共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

   「大阪都構想」反対!

  維新の会の狙いを打ち破ろう

                     関西地方委員会


 

 

 大阪市を廃止して四つの特別区に分割するという「大阪都構想」の是非を問う住民投票(対象となるのは大阪市の有権者)が、一一月一日に行われようとしている。そこには、大阪市の財源と権限を府が一元的に掌握することで、巨大な開発や投資を可能にしようという狙いがある。それは橋下徹ら大阪維新の会が進めてきた新自由主義政策のひとつの帰結点である。これを阻止する闘いを進めなければならない。

 ●1章 「大阪都構想」とはどのようなものか

 「大阪都構想」とは、政令指定都市である大阪市を廃止し、四つの「特別区」(特別地方公共団体)に再編し、同時にそれまで大阪市が所持していた種々の財源・行政権を大阪府に譲渡する、というものである。
 二〇一〇年に、当時大阪府知事であった橋下徹が「二重行政による無駄を解消し、最大一・一兆円の経済効果をあげる」、「府と市を一体化させる行政の広域化で、競争力のある大阪をつくる」として「大阪都構想」を提唱し、それを実現するために地域政党「大阪維新の会」を結成した。それ以降、維新の会はこの「都構想」の実現に向けた動きをたえず進めてきた。
 しかしそもそも、この「都構想」によっていわゆる「二重行政」は解消されるのだろうか?
 「大阪都構想」の制度案では、大阪市が解体(廃止)され、東京の二三区と同じ特別区がつくられることになる。
 これまで、大阪市港湾局が大阪市の港湾を管理・開発し、大阪府は港湾部門は大阪市以外を扱っていた。それがすべて大阪府の扱うところとなる。同様に、都市計画、交通・インフラ、産業政策、高校・大学、観光、文化スポーツ振興など、大都市としての行政権限はすべて、大阪府が握ることになる。
 一方、特別区は基礎自治体なので、公選される区長や区議会議員(定員一八~二三)がいる。そして、いま大阪市が担っている介護保険、国民健康保険、福祉施設や体育館・青少年センターなどの市民利用施設の管理、住民情報システムの管理など実に一〇〇を超える業務は、新たに設置される「一部事務組合」が担うことになる。職員も三〇〇人ほどが配置される予定という。一部事務組合とは、市町村などの普通地方公共団体が単独で処理するのは負担の大きい仕事を、複数の自治体が共同で実施するために設置する「特別地方公共団体」だ。市民生活にとって重要な業務を担うこの自治体の議員は、特別区の議員が兼任することになるので選挙もなく、二重行政の解消どころか、三重行政が生まれ、大阪市民からは、行政サービスが遠のいてしまうことになる。
 四つの特別区の運営に必要な経費は、今の大阪市の経費よりも増大する。首長や議会、教育委員会などをそれぞれが設置し、人員も増員する必要があるからだ。庁舎は当面、既存のものを使うというが、いずれは建て替えも必要となる。
 一方で収入は、これまで市の収入としてあった法人税や固定資産税などが府に奪われるため、大きく減少する。四区の財源への補助として「税制調整交付金」が交付されることになっているが、それを決めるのは大阪府議会だ。結局のところ、四区の財政が逼迫すれば福祉や教育など、生活に必要な部門の予算が削られることになる。大阪市の一般財源は約八六〇〇億円であるのに対し、予定される四区の合計の財源は六六〇〇億円、つまり年間約二〇〇〇億円が大阪府の新たな財源となると試算されている。

 ●2章 「都構想」は何を狙うものか

 では、府はこうして手に入れた財源と権限を何に使おうとしているのか。そして、大阪維新の会やその背後にいる財界は、何を狙っているのか。
 「大阪都構想」に関わる住民投票はすでに二〇一五年に一度行なわれており、維新の会以外の政民、公明、共産、民主)や労組、市民団体などが反対運動を展開し、反対七〇万五五八五票、賛成六九万四八四四票という僅差ではあるが否決されてた。
 しかしその年の大阪府知事選・大阪市長選では、大阪維新の会の松井一郎、吉村洋文がそれぞれ大勝、一九年四月には松井、吉村が同時に辞職して知事・市長選に入れ替わって立候補する「出直しクロス選挙」を強行し、圧勝した。さらには公明党の賛成をも取り付けて、あらためて大阪市民を対象にした住民投票の準備を進めてきた。
 その最大の狙いは、政令市である大阪市の財源と権限を奪って大阪府に集中し、都市計画、港湾、交通インフラ、産業政策などに巨額の投資を進めることである。
 二〇二五年の関西・大阪万博開催に向けて、会場となる大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)エリアへのアクセス路線として、二四年完成を目指して大阪メトロ中央線の延伸計画が進行している。さらに、その後に同じ夢洲へのカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致をも計画している。これらが実現すれば、京阪や近鉄、JRさらにはモノレールの延伸、高速道路の整備、そして湾岸地域への娯楽・宿泊施設などの建設ラッシュを生み、その後は大企業に投資の場(マーケット)を提供することになる。ここにこそ、橋下をはじめ維新の会が一〇年間しつこく進めてきた都構想の狙いがある。

 ●3章 「都構想」粉砕! 新自由主義政策打ち破れ

 大資本の利益に奉仕する財源捻出のために、福祉や市民サービスを削ることなど決して許されない。まして、コロナ禍で仕事や住居を奪われる人たちが増大している今、行政は労働者・民衆の命と生活を守るためにこそ税金を使わなければならない。そもそも、維新の会が進めた保健所の統廃合と人員削減、衛生研究所の統合と独立行政法人化が、現在のコロナ禍の下での医療・検査体制の逼迫を招いている。
 大阪府・市の住民無視の姿勢に対して、失業者や生活困窮者たちと支援者によって毎週、府庁や市役所前で抗議の座り込み、あるいは要請書の提出や交渉が続けられている。また、橋下徹が知事となって以降、府と市の首長選には維新の会が連続して当選しているが、その下で行なわれてきた教育現場での起立しての「君が代」斉唱の強制に反対する教職員の闘い、公務員の労働組合への不当な攻撃に対する闘いは一貫して続けられている。
 菅新政権は、維新の会との結びつきが強く、万博担当大臣のポストを新設してこうした巨大事業を後押ししようとしている。維新の会の政策は、新自由主義政策そのものであり同時に、改憲や戦争策動を進めるきわめて危険なものである。
 生活と命、雇用と労働を守るために闘う多くの人たちと連帯し、大阪都構想、万博、カジノ計画を阻止しよう。その第一歩としての一一月住民投票に必ず勝利しよう。




 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.