共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

   新型コロナ危機下、学生の貧困を許すな!

  安倍政権を学生の力で打ち倒そう!

                             岩山昇

                      

 
 すべての学生のみなさん!
 新型コロナウイルス感染の拡大によって、一九三〇年代の世界恐慌以来とも言われる破局的経済危機が、全世界の労働者人民に襲いかかっている。安倍政権は、緊急事態宣言で「自粛」休業を強制する一方、休業補償をしていない。そのため休業を強いられる店は廃業の危機にあえぎ、企業は労働者の解雇や賃金カットを強制し、文字通り路頭に迷うしかない人々が急増している。十分な蓄えのある資産家や皇族といった連中だけが、悠々自適の生活をしているのが日本の現状だ。
 こうしたなかで、学生の生活も危機的状況を迎えつつある。今まで多くの人が直視してこなかった「学生の貧困問題」が、一気に顕在化している。

 ●1章 急増する「内定取り消し」「アルバイト切り捨て」許すな

 四月一〇日時点で、内定を取り消された大学生や高校生は早くも六三人にのぼっている。入社時期が繰り下げられた人も三四四人いる。
 内定取り消しは業種別では卸売業・小売業が二七人で最も多い。入社時期の繰り下げは宿泊業・飲食サービス業が一八三人で最多となっている。「自粛」による業績悪化が背景にあるのは間違いない。しかし、一方的に内定を取り消された学生たちは、人生の展望が突然絶たれたのである。
 内定とは言え、企業と学生が正式な内定通知と誓約書などを交わした場合、労働契約が成立している。それを一方的に切り捨てるのは学生を舐めているとしか思えない。雇用維持の助成金を利用するなど努力をしているのか。学生だから文句を言わないだろうとタカをくくっていないか。極めて疑問だ。内定を取り消されても泣き寝入りせず、労働組合と相談するなどして、内定取り消しの撤回を求めよう。
 また多くの学生にとって、アルバイト収入の減少が直接的な打撃となっている。学生団体「高等教育無償化プロジェクト」のアンケート調査結果によれば、学生の半数が「バイトを減らされた」と経済的な不安を訴えている。そのうち、収入が減ったことで学費を捻出できないとの回答が約7%もあった。
 地方からの下宿生の生活はより深刻だ。親からの仕送りとアルバイトで学費と生活費を何とか捻出していたのを、アルバイトのシフトを一方的に減らされ、その結果、食費を切り詰め、栄養失調に近い状態で生活している学生もいるのだ。こんな状態に陥っているのはもちろん学生の「自己責任」ではない。
 直接的には、安倍政権が企業に対して休業要請をしながら、その補償はせず、企業はまた休業手当を学生に出し渋っていることがある。忘れてはならないことは、学生はアルバイトであっても賃金を得ている以上、労働者なのである。現状、雇用保険には入れないため、失業手当は受けられないが、アルバイトであっても休業手当を要求することができる。
 そもそも学生が、学費や生活費を稼ぐためにアルバイトに依存せざるを得ない状況が根本的に間違っている。それはコロナ・パンデミック発生のずっと前から、少なくとも三〇年前から進行している事態なのだ。
 親の平均所得は、ここ三〇年で一五万円も減った一方、学費は値上がりを続けている。国立大学の授業料は今年度は約五四万円、私立大は約九〇万円と、ここ三〇年でそれぞれ約二〇万円、約三〇万円も値上がりしている。
 それは「先進国」でも稀にみるほど高等教育への予算配分を一貫して減らしてきた日本政府・文科省に根本原因がある。安倍政権は今年四月から低所得世帯の「学費無償化」を実施すると言うが、大半の学生にとって学費負担は依然、重くのしかかっているのが現実だ。今こそこうした在り方を根本から改め、「真の学費無償化」を要求して闘おう。
 このままでは学費が払えず、退学・除籍を余儀なくされる学生が急増する。だが政府は、何ら有効な対策を打とうとしない。
 東京、大阪など七都府県で緊急事態宣言が出されて以降、ほとんどの大学で授業開始が延期されている。キャンパスが封鎖され、一部ではオンライン授業が取り入れられている。しかし、これもまた学生の負担になる。オンライン授業には、自宅にパソコンと安定したネット回線が必要だが、その分は学生が負担しなければならないからだ。また、大学図書館が閉鎖されているので、必要な書籍は自分で購入しなければならない。ただでさえアルバイト収入がないところへ、こうした負担があるにも関わらず、授業料や施設料は現状維持なのである。キャンパス封鎖がいつまで続くにしろ、大学当局は学費の減免措置を検討するのが当然ではないか。
 そして、いま日本社会では感染者バッシングが現れている。麻生太郎財務相が新型コロナウイルスを「『武漢ウイルス』と呼ぶべきだ」と公言して、中国人民への差別・排外主義を煽っているのはその筆頭だが、国内でも感染した患者の個人情報を特定しようとしたり、差別する動きが広がっている。
 日本にはこれまで、エイズやハンセン病などの感染症患者に対する差別・排撃の歴史がある。この誤りを繰り返させてはならない。

 ●2章 闘いによって危機を平等社会への転機に

 パンデミック発生によって、高すぎる学費によって生じた学生の貧困問題や、日本社会に根強い差別構造が顕在化した。その根底には、公教育を自己負担とし、医療予算を削減し、労働者の諸権利をはく奪するという、新自由主義的な政策とイデオロギーがある。しかし学生も労働者も、声を上げることによってその政策を変えることができるし、別の価値観を体現することもできる。
 例えば厚労省は、感染拡大を防ぐための休校にともない助成金を新設し、休校になった子どもの世話のために仕事を休んだ保護者について、被雇用者は勤め先が日額八三三〇円(上限)を、フリーランスは本人が一律日額四一〇〇円の支援を受けられるようにした。なぜフリーランスが半額なのかと疑問や怒りの声も上がったが、「性風俗業」と「接待を伴う飲食業」の関係者が除外されたことにも、当事者から怒りの声が殺到した。これを受け四月七日、厚労省は同職業も支援に含まれるとした。当事者が声を上げることで政策を変えた一例だ。
 また高校生も感染予防を求めて闘っている。茨城県は、東京や千葉に近い一〇市町の学校については四月八日から休校にしていたが、水戸市など他の地域は授業を継続した。これに対し、日立市の日立第一高校の三年生有志は八~一〇日に登校拒否のストライキを実施。これに驚愕した茨城県知事が一三日、県内全ての県立学校を一四日から五月六日まで休校にすると発表した。ストライキの成果にほかならない。
 新型コロナ恐慌は労働者、学生にとって重大な生活危機だが、これまでの新自由主義政策を改め、「すべての人々には平等に生きる権利がある」という真っ当な価値観を持つ社会(それは社会主義・共産主義を展望する)に転換させる好機でもある。アメリカ民主党の予備選挙でサンダース候補は撤退したものの、国民皆保険と並んで「大学授業の無償化」を掲げて青年層の圧倒的支持を得ていた。またイギリス、スペインで「ベーシック・インカム(最低所得補償)」制度を導入することを検討、あるいは決定している。それらはまだ不十分だが、少なくとも新自由主義に代わる政策であり、強欲な資本主義がもたらした格差・貧困社会に対する民衆の怒りと声が背景にある。
 安倍政権は緊急事態宣言で「自粛」を強要しながら補償をせず、労働者・学生を犠牲にするばかりだ。おまけに集会の自由・表現の自由を奪い、政権批判を封殺して、緊急事態条項を加え・憲法九条を破壊する憲法改悪に乗り出そうとしている。
 今こそ戦争準備と貧困強制の安倍政権をともに打倒しよう! そのために学生は団結して闘おう!



 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.