共産主義者同盟(統一委員会)






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■『戦旗』1624号(11月5日)3面

 
日米帝国主義の中国包囲弾劾!
 大軍拡、琉球弧の戦場化を許すな
  
                    
                  
九州・山口地方委員会


●はじめに

 米国では台湾政策法案が議論されている。台湾を米国の同盟国として軍事支援を大幅に強化し、在米機関の名称を「台湾代表処」に替えて外交特権を付与するなどというものだ。米議会は「一つの中国」政策を否定しようとしている。中国政府を挑発し、台湾人民を危険にさらす行為だ。
 今年八月末から九月にかけて行われた、陸上自衛隊と米陸軍の共同訓練「オリエントシールド二二」において、奄美駐屯地での訓練を視察したジョエル・ヴァウル在日米陸軍司令官は「このような重要な前線となる地域では、日本は最も重要な同盟国となっている」と話している。琉球弧を日米両政府が米中対立の最前線として設定していることを改めて表明したということだ。
 琉球弧を再び戦場にしてはならない。日米の戦争策動に反対して闘おう。

●1章 岩国、九州全域、琉球弧を戦争動員する日米両政府を許すな

 防衛省は九月二八日、西之表市、中種子町、南種子町の一市三町を再編交付金の対象とする「再編関連特定周辺市町村」に指定したと発表した。九月三〇日、西之表市議会では、馬毛島の私有地を国に売却する議案が可決された。八坂俊輔市長は賛否を表明していないが、政府は馬毛島への基地建設を推し進めようとしている。
 馬毛島の基地建設について、防衛省は緊急時の活動拠点、平素の訓練拠点と表現している。訓練場にとどまらず、兵站基地として計画されているということだ。岩国から九州全域、琉球弧を貫いた軍事ラインが形成されようとしている。
 岩国基地の機能強化が着実に進められている。中国新聞九月一五日の記事によると、米軍は岩国基地内にある一万バレルのタンク三基を解体し、五万バレルのタンク三基を新たに造り、さらには中型のタンカーが着岸できる係留施設や桟橋を基地南東部の港湾施設に設けるという。ジェット燃料タンクは五倍の量が備蓄出来、さらにはタンカーから直接搬入することが出来るようにする計画だ。
 米軍艦船の基地運用が大幅に増大している。自動車運搬船グリーン・リッジ、深海作業支援船ファンゴッホ、洋上遠征基地ミゲルキースなどが立て続けに寄港している。航空機に関しても、空軍、海軍、海兵隊の戦闘機が訓練を行った。七月七日、岩国基地において多数機発進準備訓練(エレファントウォーク)が実施されている。一大デモンストレーションだ。無人偵察機トライトンの一時的な配備も行われた。岩国基地の強化を許してはならない。
 本年も陸上自衛隊と米陸軍との共同訓練、オリエントシールド二二が行われた。
 今年の担当は九州の西部方面隊であった。実施部隊は、西部方面総監部、第四師団、西部方面特科隊、第二高射特科団、西部方面システム通信軍等である。米陸軍からは在日米陸軍司令部、第一マルチ・ドメイン・タスクフォース、第一―二四歩兵大隊、第一七砲兵旅団(米国ワシントン州、ルイス・マッコード統合基地)、第三八防空砲兵旅団(司令部は相模原の相模総合補給敞)等が参加している。
 訓練が行われた場所は健軍駐屯地(熊本県)、奄美駐屯地(鹿児島県)、福岡駐屯地(福岡県)、えびの駐屯地(宮崎県)、高遊原分屯地(熊本県)、瀬戸内分屯地(鹿児島県)、霧島演習場(鹿児島県)、大矢野原演習場(熊本県)等であった。
 奄美大島での訓練が八月三一日に報道公開された。陸自約二〇〇人、米陸軍約五〇人が参加した。昨年に続いて、米陸軍の高機動ロケットシステム(HIMARS)が展開し、併せて日米の電子戦部隊による実動訓練が行われた。
 九月八日には奄美駐屯地において「一二式地対艦誘導弾」(一二SSM)での射撃態勢をとる訓練を実施した。従来型の射程は二〇〇キロメートルとされているが、能力向上型では一〇〇〇キロメートルほどに射程を伸ばしていると言われる。政府が保有を検討している「敵基地攻撃能力」(反撃能力)に当たるものとされている、長射程のスタンドオフミサイルとして量産、配備を行おうとしているものだ。
 九月二日、熊本県山都町の大矢野原演習場で実射訓練。米陸軍が携行式の対戦車ミサイル「ジャベリン」を使用。陸自が「〇一式対戦車誘導弾」を使用した。
 福岡駐屯地では米陸軍がパトリオットを搬入し、陸上自衛隊のミサイル部隊とともに共同対空戦闘訓練を行った。
 米軍は中国を念頭に置いた軍事訓練を展開しており、陸上自衛隊の訓練も米軍と共同の作戦を念頭に置いたものとなっている。今回の演習では「ジャベリン」「HIMARS」を使った訓練の様子が報じられた。これらは米国がウクライナに供与して勇名を轟かせている兵器だ。米政府はこれらの兵器を演習に登場させることで、米軍が日本にとって強力なパートナーであるとアピールしているのだ。
 麻生太郎自民党副総裁は八月三一日、安倍派の研修会で「沖縄、与那国島にしても与論島にしても、台湾でドンパチが始まることになれば戦闘区域外とは言い切れないほどの状況になり、戦争が起きる可能性は十分に考えられる」と発言している。台湾での戦闘が起こった際に日本政府が「武力攻撃事態」と判断するのか、「存立危機事態」と判断するのか。いずれにせよ中国と交戦状態になった場合、真っ先に攻撃されるのは、自衛隊が配備された琉球弧の島々であろう。
 奄美大島に陸自の警備部隊や地対艦、地対空ミサイル部隊が配備された。宮古島には陸自の警備部隊、地対艦、地対空ミサイル部隊が配備された。石垣島には陸自の沿岸警備部隊、地対艦、地対空ミサイル部隊が配備された。これらに加えて、奄美駐屯地には、西部情報保全隊・奄美情報保全派遣隊も配備された。情報保全隊とは、早い話がスパイの取締部隊であり、住民もまた監視対象とされるのだ。当然、与那国島、石垣島、宮古島でも情報収集が行われることになろう。
 自衛隊が配備されることにより、基地の島として認識されることとなる。望むと望まざるとを問わず、自衛隊と関係を持たざるを得なくなる。宮古島では聖域とされる水源地の森が基地によって囲い込まれ、破壊された。新たに造られた保良弾薬庫は民家からわずか二〇〇メートルしか離れていない。反基地を闘う住民と連帯し闘おう。
 四方を海に囲まれた状態で、一体どこに避難出来ると言うのか。石垣島、宮古島もアジア・太平洋戦争の際、軍が配備されたことにより米軍の攻撃にさらされることとなった。当時は台湾に疎開したというが、台湾有事の際はどこに逃げるというのか。「国民保護法」により、自治体が作成している避難計画では、上陸作戦となれば沖縄島か、他県に避難するとなっているが、実際に避難することは困難だ。政府は沖縄県、先島諸島に退避シェルターを整備する計画という。最終的には、避難は自治体と住民の責任で行うことにされるのだ。このような事態を引き起こしてはならない。

●2章 軍事力の強化進める岸田政権を許すな

 九月三〇日、防衛力強化を話し合う「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が発足した。
 現在、岸田首相は『防衛費の相当な増額』と曖昧な発言をしているが、五年程度をかけ、防衛費をGDP比2%以上に増額する方針だ。単純計算で防衛費を現在の二倍にしようというのだ。
 一二月下旬には、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の三文書を改定するとしている。防衛力の強化、防衛費の増額を入れてくることは間違いない。
 八月三一日、防衛省の概算要求が公表された。要求額は過去最高の五兆五九四八億円となっている。さらに、これに事項要求が加わる。防衛力を五年間で抜本的に強化するとして、スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、持続性・強靱性などに必要な取り組みの七項目を挙げている。
 無人アセット防衛能力とは、無人機を軍事利用するというものだ。
 イージス・システム搭載艦を建造するという。イージス・アショア配備計画が頓挫したため、先走って購入してしまった機材を使うために建造しようという代物だ。
 日本政府はイギリス政府との間で、次期戦闘機開発に向けた協議を進めている。その額たるや開発費に一兆円、一機あたり二〇〇億円とも三〇〇億円とも言われる。一方で、イギリスとの共同開発となれば、装備移転というなの兵器販売に関わることとなる。
 防衛費増額の財源については、①増税、②他の事業の縮小、③国債発行のいずれかで確保するしかない。②をとった場合、真っ先に対象となるのは福祉、社会保障分野だろう。防衛費の増額など到底認められない、むしろ減額すべきだ。
 防衛関係者は、「お金がないので、国民の生命安全は守れません」という理屈は認められない、と主張する。この言い分を通せば際限無く増額しなければならないことになる。当然ながら、お金があれば何とでもなるという話では無い。人や物、環境等、様々な資源を投入しなければ物事は進まない。人口減少が進む中で、普段の生活を支えるためにこそ、資源を活用し、労働しなければならない状況なのである。
 防衛省は無人アセットを「革新的なゲーム・チェンジャー」と表現している。ゲーム・チェンジャーになることで、パワー・ゲームを優位に進めたいとの夢を語っている。しかし、このむなしいゲームに興じるのでは無く、いっそ、このようなゲームからは降りるべきなのだ。
 日本に参戦させない、台湾、琉球弧を戦場にしないために、反戦、反帝闘争を力強く取り組んでいこう。

 


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