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   女性の尊厳を奪還しよう!

    3・8国際女性デーに訴える!

                   
女性解放委員会




 一九〇四年三月八日にニューヨークの女性労働者が参政権を要求してデモに起ち上がった。これを受けてドイツのクララ・ツェトキンが一九一〇年デンマークのコペンハーゲンで行なわれた国際社会主義者会議において、この日を「女性の政治的自由と平等のために闘う記念の日」とするよう提唱してから、実に一一〇年が経過している。二〇二〇年、われわれ女性を取り巻く情勢はどうだろうか。労働者人民に戦争動員を強制する安倍政権下で、女性もまた戦前・戦中を彷彿とさせるような搾取・抑圧・分断に呻吟させられている。今こそ女性の団結で、安倍政権を打倒し戦争を阻止する闘いに起ち上がろう!

 ●1 全世界に拡がるMeToo運動

 米映画界で横行するセクハラ行為が明らかになったことをきっかけに、性暴力・セクハラの被害者が自らカミングアウトしたり、被害者への連帯を表明する「#MeToo(私も)」運動が二〇一七以降、世界中に広がった。
 そんな中、日本においては女性ジャーナリストが元記者の男性からレイプ被害を受けたことを告発、損害賠償を求めた裁判が闘われ、昨年末東京地裁が加害男性に三三〇万円の支払いを命じる判決を下したことが大きく報じられた。加害男性が安倍晋三と近しい人間であったことから、逮捕令状が出ていたにもかかわらずもみ消され、証拠不十分で不起訴処分となったこと、被害女性に対して加害当事者や政治家を筆頭に激しいバッシングなどのセカンドレイプが行なわれたこと含め、全くもって許し難い女性差別事件である。麻生太郎財務大臣は「はめられたのではないかとか、色々ご意見ありますから」「セクハラ罪という罪はない」などと発言し、女性議員である杉田水脈議員までもが被害女性に「女として落ち度があった」として、「加害男性の方が誹謗中傷被害を受けている」と擁護する発言を行なった。
 この攻撃に抗し被害女性が血を吐くような思いで訴えを続け、多くの女性達が彼女に寄り添い「MeToo!」を表明する闘いに起ち上がったからこそ、勝ち取られた「勝訴」であった。判決を不服とし居直り続ける加害男性、彼を擁護する輩を絶対に許してはならない。そして事件を一過性のものにせず、声を上げられぬ数多くの性暴力被害女性が存在することを、訴え続けていこうではないか。
 男女格差指数で世界一四四ヶ国中、日本は一一四位という数字を裏付けてあまりある、女性差別の実態をあらゆる現場から打破していこう!

 ●2 日本軍性奴隷制度被害者と遺族による損害賠償裁判

 韓国の日本軍性奴隷制被害者と遺族ら二〇名が、日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟の第一回口頭弁論が、昨年一一月一三日ソウル中央地栽で行なわれた。この裁判は朴槿恵(パククネ)政権下の二〇一六年一二月に提訴され、三年ぶりに審理が始まったものである。日本政府は、外国政府が他国の裁判で被告にはならないとする国際法上の「主権免除」を盾に訴状の受け取りを拒否、訴訟の却下を求めており、この日の弁論を欠席した。原告側弁護士は二〇一五年末の「日韓合意」を「納得し難い結果だ」と批難し、「この訴訟は、日本の反人倫的犯罪を司法の下で公的に確認するため」「慰安婦問題といった国際社会にも知られる重大な人権侵害は、『主権免除』の適用外である」と主張。原告の李容洙(イ ヨンス)さんらも「日本政府は裁判に出るべきだ」と日本側の欠席を強く非難、日本の謝罪と賠償を求めた。
 明けて二月五日行なわれた第二回目の審理にも日本政府は欠席し、原告側はドイツの事例などを紹介して「重大な人権侵害では主権免除が否定されたことがある」と主張、「日本政府の反駁を聞く機会がなく残念だ」と述べた。
 一九九一年に金学順(キム ハクスン)ハルモニが「慰安婦であった」と名乗り出て告発してから、三〇年近い年月が経とうとしている。その間に繰り返し繰り返し、ハルモニ達の訴えを退け傷つけてきた日本政府を、今度こそ許してはならない。裁判闘争への注目と、何より日本政府に対して私たちが抗議の声を緩めることなく上げ続けていこう。日本軍性奴隷制度の歴史を風化させず、世に訴えていこう。

 ●3 「天皇代替わり」と女性差別

 昨年来、「天皇代替わり」行事への国民動員と過剰な報道が続いている。「お内裏様とお雛様」のような姿格好の徳仁と雅子、安倍首相の「天皇陛下バンザイ!」にはゾッとした。あらゆる差別の元凶である天皇制が強化される中で、女性の地位もまた大きく後退させられようとしていることに怒りを覚える。
 女系天皇の誕生を望みはしない、天皇制は廃されるべきである。その上で、明仁前天皇の前に身を投げ出して防衛する美智子前皇后の姿が繰り返し賛美放映されたことや、皇太子妃としての様々な務めと、世継ぎ男子を産まねばならないというプレッシャーからの病に苦しんできた雅子皇后に対するあれこれ。そして天皇は「万世一系の長」であり、「男系男子」でなくてはならないと再び強調され、「代替わり」儀式から女性皇室は排除されたり、一歩遅れて登場することが徹底された。それらの決まり事は「千年の御世に続く」ものなどではなく、明治以降に人民抑圧統治と侵略戦争動員のために形作られたものなのだ。
 天皇制において女性皇族が求められる地位や務めは、全ての女性にも家庭や社会において求められてきた。安倍政権下、戦争動員体制下においてますます強化されようとしている女性差別を撤廃するためにも、天皇制を打倒しよう!

 ●4 3・8国際女性デーを記念して

 差別と分断を打ち破り、女性解放の闘いを前進させるべく、各地の女性から以下ふたつの文章を寄せてもらった。一つは、日本軍性奴隷制度の問題を風化させず、真実を伝え続けていこうと取り組んだ首都圏地域運動からの報告。二つ目は、ロシア革命期を生きた女性活動家ヴェーラ・ザスーリチの伝記を読んだ関西青年活動者からの一考である。読者の皆さんと共有し、女性解放運動の実践と討論の糧としていきたい。



 

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