共産主義者同盟(統一委員会)






■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームへ

   狭山第三次再審勝利!
差別排外主義の激化を許さず、
  部落解放―日帝打倒で闘おう

         
全国狭山闘争連絡会

             


 狭山差別裁判の第三次再審をめぐる情勢は最終局面かつ最大の山場を迎えている。再審請求に伴う三者協議ではこれまでに二四一点もの証拠が開示されており、もはや石川一雄さんの無実は揺るぎないものになっている。にもかかわらず、司法当局はいまだ鑑定人尋問や事実調べを行おうとしていない。狭山事件は部落差別を利用した権力犯罪である。国家権力はヘイトスピーチやヘイトクライム等相次ぐ差別を利用し差別のさらなる強化をつくり出している。
 われわれは、全国の闘う人民とともに狭山第三次再審を勝利に導き、石川一雄さんの「見えない手錠」を一日も早く外していく決意である。差別排外主義の跋扈(ばっこ)・激化を許さず、差別煽動を続ける日帝―菅政権を打倒しよう。

 ●1章 部落差別が生んだ狭山事件

 あらためて狭山事件とは何かを振り返る。
 一九六三年五月一日、埼玉県狭山市で女子高校生が行方不明となり、脅迫状が届けられるという事件が起きた。警察は四〇人の警官を張り込みさせたが、身代金を取りに現れた犯人を取り逃がした。女子高校生は遺体となって発見され、警察権力の大失態に世論の非難が集中した。捜査に行き詰った警察は、付近の被差別部落に見込み捜査を集中し、なんら証拠もないまま石川一雄さん(当時二四歳)を別件逮捕し、一か月にわたり代用監獄で取り調べ、ウソの自白をさせて、犯人にデッチ上げたのだ。地域住民の「あんなことをするのは部落民に違いない」という差別意識やマスコミの差別報道の中でえん罪が生み出されたのである。
 裁判の一審は死刑判決。その後、石川さんをはじめとする部落解放運動、労働者人民の狭山差別裁判糾弾の闘いが大高揚する中で、二審(寺尾裁判長)は無期懲役判決という獄死攻撃を打ち下ろしたのだ。一九七七年に無期懲役判決が確定した。石川一雄さんは「自分は(国家権力に)だまされた」として直ちに再審請求を申し立てた。第一次再審請求は全く事実調べもなく棄却。一九八六年八月に第二次再審請求を東京高裁に申し立てるとともに、全証拠の開示と事実調べを行うよう東京高裁と東京高検に対して求めてきた。しかし、一九九九年七月九日、東京高裁裁判長・高木(当時)は事実調べを全く行わないままに、抜き打ちで再審請求を棄却した。この不当な棄却決定に対し、同年七月一二日、狭山事件の弁護団は直ちに東京高裁へ異議申立を行い、現在に至っている。
 狭山事件の二審の有罪判決が出されたのは一九七四年一〇月三一日。それ以来、裁判所による証人尋問や現場検証等の事実調べは一度たりとも行われていない。二四歳で別件逮捕された石川一雄さんは、三〇年以上も獄中生活を余儀なくされ、一九九四年一二月二一日、再審請求中に仮出獄した。そして、現在も無実を叫び続け、再審を求め続けている。差別糾弾の闘いが続いているのだ。
 狭山事件とは、部落差別を利用し、これを強めた国家権力の差別犯罪に他ならない。まさに部落差別に貫かれた差別裁判なのである。

 ●2章 再審請求をめぐる動き

 狭山差別裁判の再審請求では、二〇〇九年から裁判官・検察官・弁護人による三者協議が開始された。昨年末までに三者協議の開催は四五回を数え、万年筆や録音テープ等石川一雄さんの無実を決定づける新証拠が二四一点も提出されてきた。なかでも、発見万年筆のインク成分が被害者の万年筆のインクと異なることを証明した下山第二鑑定、コンピュータを活用した筆跡鑑定、スコップ、あらたな足跡など、石川さんの無実を証明する新証拠が次々と明らかにされている。相次ぐ新鑑定の提出によって警察権力による捜査の不正や証拠のねつ造、不当な証拠隠ぺいが明確となり、確定判決はますます揺らいできている。もはや司法当局は事実調べを避けて通ることができない状況だ。
 昨年六月には東京高裁の後藤眞理子裁判長が大野勝則裁判長に交代した。後藤裁判長退官時の「棄却決定」こそは阻止されたが、事実調べや鑑定人尋問へと歩を進めることはできなかった。いっぽう、昨年一二月二三日には袴田事件の再審を認めなかった高裁決定を取り消し、審理を命ずる差し戻し決定が最高裁判所から出された。
 石川一雄さんは今年の新年メッセージで「腰を据え闘い続けて第三次、証拠は揃い勝負の年へ」と短歌を詠み、闘う決意を明らかにした。もはや東京高裁は事実調べを避けて通ることができない。東京高検が隠し持つ残りの証拠をはじめ、保管の可能性がある捜査段階でのすべての証拠の開示、そして東京高裁へ事実調べ―再審開始を粘り強く求めていこう。

 ●3章 各地の闘い

 石川一雄さんの「見えない手錠」をなんとしても外していこうと、全国の闘う部落大衆が立ち上がっている。
 東京都墨田区では昨年四月、多くの地域住民等からメッセージ画像を集め、映像をつないだ朗読劇がつくられ、「石川一雄さん・早智子さんに送るメッセージDVD」が作成された。また昨夏の東京高裁裁判長交代にあわせて、狭山事件の事実調べと再審開始を迫る新たな要請ハガキが作成された。これらの取り組みは好評を博し、現在全国に拡散中である。
 また荒川区ではコロナ禍で数々のイベントが「自粛」や中止を余儀なくされる中、狭山弁護団・河村健夫弁護士を講師に迎えた地域集会が昨年一〇月に実現され、成功にこぎつけた。
 広島県福山市では「狭山差別裁判糾弾! 第三次再審勝利!」をテーマとした市民集会が開かれ、多くの人民の結集が勝ち取られた。毎月二三日(いわゆる23デー)には街頭でのスタンディングや情宣活動が継続して取り組まれている。この23デーの取り組みは、北九州市の地域共闘や、熊本市の「くまもと狭山住民の会」などにおいても同様に続けられている。
 こうした全国での取り組みに呼応し、全国狭山闘争連絡会(全狭連)は昨年五月より東京高裁前で毎月二三日にスタンディングを行い、狭山差別裁判の不当性と第三次再審開始を司法当局に訴え続けている。
 要請ハガキ行動を中心に再審要求署名・街頭行動等をさらに取り組み、全国の闘う人民とともに再審開始決定を求める闘いの大きなうねりをつくり出そう。

 ●4章 差別排外主義の跋扈・激化を許すな

 この間悪質な差別事件が後を絶たない。
 「鳥取ループ・示現舎」を名乗る輩が「部落探訪」と称して被差別部落の個人の墓石や名前・家屋・施設等を自身のホームページにさらし続け、部落差別をあおるようなコメントを意図的に発している。「鳥取ループ・示現舎」については、「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の最終弁論が今年三月一八日、東京地裁で行われた。この裁判は結審となり、九月二七日に判決が出されることになっている。
 狭山弁護団・指宿昭一弁護士も指摘するように、「全国部落調査」復刻版の出版は就職差別や結婚差別に悪用される可能性があり、差別解消を目指す部落大衆のこれまでの闘いを水泡に帰す行為である。また東京都葛飾区の公共施設等では差別落書きが横行している。被差別部落出身者に対する就職差別や結婚差別は、今も後を絶たない。
 コロナ禍のもとで朝鮮学校への差別も相次いでいる。昨年日帝―文部科学省は「学生支援緊急給付金」の対象から朝鮮大学校を外した。さらには授業料減免等の学校支援でも朝鮮学校を除外した。全国の各地の自治体で朝鮮学校へ補助金を支給させない動きも続いている。今年三月には川崎市の多文化交流施設館長宛に、在日韓国・朝鮮人を脅迫する文書が「コロナ入り残りカスでも食ってろ(ママ)」と記した菓子の空き袋とともに届くという極めて悪質な差別事件も起きている。絶対に許してはならない。
 二〇一六年六月に「ヘイトスピーチ解消法」、同年一二月に「部落差別解消推進法」が施行された。法律ではヘイトスピーチや部落差別の存在は認めているものの、禁止事項はなく、解消するための具体的施策実施に向けた財政措置もないという、実効性にはなはだ乏しいものである。こうした法律を実効化させ、ヘイトスピーチやヘイトクライムをなくしていくためには、被差別大衆と連帯し、差別煽動を続ける日帝―菅政権と闘うことが必要だ。
 差別の激化や融和主義を許さず、部落解放―日帝打倒の綱領的闘いにつながる部落解放運動の発展を勝ち取っていこう。差別排外主義の跋扈・激化を許さず、侵略反革命戦争体制の構築に向け差別煽動を続ける日帝―菅政権を打倒しよう。



 


Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.