性が高く、労働者個人を対象とする総務省の「労働力調査」のほうが労働時間は長く、二二〇〇時間余となっている。過労死ラインとされている一カ月八〇時間超えの労働者は非農林業男性労働者の約一割となっている。更に男性正社員のうち20%が週六〇時間(一七年総務省就業構造基本調査)以上、働いている。
 安倍政権による社会保障の改悪も進行している。一三年以降、七年間の累計で一兆七一〇〇億円もの社会保障予算を削減した。これらは社会保障費の負担増と給付削減を結果している。高齢者中心から「全世代型社会保障」を主張しているが、公的負担の多くを担う消費税は法人税減税などに食い尽くされ、事業主負担も〇三年を境に低下している。
 生活保護基準を貧困ラインと設定すると貧困率は三割近くだが、生活保護の補足率は二割程度である。仮に一〇〇人を総人口とすれば三〇人が貧困であり、そのうち生活保護受給者は六人にとどまり、残り二四人は貧困のまま放置されているということだ。「準生活保護」と通称される学用品、給食費などの就学援助補助金利用生は一四五万人で全体の15・2%である。
 他方、富裕層では一〇〇万ドル(約一億)以上の金融資産を有するのは二八一万人で、アメリカ、中国についで世界第三位になっている。国内の資産額一位はユニクロの柳井正で二兆七六七〇億円、国民一人あたりの平均預貯金額の約一九万人分。、第二位はソフトバンクの孫正義で二兆六六七〇億円。第三位はキーエンスの滝崎武光で二兆六七〇億円である。
 役員報酬も増大し一億円以上の役員報酬は二八〇社五七〇人に達している。最高額はソフトバンクのR・フィッシャー副会長の三二億六六〇〇万円で、同社正規労働者の平均年収の二六一倍、時間給にして一五一万円になる。彼らの資産の大半はアベノミクスの金融緩和による自社株の上昇と、配当によるものだ。反して貯蓄なし世帯は単身世帯で38・6%、二人以上世帯で22・7%にもなる。

 ●4章 春闘解体をもくろむ20経労委報告

 一月二一日、経団連は使用者側の20春闘の指針となる「経営労働政策特別委員会報告(以下、20経労委報告)」を発表した。
 情勢認識、時代認識として「米中貿易摩擦などを背景とする世界経済の減速を受け、先行きの不透明感が広まりつつある。我々は今まさに時代の大きな転換点にさしかかっており、AIやIoT(物のインターネット)をはじめとする最先端のデジタル技術によるイノベーション(技術革新)創出力を強化し、産業や経済の構造をより強靱なもの、国際的な競争力のあるものにするソサエティー5・0の実現が求められている」としている。

(註)ソサエティー5・0 「狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第五段階の新たな社会、デジタル革新と多様な人々の想像、創造力の融合によって社会の課題を解決し、価値を創造する社会・創造社会」(20経労委報告)

 その実現のために「先端技術を活用し、社会的課題を解決しながら新規市場を開拓を担う人材に対する需要の高まり、教育、訓練とあわせて労働市場の流動化の促進、働き手のエンゲージメントが重要となってくる、そのためには新卒一括採用や長期終身雇用を特徴とする日本型雇用システムの見直しが求められている」というものである。

(註)エンゲージメント 「働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向が一致し、仕事のやりがい、働きがいを感じる中で、組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を表す概念」(20経労委報告)

 ソサエティー5・0は、あらゆる産業や個人の生活やそのための情報、行動をインターネットを通じて蓄積し、その蓄積した情報をAIが分析し企業や個人に新たな行動や消費を商品として提案するというシステムであり、本質的には市場化、商品化が個人の生活のあらゆるレベルにまで浸透する社会である。個人の生活の仕方や嗜好も含めた感情や性格までもが、「お前はこれだ」としてAIに判断され、それが一定の社会的権威を持ち、AIの評価に見合う商品を購入し消費を行うことが強要される。インターネットやAIを支配する資本家は個人の生活スタイルとその内面にまで、介入し、市場化できるので膨大な市場の拡大につながる。労働者、民衆は日常生活において水道の蛇口をひねるような行動すらもが自らの自発的意思による行動ではなく、インターネットで提案された商品の購入としてしか行えなくなる。
 労働者民衆の「近代的自我」「アイデンティティー」などは完全に無視される。AIが判定した「お前はこれだ」が自分自身となる。教会が民衆を支配した中世のように、AIやインターネットを支配する資本家が、労働者、民衆の生活と人生を勝手に規定し、内面まで含めて支配することになる。資本主義の行き詰まりの中であらゆる「事象」を商品化する資本主義の究極の動きである。
 他方で、高度なデジタル技術に対応できない労働者の労働市場からの放逐が、「労働市場の流動化」として公然と語られている。そして日本型雇用システムの見直しが言われ、多様な働き方を口実にして、労働契約の個別化の促進が主張されている。
 「エンゲージメント」が強調されている。だがその内容とは「20年経労委報告」が主張する日本型雇用システムの見直しとは正反対の、日本型雇用システムの護持そのものである。平社員であっても、社長の気分で全社の利益を考え、自分の仕事がその重要な一部であることを自覚し、日々、仕事の見直しと効率化をはかり、その努力が人間としての自分を高めるというものである。欧米流の決められた職務にのみ責任を持つという働き方と異なる、日本型雇用システムの中で作り出され、究極的には「会社人間、社畜」にまで転落した働き方と何ら変わらない代物である。
 20春闘における賃上げについては、中西経団連会長は「日本の今の賃金は、先進国の中でも、むしろ低めに設定されてしまっていることは認識している。そのため賃上げのモメンタム(勢い)はやはり大事であるということが前提となる」(連合と経団連との懇談会における中西経団連会長発言。一月二八日)と述べている。
 しかし相変わらず、月例賃金の一・七倍といわれる総額人件費に配慮した賃金引き上げ、自社の支払い能力を考慮した引き上げが重要であるとしている。そして「多様な方法による引き上げ」「総合的な処遇の改善」によって対応すべきであり、一律的なベースアップによる引き上げなどは望ましくないとしている。
 連合のささやかな「底上げ→定昇2%+ベア2%=4%要求」「底支え→時給一一〇〇円以上の企業内最賃」「格差是正→目標額と最低到達額の設定と、中小組合(組合員数三〇〇人未満)で総額一〇五〇〇円以上の引き上げ目標金額」という賃金要求の考え方の提示に対しても、賃金引上げ偏重批判、社員一律引き上げ批判、企業の支払い能力を無視した横並び春闘方式批判の立場から批判やけん制をおこなっている。
 その意図するところは集団的労使関係から雇用契約を排除し、「多様な働き方」と称して細切れで働く低賃金労働者を多数作りだし、その労働者個々人を使用者が直接的に支配することにある。
 われわれは経団連のこのような春闘形骸化策動と闘い、企業、産別を超えた横断的で全国的な賃金引き上げ闘争である春闘を守りぬいていかなければならない。組織された労働者が中心となって非正規労働者、外国人労働者、未組織の労働者などの要求を掲げ、社会的闘いである春闘を発展強化していくことは絶対に必要である。
 春闘の形骸化が進めば、われわれが依拠する民間中小労働者にとって、使用者には好むと好まざるとにかかわらず「春になれば年一回は賃金を引き上げを検討しなければならない」という社会的強制がなくなり、賃金引き上げは個別企業ごとの分断、孤立した闘いとなり、極めて困難になる。

 ●5章 20春闘におけるわれわれの闘い

 ▼5章―1節 20春闘に勝利し生活と社会を変えよう

 全労協は20春闘基本方針として、「労働を! 生活を! そして社会を変えていく20春闘を!」「八時間働けば生活できる賃金を!」「八時間働けば暮らせる社会を!」を基本方針として掲げている。
 「戦争国家化」と貧困、格差拡大が進行する中で、春闘の基本スローガンとしては全体的で体系的なスローガンである。原則的に闘う労働者、労働組合はこの全労協のスローガンを正々堂々と真正面から掲げて闘うことを表明しなければならない。
 20春闘の渦中で社会をどう変え、どのような社会を目指すのかを、「労働者民衆が安全、安心に暮らせる社会」など理解しやすい切り口で提起しながら、その内実において資本主義の打倒と社会主義の実現が不可欠であることを訴えていかなければならない。

 ▼5章―2節 賃金大幅引き上げと労働時間短縮を

 全労協は「八時間働けば暮らせる社会を!」を掲げている。全国一般全国協は、「物価上昇分2%+消費税2%+大企業との格差是正3%」を根拠に7%以上の賃金引き上げを要求している。これらの闘いと結合し、残業をしなくても八時間働けば生活できる賃金引き上げを実現していかなければならない。
 長時間労働は低賃金の結果でもある。最低賃金の影響を受ける最低賃金近傍(時給が最低賃金から15%上回る労働者)の労働者は、一日八時間、週四〇時間の法定時間では生活できない。彼らの生活が維持されているのは、一日一〇時間から一二時間の長時間労働によってである。彼らの労働時間の短縮は、引き上げられた時給に応じてしか実現されない。まず賃金を引き上げなければならない。そして時間短縮の原資を獲得しよう。賃金引上げと労働時間短縮を結合して闘い、何年かかろうとも「八時間働けば暮らせる社会」を実現しよう。

 ▼5章―3節 第二の賃金闘争として最賃闘争を闘おう

 最低賃金闘争は春闘に次ぐ第二の賃金闘争だ。春闘における賃上げの闘いと並んで、最低賃金引き上げは、非正規労働者をはじめとする低賃金労働者の賃金引き上げにとっては決定的に重要である。
 改正後の最低賃金額を下回る賃金で働く労働者の割合をしめす「影響率」は、一二年度では全国平均4・9%だったが一八年度には13・8%となっている。一八年度では10%超が三四地方となり、全体の七割を超えている。一七年度には大阪(21%)、神奈川(25・6%)、青森(21・3%)の地方で20%超えとなっている。
 最低賃金が上がれば賃金が上がる労働者は、影響率の対象労働者だけではない。毎年、時給があがるランク制を採用している流通、製造などの大企業のパート制度では、最下位のランクが最低賃金見合いであることが多く、最低賃金が上がることによって最下位ランクが上げれば、最上層まで引き上げなければならなくなり、その影響は雇用するパート労働者全体に及ぶ。
 「最低賃金一五〇〇円をめざし直ちに一〇〇〇円以上」という最低賃金要求を踏まえ、企業内最低時給一〇〇〇円以上を要求し、東京、神奈川など最低賃金が一〇〇〇円を超える地方は一〇〇〇円以上を掲げて闘わなければならない。
 組織された労働者は、最低賃金引き上げの闘いを低賃金労働者の賃金闘争への連帯戦として、自らの賃金大幅引き上げの闘いと連動して闘い抜く必要がある。

 ▼5章―4節 「パート・有期法ガイドライン」の活用を

 20春闘の闘いの過程で、「パート有期法ガイドライン」の職場での活用に向けた闘いを準備しなければならない。パート有期法の中小企業での施行は二一年四月からだ。「パート有期法」には様々な問題があるが、法律として成立した以上は職場で使う必要があり、原則的な職場活動が蓄積されていれば、労働者、労働組合が有利に使うことができる。
 この法律のポイントは、「均等・均衡処遇」という概念で、正規労働者と非正規労働者が全く同じ仕事であっても処遇が異なることを直ちに問題にはしない、その異なることについて合理的な説明が必要というものである。合理的か合理的でないかはガイドラインでいくつかの基本的な事例が示されている。手当や福利厚生については、正規労働者に支給されていれば、同額ではなくとも支給しなければならいとされている例が多い。一時金なども正社員に支払われていれば、同額である必要はないが何らかの支給が求められている。
 一四条二項では、非正規社員から正規社員との待遇差の説明を求められた時、使用者は八条、九条に基づいて説明する義務を負うことになる。
 これまで正規と非正規の労働者の待遇差について団交などで説明を求めても、「非正規だから」という社会的偏見にもとづく回答しかなされないことが多々あったが、今後は許されない。紙幅の関係で詳述しないがパート有期法八条、九条とガイドラインを詳細に検討し、対象業務の分析を行い、自らの主張を準備しなければならない。
 正社員と非正規社員の全業務を整理、分析するという高度の業務能力も必要とされる。少数派組合や一人組合員には厳しい作業だが必要な闘いである。この闘いはいかに労働組合が職場に根ざして闘っているのかを問う闘いでもある。

 ▼5章―5節 外国人労働者の権利擁護のために闘おう

 安倍政権は昨春の入管法改正で「特定技能一号、二号」を創出し、人手不足が深刻な建設業、農業、製造業など最大三四万人の受け入れを目論んでいる。実態は移民であるにもかかわらず、移民としての市民的権利ははく奪し、低賃金労働力として酷使せんとしている。
 私たちは労働者には国境はないという立場から、共に働く仲間として積極的に受け入れていく必要がある。労働習慣の違い、言語、文化の問題など様々な困難が発生するが、粘り強く、支援と連帯を積み上げていかなければならない。彼らに対する人権侵害、労働法違反、低処遇に対しては全力で闘う必要がある。一時期、職場の仲間からの離反があってもそれは闘う労働者の義務である。

 ▼5章―6節 組合潰しの大弾圧、排外主義と闘おう

 安倍政権の戦争国家化は急ピッチで進んでいる。日米安保を要とした日米共同作戦体制強化、辺野古、岩国、京丹後Xバンドレーダー基地をはじめとする基地強化が進められ、改憲攻撃が強められている。この闘いと連動し20春闘の渦中で、われわれが特に取り組まなければならない闘いは以下の二つである。
 第一に、連帯関生支部弾圧に対する反撃の闘いがある。一昨年から引き続く弾圧によって延べ八九名、七一人が起訴され、二名が長期拘留中である。
 これは連帯関生支部が中小の生コン製造・輸送経営者と進めてきた協同組合運動、産別運動に対する弾圧である。また連帯関生支部は安倍政権の戦争国家化と激しく闘ってきた労働組合であり、それに対する弾圧でもある。
 この連帯関生支部への攻撃は世界の労働運動が流血の闘いの中で勝ち取り、憲法二八条でも団結権、団体交渉権、争議権として保障されている労働三権を否定し、労働組合運動を労使協調の企業内組合運動へと変質させるものである。
 20春闘において、われわれはこのような「戦争国家化」にむけた労働組合つぶしの大弾圧との闘いを、多くの労働者、民衆に呼びかけていかなければならない。
 第二に、徴用工問題を口実にした安倍政権による排外主義攻撃との闘いである。
 すでに連日、マスコミやネットを通じて韓国にたいし「約束を守らない国」、「嘘つき」など聞くに堪えない排外主義的言動が垂れ流されている。
 本質的な問題は日本の歴代政府が過去の植民地支配に対する真摯な反省を表明してこなかったことにある。安倍政権はアジア太平洋戦争を欧米列強の侵略に対する防衛戦争であるというような歴史修正主義的な主張を強めている。
 20春闘の渦中で、組合員の内部にこれらの問題に対する議論を持ち込み、日韓労働者の国際連帯で、排外主義攻撃をはねのけていくことをY呼びかけていかなければならない。
 戦争は最大の生活破壊であり、労働者同士の殺し合いである。何よりも労働者の生活と命を守る労働組合が取り組むべき闘いである。国益を超えた国際連帯をもっとも体現できるのは労働者であり、先進的労働者が多数参加する労働組合である。20春闘の過程で「戦争反対! 核なき東アジアの平和を!」の闘いを強化しよう。

 

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