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 ■『戦旗』第1652号(2月20日)5-6面

  

  上関原発も使用済み核燃料乾式中間貯蔵施設もいらない!

  九州・山口地方委員会     

 

●上関原発建設計画を白紙撤回させよう

 二〇一一年の東京電力福島第一原発の過酷事故以降、上関原発建設計画予定地田ノ浦の埋立工事は一切行われていない。 
二〇一一年二月、中国電力(以下中電)は大量の警備員を動員して、田ノ浦で座り込みをしている祝島の人たちをはじめとする多くの人々を強引に排除しようとした。この過程で、カヤッカーの若者や祝島の女性たちがケガをした。そうした事態を受けて、埋立工事はいったんストップした。その半月後の東日本大震災による東京電力福島第一原発過酷事故を受けて完全に工事はストップしたままである。
 上関原発計画が浮上した一九八二年より祝島の島民をはじめ多くの人々が反対の声をあげ続けている。特に祝島の漁業者は中電の漁業補償金も受け取らず、上関原発建設に反対している。
しかし、二〇〇一年四月二三日、山口県の二井知事(当時)は国の電源開発基本計画の組み入れに際して、知事同意した。その前提として六分野二一項目の要請事項を国に提出した。
 二〇〇八年一〇月二二日、山口県は中電が提出していた上関町大字長島地先公有水面埋立て免許を許可した。公有水面埋立法によると、許可から一年以内に着工し、着工後、三年以内に竣工しなくてはならない。
中電は田名埠頭に真新しいブイを置き、そこから船で田ノ浦に運ぼうとしていた。祝島の漁業者や上関原発建設に反対するカヤッカー、市民が連日抗議行動を行っていた。しかし二〇〇九年一〇月七日、台風が接近していた早朝、本来予定していた田名埠頭ではなく、よそから持ってきた中古のブイを予定地に設置して、工事着工とした。中電はその後も田ノ浦を埋め立てようと強引な手法を使い、二〇一一年を迎える。結局、埋め立ての進捗状況はゼロパーセントのまま、二〇一二年になった。本来、公有水面埋立工事は三年で完成しなければならないのだが、中電は公有水面埋立免許の延長申請を繰り返す。山口県はそれを許可してきた。その結果、現在も工事はできていないまま、公有水面埋立免許が許可されている。緊急性も民意もない上関原発建設計画のための公有水面埋立免許は破棄されなければならない。


●使用済み核燃料乾式中間貯蔵施設建設のための調査を許すな!

近隣市町の首長と市民の不安・不信の声上がる

 昨年八月二日に、上関町の新たな地域振興策として中電が関西電力の使用済み核燃料乾式中間貯蔵施設建設のための調査を上関町に提案した。八月一八日、上関の西町長はわずか一六日足らずで、臨時町議会を「行政報告」の形で実施した。「行政報告」とは議員の意見を聞くだけで、町と議員の間で質疑もせず、議決も行われない。西町長は議員の意見を聞いただけで「調査容認」を表明し、ファックスで中電に伝えた。周辺首長からは、何の説明も無いことに不信・不安の声が上がってきた。一一月二一日、井原柳井市長が一市三町首長で協議した結果として西町長に対し、計画に動きがある場合は情報提供など、事前のより慎重で丁寧な配慮を求めた。そして中電が柳井市長へ説明に来た一一月二八日には、中電以外の電力会社から使用済み核燃料が上関町に持ち込まれることについて市民には根強い不信感と安全性への不安があることを述べた。翌日、平生町・周防大島町を訪ねた中電に対し、浅本平生町長、藤本周防大島町長はともに、町民が懸念や不安・不信を持っているので、しっかりと町民に寄り添ってほしいと訴えた。さらに翌日、田布施町を訪ねた中電に対し、東田布施町長は島根原発内での検討を求め、核燃サイクル全体の説明が必要であり、中電の回答は理解できる答えではないと苦言を呈した。にもかかわらず同日、中国経済産業局は中間貯蔵施設調査開始のための交付金約七四〇〇万円を上関町に支給することを決定している。

山口県知事も過大な負担を問題視

 もし上関町に原発と使用済み核燃料貯蔵施設の両方が建設された場合、使用済み核燃料が上関原発以外に、関電の原発からも搬入されるようになる。長期にわたって、上関町内に使用済み核燃料が貯蔵される可能性がある。昨年一二月二六日の定例記者会見で記者の「二井山口県知事は二〇〇一年当時、上関原発の建設計画に同意する意見書を国に提出した際、六分野二一項目に及ぶ同意の条件をつけた。この中に、特に使用済燃料の貯蔵管理について、発電所内での新たな貯蔵施設に頼らないで済むよう、また発電所内での貯蔵管理が長期にわたらないよう、適切な対策を講じることというふうに記している」、「この知事意見について村岡県知事は踏襲されるんでしょうか」との質問に対し、村岡県知事は、この知事意見が「今も維持されている」と述べた上で、「山口県として、上関原発がありながら、別にその中間貯蔵施設のように、他の使用済核燃料を受け入れているというそんな施設は全国にないわけです。私これは大きな負担だと思います」と述べた。
 また共同通信によると、山口県上関町の住民一〇〇人を対象に行った対面調査の結果、中間貯蔵施設誘致について「反対」29%、「どちらかといえば反対」30%と答えており、反対が59%に上ることが一二月二四日までにわかった。一番大きな反対理由は、そのまま永続的な処分場になることへの懸念だった。

上関に核のゴミはいらない 調査を中止に追い込もう

 西町長は、財源確保を理由に中電に地域振興策を要請した。また昨年一二月一二日に行われた上関町議会で西町長は使用済み核燃料は「ゴミではなく資源」との考えを示した。
 本年一月一八日、上関の自然保護団体の要請に基づき立憲民主党やれいわ新選組の国会議員が現地調査を行った。中電は、「危険だ」との理由で国会議員も中間貯蔵施設建設予定区域に入らせなかった。自然保護の研究者や県会議員なども見守る中、田ノ浦の原発予定地から国会議員二名にのみ説明を行った。今後、貴重な上関の自然を守るために、六分野二一項目に及ぶ同意条件をも活用しながら国会での審議が始まる。ともに闘おう。
 また、一月一九日、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」をはじめとする約五〇名が中国電力上関原発立地事務所に対して、中間貯蔵施設反対の抗議行動を行った。
 こうした抗議の声にもかかわらず、一月二四日、中電は中間貯蔵施設建設予定地の調査に向けた工事のための森林伐採を雪の降る中、強引に行った。断固、抗議する。


原発に頼らない豊かな自然を活かした町づくりを進めよう

 上関原発予定地沖には大分県より伸びている四〇・一キロメートルの活断層があり、その隣りに三三・四キロメートルの活断層がある。また三〇年以内に70~80%の確率で発生すると言われている南海トラフ巨大地震では、上関町の想定震度は最大震度六弱で、最高津波水位は三・六メートルである。中電が上関原発や中間貯蔵施設を建設しようとしている長島は本土と橋一本で繋がった離島である。地震が起き道路や橋が壊れれば長島の住民は避難しようがない。上関原発も中間貯蔵施設も絶対に必要ない。
 田ノ浦を始めとする上関の豊かな自然は、「奇跡の海」と世界中の自然研究者から絶賛される豊かな生態系を持っている。火山岩で作られた長島の山々はその岩盤に豊富な保水力を持ち、田ノ浦に注ぎ込まれる湧き水は、日本海にのみ分布するスギモクの生育を可能としている。他にも多くの海藻が生えており、稚魚が住むのに好都合である。また、周辺にはカンムリウミスズメの一年を通じた生息域やカラスバトやオオミズナギドリが住んでいる。スナメリやハセイルカの群れも生きていくことが可能なのだ。
 中間貯蔵施設建設中止を求める署名は二月中に中電と関電に提出する。また意見広告運動も始まっている。三月二三日には、山口市維新百年記念公園・野外音楽堂(ビッグシェル)で「二〇二四上関原発を建てさせない山口大集会」が予定されている。ぜひ、多くの参加で上関原発反対の声を表現しよう。事前の上関原発反対・使用済み核燃料乾式中間貯蔵施設反対のネットパレードにも参加しよう。

 


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