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   菅政権打倒の全人民的闘いに決起せよ!

国際主義と実力行動でプロレタリア革命を

             



 安倍政権を継承し、半年を過ぎた菅政権。学術会議六名任命拒否、コロナ対策の失敗、そして息子を総務省・情報通信産業の利権の一翼に据えた接待疑獄という腐敗汚職の一端も暴露され、菅政権は、全人民の怒りと批判を浴び始めている。内閣支持率は大幅に下落した。他方、菅は自らの延命のために、ワクチン接種、携帯値下げ、脱炭素化政策、米帝バイデンとの日米同盟強化など、全人民への懐柔と求心力回復に必死である。さらに欧米帝国主義や中国との市場争奪戦に後退する日帝が生き延びるために不可欠な改憲―戦争国家化やその中央集権的独裁統治、そして情報通信産業の国際競争力巻き返し、地方創生という地銀・中小企業の再編淘汰などを、日米同盟の飛躍的強化、デジタル化と新自由主義の大再編として歴史的な攻撃を繰り出しているのである。日帝―菅政権との攻防は時代を画する決定的な闘いなのである。何故ならば、基底には、現代資本主義・帝国主義の行き詰まりが存在するからだ。格差拡大と多くの人々の貧困化、差別排外主義と分断の激化、地球規模の環境破壊、そして新型コロナ感染の爆発、などといった根本的な社会問題で閉塞している。新自由主義=市場競争主義・弱肉強食を中心とした現代資本主義・帝国主義ブルジョアジーには、この解決はまったく出来ず、むしろ諸問題を深めるばかりである。要するに現代帝国主義ブルジョアジーを革命的に打倒し、これをなしとげる労働者・被抑圧人民・被差別大衆、青年学生の解放闘争の前進が不可欠なのである。したがって世界規模で国際連帯すること、ならびに歴史的な闘いの勢いと連帯・団結を培った労働者人民解放闘争=現代共産主義運動をきわめて意識的に創造していくことが要請されている。世界各地で労働者人民の解放闘争がはげしく闘われている。いまこそ、革命的左派は、菅右翼反動政権に対する全人民の不満、批判を徹底して牽引し、菅政権の反動諸政策と独裁化を政権もろとも打倒する全人民的政治闘争を各地で高揚させていかなければならない。とくに菅が先頭で敵対してきた戦後補償問題や辺野古新基地建設強行をめぐる攻防は、重要な環である。朝鮮・韓国の人民闘争との連帯、沖縄―「本土」を貫く闘いを前進させ、差別排外主義を粉砕しながら、菅政権打倒の決起を推進していかなければならない。こうした菅政権打倒の闘いにおいて、労働者人民のさまざまな実力決起とその階級的利害を貫き、排外主義を粉砕し、国際主義を担い、日帝打倒―プロレタリア社会主義革命の闘いへと不断に前進させていくことこそ、革命的左派の決定的な役割である。立民や日共などは、菅政権への全人民的憤激を議会主義へと収斂させ、排外主義・国益主義と分岐できす、日帝ブルジョアジーの免罪を結果するのである。
 本論文において、菅政権の不正腐敗、戦争と排外主義、デジタル化や治安弾圧、憲法破壊、新自由主義と貧困化の攻撃をあらためて暴露し、深くとらえて批判していく。全力で菅政権打倒闘争を牽引し、国際主義と実力行動を貫き、日帝打倒‐プロレタリア社会主義革命にむけ、労働者人民解放の闘う構造を勝ちとっていこうではないか。

 ●1章 安倍政権の中枢で主導した菅の反人民的本質

 二〇一二年からの第二次安倍政権を中枢で支えたのが菅官房長官であった。第二次安倍自公政権は、民主党・野田政権を総選挙で破って登場した。第二次安倍政権の役割と性格は、国会審議を軽視し、強権的で独裁的な手法をもって、改憲―戦争国家化にむけた戦争法など歴史的大再編を図るものであった。これには、次の状況があった。〇八年、新自由主義グローバリゼーションの矛盾と破綻が明らかになったリーマンショック=金融恐慌が勃発し、世界的な倒産・雇用破壊・失業増の激烈化を受け、各地で労働者人民の直接行動、階級闘争が激化した。スペインなど欧米で金融機関・大資本に対する人民の直接抗議行動などの占拠運動、チュニジア、エジプトなど中東・北アフリカなどでの反貧困・反独裁民主化の「アラブの春」が繰り広げられた。日帝本国でも派遣切りなどに抗議し生存権を求める「日比谷派遣村」や、沖縄人民と「本土」労働者人民の粘り強い辺野古新基地建設阻止闘争が闘われていた。そして労働者人民の憤激によって、反人民的で不正腐敗の自公政権から民主党・社民党連立政権へと歴史的な政権交代に到った。しかし民主党政権自身が労働者人民の利害に背信し、官僚と米帝は突き放し、民主党政権からの人民の離反を促進した。こうしたなかで、日本独占ブルジョアジーの意をうけ、同時に極右改憲勢力=日本会議と密接に結合し、労働者人民解放への反動と極右排外主義攻撃のために、第二次安倍政権が権力に就いたのだった。
 この安倍の右翼反動攻撃の数々を支え、積極的に補完し牽引していったのが菅である。安倍は、大企業・富裕層の利害に立って、金融緩和・財政出動・成長戦略(構造改革)のアベノミクスを打ち出し、戦争法・治安弾圧強化と原発推進、中国・朝鮮民主主義人民共和国さらには韓国への排外主義的敵対、などを一挙に強権的に推進した。これを菅は積極的に支え、安倍政権の森友加計問題など疑獄・不正腐敗を主導的に隠ぺい、検察・警察官僚を抱き込んだ政権延命を行った。
 現在の菅政権の本質に繋がる、安倍政権時代の歴史的な反動的反人民的な諸政策を捉えておこう。とりわけ、菅が自認する安倍と一体化した特筆すべき反動攻撃などを含め暴露したい。
 第一には、現憲法を破壊し、戦争法制定など日帝の侵略反革命戦争体制構築の領域がある。菅自身が誇示しているのは、二〇一二年、アルジェリアで石油開発企業「日揮」の海外邦人がイスラム武装勢力から人質とされ、十数名が殺害された事件に関して、安倍が東南アジア外遊中のなか、この危機管理を中心で指揮し、自衛隊員を「邦人救助」で派遣したことである。まさに在外邦人救出・海外権益防衛のために、自衛隊を出動させる日帝の侵略反革命戦争を先取りし、指揮を執った。その後、一三年の国家安全保障会議設置法、続く特定秘密保護法の強行制定、そして一五年、米軍との集団的自衛権行使推進の閣議決定とそのための戦争法制定にも、安倍と菅で取り仕切って、国会審議や反対世論を封殺し、強権的に制定した。一七年、「テロ等準備罪」を導入した改悪組織的犯罪処罰法の制定、いわゆる共謀罪新設を強行した。今日、左派戦闘的労組の関西生コン労組への組織破壊弾圧が共謀罪型として全面化しているが、安倍と共に菅が大きく加担しているのだ。菅が首相となって出版した『政治家の覚悟』には、馬毛島の防衛省買収を強力に直接指示し、そこを自衛隊基地と米軍機夜間離発着訓練場にして、日米同盟を抜本的強化することができると自慢している。
 第二には、「拉致問題」を口実として、朝鮮総連への差別排外主義・弾圧強化を先頭で繰り広げてきたことである。菅は、一貫して、朝鮮総連や朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)を敵視し、排外主義的煽動を激しくし、戦争体制強化に繋げてきた。小泉政権・安倍幹事長の時、菅総務省副大臣は各地の自治体による総連の固定資産税減免措置を破壊し撤回させる次官通知を強硬に実施した。二〇〇五年に一〇〇弱の減免措置対象が一〇年にはゼロとなった。〇四年には、菅が先頭となり、共和国・元山と日本・新潟の間で就航していた万景峰号に対して、「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」を議員立法で制定。さらに総連などを対象とし、安全保障を理由とする送金や貿易を禁止する「外国為替及び外国貿易に関する法律」を改悪。〇六年の入管法改悪で、警察庁と法務省・入管局を結合した在留外国人「ブラックリスト(ママ)、不審者情報」を統合し、全外国人(特別永住者を除く)の出入国時の指紋採取を義務付け、指紋情報の入った「IC出入国カード」や外登証に代る「IC在留カード」発行を中心で推進したのも菅だ。朝鮮学校の無償化を認めなかったのも、当時の安倍首相・菅官房長官・下村文科相ラインなのであった。
 同時に、韓国に対しても、日本政府の敵対的で排外主義的政策の中枢に居座り、反韓国・排外主義を激しく煽動した。韓国元徴用工や元日本軍性奴隷制度被害者(いわゆる元「慰安婦」)の戦後補償要求=請求権に対し、韓国の裁判所はその訴えの正当性を認めた。即ち、日帝の朝鮮侵略・植民地支配ならびに一九六五年日韓条約・請求権協定を正当化する安倍と菅は、韓国・朝鮮の人民、さらにアジア人民への謝罪と補償を一切認めず敵対している。日本帝国主義を宗主国とする「アジア解放の聖戦」というアジア侵略戦争・植民地支配の正当化をそのまま現在も継承する極右ファシスト・差別排外主義の政治的思想的立場なのである。絶対に許すことができない。
 第三には、安倍と菅は官僚への強力な人事と統制を握り、行政利権を私物化し、さまざまな不正腐敗・疑獄を横行させ、これら政権中枢の種々の犯罪行為を強引に隠蔽しつづけてきた。森友疑獄と公文書改竄・近畿財務局職員の自死、加計学園獣医学部設置の優遇、桜を見る会前夜祭への安倍事務所による補填、イラク派兵自衛隊日報の隠蔽、政権防衛と強権化に黒川検事長(元)や警察庁官僚・杉田の活用、側近の河井元議員夫妻へ巨額買収資金供与、吉川元農水相の鶏卵業者からの贈収賄、IRカジノ汚職事件、など夥しい。
 現在の菅政権のもとでも、総務省幹部官僚と菅の息子が軸となった東北新社の「違法接待」=贈収賄、総務相とNTT社長の利権会食、などなどが明るみに出ている。
 桜を見る会前夜祭への安倍事務所補填問題は、弁護士・市民団体の粘り強い告発と抗議から「寄付」問題で政治資金規制法違反を訴え、検察が動き、追い詰められた安倍が「健康問題」の理由で辞任させられた一撃であった。黒川元検事長の定年延長とこれを正当化する検察庁法改悪策動では、SNSを使って芸能人なども加わって抗議反対運動が高揚し、勝利した。これら政権中枢の不正腐敗の暴露、そして森友疑獄公文書改竄の自死職員の妻の裁判闘争など、全人民のさまざまな形態での怒りや抗議は安倍の断罪や菅政権打倒の大きな大衆基盤として存在しつづけている。
 第四には、沖縄人民への差別支配と辺野古新基地建設強行の要として、菅は立ちまわってきたことである。沖縄解放を闘う側には、菅は絶対に許せない差別排外主義者であり、辺野古新基地建設反対の沖縄の民意を蹂躙し、埋め立て強行を推進する中心人物=真正面からの敵対分子にほかならない。二〇一五年、「オール沖縄」を掲げ、沖縄人民の自己決定を断固闘いぬく翁長雄志知事が、辺野古新基地建設阻止を求め、安倍政権の菅官房長官と会談した。翁長知事が沖縄戦の悲惨、米軍占領下で普天間の土地強奪と基地建設強行など、沖縄差別軍事支配の戦後の苦難、そして辺野古新基地建設反対の沖縄人民の思いを突きつけ、計画の再考を求めた。菅の返答は「私は戦後生まれで歴史を持ち出されても困る」と言い、「(自分には)日米合意が原点」と日米軍事同盟の沖縄支配を明言するのだった。菅は辺野古・沖縄をはじめ、岩国、九州、京丹後、神奈川、横田、木更津、三沢など、米軍再編と日米軍事一体化を進める中心人物なのである。沖縄戦、天皇ヒロヒトによる沖縄の米帝への売り渡し、戦後の米軍政支配、「返還」(日帝の反革命的統合)後の日米安保体制と日米軍事基地の支配、要するに、辺野古新基地建設阻止とは、日米帝国主義の支配から、沖縄解放と自己決定を貫く決定的な闘いなのである。
 対中国軍事対決体制の構築という日米同盟の強化方針の中で、沖縄ではますます米軍・自衛隊の基地強化が狙われている。辺野古新基地計画では、米海兵隊と自衛隊水陸機動団が一体化し、駐留・出撃を常態化させる。中国、共和国を対象とする米軍の中距離核ミサイル部隊を沖縄に配備することも狙われている。辺野古新基地建設阻止の闘いを強め、沖縄解放闘争を前進させ、菅政権打倒をかちとっていかなければならない。あわせて全国の反基地闘争と韓国・フィリピンなどのアジアの反基地闘争を連携させ、日米軍事同盟粉砕をたたかおう。
 以上、安倍政権の中枢で菅が積極的に主導した反人民的で犯罪的な政策などを捉えてきた。明らかに、改憲―戦争国家化、日米同盟強化、治安弾圧強化、差別排外主義、独裁政治と不正腐敗の利権構造の私物化であった。また残業代ゼロ・過労死強化の労働時間規制撤廃攻撃=八時間労働制解体と労基法改悪、非正規化など雇用破壊と貧困化の促進、実質賃金の低下、アベノミクスによる大企業・富裕層の優遇など、重大な階級再編攻撃がある。左派労働運動勢力による粘り強い地域―全国、正規―非正規を貫き、高齢者、女性、青年、外国人労働者などの抵抗と団結の闘いが繰り広げられ、また関生労組弾圧阻止の支援などが拡大強化され、総反撃へと奮闘している。とくに新自由主義攻撃、デジタル化などの搾取収奪強化(第四次産業革命)と社会再編・階級再編・労働法制改悪に対する攻防は、菅政権打倒闘争の反戦反核反安保反改憲の課題と並ぶ重要な課題として浮上している。

 ●2章 菅政権の反動政策・犯罪性

 次に、菅政権の反動的、反人民的な路線と諸立法政策について、捉えていこう。菅はコロナ対策と経済回復の両輪を最重要課題として進めると首相就任時に言い放った。しかし、コロナ感染対策では、会食制限や時短営業、外出自粛などを求めながら、菅自らが夜のステーキ会食を行い、自公の政権与党幹部や議員、官僚などが銀座で集団飲食、接待飲食を行うなど、緩みきって真摯な対策を放棄する特権支配層の実態をさらけ出した。同時に、コロナ感染の一程度の収束を条件とするはずだった、GoToトラベル・イートなどの経済対策を前倒しで実施し、人の移動や感染者との接触状況を大規模に引き起こし、医療関係者のキャンペーン停止のアドバイスを受け入れず、感染拡大を促進したのである。菅は全く人命を軽視し、特権的支配階級の腐敗を自ら暴露し、コロナ感染拡大を招いたのだ。少なくとも十数万人を超える非正規労働者・女性労働者・外国人労働者などが実質解雇・雇用破壊=失業を強いられ、飲食・宿泊・観光・輸送などコロナ被害関連業種の経営危機などに対して、緊急対策は不十分である。雇用調整給付金や家賃補助は本年二月一五日に打ち切られた。休業補償やPCR検査拡充、隔離など医療保険体制・設備・物資・人員・資金・手当ての徹底的な増強は、いまだに取られていない。ただただ、感染症法や特措法によって政府・自治体による営業時短や感染の経緯調査・入院などの命令への拒否に対して権力を盾にした罰則を導入し、自由権など基本的人権を抑圧しただけである。即ち、人権抑圧と戦争動員の究極である戒厳令導入の緊急事態条項や、自衛隊の九条への明記など、菅政権が狙う改憲攻撃の一部先取りでしかない。菅のコロナ対策は、ワクチン接種だけであるが、これも激しい帝国主義列強と中ロなど大国のワクチン争奪戦を反映し、十分なものとなっていない。コロナ感染拡大は第四波に突入し、変異ウィルスの強力さ、政府指導部の戦略不在・腐敗・だらしなさ、人民の自粛疲れのなかで、まん延防止等重点措置を大阪・兵庫など関西圏、宮城、東京など首都圏、沖縄などに適用しているが、全国的な感染爆発へと向かうばかりである。労働者人民による菅政権への不満と怒り、東京オリンピック・パラリンピックの開催による感染拡大の危惧、中止世論の根強さなど、菅政権打倒の政治状況はますます深まっている。また福島原発事故の放射能汚染水を二年後に海洋放出することが閣議決定された。福島の漁業者をはじめとする全漁連や多くの人民、そして中国や韓国が圧倒的に反対する中でのことであった。この暴挙を絶対に許してはならない。菅政権発足当時の支持率70%前後は、現在40%~30%台へと急落した。
 コロナ危機と政権危機が深まりながら続くなか、菅はさらなる反労働者人民の反動的政策・路線を突き進んでいる。先日、今年度予算が国会で決まったが、軍事費が五兆四八九七億円(プラス駐留米軍経費負担約二〇〇〇億円)へと増大し、社会保障・医療福祉関係予算は削減された。コロナ対策経費は、GoToキャンペーンの割合を多くしたまま、休業補償や医療保健対策はきわめて不十分なままである。
 結局、日帝―菅政権は、軍拡・戦争体制増強の路線、すなわち改憲・戦争国家化、日米安保強化と日米軍事一体化、沖縄の差別軍事支配強化などや、治安弾圧強化と強権政治化に邁進している。経済的路線では、金融緩和・財政出動で大企業・富裕層の階級利害を強め、成長戦略=新自由主義攻撃を飛躍的に強化しようとするのだ。したがって人民の自己負担増、社会保障や福祉の切り捨て、消費税など税負担を強めている。そして外交分野では日米同盟強化とTPP・RCEPなど権益圏拡大の下に、中国や共和国への敵視・排外主義を煽動し、元徴用工や日本軍性奴隷制度被害者など戦後補償問題を容認する韓国文在寅政権への敵対・排外主義をつよめ、外国人労働者や在留外国人への治安管理と退去強制など入管法改悪を狙い、総じて国益主義・差別排外主義を強めているのである。
 一月一八日の菅の施政方針演説でぶち上げられた主要な反動攻撃について、主要な問題を具体的に捉えたい。
 第一には、改憲‐戦争国家化にむけて、国民投票法改悪案が憲法審査会で論議され、改憲への世論や政治日程を促進するために強行制定が狙われている。断固として、改憲阻止や、反戦反基地、核兵器廃絶・原発反対を各地で闘っていかなければならない。
 第二には、日米同盟強化による日帝―菅政権の対中国、対共和国への軍事対決=侵略反革命戦争体制の抜本的強化である。四月一六日(ワシントン現地時間)、菅は訪米し、米帝バイデンと日米首脳会談を行った。3・16日米防衛外交担当閣僚会合(2+2)で確認したことが日米の頂上会談でいっそう強化された。インド太平洋地域や世界各地における日米帝の権益や覇権を維持拡大するうえで、中国包囲、共和国対峙の政治軍事に合意した。とくに、台湾について、日・米ともに中国との国交正常化後初めて、共同文書に明記した。釣魚諸島への日米安保五条の適用、東中国海・南中国海などでの政治軍事的対峙を堅持すること。ウイグル・チベット・香港などでの中国当局の人権抑圧・自決権抑圧・併合政策への国際的批判を強化すること。さらには、経済では中国依存からの相対的脱却にむけ、日米経済の協力を強化すること。地球温暖化対策にむけて、脱炭素化の戦略産業・政策を主導すること。付け足しで、コロナ対策の協力、東京五輪・パラリンピックへの協力一般などの外交辞令が演じられた。
 とりわけ日米のトップによって、わざわざ、沖縄・辺野古の新基地建設強行を確認しあう異例とも言える事態が起こった。それほどまでに日米帝の対中国・対共和国への軍事対決・戦争態勢の強化への位置づけは高い。沖縄人民の辺野古新基地建設阻止・普天間基地撤去や「本土」各地を貫く反戦反基地闘争に対して、日帝―菅政権は心底から危機感を持っているのだ。
 だからこそ、今国会では「土地規制法案」の制定が画策されている。米軍や自衛隊の基地周辺の土地・建物の所有者らを調査し、その利用を規制する。政府にその個人情報・思想調査を収集する権限を与える。沖縄では「新たな治安維持法というべき危険な法律だ」(琉球新報)と捉えられている。米軍や自衛隊の基地、海上保安庁の施設、原発など「重要施設」と国境にある離島を、それぞれが果たしている機能が阻害される事態を防ぐと法案の目的で述べている。「重要施設」の一キロメートルと、「国境」の離島を「注視施設」と規定し、司令部などは「特別注視施設」と指定。土地・建物の所有者や賃借人などの情報を集め、利用状況に関する報告も求めることができる。思想信条や、所属団体、職歴、家族・交友関係、海外渡航歴などを国家権力が収拾する。「個人情報保護に充分に配慮」は、努力義務でしかない。公安調査庁、警察、自衛隊などがこの調査を実施してくるのだ。反対派住民を監視、弾圧するものとなる。首相権限で利用中止勧告や命令を行うことができる。命令に応じないなら、二年以下の懲役、二〇〇万円以下の罰金を科すというのだ。一定面積以上の「特別注視区域」には、氏名、住所、国籍、利用目的など、事前の届出を義務付ける。明らかに、沖縄の反戦地主・一坪反戦地主や基地・原発の周辺住民など労働者人民の反戦反基地闘争に対する監視と弾圧・圧殺を狙うものなのだ。断固阻止あるのみだ。
 第三には、デジタル化と脱炭素化を日本社会変革の中心事業として押し出していることである。とくにデジタル化は中央集権的人民管理の徹底的な強化としてある。これは、経団連など日本独占資本が求める「第四次産業革命、Society5・0」とリンクした歴史的な階級再編攻撃=職種・雇用形態の大合理化や労働法制改悪と結合している。
 首相を長とする「デジタル庁」を今秋設置し、省庁・自治体や企業・学校・医療に対して、勧告権や資料提出権をもって、個人情報を国家が集権的に管理するのである。性別、年齢、職業、家族構成、年収、借入総額、医療経歴などの個人情報が保護されずに吸い上げられる。それらが、情報通信産業、民間教育産業、医療産業、保険会社、もちろん、金融資本、製造業などに流用され、これらが官民一体で利権構造を握り、労働者人民への情報管理=監視社会を確立し、搾取と収奪を抜本的に強めるのである。自治体・諸行政機関や企業など社会経済活動においてオンライン化が徹底され、対面での重要なサービス関係や自治体独自に実施される住民・個人の人格権保護が押しつぶされていくのだ。しかも、デジタル化・オンライン化・リモートとIoTやAIの活用によって、労働現場の業種合理化や労働時間・事業場の規定があいまい化し、裁量労働拡大・八時間労働制解体・長時間労働・残業代ゼロなどが横行するのである。解雇自由と金銭解決の法制化も狙われる。これは労働者の団結権など基本権と労働基準法を空洞化し、労働者人民解放の階級闘争における基礎的大衆的な連帯と団結の労働組合が破壊される。
 加えて、菅政権は長期の本格政権を画策しているが、そのなかで「自助」を軸にした新自由主義的再編を進め、中小企業や地銀の再編淘汰を狙っている。菅の成長戦略会議には、竹中平蔵、デビット・アトキンソン(元投資会社ゴールドマン・サックスのアナリスト)を編成し、「中小企業の労働生産性が低い。統合や大規模化によって、その数を減らさなくてはならない」と主張している。再編淘汰の攻撃である。中小企業の労働生産性は、大企業からの圧力・下請け化でコスト削減が極めて厳しいことによって抑えられている。労働分配率は、一九年統計で大企業56%、中小は73%であり、労働者人民の雇用と生活を支えている。中小は企業全体の99・7%、全労働者の70%を占める。大企業の巨額な内部留保を縮小し、中小の経営と労働者への改善に再分配することが求められている。
 第四には、入管法改悪の攻撃である。二月一九日、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)の改悪案が閣議決定された。人権をさらに蹂躙するものだ。「退去処分」が出ても帰国できない、しない、在留外国人に刑事罰を科す改悪は到底許されない。支援勢力も「監理人」に組み込み、監視し抑圧者とする。問題点の第一は、退去処分を拒む外国人の「長期収容解消にむけ」と理由づけ、約三〇〇〇名いるといわれる退去処分をうけ送還を拒否する人々に対して、三回以上の申請には原則として「送還停止」を認めないとしたことである。彼らの三分の二は難民認定を要求しており、強制送還されれば、生命にかかわる事態になる。第二には、退去強制の拒否に、刑罰が設けられることになる。一年以下の懲役か二〇万円以下の罰金、またはその両方を科すのだ。第三には、入管の恣意的判断による「管理措置」が認められた場合には収容が解かれるが、支援者らが「監理人」として監視を義務付けられる。在留外国人には健康保険、生活保護もなく、「仮放免」と何ら変わらない。だが、これまでの支援者たちを「監理人」として入管の下に編成することが問題である。最高三〇〇万円の保証金を納付し、生活状況などを入管当局への報告がが義務付けられる。外国人の退去強制と差別分断の攻撃を許してはならない。
 こうした戦争と差別排外主義、治安弾圧、諸権利の剥奪、新自由主義、搾取収奪の総攻撃を粉砕するために、菅政権打倒の全人民的決起を断固として進めていこうではないか。この攻防になんとしても勝利していかなくてはならない。

 ●3章 日帝―菅政権打倒を闘い抜こう

 菅の強権政治―弾圧強化、デジタル化、新自由主義的再編淘汰、日米同盟強化-改憲・戦争国家化とは、ブルジョアジーの利害を徹底化し、労働者人民の搾取抑圧支配を強めるものである。これまでの階級支配と階級矛盾のはげしい現れをいっそう激烈化するが故に、ますます強権的独裁政治として打ち下ろされているのだ。菅政権の下で、階級矛盾・差別分断・抑圧支配がいっそう強く激烈に進むのである。これを誤魔化し、全人民の怒りと憤激を霧散させようと、「国民利害」を喧伝し、携帯値下げなどを打ち出している。また「拉致問題」や「尖閣問題」など共和国と中国などへの脅威と排外主義を煽動するのだ。しかし、コロナ危機と政権危機が進んでいる。腐敗と強権が暴露され、沖縄、アジア、労働者人民への敵対もますます強まり、階級的矛盾と対立が激しくなっている。時は、菅右翼反動政権をその反人民的反動政策もろとも打倒することが問われている。これは、単なる腐敗と強権、戦争・排外主義の反動保守政治家の打倒にとどまらない。根底的には、一九一七年ロシア革命で始まった資本主義世界からこれを革命的に止揚するためのプロレタリア世界革命へと到る現代過渡期世界における、労働者・被抑圧人民・被差別大衆の自由と解放へと道のりを獲得する一環なのである。スターリン主義の誤りと分岐し、現局面を、労働者人民解放の現代共産主義運動の勢いをかちとっていくことを、世界史レベルで果たさなくてはならない。そうした観点からも、菅政権打倒闘争の勝利をかちとっていかなくてはならない。
 そのために、菅政権打倒の任務の第一は、広範な全人民の菅打倒の闘い、実際の決起を強く促進していくことである。不満と不信、怒りを、実際の決起へと推進していくことである。菅政権打倒の全人民的政治決起を、各地で、街頭で進めることである。コロナ禍もあって、この間、SNSなどネットでの闘いも工夫されている。女性差別の森を退陣させる一翼となったように、「菅やめろ」を広範な政治行動として強めよう。
 その一環として、秋までの総選挙もある。あくまでも労働者人民の反菅・反戦・反差別・反格差・反改憲といった政治決起・政治行動と連関させ、衆院選も活用していかなくてはならない。
 第二には、沖縄の差別と辺野古新基地建設強行、韓国の元徴用工・日本軍性奴隷制度被害者への敵対、ひいては戦後補償問題を居直り、アジア侵略戦争の正当化を絶対に許さず、これらを攻防環に据えきって、菅政権打倒を闘うことである。辺野古新基地建設阻止、戦後補償問題への謝罪と補償の実施、さらには反戦・反基地・反核の闘いを前進させ、三里塚闘争など各地の反戦反政府の闘い、AWCなどの反帝国際連帯など闘争拠点を強め、菅政権打倒をかち取っていこうではないか。
 第三には、菅政権の基礎にある現代資本主義・日帝ブルジョアジーの階級独裁に対して、これを打倒する労働者人民解放の国際主義と実力行動を貫くことである。そうした戦闘的な左派勢力を打ち固めていくことである。日共や立憲民主など議会主義・一国主義・資本主義の改良的延命勢力に菅政権打倒後の道を明け渡してはならない。宗派的な空論的セクト主義に陥ってはならない。労働者・被抑圧人民・被差別大衆の解放闘争、青年学生の決起など、現実の階級闘争の構造を建設し、菅政権打倒の第一幕から日帝打倒―プロレタリア革命への第二幕を現出させていかなくてはならない。ともに闘わん。




 


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