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   東京高裁の極反動判決弾劾!

     市東さんの農地を守り抜こう

                    


 昨年末一二月一七日、東京高裁第四民事部裁判長・菅野は、市東さんの農地の強制執行をめぐる請求異議裁判控訴審で、控訴棄却、強制執行停止決定取り消し―仮執行可能とする反動判決を出した。
 判決主文は次の四項目。「①控訴棄却、②東京高裁がなした強制執行停止決定を取り消す、③控訴費用は控訴人の負担、④第二項に限り、仮に執行することができる」というものである。
 市東さんと弁護団は即日上告した。同時に、裁判継続中の強制執行停止の手続きにも着手した。弁護団は、高裁と同時に、強制執行の実務を担う千葉地裁に対しても、執行停止の申請を行なった。一二月二二日に千葉地裁で「三月末までの執行停止」の暫定決定がなされた。
 このような経過の中、判決の一七日から暫定決定まで、支援連は、決戦本部長・太郎良さんとともに、市東さん宅=決戦本部での不寝番を闘った。
 菅野反動判決は絶対に許すことはできない。今後の闘いに向けて、菅野判決の詭弁と事実の歪曲、その反動的論理を徹底的に批判する。

 ●1章 空港会社の約束反故を「正当化」

 菅野判決は、空港会社の強制執行を認めるために、空港公団―空港会社が公言してきた「強制的手段を用いない」約束を破っていることの「正当化」に、紙数を割いて詭弁を積み重ねている。公団総裁、会社社長が「強制的手段を用いない」と約束してきたという事実が、この反動判決を強行するにあたって最大の桎梏だったことは間違いない。
 空港公団総裁がシンポジウム―円卓会議の過程で、あらゆる意味で強制的手段を用いないことを合意したことは事実である。現空港会社が市東さんの農地に対して強制執行権を行使するということは、この合意に反する行為である。このことを、反対同盟側弁護団は証人尋問をはじめとして明確に立証してきた。公的に確認されており、法廷でも立証されたこの事実に対して、裁判長菅野は徹底的に空港会社を擁護する立場に立って、否定した。真実を追究すべき裁判官がなすべきことではない。
 判決の詭弁はこうだ。「強制執行権の放棄にせよ、不執行の合意にせよ……重要な法的効果を生じさせるのであるから、それ相応の形式で行われるのが通常である」、「これに法的効力をもたせようとするのであれば、法的な合意書の作成といった手順を踏むことが自然であったと考えられる」。つまり、合意とは必ず文書で残されなければならないのだと決めつける。その上で、「本件では、そのような形式は取られておらず、……公団総裁らによる口頭での発言がされたのみであるから、これをもって、法的な合意ないし意思表示が成立したと見るにはそもそも困難な面があるというべきである」と結論したのだ。
 空港会社とて、この公団総裁の約束の事実そのものは否定していないにもかかわらず、菅野は、口約束は法的効力がないとばかりに投げ捨てようとするのだ。国家が丸抱えの空港公団は、民営化された現空港会社においてもその資本は100%国が所有しており、公団総裁の発言は公人の発言である。文書にしたのかどうかで、その責任がうやむやにされるようなものではない。法的にも政治的にも、その責任は果たされなければならない。菅野の屁理屈で歴史から消し去れるものではないのだ。

 ●2章 「平穏な取得」「合理的な努力」という歪曲の羅列

 この詭弁の上に、民事訴訟による農地取り上げは「強制的手段ではない」とする空港会社側の主張を重ねて、菅野は政府と空港会社にぴったり寄り添うのだ。
 シンポジウムや円卓会議で討議されていたのは土地収用法や公共用地特措法による行政代執行や、その執行過程が暴力であったことだけだと切り縮めた上で、市東さんの農地の強奪は別だというのだ。
 菅野は「空港公団が所有権者から平穏に所有権を取得した土地について、……民事司法制度を通じて当該土地の明渡しを実現することまで禁じる主旨であったとは考え難い」とした上で、「これらの事情に照らせば、空港公団が隅谷調査団の所見を受け入れたことをもって、上記のような場合における強制執行権の存否に関して何らかの法的効果が生じることになるとは認められない」とする。
 さらに、小泉英政氏の証人尋問をもって法廷で明らかにされた空港会社社長の約束に対しても、「小泉よねの補償についての合意についても、同様である」の一言で、否定しさったのだ。
 菅野の空港会社に対する賛美は、徹底している。
 空港会社が空港公団時代から、「賃貸借契約の合意解約」について「複数の代替農地」提案も含めて「相談を求めた」が、市東さんがそれを拒否し続けたという経緯をもって、空港会社は「合理的努力を尽くした」と評価するのだ。
 その上で、「話し合いが頓挫したことが認められる」から、空港会社が強制執行の手続きに入っても、シンポジウム―円卓会議で表明した強制的手段はとらないという「方針と矛盾するとまでいうことはできないし、非難に値するということもできない」と結論する。
 菅野は、徹底的に空港会社の詐欺的犯罪行為を「合理的努力」だと評価し、擁護し抜いているのである。この菅野の論述は、強制執行の手続きに入った理由について、市東さんが話し合いを拒否したためだと言わんばかりである。責任を市東さんに押し付けるものだ。
 そもそも、空港会社は市東さんの農地について「平穏に所有権を取得した」のではない。所有権の取得そのものも、その後の地代の受け取りも、市東東市さん、孝雄さんをだまし続けて行ったことではないか。耕作権裁判で明らかになってきているように、空港公団は所有権を奪い取るために文書偽造も行うという、まさに詐欺行為をはたらいてきたのだ。詐欺的土地取得から、営農破壊・生活破壊の叩き出し攻撃に至るまで、法廷で明らかにしてきたにもかかわらず、菅野はこの事実を直視しようとはせず、空港会社が「合理的努力を尽くした」などと平然と判決文に書き連ねたのである。
 裁判長・菅野の階級的立場こそ問題である。

 ●3章 「話し合いの結果としての強制執行」という詭弁

 空港会社が農地明け渡しの確定判決を受けた上で、「その強制執行を申し立てることが『話し合いでの解決』を約束していた従前の方針と矛盾するものとまではいえない」と、菅野は結論する。
 この裁判長の回りくどい言い回しを直截に言えば、裁判をもっての強制執行は「話し合いの解決」の範囲に入る、ということになる。誰が読んでも、この判決文自体が矛盾に満ちている。怒りなしには読むことができない。
 市東さんの農地、営農のための施設を全て取り上げる強制執行が「話し合い」の範囲にあるというのか!
 さらに、農地法裁判の確定判決までに審理がなされているから、それに基づく「強制執行申立てが権利濫用にあたるとか過酷執行であると認めることはできない」という冷酷な判断を述べている。まさに、市東さんの営農、生活の根拠を奪い取ることの「正当化」ではないか。
 菅野は、強制執行を認める判決を書き連ねた最後に、一見矛盾するような「優しい言葉」の一文を付け加えた。
 「なお、本件強制執行においては、その時期、態様について可能な限り当事者間で協議を行い、平穏、円滑に本件各土地の明渡し等が実現するよう最後まで努力することの重要性はいささかなりとも失われていないというべきであるから、念のため付言する」。
 これもまた、矛盾した論理である。菅野の理屈の上では、農地強奪の強制執行は「話し合い」の範囲にあり、「平穏、円滑」に行うことが可能だと夢想できるのである。
 裁判長・菅野よ! 言葉をこねくり回すのは止めろ! 天神峰の市東さん宅に赴いて、その農地と日々の営農を自らの目で見てから考えよ!
 本当に許しがたい判決である。市東さんの農地、農民としての生活の一切がかかっている問題であるのに、こんな矛盾だらけの詭弁の積み重ねで軽々しく扱っているのだ。絶対に許してはならない。
 判決後も日々農業を続ける市東さんとともに、反対同盟とともに、農地を守りぬいていこう。
 成田空港会社は、コロナ禍の中で航空需要蒸発―赤字決算が明確になりながら、第3滑走路建設をはじめとした空港機能強化策にしがみついている。今こそ、改めて空港廃港に向けて闘い抜こう。


 


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