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 コロナ禍の障害者差別の激化を許さず、
 日帝打倒をかちとれ!    
河原 涼



●1章 菅の逃亡を許すな

 九月三日、菅義偉は突如自民党総裁選不出馬を表明し、逃亡した。自らの政治生命の延命のみを追求し、選挙前党内役員人事も批判にさらされ、目を覆うばかりの逃亡劇である。人民の命、生活よりも、自らの利権や政治日程をあくまで優先してきた菅政権を絶対許してはならない。
 菅は、森友学園への国有地売却の決済文書をめぐる疑惑だけではなく、八六億円にも上る官房機密費の使途不明金、学術会議の六名の任命拒否など、夥しい疑惑を残したままである。
 八月二五日の記者会見では、感染症対策は機能しているのかという問いに対して、「他国と死者の数などを比べると明らかではないか」「明かりははっきり見えはじめている」と言ってのけた。まるでコロナ感染の死者数が自分の政策で激減したかのような大嘘を平気でついた。八月すでに東京の一日の感染者は、五〇〇〇人を悠に超え、専門家会議は「制御不能」と言い切り、全国の重症者は二〇〇〇人を超え、死者が日ごとに増加していた時期である。入院できる感染者は、一割にも満たなくなり、ほとんどが自宅で命の危険に晒され続ける、現実の厳しさを理解しようとしない。専門家会議の批判にも耳をかさない。
 その中で、障害者や女性をはじめ、あらゆる差別にとことん浸り切ったオリンピック委員会の反人民性、差別性は、全世界に暴露された。安倍―菅右翼反動政権は、生死を彷徨う人民の苦闘を嘲笑い、コロナ禍に喘ぐ人民の現実に一切接近せず、さらなる苦闘を強制してきた。それを引き継ぐいかなる政権も、粉砕しなければならない。

●2章 世界のコロナ禍の現状

 二一年六月の報道によれば、コロナ禍におけるうつ病などの人の割合は、他国の状況を見ると、米国は6・6%(一九年)から23・5%となり、3・6倍に急増。英国も9・7%(同)から19・2%と倍増した。
 九月一六日の報道によれば、欧米など七カ国の研究で、コロナウイルスによる精神障害者の死亡率が、健全者の一・八倍であり、統合失調症や双極性障害などの場合は、二・三倍になった。イギリスでの調査で、障害者三三五一人を調査し、そのうちの八割近くが精神的に不安定さが増し、20%が医療機関の予約が全て取り消され、二〇年三月以降、全く外出していない障害者が二四一人いたという。
 日本のうつ病やうつ状態の人の割合は、新型コロナが流行する前は7・9%(一三年調査)だったが、二〇年には17・3%と二・二倍になっていた。六月時点における、日本の全国の精神病院におけるコロナ陽性患者の発生状況は、資料によると、医療従事者のコロナ対策に対する不慣れもあって、容易に一〇〇人、二〇〇人を上回るクラスターが、全国で発生していた。二八〇床のうち70%近くの二三四床で陽性確認など、五〇人以上のクラスターが発生した病院は、ざっと数えて全国に五〇以上ある。国内感染の三・五倍、死亡率五・三倍ほどであるという。日精協は九月一五日精神科病院に入院中にコロナウイルスに感染し、転院を拒否されて、死亡した精神障害者が二三五人という調査結果を公表した。
 精神科の医師数は一般病棟の三分の一、看護師や准看護師は三分の二でよいとする「精神科特例」がある。医療従事者が圧倒的に少ない現状が、制度的に定着している。その上で基本的に密閉された空間で寝食を共にする。高齢者施設、障害者施設と並んで、精神病院においてはクラスターの発生率がきわめて高いのだ。また、閉鎖病棟の部屋に陽性患者と未感染の患者を混在させていた例もある。

●3章 コロナ受け入れ病院の実情

 医療体制の逼迫、危機的状況を伝える報道は、この間厳しさをます一方である。コロナ感染症患者を受け入れている病院で働く清掃労働者によれば、コロナ病室(ワンフロア全て)の清掃に関して、当初は、(希望者に限って)一日ごとの特別手当を持って、病棟の共用部分の水廻りを中心とした作業だったのに対して、二カ月ほど前から、特別手当の上乗せを条件に、感染患者の病室そのものの通常清掃も要請されてきた。そして、この間の感染爆発に合わせ、感染患者が退院した後のチェックアウト清掃に関しても要請が行われた。チェックアウト清掃とは、文字通り退院後に次の入院に合わせて清掃を行うものであり、大部屋の一人分で一五分程度、個室なら三〇分以上かかる仕事である。紫外線照射などを経なければならず、場合によってはさらに三〇分以上の時間がかかる。
 しかも、N95のマスクをはじめとしたフルPPE(完全防護服)で通常と変わらぬ清掃作業を行うのは、一人で一時間、ないしは一時間半が限度であり、ふらふらになることを覚悟しなければならない。しかも感染のリスクを常に背負いながらである。
 これまでの作業にチェックアウト清掃を加えれば、丸一日フルPPEをしたままで清掃作業をしなければならない。非常な過酷さが増すのである。しかし、そうして病室を確保するにしても、一日にコロナ入院は数人が限度であり、すぐ埋まってしまう。入院すること自体一般の多くのコロナ感染患者にしてみれば、奇跡ですらあるのだ。

●4章 精神障害者差別、障害者差別、法体系の再編を許すな

 コロナ禍、精神障害者差別が爆発的に発生している。
 神戸市の精神科病院、神出病院では昨年、看護師ら六人が暴行罪などで有罪判決を受けた。入院患者を全裸にし、水を掛けるなど虐待を繰り返していた。
 昨年三月に発覚したが、きっかけは別の事件で逮捕された看護師の携帯電話にあった虐待写真である。
 二一年三月、高知市の高知記念病院の看護師が逮捕された。昨年九月看護師が、担当する認知症の男性入院患者の裸を自身のスマートフォンで写真撮影し同僚に送信していた。看護師は「面白がってやった」と話しているという。
 また、大阪府茨木市では看護師が身体拘束中の患者の銀行カードから無断で金銭を引き出していた。
 五月二一日、事件を起こした一八、一九歳の厳罰化を図る少年法の改悪が可決成立した。全事件を家裁に送る仕組みを維持する一方、一八、一九歳を「特定少年」とし、二〇歳以上と同じ刑事手続きを取る事件を拡大する。実名報道も解禁する。逆送対象事件に、新たに「法定刑の下限が一年以上の懲役、禁固にあたる罪」を追加し、不定期刑も採用しない。少年を更生に導くという発想は、もはやない。
 五月二八日改正障害者差別解消法が成立した。民間業者に対して、障害者に対する「合理的配慮」が努力義務であったのが、行政と同様に義務として課せられる。しかし、差別の実態は何も変わらない。
 七月二六日、相模原障害者殺傷事件から五年が経過したが、障害者に対する優生思想、差別抹殺の思想体系は、オリンピック組織委員会のありようを見れば、むしろより強固に浸透していることを物語る。
 六月一六日、日本産婦人科学会は、遺伝性の病気を受精卵の段階で調べる「着床前診断」の対象疾患を成人後に発症する病気にも拡大する最終報告書をまとめた。着床前診断は、体外受精させた受精卵から一部の細胞を取り出し、遺伝子の「異常の有無」を調べ、いわゆる「異常のないもの」だけを子宮に戻す、究極の「命の選別」である。
 一方、七月一四日には、日本医学会が、病気で生まれつき子宮がないロキタンスキー症候群などの患者に対し、条件付きで健康な人の子宮の移植を容認する報告書をまとめた。慶應大チームがいち早く国内初の臨床研究の実施計画を、同大倫理委員会に申請した。
 かたや最先端医療の着床前診断で障害児の出生を封印し、健全児の出生率を高め、かたや子宮の移植を進めて、健全児を産む母体を学会がコントロールするという構造である。医療全体、学会総がかりで、障害者抹殺を仕掛けてきているのだ。
 障害者差別解消法の改正が成立しようが、政府がオリンピック、パラリンピックで障害者の差別解消を申し訳程度に唱えようが、本質的に日帝の差別政策は、天皇制優生思想を軸により強固に行われている。コロナ禍にあって、貧富の格差も拡大し、激化の一途である。差別の激化―拡大を通した一切の生活破壊、障害者差別の蔓延拡大を許さず、自立解放―日帝打倒をかちとれ!

 


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