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   老朽原発再稼働を全力で阻止

     3・20高浜全国集会の成功を

                   関西地方委員会
                    



 若狭にある四〇年超え老朽原発の再稼働を許すのか否かの攻防が、いよいよ煮詰まった局面に入ってきている。政府と関西電力は、反原発の広範な世論と闘い、さらには原子力規制委の安全性審査そのものを問題にした昨年一二月四日の大阪地裁判決を顧みず、やみくもに老朽原発の再稼働に突き進もうとしている。これを許さず、この春、老朽原発再稼働阻止に全力で立ち上がろう。3・20高浜全国集会の成功を共にかちとろう。

 ●1章 重要な局面を迎えた老朽原発再稼働阻止闘争

 四〇年超え老朽原発の再稼働を阻止することは、上関での原発新設阻止闘争と並んで、日本における全原発の廃炉に向けた闘いの最大の実践的攻防環のひとつである。その現在の焦点は、若狭の美浜原発三号機、高浜原発一、二号機の再稼働を阻止することにある。
 これに関して、原子力規制委員会が拙速な審議によって、美浜と高浜の四〇年超え老朽原発の運転期間の二〇年間延長(六〇年)を認可したのは二〇一六年のことであった。それを受けて関西電力はこれらの原発の再稼働に向けて奔走してきた。
 この老朽原発再稼働策動は、安全対策工事の遅延などによって遅れてきたが、昨秋以来、いわゆる「地元同意」の具体的なプロセスに突入し、町議会での表面的な審議を経て、今年二月一日には高浜町長が、二月一五日には美浜町長が、それぞれ再稼働への同意を表明するに至った。残されているのは福井県議会と福井県知事の対応である。
 ところで関西電力は、当初は二〇一九年中の再稼働を追求し、その後美浜三号機を今年二一年一月に、そして高浜一号機を今年三月、高浜二号機を今年五月に再稼働させるという予定を発表してきた。これらの予定はずれ込んできたが、人民の闘いと同時にその要因のひとつとなっているのが、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の候補地の選定問題である。
 関西電力は各原発の敷地内に保管されている使用済み核燃料の中間貯蔵施設を福井県外に確保するとの表明を一九九〇年代末から福井県側に行ってきた。しかしその後、最近では一八年、二〇年と候補地の選定に期限を区切りながらも関電はそれを実現できていない。一方、福井県知事は関電が候補地を明示することが老朽原発再稼働の議論に入る「前提」だと表明してきた。
 しかし、この二月に入って事態は大きく動いてきた。二月一三日、関電の森本社長が福井県知事との面会で、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外候補地について「二〇二三年末を最終期限として確定する」と報告した。それは現実的な目途の立たない口約束にすぎないが、杉本福井県知事は「一定の回答を得た」として、県議会に老朽原発の再稼働について議論に入るように要請したのである。
 こうして四〇年超え老朽原発の再稼働をめぐる攻防がいよいよ煮詰まった局面に突入した。同時にあらためて確認しておかなければならないことは、この老朽原発再稼働策動は関西電力という一企業のみならず、国策として行われているということである。
 先に挙げた関電社長と福井県知事の面会に、経産省資源エネルギー庁の保坂長官が同席して候補地選定への支援を表明し、オンラインで参加した梶山経産大臣が再稼働への協力を直接知事に要請しているのである。老朽原発再の稼働を推進する菅政権と対決し、全力で闘いに立ち上がろう。

 ●2章 12・4大阪地裁判決の意義

 大飯原発三、四号機の安全性をめぐって、大阪地裁(森鍵一裁判長)はさる一二月四日、原子力規制委員会に対して、関西電力に与えた設置許可の取り消しを命じる判決を下した。判決は、規制委の判断には「看過できない過誤、欠落がある」と述べ、設置許可を違法とした。
 この裁判の主な争点は、関電が設定した「基準地震動」(最大の地震の揺れの想定)が適切なのかどうか、その値にもとづいた安全対策に国(規制委)が与えた許可は妥当だったのかどうか、ということだった。
 規制委は、各電力会社が設定した基準地震動を、内規にあたる「審査ガイド」に従ってそれが適切かどうかを審査する。この「審査ガイド」には、基準地震動の算定にあたって用いられる地震の規模の定め方について、「(計算式の持つ)ばらつきも考慮する必要がある」という一文がある。
 判決は、関電が算定した基準地震動の策定要素となる地震規模は「平均値」だとし、「ばらつきも考慮する必要がある」とは、平均値に何らかの上乗せをする必要性の有無を検討すべきという趣旨だとした。その上で、関電は平均値と乖離するデータの検討自体をしておらず、規制委もその必要性を何ら検討することなく許可を与えたとして、大飯原発三、四号機の設置許可の取り消しを命じたのである。
 今回の大阪地裁の判決は、原子力規制委員会による原発の安全性審査のあり方の問題性を指摘した。そしてまた、規制委が自ら定めた「審査ガイド」にもとづいた審査を実際には行っていなかったことを暴露した。「世界最高水準の基準」(安倍前首相)などという言辞にもかかわらず、「新規制基準」にもとづく安全性審査の実態ははそのようなものだったのである。
 規制委は基本的にすべての原発ついて同じ計算式を用いて電力会社が設定した基準地震動が適切かどうかを審査している。そのため今回の判決は、大飯原発三、四号機にとどまらず、同様の方式で関電が基準地震動を算出した美浜原発三号機をはじめ、関西電力が保有する若狭の原発群、そして各地の原発に波及し、政府と電力会社による再稼働策動をより困難にするものである。
 しかし、国はこの判決を不服として控訴し、それを受けて関西電力は早くも今年一月一五日に大飯原発四号機の再稼働を強行した。これを徹底的に弾劾しなければならない。

 ●3章 3・20若狭現地に全国から総決起しよう

 老朽原発再稼働阻止闘争はいま、その目標を実現するために、きわめて重要な局面を迎えている。こうしたなかで、きたる三月二〇日には「関電よ 老朽原発うごかすな! 3・20高浜全国集会」(主催:老朽原発うごかすな! 実行委員会)が開催される。このかんの情勢の中で、若狭現地で取り組まれるこの集会の重要性はますます鮮明になっている。全関西、そして全国から現地闘争に結集しよう。
 現実的な問題としても、関電が使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設候補地を二三年末までに確定できるかどうかは、何ら目途が立っていることではない。関電は東京電力、日本原電が青森県むつ市で整備中の中間貯蔵施設の共同利用を具体案として挙げたが、むつ市長は「ありえないこと」と激しく反発している。
 また、そもそも長年稼働させてこなかった老朽原発の再稼働には事故を引き起こすリスクがより高いことに加えて、もし関電が美浜、高浜の老朽原発を再稼働させたとしても、「テロ対策施設」の設置が期限までに完成しなければ、高浜一、二号機は今年六月まで、美浜三号機は今年一〇月までというわずかな期間で停止することになる。にもかかわらずやみくもに再稼働に突き進もうとすることの中には、とにかく四〇年超え老朽原発の再稼働の実績をつくることで、広範な世論に背を向けて原発事業の延命を図ろうとする政府・電力資本の意図がある。
 老朽原発再稼働阻止闘争はそのような国家・資本の反人民的野望を打ち砕き、人々が核のない平和な世界の内に安心して生きていくことができる社会の実現に向けた労働者・民衆の闘いの重要な一角を構成している。
 老朽原発再稼働阻止闘争のもつ重大な意義を踏まえ、全力で闘いに立ち上がろう。3・20高浜全国集会の成功を共にかちとろう。



 


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