■『戦旗』第1640号(8月5日)4-5面
被爆78年、8・6広島青空式典へ集まれ!
侵略反革命と闘う被爆二世の会
●はじめに
米軍による広島・長崎への原爆投下から七八年が経過しようとしている。だが、核戦争の危機はウクライナや東アジアで高まっているし、核兵器保有国は増え続けている。その根拠となっているのがNPT(核不拡散条約)体制であり、昨年一〇月米帝―バイデン政権が発表した「核態勢の見直し(NPR)」だ。米帝―バイデン政権は核戦力の強化と同盟国を含めた拡大抑止戦略を打ち出している。日帝―岸田政権は、二〇二二年一〇月二八日の外務大臣談話においてこれを支持し、核抑止を含めた拡大抑止力を強化するとしている。実際には、安倍の「安保関連法」を引き継ぎ、「集団的自衛権」の実践的行使に向けて「安保三文書」によって「大軍拡」路線へと踏み込んでいる。沖縄島や宮古島や石垣島などの琉球弧の島々を自衛隊のミサイル基地にして、敵基地攻撃能力を確保しようとしている。こうした軍事力の強化は、新たな戦争を招く。軍隊も基地も住民を守らないことは、アジア・太平洋戦争の大きな教訓だ。
これまで以上に私たちは、被爆者や戦争体験者が訴え続けてきた戦争反対! 核兵器廃絶! という願いを受け継ぎ、声を上げていこうではないか。そして、8・6広島現地行動に被爆二世・三世・四世をはじめ、多くの反戦・反核・反差別・被爆者解放を掲げる民衆は、共に立ち上がろう。国境を越えた民衆の連帯で、ウクライナ戦争の即時停止を訴え、東アジアの民衆の連帯による平和を作り出していこう。
全ての闘う仲間の皆さん、8・6広島「青空式典」へ集まれ!
●1 世界を分断し、核戦争を呼び込むG7広島サミット糾弾! 過剰警備弾劾!
今年五月一九日から二一日にかけて広島市で開かれた主要七カ国首脳会議(以下G7広島サミット)には、全国から二万四〇〇〇人の警官が警備のために集められた。すでに、五月初めから広島市内の各所で機動隊のバスや警官の配置がなされ、一九日当日には、広島市の平和公園の周囲はフェンスで囲まれ、至る所に警官が立っていた。本来、広島市民や被爆者・二世・三世が原爆で亡くなった友人や家族を追悼する場であるはずの墓所(公園)が、その友人や家族や遺族は入ることも許されなかった。
広島と長崎に原爆を落とした国である米帝のジョー・バイデン大統領をはじめ、イギリスのリシ・スナク首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、ドイツ出身のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、ベルギー出身のシャルル・ミシェル欧州理事会議長と岸田首相のG7の首脳たちだけが侵入するために、広島市は戒厳令状態となったのだ。つまり、核のボタンを持った指導者とその同盟国の指導者が広島の平和公園を占拠するためにのみ、この過剰警備が作り出されたのだ。
電車やバスもG7の首脳たちが通る時間は止められ、高速道路も通行止めとなった。広島サミット期間中は、職場や店舗が休みになったり、公共交通機関の運行数を減らしたり、マイカー自粛、外出自粛の呼びかけさえあった。治安弾圧そのものであるこの警備や自粛強制に断固、抗議する。
一方、こうした状況を打破し、一九日・二〇日とデモを貫徹した団体もある。デモの出発時間は一時間も遅らされ、コースも平和公園の前を通ることさえ許されなかった。しかし、両日とも一三〇名を超す市民が全国から参加した。海外からの参加者もあり、広島市民も飛び入りで参加したり、沿道から応援したりした。
日帝―岸田は被爆地広島がG7広島サミットを容認したかのように演出しているが、被爆者団体や市民団体は抗議声明を出している。
●2 「G7首脳広島ビジョン」は核戦争への道だ!
日帝―岸田をはじめとするG7首脳は「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」(以下、「広島ビジョン」)を出した。被爆地広島において米帝を始めとするG7傘下の核保有国の核抑止力を肯定することによって、世界を分断した。その上で、G7に参加する核保有国こそがNPT体制のもとで、核兵器を管理し持つことができると宣言した。
一方、この広島ビジョンのどこにも、広島・長崎の「被爆者」という言葉はでてこない。しかも、核兵器の非人道性について言及することもない。広島・長崎の原爆について触れているのは、「広島及び長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人間的な苦難」と書いてあるだけだ。
つまり、原爆を非人道的な兵器としないことで、国際法上、あくまで使える兵器として核兵器を残したいのだ。また、ロシアがウクライナ戦争で核兵器を使用する危険性と、ベラルーシへの核兵器の配備も含めて、ロシアの核兵器を批判している。加えて、朝鮮民主主義人民共和国やイランの核開発を脅威としており、中国の核兵器の配備拡大を批判している。
核兵器は何処の国の物であっても、絶対悪だ。
最も許せないのは、広島・長崎に原爆を落としたのは何処の国なのかを書いていないことだ。実際に戦争で核兵器を使用したのは、米帝だけであり、そのことに一切触れていない「広島ビジョン」に憤りを感じる。米帝―バイデンは、広島・長崎への原爆投下が非人道上許すことのできない戦争犯罪であることを認め、被爆者・二世・三世に謝罪すべきだ。
また、「広島ビジョン」は核兵器禁止条約に一切触れることなく、核兵器不拡散条約(NPT)や新戦略兵器削減条約(新START)、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)、包括的核実験禁止条約(CTBT)に有効性があるように言っている。NPT体制の下で上記条約が役割を果たさなかったからこそ、核保有国は増えていったのだ。
「広島ビジョン」に書かれていることは、時代に逆行している。核抑止力を肯定する限り、核兵器を廃絶することは出来ず、核戦争の危機を高まらせるだけだ。核抑止力を肯定し、核兵器廃絶を否定する動きがG7広島サミットを通じて世界中に流布されたことを、われわれは被爆二世として徹底して弾劾する。
●3 広島市民の反戦・反核の声を圧し潰すな!
広島市教育委員会は、二〇二三年度から平和教材の「ひろしま平和ノート」の小学三年生教材から漫画「はだしのゲン」を、中学三年教材から「第五福竜丸」を、高校一年教材から被爆者である中沢啓治さんのインタビュー記事の中の被爆体験の部分を、削除した。学習指導の目的が、核兵器廃絶から核軍縮への世界の動きに変わっている。これは、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」で示された核抑止力の肯定にもつながる。
核兵器は一個あってもダメなのであって、ゲンが漫画の中で言う、核兵器を絶対になくしていかなくちゃあいけないという叫びは被爆者・二世・三世の心底からの願いだ。すぐに核兵器が無くならないからと言って、「核抑止力」による安全保障を考えるなどもってのほかだ。
●4 米帝の原爆投下責任の清算と日帝のアジア民衆に対する戦争責任の清算を許すな!
米帝―バイデンは米軍岩国基地を経由して広島に入ってきた。二〇一六年にオバマ大統領が被爆地広島に来た時も、米軍岩国基地を経由している。核安保体制の要としてある米軍基地を根拠に被爆地に来ることなど、本来許されないことだ。
今回はG7広島サミットと同時期に、原子力空母ニミッツがもう一つの被爆地長崎市の間近にある佐世保に寄港した。米帝―バイデンは、広島・長崎への原爆使用という戦争犯罪を隠蔽したまま、新たな核による拡大抑止力の強化に日本と韓国を同盟国として巻き込もうとしている。
日帝―岸田が元徴用工強制労働者や旧日本軍性奴隷制被害者に謝罪や補償もせず、尹錫悦大統領と一緒に韓国人原爆犠牲者の碑に献花したのと同じことだ。戦争加害の事実に向き合わない限り、日米両帝国主義の戦争責任及び戦後責任は果たされない。私たちは、米帝の原爆投下責任と日帝のアジア・太平洋への侵略と植民地支配の責任を今後も断固として追及していく。
●5 「広島ビジョン」の根拠―バイデン政権の核態勢の見直し(NPR)に反対しよう!
二〇二二年に発表された米帝―バイデン政権の核戦略は、二方面戦略を採用している。現在ウクライナで侵略戦争を行っているロシアとの対抗、すなわち、核同盟国であるNATOと共に欧州大西洋地域における核抑止力の強化と、中国を敵国と想定したインド・太平洋地域における核抑止力の強化だ。どちらも、その地域の同盟国との核兵器を含む拡大抑止の強化を図ることを前提としている。しかも、核の近代化を図りながら、空軍のB21やF35Aの戦闘機に核兵器を搭載できるようにしようとしている。あくまで、核兵器が抑止力の中心となっており、現実に新たな核兵器を更新できる施設まで整備しようとしている。
米帝は、核兵器禁止条約が、国家が核兵器を保有する原因となっている安全保障上の対立を解決できるものではないとして、その有効性を否定している。しかし、唯一戦争で核兵器を使用した国は米帝だけなのであり、米帝が核兵器禁止条約を批准すると被爆者に賠償する義務が生じることを恐れているのだ。また、他の核保有国は核実験で先住民を被爆させたり、住居地を放射能汚染したりした責任を問われる。
米帝に核兵器禁止条約への批准を求めるには、被爆者・二世・三世への謝罪と賠償を求める動きがもっと大きくなることが大切だ。核態勢の見直しによる同盟国への軍事負担やミサイル基地の設置などが、戦争への動きを加速し、核戦争の危機を作り出していることを合わせて批判する必要もある。
日帝―岸田政権は、核抑止力の強化に頼るのではなく、核兵器廃絶を現実のものとするために、核兵器禁止条約にこそ賛同し、署名・批准すべきだ。また、台湾有事を意図的に作り出すのではなく、台湾、沖縄、中国、日本の民衆が連帯することで東アジアの平和を作り出すことが最も重要だ。
●6 終わらない被爆者問題
戦後七八年を経過しようとしている現在、未だ原爆被爆者として認められない被爆者がいる。それは、長崎の被爆体験者であり、一九四六年六月一日以降(広島被爆の場合)または一九四六年六月五日以降(長崎被爆の場合)に生まれた被爆二世・被爆三世だ。そして、国交を持たない朝鮮民主主義人民共和国の被爆者には未だ被爆者援護法が適用されていない。また、被爆者の中には差別されることを恐れて被爆者手帳を取得せず、被爆者であることを隠して生きてきた人たちもいる。
私たちは、日帝がアジア・太平洋侵略戦争を起こして、国体護持(天皇制護持)のために戦争終結を遅らせたがゆえに、沖縄戦や各地の大空襲、広島・長崎への原爆投下があったことを知っている。そして、原爆被爆者の中には、朝鮮半島から日本に来ることを余儀なくされて被爆した朝鮮人が多数いることも知っている。当時、日帝が朝鮮半島を植民地支配していたからだ。こうした事実を考えると、日本は唯一の戦争被爆国ではなく、韓国や朝鮮民主主義人民共和国も被爆国といえる。
米帝は、人道上許すことのできない戦争犯罪を一九四五年八月、広島と長崎において二度にわたり行ったのだ。私たち被爆者・二世・三世は米帝―バイデン政権に対して、原爆使用という戦争犯罪を許すことなく、その戦争責任を追及していく。
●7 長崎の「被爆体験者」は被爆者だ!
長崎の原爆被爆者は、旧長崎市の範囲を被爆地域としたがために、爆心地からの距離が同じでありながら被爆者と認められない多くの「被爆体験者」がいる。原爆投下当時、黒い雨を浴びたり、放射性物質を大量に含んだ雨やごみが住居地や畑に降ったりして、被爆し、ガンや白血病などの病に罹った人々が多数いるのだ。国は、こうした人々を被爆者とは分けて「被爆体験者」として差別し、被爆者援護法による援護を拒み続けている。
二〇二一年七月の「黒い雨訴訟」広島高裁判決は、被爆者援護法の第一条三号の意義を「原爆の放射能により健康被害が生ずる可能性がある事情の下に置かれていた者」を被爆者という画期的な判断をした。国は上告はしなかったものの、広島の黒い雨被爆者のうち健康管理手当に該当する疾病を発症している者だけを被爆者援護法による被爆者としたのだ。しかも長崎の「被爆体験者」へは一切波及させなかった。
原爆に放射能の違いはあるわけもなく、長崎の黒い雨被害者ともいうべき「被爆体験者」を被爆者援護法の三号被爆者とみとめないことは、差別以外の何物でもない。高齢化する「被爆体験者」を、一刻も早く被爆者と認めることが必要だ。
●8 被爆二世を第五の被爆者として認めよ!
国(厚労省)が被爆二世対策として行っているのは、年一回の単年度措置としてある被爆二世健康診断だけだ。被爆三世に至っては、何の援護もない。被爆二世も既に高齢化しており、一番上は七七歳になる。年齢にかかわらず、ガンや持病のために亡くなる者もいる。多くの被爆二世が被爆者と同じような病気に罹るのではないかという健康不安を持っている。
全国被爆二世団体連絡協議会は、被爆二世の援護を実現するために、二〇一七年二月より被爆二世集団訴訟を被爆地広島と長崎で行ってきた。二〇二二年一二月一二日長崎地裁で、二〇二三年二月七日広島地裁で、遺伝的影響の可能性は否定できないと認めたにも関わらず、原告の請求を棄却した不当判決が出された。私たちは、これを到底許すことができない。国家補償に基づく被爆者援護法の被爆二世への適用を国に求める。
一審判決の論点は二つある。一つは、被爆二世に遺伝的影響はあるのかどうかということだ。長崎地裁判決は「原爆放射線による遺伝的(継世代的)影響については、未だ知見が確立しておらず、その可能性を否定できないというにとどまる」と述べ、広島地裁判決は「ヒトに関する放射線の遺伝的影響があることが通説的見解や有力な見解として一般的に認識されているとは認められていない」として否定した。ヒトについて実験できないのは当たり前であり、ほ乳類のマウスを使った野村大成先生の動物実験で放射線の遺伝的影響が証明されていることを軽視している。私たちは、動物実験の過小評価を許さない。
また、広島地裁判決は、「放射線の遺伝的影響による健康被害の可能性が科学的に明確に否定されているとはいえない現状からすると、被爆二世である原告らが自らの健康等につき不安を抱くのは自然なことである」と言及しながら、援護の対象者については「国の合理的な裁量的判断に委ねられている」として、司法としての判断を逃げたのだ。
二つ目は、被爆二世が被爆者援護法第一条三号の被爆者もしくはみなし被爆者に該当するかということだ。
長崎地裁判決は、被爆者援護法第四条が「胎児」を対象としていることから、被爆者援護法第一条の一号から三号については「既に出生していた者を対象とする」者であり、「三号についても、その身体に直接被爆した原爆の放射能により健康被害が生ずる可能性がある事情の下に置かれていた者」を対象としていると限定した。この一九四五年八月六日、および八月九日に直接放射能を被爆二世は浴びていないから、被爆者援護法の被爆者に該当しないという論理は、被爆二世を援護しないために作られた論理であり、到底納得できない。
この考え方は広島地裁判決にも引き継がれている。この判決の部分は、論理矛盾している。何故なら、直接放射能を浴びた親から作られた生殖細胞によって生まれたのが被爆二世であり、原爆投下時に生きていたかどうかで判断するのは、論理のすり替えだからだ。しかも人間以外の動植物では、放射能の遺伝的影響が実験で証明されている。こうした科学的根拠に立って人間への影響についても考えることこそ、司法が司法としてやらなければならない責務だ。私たちは、広島・長崎の両控訴審を全力で闘い抜く。
五月一八日に超党派の国会議員により結成された被爆者問題議員懇談会に被爆二世の援護の問題を国会で取り上げるように強く要請する。
六月二九日開始された福岡高裁の控訴審第一回は、闘い半ばにすい臓ガンで亡くなった原告の意見陳述が証言として採用され、原告団長が代読した。多くの被爆二世がガンで亡くなっていること、放射線の遺伝的影響を否定できないこの被爆二世の現実に、司法はしっかり向き合ってほしいと赤裸々に語られた。
国は、一審で論議が尽くされているとして結審を求めたが、裁判長は続行しますと応え、次回期日が一〇月一七日となった。広島高裁の第一回期日は一〇月二四日となっている。勝利するために、多くの傍聴者で裁判を埋め尽くそう。
●9 日帝―岸田政権の原発推進政策を許すな!
二〇二二年八月二四日、日帝―岸田は脱炭素社会への移行を目指す「グリーン・トランスフォーメーション(GX)実行会議」において、原発の新増設を検討するよう指示した。原発の新増設は想定していないとの今までの政策からの大きな転換だ。
そして二〇二三年五月三一日、原発運転の「六〇年超」を可能にするGX脱炭素電源法案が可決、成立した。これは、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法の五つの改正案をまとめた束ね法案だ。
この法案の第一の問題点は原子力基本法に新たに「国の責務」を新設することだ。立地から廃炉までを国が責任を持つということは、膨大な費用を税金で賄い、そのつけは将来世代にまでのしかかるということだ。
第二の問題点は、原発の運転期間について安全性を担保するために、「利用と規制」を分けて原子炉規制法等で定めていたものを、経産省が所管する電気事業法で定めることに変更となることだ。安全性より経済の論理が優先されれば、第二の福島事故が起きる可能性が大きくなる。
第三の問題点は、裁判所による仮処分命令で停止した期間を運転期間から除外して、原則四〇年という原発の運転期間を大幅に超える六〇年超に道を開こうとしていることだ。「裁判官の独立」を侵してまで、原発の運転期間を延長することは、今まで以上の過酷事故を引き起こす原因となる。こうした、日帝―岸田政権の原子力政策の推進を絶対に許さない。
私たちは、原発の再稼働を許さず、新規原発建設としてある上関原発建設に断固反対する。中国電力は昨年一〇月、田ノ浦で漁業をしている祝島の島民を「妨害予防請求事件」というSLAPP訴訟で訴えた。上関原発建設に伴う田ノ浦湾でのボーリング調査の妨害を止めろという中国電力の主張だが、「祝島島民の会」は、(一)漁業権は何ものより優先すること、(二)「祝島島民の会」は船を持っておらず妨害することはできないこと、(三)和解条項は埋め立てに関することであり、今回のボーリング調査は埋め立て後の建設可否を判断する調査であるから和解条項とは関係ないことなどを主張している。
何よりも、祝島の漁業者は上関原発建設計画に同意していない。中国電力は、二〇〇〇年の補償契約で補償金を支払い済みとしているが、補償金は共同漁業権管理委員会に支払われただけで、祝島の漁業者は受け取っていない。祝島の漁業者が補償金を受け取っていない限り、ボーリング調査も埋め立て工事も、祝島の漁業者の自由漁業の権利を奪うことはできない。
また、瀬戸内海の中で上関の海は「奇跡の海」と呼ばれ、オオミズナギドリやカンムリウミスズメの住む自然豊かな場所だ。田ノ浦湾には、人類の祖先でもあるナメクジウオがたくさんいる場所もある。多種多様な研究者や動植物の好きな人たちが、一年を通じて自然観察に訪れている。この貴重な自然を一〇〇年後の子ども達に残していくのが、私たちの責務だ。上関の自然を守る会の活動を支援し、上関町民と一緒に、上関の豊かな自然を守っていこう。また、使用済み核燃料中間貯蔵施設誘致の動きにも注視し反対しよう。
東京電力福島第一原発事故から一二年、福島第一原発事故被害者と連帯して共に闘う。そして、福島第一原発事故でできたALPS汚染水の海洋投棄に反対する。
汚染水投棄は、世界中の海の放射能汚染につながる許しがたい犯罪だ。たくさんの放射性核種を含んだ放射能汚染水は、もっと保管場所を広げて地上に保管すべきだ。韓国民衆のALPS汚染水海洋投棄反対の運動を共に行う中から、世界中のALPS汚染水海洋投棄反対の声を大きくしていこう。
最後に、原発被ばく労働者の補償を求めるあらかぶ裁判を断固支持する。あらかぶさんは、東京電力に対して被ばく作業や危険手当などの労働条件に関する団体交渉を求めていたが、団交を拒否され、東京都労委に救済申し立てを行い、再度中労委に再審査申立てを行った。そして、二〇二三年一月六日、東京電力からあらかぶさんに「感謝」の一言を勝ち取り、中労委の場で勝利的に和解した。今後も、あらかぶさんの闘いに連帯しよう。
●10 すべての闘う皆さん、8・6広島青空式典に集まろう!
8・6広島青空式典は二〇一三年より韓国の仲間も加わり、日韓共同行動で行っている。コロナ禍でも日本と韓国を繋ぎ同時行動を貫いた。
今年五月、新型コロナが5類感染症に移行され、海外から日本へ来やすくなった。今回の8・6広島は海外からも多くの観光客も訪れるだろう。七八年前の広島で何が起きたのか、今、日本で何が起きようとしているのか、多くの人に関心を持ってもらいたい。
広島市の近くの岩国には米軍岩国基地がある。六月二九日、米軍の大規模な演習に参加する空軍の部隊が米軍岩国基地に飛来した。七月二日から二一日まで行われる米軍大規模軍事演習「ノーザン・エッジ」のためのものだ。演習では米軍展開部隊と航空自衛隊の共同訓練も予定されている。
こうした事柄を被爆地広島に来た反戦・反核を願う民衆に伝え、共に世界中から戦争をなくし、核兵器を廃絶させよう!
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