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   入管法改悪を許すな

   刑事罰、監理人制度新設を粉砕しよう

              
小原 薫

 

 

 日帝―菅政権は、二月一九日入管法改悪案を閣議決定した。われわれは、「退去処分」が出ても帰国できない・しない在留外国人に刑事罰を科す今回の改悪を絶対に許さない。
 全国各地で労働組合、市民団体は入管法、入管体制の下で呻吟する外国籍の人々に寄り添い共に生きるための闘いに取り組んできた。今回の改悪はそうした取り組みにさえ「監理人」として抑圧者の側に位置づけようとしている。絶対に許すことはできない。全国の同志、友人の皆さん、共に改悪阻止に向けて闘おう

 ●1章 難民認定を阻み続け、刑事罰を科す日帝を許すな

 コロナ禍の中で、失業者や路上生活者が増えている。この中に多くの滞日外国人の人たちがいることは、年越し相談村や各地で開かれている相談所の相談事例から明らかになっている。
 働く場所を求めてあるいは技能実習生として来日したが、あまりにも酷い労働条件やセクハラ、パワハラで勤め先から逃げ出した人々や解雇された人々。留学生として来日したがコロナ禍の中でアルバイトもできず、満足な授業すらない中で生活苦にあえぐ人々。母国での迫害を恐れ命からがら日本に来て難民申請をしている人々。これらの人々は生きるための住まいも食事も得られず相談にやってきた。
 日帝は、こうした人々の生存権を保障するどころか、入管施設に収監し、この収監が長期に及んでいることで死者まで出すという事態の中で、改善ではなく更なる改悪で対応しようとしている。
 入管法改悪案の問題点の第一は、退去処分を拒む外国人の「長期収容解消に向け」と言いながら、約三〇〇〇人いると言われている退去処分を受けながらも送還を拒んでいる人びと(一部は長期に入管施設収容されている)に対して、三回以上の申請には原則として「送還停止」を認めないとした点だ。
 こうした拒否者の多くは、祖国で迫害される恐れや日本で家族と暮らす人びとである。約三分の二は祖国に戻れば殺害や投獄の恐れがあるため日本政府に難民認定を求め続けている。現状では難民認定申請中は、就労ができず国民健康保険にも加入できないにも関わらず繰り返し申請している人が多い。現行法では難民認定の申請をしている間は「送還停止」されているからである。
 そもそも日本の難民認定率は0・4%しかないのである。二〇一八年のデータによれば、一〇四九三人申請して認められた人は四二人である。これでは生きていくために申請を繰り返さざるを得ない。例えば、トルコ出身のクルド人は米国やカナダでは八割以上が認定されているが、日本は認めていない。
 迫害の恐れのある母国に「送還」を強制することは、命の危険に晒すという事である。また、在留資格が何らかの事情で無くなりながらも生活の基盤や家族が日本にいて帰れない人々に対しても「送還」を強制するという事は、生活基盤を奪い、家族をバラバラにするということである。
 日本に生存権を求めても入管法・入管体制によって拒否され、長期収容のよって生命の危機までもたらされていることが問題なのである。
 しかも、改悪案には退去強制の拒否に刑罰が設けられることになった。これが第二の問題点である。送還を拒否した場合には一年以下の懲役か二〇万円以下の罰金、又はその両方を科す罰則を設けようとしている。これでは収容施設と刑務所の往復になりかねない。罰金や懲役刑を科すのではなく、すべての難民申請者や日本での在留資格を求める人々の命と生活を保障すべきである。

 ●2章 支援者を抑圧者にさせる「監理人」制度を許すな

 第三の問題点は、外国人に逃亡の恐れがない場合、支援者らが「監理人」として見守る監理措置制度が盛り込まれた事である。どのような外国人が対象となり、監理人の要件が何なのか、いずれも不明である。「社会生活ができる」というが、退去処分後は就労できず、健康保険や生活保護の資格もなく、今までの「仮放免」と何ら変わらない。これでは単独で社会生活を営めない。今まで寄り添い共に生きてきた支援者を「監理人」として外国人を抑圧する側に位置づけようとしている。「監理人」には最高三〇〇万円の保証金の納付が必要で、生活状況などを報告する義務が課せられる。対象者が逃亡した場合一年以下の懲役か二〇万円以下の罰金または両方を科すとしている。
 労働組合や市民団体が生存のために声を挙げる外国人の支援を行ってきた。難民申請者のみならず、留学生や日本で働く外国人と共に悪質な事業者に立ち向かい、解雇や労働災害、セクハラやパワハラと闘ってきた。この闘いは、同時に在留資格が無くなれば退去処分を行うという入管当局との闘いでもあった。
 今行われようとしていることは、日本人労働者市民と外国人の分断である。信頼関係を逆手に取った「監理人」制度を絶対に許すな。そして、安価な労働力として外国人を利用し、都合よくこき使い、面倒になると切り捨てるという、外国人労働者を労働力としてしか見ない現行の入管法・入管体制を、人権と生存権を認めるものに抜本的に改正するべきである。

 ●3章 今国会での入管法改悪を許すな

 閣議決定に先立ち、野党は参院に対案を提出した。難民認定を担う独立機関の新設や収容に裁判官の許可状を必要とする点などが柱という事である。また、労働組合や市民団体は、「移民・難民の排除ではなく共生を」求める署名運動などに取り組んでいる。
 今、菅政権は政権末期を迎え、現在の非道な入管体制への国内外からの批判や当事者の苦闘に何ら答えないばかりか遮二無二この「入管法改悪」を成立させようとしている。われわれは、国際連帯の重要課題として、そして日本労働運動の課題として今国会での成立阻止に向けて闘い抜く決意である。共に闘おう。


 


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