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   「日の丸・君が代」強制反対!

    「国旗損壊罪」成立を許すな!

        
            内山洋一
 

 
 ●1章 「国旗損壊罪」成立策動弾劾

 本年一月、自民党議員有志の「保守団結の会」は、「国旗損壊罪」の成立を自民党政調会長下村博文に打診した。下村はこれを受けて国会での法案提出を容認している。現在的には法案の音頭取りである高市早苗がNTT接待問題に名を連ねているため、法案の成立は簡単ではないだろう。しかし、自民党議員が同法案を機会があるたびに浮上させてくることは間違いない。われわれは「国旗損壊罪」法案の内容を徹底的に批判し、成立策動を粉砕していこうではないか。
 高市早苗は自身のホームぺージで、法案の主旨説明を行っている。
 いわく、「日本の『刑法』では、……第九二条で『外国の国旗損壊等』は刑罰の対象とされている一方、『日本の国旗損壊等』については何の規定もありません」。「他方、諸外国では、日本と正反対で、『自国の国旗損壊等』に対する刑罰の方が、『他国の国旗損壊等』に対する刑罰よりも重くなっています」。
 そして「私は、日本の国旗であれ、外国の国旗であれ、損壊等の行為は、『国旗が象徴する国家の存立基盤・国家作用を損なうもの』であり、『国旗に対して多くの国民が抱く尊重の念を害するもの』だと考えます。いずれの国旗も、平等に、尊重して扱われるべきです」。「よって、二〇一〇年一二月に、外国国旗損壊等と全く同等の刑罰を盛り込んだ日本国旗損壊等の罪を新設する『刑法の一部を改正する法律案』を起草しました」と結論づける。
 具体的には、「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の懲役又は二〇万円以下の罰金に処すること」と提示している。

 ●2章 「国旗損壊罪」法案の論理的破綻

 高市の論理はデタラメである。
 第一に、高市が根拠としている刑法九二条は、そもそもが「日本と外国の間の円滑な国交」を目的にした刑法であり、国旗一般を云々した法ではない。故に、自国国旗の規定はないのが当然である。高市の主張ではあたかも刑法九二条の不備を補うかのような論述になっているが、それは九二条の主旨から全く外れる議論である。
 第二に、高市は諸外国を引き合いに出して「国旗損壊罪」の必要性を強調しているが、少なくとも米国においては自国国旗損壊に対する罪は法的に適応されてない。
 「星条旗」の冒とくを禁じる連邦法の「国旗保護法」に対して、一九九〇年米連邦最高裁判所は合衆国憲法修正第一条の「表現の自由の保障」に違反しているとして違憲判決を出している。以降、「国旗保護法」は無効状態になっている。
 第三に高市らの主張は対象を「国旗」すなわち「日の丸」一般に拡大しているため、明らかに思想・信条に対する弾圧法になっている。
 これまで日帝国家権力は「国旗」=「日の丸」の「損壊」行為にはすでに存在する法で対応してきた。一九八七年知花昌一氏による「日の丸」焼却の闘いに対しても、罪状は「器物破損」であった。つまり、国家権力はあくまでも公共施設の物品に対する問題として対応している。
 しかし、高市らの主張は「自国国旗」一般の「損壊」を禁止するという議論になっているので、対象が公共施設の問題だけではなくなる。つまり個人で購入した「日の丸」、または自らがデザイン化した「日の丸」も「国旗損壊罪」の対象となる。例えば、かつて三里塚闘争で農民放送搭に掲げられた黒枠の「日の丸」も十分対象になる。明らかに、物品としての国旗の損壊ではなく、国旗に対する思想を刑罰の対象にする法案である。思想・信条の自由を制限し、罰則をもって統制する攻撃である。当然、憲法との整合性が問われることになる。

 ●3章 「日の丸」強制反対闘争の前進を勝ち取ろう

 反「日の丸」闘争は沖縄から始まったと言われる。一九八七年、日帝は、皇太子(当時)が出席予定の沖縄国体に備えて、沖縄の全学校に「日の丸・君が代」を強制しようとしていた。対して、沖縄人民による抗議行動が高揚した。
 この過程で読谷高校の生徒が卒業式で三脚に掲げられた「日の丸」を引きずり降ろした。「誰が賛成しましたか! 生徒が賛成しましたか!」という糾弾であった。この闘いに対して学校管理職は「あなたが大人だったら犯罪ですよ」と恫喝を行っている。直後、生徒は「日の丸」をドブに棄てた。
 「国旗損壊罪」」なるものはこの管理職の恫喝内容-思想を法制度的に確立し、全社会的に普遍化する攻撃である。すなわち、読谷高校生の闘い、知花昌一氏の「日の丸」焼却決起等の反「日の丸」の闘いを思想犯罪的に総括し、もって「愛国心」を強制せんとする攻撃に他ならない。それは、教育現場での反「日の丸・君が代」闘争への全面的敵対である。
 「国旗損壊罪」成立を絶対に許すな!



 


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