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 ■『戦旗』第1652号(2月20日)4-5面

  若狭湾の原発再稼働を強行する関電

 地震で明確になった原発の危険性

  関西地方委員会     

 

 

 民意に逆行する岸田政権の原発推進政策に後押しされて、関西電力はこのかん福井県・若狭湾の原発群の再稼働を繰り返し強行してきた。一方、元日に発生した能登半島地震は「地震大国」である日本で原発を稼働させることの危険性を多くの人々にあらためて突きつけた。
 政府・関西電力による四〇年超え老朽原発をはじめとする原発再稼働を許さない闘いをおし進め、原発推進に突き進む岸田政権を打倒しよう。上関での使用済み核燃料中間貯蔵施設建設計画を白紙撤回させよう。3・31美浜全国集会をはじめとする闘いを成功させ、全原発の廃炉に向かう反原発闘争の前進を共に勝ち取ろう。



●原発再稼働を繰り返す関西電力を許すな

 二〇一一年の福島原発事故と反原発運動の全国的な高揚を受け、いったんは日本のすべての原発がその稼働を停止した後、一二年七月に最初に再稼働されたのは関西電力が所有する福井県・若狭湾に面する大飯原発三号機であった。反対運動によって正面ゲートが封鎖されるなか、関電は職員を海路で入構させ、再稼働に踏み切った。
 以降今日まで、原子力規制委員会の審査に「合格」した大飯原発三、四号機、高浜原発一~四号機、美浜原発三号機の再稼働が繰り返されている。とりわけ、美浜三号機は二〇二一年六月に四〇年超え老朽原発として全国で初めて再稼働が強行された。四〇年超え老朽原発の再稼働はさらに、二三年七月の高浜一号機、同年九月の高浜二号機の再稼働と続いた。また、岸田政権がGX(グリーン・トランスフォーメーション)を掲げて原発の全面的推進へと明確に舵を切るなかで、二三年九月には関電が所有する運転可能な原発七基がすべて稼働する状況が生み出された。
 この過程はトラブルの連続であった。昨年一月三〇日には高浜四号機が制御棒駆動装置の不具合で自動停止した。また、今年一月二一から二二日にかけては、高浜一号機で配管からの冷却水の蒸気漏れのトラブルが発生している。再稼働された原発のほとんどが、何らかのトラブルを起こしている。そこには蒸気発生器細管の減肉・損傷など、一つ間違えれば過酷事故につながりうるものも含まれている。また、二〇一九年に発覚した原発マネーの不正還流問題は、関電の腐敗体質をあらためて明らかにした。
 一方、各地の裁判闘争のなかでは、福井地裁での大飯三、四号機の運転差し止め判決(一四年五月)、福井地裁(一五年四月)および滋賀県・大津地裁(一六年三月)での高浜三、四号機の運転差し止め仮処分決定、大阪地裁での大飯三、四号機の設置許可取り消し判決(二〇年一二月)が出されてきた。「国策」との闘いゆえに、その仮処分決定や判決の多くはその後の裁判プロセスのなかで覆されたが(大飯三、四号機の設置許可取り消し裁判は控訴審中)、これらは民意を反映し、耐震設計の甘さなど原発の危険性、あるいは原子力規制委員会による「新規制基準」の問題性を明らかにした。
 原発の運転期間の延長など政府の原発推進政策のなかで、関西電力は四〇年超え老朽原発をはじめ原発の再稼働にますますのめり込んでいる。また、「将来の準備をスタートさせる」、「検討を始めなければならない時期に来ている」(森望社長)などとして、原発のリプレース(建て替え)や新増設に踏み出していくことも示唆している。政府・関電の策動を許さず、原発再稼働阻止の闘いをさらにおし進めていこう。


●関電の「約束破り」を許すな

 原発の稼働によって増大する使用済み核燃料について、福井県は関西電力に対して県外に中間貯蔵地を確保することを再三求めてきた。これに対して関電は、二一年の美浜原発三号機の再稼働に先立って、「二〇二三年末までに中間貯蔵施設の県外候補地を確定し、それができなければ稼働中であっても四〇年超え原発の運転を停止する」と表明した。しかし、今日まで関電はその候補地を明確に提示できておらず、その「約束」に従えば、関電は二三年末段階で稼働中であった高浜一、二号機の運転を停止しなければならなかったはずである。ましてや、今年一月の美浜三号機の再稼働強行など許されることではない。
 にもかかわらず、関電は使用済み核燃料約二〇〇トンを二〇二〇年代後半にフランスに搬出するとう計画を発表することで、福井県との「約束」は「ひとまず果たされた」、「福井県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義」と強弁した(二三年六月)。しかしそれは、当時関電の原発に保管されていた約三六八〇トンの使用済み核燃料のうちわずか5%に過ぎず、中間貯蔵施設の代替にはならない。
 これと並行して浮上したのが、山口県上関での使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設策動だ(二三年八月)。これを発表したのは中国電力だが、関電と共同で建設するものとされている。現時点では関電はそれを福井県外での中間貯蔵施設とは明示していないが、関電にとっての狙いは明らかである。地元での闘いと連帯・結合し、この上関での中間貯蔵施設建設を阻止することは、関西電力による原発再稼働を阻止する闘いにとっても重要な課題である。
 関電はまた、二三年一〇月に発表した「使用済燃料対策ロードマップ」において、フランスへの使用済み核燃料の搬出とともに、青森の六ケ所村再処理工場への搬出を掲げている。しかし、六ケ所村再処理工場の稼働は現時点ではまったく目処が立っていない。そもそも核燃料サイクル構想は破たんしており、それを前提にした「ロードマップ」など幻想に過ぎない。関電の「約束破り」を弾劾し、闘いの前進によって、四〇年超え老朽原発をはじめとする原発再稼働断念を政府・関電に強制していかなければならない。


●能登半島地震が示した原発の危険性

 元日に起こった能登半島地震とそれによる津波の発生は、死者二二〇人超の深刻な犠牲をもたらした。輪島市や珠洲市をはじめとする地域で家屋が倒壊し、道路が寸断された。現在も一万四〇〇〇人の人々が避難生活を余儀なくされている。海岸線では最大四メートルの地盤の隆起が起こり、能登半島のほとんどの漁港が壊滅的な打撃を受けた。
 この大地震によって、北陸電力が所有する志賀原発一、二号機(石川県)は、外部電源を受けるための変圧器の配管から計二万三〇〇〇リットル以上の油漏れが発生して機能を停止し、送電線にも損傷が見つかった。三系統五回線ある送電線のうち、一系統二回線は現在も使えず、復旧時期の見通しも立っていない。また、使用済み核燃料プールの冷却水が建屋内に溢れ出て、二号機ではプール内に異物が落下する事故も発生した。原発の敷地内で複数の地割れや段差ができ、津波対策のために造られた防波堤についても基礎の沈下や傾きが確認されている。また、新潟県長岡市の柏崎刈羽原発(東京電力)でも、放射性物質を含む冷却水が使用済み燃料プールから溢れ出た。
 志賀原発や柏崎刈羽原発は福島原発事故以降、その運転を停止していた。また、この能登半島地震によって深刻な被害を受けた珠洲市では、かつて関西電力、中部電力、北陸電力が共同で原発建設を計画していた。一九七五年に浮上したこの計画は、住民による粘り強い反対運動によって二〇〇三年に凍結された。これらの原発が稼働していれば周辺の被害は極めて甚大なものになった可能性がある。また、地震によって道路が寸断された被災地の状況は、原発事故が起こった際の「避難計画」が絵空事であることをあらためて示した。
 次の重大事故が起こる前に、すべての原発を停止させ、その廃炉を勝ち取っていかなくてはならない。


3・31美浜全国集会を成功させよう

 若狭の原発群のなかで高浜一号機は運転開始からすでに四九年、高浜二号機は四八年、美浜三号機は四七年を超えている。高浜三、四号機も来年には運転開始四〇年目を迎え、大飯三、四号機も三〇年を超えている。六〇年超まで原発の運転期間を延長する岸田政権の原発推進政策と結びつき、関西電力はこれらの老朽化する原発の再稼働をおし進めようとしている。さらに、原発のリプレース(建て替え)や新増設さえ狙っている。福島原発事故の教訓を忘却し、民意を無視してますます原発推進にのめり込む政府・関西電力を許さず、全原発の廃炉の実現に向けて闘いをさらに推進していこう。
 「老朽原発うごかすな! 実行委員会」は、昨年四月の高浜現地全国集会や昨年一〇月の関電前での「使用済み核燃料の行き場はないぞ! 全国集会」など、関西と若狭現地を貫いて精力的にその闘いを推進してきた。昨年一二月には「とめよう!原発依存社会への暴走」をスローガンに掲げた大集会・デモを大阪市内て成功させた。若狭での原発再稼働に対しては、その都度現地での抗議行動に取り組み、今年一月一八日の美浜三号機の再稼働に対しても、緊急の抗議行動に取り組んでいる。
 同実行委員会は、きたる三月三一日、「老朽原発ただちに廃炉! 美浜全国集会」を開催する。また、六月九日には「とめよう! 原発依存社会への暴走」のスローガンの下、再び大阪市内での集会・デモを予定している。これらの闘いに結集し、共にその成功を勝ち取ろう。老朽原発の再稼働を阻止し、廃炉に追い込むことのなかから、全原発廃炉の展望を切り拓こう! 反原発闘争の前進を勝ち取り、原発推進の岸田政権を打倒しよう!

 


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