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   被爆75年、反戦・反核の遺志を引き継ぎ

    8・6広島青空式典を勝ち取る




 被爆七五年の8・6広島現地行動は、新型コロナウイルス禍が続く中で、あらゆる事態を想定して準備された。また、「8・6広島青空式典から9・6『山口のヒロシマ・デー』へ! 連続行動実行委員会」では、八月六日のヒロシマ現地行動の意義と歴史を学習してきた。8・6広島は、時々の侵略戦争(朝鮮戦争やベトナム戦争、中東戦争など)に抗議し、侵略戦争反対! 核兵器を使うな! の声を上げ続けてきた。すなわち、被爆者・被爆二世・三世の反戦・反核の声を伝えると共に、二度と侵略戦争も核の被害も繰り返さないという民衆の意志を世界中に発信し続けてきたのだ。
 特に、本年は節目の年であり、被爆二世・三世をはじめ多くの闘う仲間からメッセージを頂いた。今回の8・6広島青空式典は、そこに集うことのできなかった多くの仲間の意志を体現した取り組みとなった。韓国の仲間には事前に青空式典の基調を送った。またお互いに連帯メッセージの交換もし、8・6広島韓日同時行動を成功させることができた。

1 被爆七五年の八月六日広島

 八時前に到着した平和記念公園は警官でいっぱいだ。広島市民によると密集を防ぐという理由で、午前五時から九時まで平和記念公園の大部分に入場規制をかけると言われていたらしい。それでも、原爆ドーム周辺では例年通り集会が行われており、原爆投下の八時一五分にはその人たちも一分間の黙祷をし、静寂の中を蝉の声だけが響いた。一方、「今日は慰霊の日どうぞ静かにお願いします広島市民」と書いたボードを持って反戦・反核を訴える集会やデモと対峙する人たちもいた。また、広島市の職員がデモの音量を一〇カ所で計測するなど、デモや集会への規制が強く行われた。
 広島市主催の平和式典では、被爆者の遺族代表が全国で四七都道府県のうち二三箇所の代表しか出席できず、平均年齢が八三歳を超えた被爆者の高齢化と合わせて新型コロナウイルス禍の影響を強く感じた。広島の平和宣言では、松井市長が初めて日本政府が核兵器禁止条約に署名・批准することや、広島地裁での「黒い雨」被害者原告八四人の全面勝訴を受け、日本政府に「黒い雨降雨地域」を拡大することを求めた。
 しかし、安倍首相は、核兵器禁止条約や「黒い雨」降雨地域に関して一言も触れることなく、原爆症の認定についてもできる限り迅速な審査を行うと述べただけで、被爆者の遺志に背を向けた。安倍首相の来広に、強い憤りを感じた。

2 8・6広島青空式典成功す!

 私たちは八時三〇分より、「戦争とヒバクを許さない写真展」の準備を始めた。新型コロナウイルス対策として写真の枚数を半分にし、間隔を開けて展示した。人通りは少ないにも関わらす、真剣に見てくださる方々がいた。
 一〇時三〇分、8・6広島青空式典は始まった。まず亡くなられた原爆被爆者に思いを馳せ、黙祷した。
 被爆二世の会からの基調報告では、最初に被爆者問題は七五年経っても終わっていないことを提起した。特に、広島の「黒い雨」被害者の問題や長崎の被爆体験者問題、被爆二世・三世の問題は全く解決していない。その中で、被爆二世集団訴訟は山場を迎えようとしている。国の放射能被害の過小評価を許すこと無く闘おうと呼び掛けた。
 第二に現在の核問題を提起した。七月一六日に「トリニティ核実験が偉業である」と発言したトランプ大統領に抗議し、その発言の撤回を求めて抗議文を送ることを参加者一同で確認した。また平和式典や平和への取り組みが縮小し、警察官ばかりが多くいる状況を私たちは許さないこと、核軍拡競争が再燃して、核兵器をいつ使ってもおかしくない状況であることを断罪した。
 第三にこの式典が韓日同時行動であることを報告した。世界中から原発も核兵器も無くすために、韓国の青瓦台サランチェ前では韓国の反核団体「核廃棄のための全国ネットワーク」が日韓同時行動として記者会見を行っている。韓国民衆は、徴用工問題を通じて日帝の侵略戦争の責任を取らせる闘いに立ち上がっている。私たちは、元徴用工の金順吉(キムスンギル)さんの思いをしっかりと引き継ぎ、二度と日本帝国主義の侵略戦争を許さないために闘う。そして、韓国の被爆二世との連帯の中でつかんだ加害者としての責任を自覚し、東アジアの平和の為に闘う。
 最後に、福島原発事故の収束作業で被ばく労働をして白血病になったあらかぶさんの裁判を支援して、東京電力と九州電力にヒバクの責任を取らせようと訴えた。
 メッセージの紹介では、全国被爆二世団体連絡協議会とAWC韓国委員会からのメッセージを読み上げた。文在寅(ムンジェイン)政権下で、原発の再稼働や新規原発の建設や輸出が行われ、政権発足当時の脱原発の約束が踏みにじられていることが報告された。
 続いて、各団体・個人からの発言に移った。
 AWC日本連からは、「世界中に広がっている新型コロナウイルスの影響で、私たちの命が脅かされている。現在もGoToキャンペーンという人命を軽視する施策を進める安倍政権を絶対に許してはならない。山口では、イージス・アショアを撤回させた。沖縄でも勇気づけられる。岩国での闘いも連綿と続いている。沖縄の新基地建設反対、普天間基地撤去、反原発の闘い、基地撤去の闘いを行う」との発言があった。
 大阪の被爆二世は、今年一月被爆者である父親が亡くなったため、平和式典に参列したかったが、大阪府の遺族代表は一人しか認められず、参列できなかったこと、卒業式に「君が代」斉唱を拒否したことで処分を受けていること、今年の入学式に校歌斉唱はなくなったのに「君が代」だけ斉唱させようとしたことなどの報告があった。
 関西の仲間からはXバンドレーダー基地のことに加え、「今年は被爆七五年であると同時に朝鮮戦争開戦七〇年である。朝鮮戦争でも米政府は原爆を使おうとしたが、世界の民衆の力でそれを阻止させた。しかし、朝鮮半島では空爆が繰り返され、沢山の人が殺された。この戦争に、日本政府は事実上参戦している。そのことを忘れてはならない」と続けた。
 他にも、被爆三世や労働者、障害者などから発言があった。最後にシュプレヒコールをし、集会を終了した。

3 「黒い雨」訴訟の控訴糾弾!

 七月二九日、広島地裁は「黒い雨」被害者原告八四人全員に被爆者健康手帳を交付するよう命じる勝訴判決を出した。しかし、県と市と厚生労働省は八月一二日に、広島高裁に控訴した。
 私たちは、これを満腔の怒りをもって糾弾する。国は、司法によって被爆者援護行政のあり方について断罪されたにもかかわらず、今までの被爆者援護行政に固執して放射線の影響を過小評価している。そして、「黒い雨」の被害を受けた一人一人の原告の原爆被害に苦しめられた人生に向き合おうとしていないのだ。
 国=加藤厚労相は控訴理由を、「これまでの最高裁判決と異なり、十分な科学的知見に基づいた判決とは言えない」と述べたが、「被爆体験者」を被爆者として認めない最高裁判決こそ、長崎原爆の放射線の影響を過小評価する不当な判決なのだ。
 地裁判決は、こうした国のあり方を批判し、一九七六年に国が定めた「黒い雨」の援護対象区域「大雨地域」が現時点の科学的知見に合わないことをその後の「黒い雨」の降雨区域の研究や「黒い雨」にあった人々の聞き取りなどを参考にした上で、批判している。そして、何よりも「黒い雨」の被害に遭った原告一人一人の健康被害を見た上で、内部被ばくや外部被ばくを考慮して判決を下したのだ。
 私たちは、「疑わしきは、救済せよ」という国家補償的な性格を持った被爆者援護法の精神を実現する。国の原爆被害の過小評価を許さず、共に闘おう!

            (被爆二世の会 会員)



 

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