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   日本郵便労働契約法二〇条裁判

   最高裁が非正規待遇格差是正の判決
   さらなる均等待遇を勝ち取ろう!

                    


 コロナ禍の中で企業の倒産、労働者の解雇が相次いでいる。
 被解雇者の割合は、非正規労働者が正規労働者を上回っている。「景気の調整弁」の位置付けはなんら変わっていない。真っ先に影響を受けるのが非正規労働者だ。
 日本郵政グループは、総数約三九万人であり、正規約二〇万人、非正規約一九万人で、ほぼ半数を非正規労働者が占めている。その大半は集配関係職場で働いている。
 日本郵便労契法二〇条裁判は二〇一三年四月に施行された労働契約法二〇条の「有期雇用の非正規労働者と正規労働者間に不合理な格差があってはならない」との主旨に基づき、「非正規労働者達も日々、それぞれの職場で正規労働者と同じ仕事をしており、その中で非正規を理由に各種手当や制度で不利益を被っていることに対し、労契法二〇条に照らして違法である」とのもと、原告(非正規労働者)、被告(日本郵便)として二〇一四年に東京地裁、大阪地裁に提訴され開始された。この他に佐賀での事案がある(提訴項目は図表を参照)。
 以降、両地裁判決(両者ともに控訴)、東京高裁、大阪高裁判決(両者ともに上告)を受け、最高裁での弁論が九月一〇日に行われ、一〇月一五日の最高裁第一小法廷判決となった。
(註)労契法二〇条は、二〇一八年成立のパートタイム・有期雇用労働法(二〇二〇年四月施行)に移行。

 ●1 最高裁第一小法廷判決で勝ち取られた手当と制度

 本文に入る前に、同じ労契法二〇条裁判として一〇月一三日に、最高裁第三小法廷で出された大阪医科薬科大学事案、メトロコマース事案に対する不当判決を糾弾しなければならない。
 大阪医科薬科大学事案の賞与に係る部分、メトロコマース事案の退職金に係る部分について、大阪高裁、東京高裁で出された一部支払いの判決を破棄し、大学、経営側の「正社員の継続的確保の為の措置である。長期雇用のインセンティブである」との主張に沿って、第三小法廷は、「非正規社員の賞与、退職金なしは不合理ではない」とし、逆転敗訴判決を出した。
 曖昧な形で「賞与、退職金の格差が不合理と認められる場合はあり得る」と付言はしたが、しかし重大なことは、「非正規職員への賞与、退職金なしは不合理ではない」との最高裁判例は厳然として残るということである。格差の固定化である。

 ●2 郵政事案では

 日本郵便労契法二〇条裁判においても、当局は主張で「正規社員は配転もあり、仕事への責任の度合いも将来への期待も大きいのだから、非正規社員との間に各種手当や休暇制度について、格差があって当然である。正規社員には長期雇用のインセンティブを与えなければならない」としていた。
 図表を参照して頂きたい。第一小法廷は、①扶養手当②年末年始勤務手当③夏期冬期休暇④祝日給⑤病気休暇の5項目について、正規と非正規の間に、職務の内容に相応の違いがあっても、手当の不支給や休暇を与えないことは不合理であるとした。
 ①扶養手当については、大阪地裁で支給が認められ、高裁で逆転敗訴になったが、「長期・継続的な勤務が期待される正社員の生活保障、福利厚生を図り継続的な雇用に繋げていくという事での支給は、経営側の判断としてはわかる。としながら、しかし非正規社員も半年から一年毎に契約更新を重ねており、継続雇用が見込まれるので扶養手当を支給しないのは不合理である」とした。
 ②年末年始勤務手当については、「この時期の勤務への対価としての支給であり、仕事の内容如何に関わらず、実際に勤務した事が支給の要件になるので、非正規社員もそれに照らせば、違いはない」とした。又、これは④の年始の祝日給にも当てはまるとした。
 ③夏期冬期休暇については、「労働から離れ心身の回復を図る為のものと解されるので、繁忙期に拘わらず働く非正規社員にも付与すべき」とした。
 ⑤病気休暇については、「有給の病気休暇は、長期・継続的な勤務が期待される正社員の生活保障や、怪我や病気の療養専念の為であり、引き続く雇用確保を目的としていると考えられる。この趣旨は、非正規社員についても相応に継続的な勤務が見込まれれば、同じように当てはめられる。日数的な違いはともかくとして、非正規の無給扱いは不合理である」とした。尚、大阪高裁での各項目の五年縛りは取り消された。
 その上で、これらに関わる賃金計算の関係は、東京・大阪高裁に差し戻した。
 今回の最高裁決定で、五項目の格差の是正は勝ち取られたが、地裁・高裁段階で認められず、最高裁の受理対象にならなかった項目もある。
 現在、郵政ユニオンの非正規労働者は第二次訴訟として、全国で一五四名が格差是正の裁判を各地方裁判所で取り組んでいる。そして、郵政以外でも格差是正の裁判が取り組まれている。
 これらの裁判で勝利的判決を勝ち取り、判例を積み重ねながら、さらなる均等待遇を実現していかなければならない。
 今ひとつは、資本・経営が同一労働同一賃金を逆手に取り、正規労働者の手当削減や労働条件をダウンさせ、悪しき均一化を図るという策動を絶対に許さないという事である。非正規―正規を貫いて闘いを作り上げていかなければない。

 ●3 強権的管理支配体制を強める菅政権を打倒しよう

 現在、コロナ禍の中で全労働人口約六千万の40%を占める約二千万の非正規労働者は危機的状況に陥っている。倒産、解雇攻撃の中で真っ先に切られるのは非正規労働者である。また、二〇一九年の統計資料によれば、平均給与において正規は年間五〇三万、非正規は一七五万と報告されている(これは勿論あくまでも平均化であり、実態とのズレはある)。
 実に三倍の格差であり、いかに非正規が低賃金下におかれているかという事である。又、郵政をはじめとして、様々な職場で正規、非正規間での労働条件の格差も厳然としてある。同一労働同一賃金の獲得に向けて、更に闘いを強化していかなければならない。
 首相・菅は官僚統制を強め、人民、労働者への管理支配体制強化の中で、自らの意のままに動く国作りを推し進め、日米軍事同盟の強化の下、戦争の出来る国家体制を構築せんとしている。
 すべての労働者人民は、この様な菅政権と対峙し、これを打倒して行く闘いに起ちあがろう。



 


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