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■『戦旗』第1651号(2月5日)3面
朝鮮半島情勢
戦争勃発の危機高まる東アジア
朝鮮半島は一九五〇年以降、九四年と〇二年の危機を超える戦争勃発の危機を迎えている。韓国の尹錫悦(ユンソギョル)政権は発足直後から反中国・反朝鮮民主主義人民共和国を公言する価値外交を展開してきた。独自のアジア太平洋戦略の発表、日韓軍事協力の復活、準軍事同盟への日米韓軍事協力関係の格上げと三か国合同軍事演習の激増、朝鮮半島での核戦争を前提とした韓米軍事演習の展開、韓国軍の作戦範囲を朝鮮半島から「台湾有事」を含むアジア太平洋地域全体へ拡大、在韓国連軍司令部を構成する米国をはじめとする一七か国に韓国国防相を加えた会議の開催。決定的だった九・一九南北軍事合意破棄、朝鮮を「主敵」と呼び軍事対決を露骨に打ち出した大統領の相次ぐ発言。今年に入ってからは「四月の韓国総選挙前に北が戦争を仕掛けてくる確率が大」といった政府与党の連日の異口同音など、日本で言えば東条英機を彷彿とさせる戦争突撃内閣と化している。南北間の協議・連絡のための回路は断絶している。他方、朝鮮は一月五日から数日間連続して射撃訓練を行った(が、二日目は砲射撃を模した音。しかし韓国軍は察知できずに砲射撃で対応)。韓国政府はこれを「戦争挑発」と描き批判したが、実際は、韓国軍が年末から年初にかけ数日連続で行った大規模軍事訓練への対応だった。
さて、昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会第八期第九回総会拡大会議に上程された第一議案に対する金正恩(キムジョンウン)総書記の結論「二〇二四年度の闘争方向について」は押さえる必要がある。南北関係に関する方針を完全に変え、南北の和解と統一を放棄する、という宣言だからだ。歴史的に重大な転換だ。自主的平和統一のために努力してきた南北在外の朝鮮人民とそれを支持し連帯してきた全世界の労働者民衆にとって衝撃そのものだ。
「結論」は次のように言う。 「現在、朝鮮半島に最も敵対的な二つの国家が併存していることについては誰も否定できない」。
「わが党と共和国政府が打ち出した祖国統一思想と路線、諸方針は(中略)そのどれ一つをとっても完全に実を結べ」なかった。
「南朝鮮の為政者たちが掲げてきた『対北政策』『統一政策』において一脈相通じる一つの共通点があるとすれば、われわれの『政権崩壊』と『吸収統一』だった」。
そうした「大韓民国」とは「いつまで経っても統一は成就されない」。
「われわれを『主敵』と宣布し、外国勢力と野合して『政権崩壊』と『吸収統一』の機会だけを狙う(外勢の)身内を和解と統一の相手と考えるのは、もうこれ以上、われわれが犯してはならない錯誤だと思います」。
「北南関係は、もはや同族関係・同質関係ではない敵対な両国関係、戦争中にある両交戦国関係として完全に固定化されました。」
「現実を冷徹に見つめ、認めるとともに、党中央委員会統一戦線部をはじめとする対南事業部門の機構を整理・改編するための対策を立て、闘争の原則と方向を根本的に転換すべきだ」。(以上の出所は『朝鮮新報』二〇二四年一月一九日号)
これを貫徹するための意思統一が国内外で全面的に行われているが、一月一二日に朝鮮で行われた対敵部門活動家の決起集会では、「六・一五共同宣言実践北側委員会、祖国統一汎民族連合北側本部、民族和解協議会、檀君民族統一協議会などの関連団体をすべて整理することにした」(同一月一九号)。南北統一事業の全窓口の整理=廃止つまり同事業の廃棄だ。
けれども、「結論」では、主張が常に条件付きだ。また、「南朝鮮」という表現も使われており、ゆらぎ、灰色部分が在る。ここにメッセージが込められている。そして何よりも、今後、大韓民国(の政権)が朝鮮を「主敵」と位置付けず、外国勢力と野合せず、その傀儡とならず、核兵器使用を含めた侵略戦争を図ったり煽ったりせず、朝鮮の「政権崩壊」と「吸収統一」の機会を狙わずにこれを否定し、自主的平和統一を真に希求し実践するのだとしたら、朝鮮労働党と共和国政権も、その「現実を冷徹に見つめ、認め」、方針を変えるはずだ。
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