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   労働者階級の闘いを更に進めよう

   
             窪川 涼



 八月二八日安倍首相は、持病の悪化を理由に退陣を表明した。安倍は、この間やってきた数々の疑惑や税金の私物化、果ては選挙違反行為、そのすべての責任をとることなく、病気を理由に逃げ出そうとしている。われわれはこれを絶対に許さない。そして次の安倍亜流政権を打倒する闘いを更に進めよう。

 ●1 コロナ危機と労働者の現状

 コロナ危機は、感染症の拡大と同時に世界経済の危機を引き起こしている。新自由主義グローバルリズムは、世界中に格差と貧困をもたらした。低賃金労働者を求めて生産様式、国際的な生産の分業と供給(サプライチェーン)を生み出した。コロナ禍の中では、各国は感染症の拡大を恐れ国境閉鎖などが行われ流通がストップし、このサプライチェーン方式が途切れてしまった。こうした中で六月一〇日OECD(経済開発機構)が「世界経済は現在、一九三〇年代の大恐慌以来の景気後退を経験している」と発せざるを得なくなった。日本では生産したくとも部品が入ってこないという事態が起こり、日本経済が中国からの部品の輸入に頼っていた事が明らかになった。
 この上にコロナ禍による緊急事態が宣言され、労働者はまともな休業補償もなく「ステイホーム」が強制され、総務省統計局の「労働力調査」によれば四月は約六〇〇万人が休業した。緊急事態宣言解除後も雇用状態は改善せず、六月の雇用者数は前年の六月に比べて九四万人も減っている。この減少のほとんどが、宿泊・飲食などのサービス業である。六月の完全失業率は、3・1%(一九五万人)であるが、この中には二三六万人の休業者や求職活動を止めてしまっている人々が入っていない。実質的な失業率は6%以上である。今後この休業者のみならず、非正規労働者が失業者となって行く可能性が極めて高い。
 七月の非正規労働者が前年同月比一三一万人減の二〇四三万人と過去最大の下げ幅となった。正規労働者は五〇万人弱しか増えていないので、非正規労働者が職を失っていることは明らかである。厚生労働省はコロナ関連の解雇・雇い止めは八月末に累計五万人を突破したと発表したが、実際はもっと多いと推測されている。

 ●2 労働組合の果たす役割

 コロナ危機による大失業時代の到来を前にして労働組合の果たすべき役割は大きい。
 第一に労働相談活動の強化である。そしてこの活動においては当事者自身が運動を担うことや仲間と共に考え、行動する事が今まで以上に重要になっている。誰でも入れる地域ユニオンのような組織が、相談、解決の請負組織になるのではなく、労働者の団結した力で解決する組織力を高めていくことが大切である。また、個別相談の解決だけではなく、政府に対して必要な政策や補償を行うように要求していくこと。また、四七〇兆円以上ため込んでいるといわれている企業の「内部留保金」を賃上げや雇用のために吐き出させることを要求していこう。こうした要求実現のための全国的な共同闘争が必要である。そして、賃金の底上げのために最低賃金を上げさせるべく奮闘しよう。
 第二に労働者が連帯するとはどういうことかを様々な局面で具現化していくことである。とりわけ、職場においてはテレワークが奨励された。テレワークでは、労働者は職場で仕事をするのではなく自宅などで仕事をする。今までは、職場で仕事をしながら自然と同僚と話をして喜びも苦しみも共有する人間同士のふれあいが生まれ、労働組合もそうしたふれあいの中から闘うための団結を育んできた。テレワークの中では、一人ひとりが分断される。そして、命令された業務をこなすためには朝から深夜までパソコンと向き合っても労働時間として換算されることなく、成果に対する報酬として賃金が支払われるようになる。まさに、「働かせ方改革」が描いていた労働者の「フリーランス化」や「ジョブ型雇用」が出現する。
 更に七月一七日政府は、IT(情報技術)戦略の指針を盛り込んだ「世界最先端デジタル国家創造宣言」を閣議決定した。この「宣言」は新型コロナウイルスを踏まえた対面形式を前提としてきた生活様式を抜本的に見直し、オンライン化を進めるよう促した新しい生活様式に対応し、「デジタル強靱(きょうじん)化社会の実現」を目標に掲げている。従ってコロナ後もこうした働き方は続く企業は多い。
 また、バイク便やウーバーの労働者のような労働者を個人事業主として労働法から除外する動きも進んでいる。
 このような中で、いかに労働組合の活動を創造し、連帯と団結を作り出すのか? 一人で孤立し悩む労働者の思いを受け止め、「一人は万人のために、万人はひとりのために」を具現化する取り組みが必要である。
 第三に医療、介護、小売り、物流、運送、清掃などの公務公共サービス等の生活に必要不可欠な労働を行っている労働者(エッセンシャルワーカー)の労働条件の改善も急務である。
 また、コロナ禍の中で売り上げの減少や休業、閉業を余儀なくされている飲食店等で働いている労働者は、何の補償もなく路上に放りだされている。そして、こうした労働の現場には、外国人労働者が多く働いている。セイフティーネットから外されている多くの外国人労働者に当たり前の、人間らしい生活と雇用を補償させ、それぞれの文化を尊重する差別を許さない社会・団結を作り出すために労働組合はその中軸として活動を強化しよう。
 また、現在韓国サンケンを日本本社が廃業とし、全従業員の解雇攻撃を強行しようとしている。これに対して、二〇一六年の解雇攻撃に対して来日して四六日日本本社に対する闘いを行い、二〇一七年六月に完全勝利―職場復帰を闘いとった労働者を中軸に現在韓国現地で闘いが繰り広げられている。コロナ禍の中で来日できない現地の労働者と固く連帯してサンケン日本本社への闘いを行おう。
 コロナ危機は、確かに労働者の生活の危機を加速度的に進めている。こうした危機の中でこそ、われわれは労働者階級の解放を目指した組織と団結を創造し、敵の危機を労働者階級の勝利へ展化するために奮闘しよう。


 

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