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 ■北アフリカ・中東で燃え上がる民衆革命

  アラブ人民の決起に連帯し帝国主義打倒―世界革命の勝利へ



 ●1 チュニジア、エジプトで勝利した独裁政権打倒闘争

 一月十四日に北アフリカのチュニジアで、二月十一日には中東のエジプトで、いずれも民衆蜂起と労働者のストライキが長期独裁政権を打倒した。
 チュニジアでは昨年十二月十七日に、露天商を摘発された失業中の若者が抗議の焼身自殺を図ったことをきっかけに地方都市でデモが開始。それが首都を始め全国に拡大し、一ヵ月未満で大統領が海外逃亡。民衆の街頭デモの全国的拡大と労働者のストライキが長期独裁政権を打ち倒した。労組の全国組織であるUGTTが反政府デモを組織した。
 ジャスミン革命と呼ばれるチュニジアでの独裁政権打倒闘争の勝利は、北アフリカ・中東の全域に巨大な革命運動の発火点となった。革命の火花は四方八方に飛び火してヨルダン、アルジェリア、モーリタニア、イエメン、リビア、バーレーン、サウジアラビアでの集会・デモに拡大し、独裁政権や王族支配体制の存立基盤をガンガン揺さぶっている。
 エジプトもそうだ。抗議の焼身自殺に始まり、小さなデモ・集会が大きくなるとともに全国各地へ拡散し、弾圧に屈せず連日続いた。そしてチュニジア革命から一ヵ月も経たない二月十一日に、エジプトで民衆の百万人集会・デモと労働者のストライキ及びデモへの合流が独裁者ムバラクを倒した。
 リビアでは政権打倒闘争に対し、治安部隊・国軍・雇われ外国人部隊による機銃掃射や無差別空爆といった虐殺が起こっている。しかしカダフィ打倒の怒りは静まるどころか、かえって勢いを増して全国に拡大し、東部地方の都市では地域住民が武装して国家暴力装置と対峙し都市を掌握するというコミューン的状況も生まれている。
 北アフリカ・中東人民を突き動かしているものは、@失業・貧困・物価高といった生活苦を解決しろという生きる権利の要求、A政治弾圧を止めて言論の自由を認めろ、政党活動を認めろといった政治的自由の要求、B自国政府の親米親イスラエル政策に対する批判・反発というパレスチナ人民連帯の要求、の三つだ。
 われわれはこの北アフリカ・中東諸国における蜂起・ストライキ・武装闘争による独裁政権打倒民主主義民衆革命を断固支持する。北アフリカ・中東諸国の政権は血の弾圧を今すぐ止めて労働者人民の諸要求をすべて受け入れて実施しろ。それができないのならすぐ退陣して権力を労働者人民に引き渡せ。


 ●2 北アフリカ、中東の反帝・反グローバリゼーション革命

 北アフリカ・中東の革命は反帝国主義・反グローバリゼーションの質を持った革命だ。それは帝国主義とイスラエル・シオニストを恐怖のどん底に突き落とし、おののかせている。
 第一に、この革命は反帝国主義革命の質を有する。なぜなら、打倒対象の独裁政権が、共和制であれ王制であれ、米帝による中東支配――石油利権とイスラエル防衛――を支えているからであり、帝国主義との運命共同体だからだ。それゆえ、独裁政権の崩壊は米帝の中東支配の瓦解に直結する。
 特にエジプトがそうだ。エジプトは中東最大の国家で最大の軍隊を持ち、中東でイスラエルと平和条約を結んでいるのはヨルダンとエジプトの二つだけだ。イスラエルは、七九年に米帝カーターのお膳立てで締結したこの平和条約によってエジプトとの軍事対決の呪縛から解放され、八二年のレバノン侵攻、八〇年代後半以降のパレスチナ人民のインティファーダ闘争への虐殺的弾圧などを行ってきた。エジプトも九〇年代初めに米帝の第一次イラク侵略戦争に参戦している。また、エジプトはパレスチナ自治区のガザ地区と十キロメートルの境界を持っているが、これを実質封鎖することでイスラエルによるガザ地区に対する経済封鎖=飢餓政策に加担してきた。
 こうしたエジプトの親米親イスラエル政策が転換すれば、ガザ地区への物と人の移動が自由になる。そうなればガザ地区の状況、ひいてはパレスチナ情勢が一変する。それは同時にイスラエルの存立危機を、すなわち米帝の中東支配の瓦解にいたる危機を意味する。チュニジア革命が北アフリカ・中東諸国で乱反射している情勢はしばらく続くだろうが、パレスチナ人民のたたかいを巡る状況の転換はチュニジア革命の衝撃を増すほどの巨大な影響を与え、変革の光の乱反射がパワーアップして量を増し、加速し、集中したその光のエネルギーで中東における米帝の利権とイスラエル・シオニストは焼き尽くされるのだ。自分たちのこの未来を予感するがゆえに、北アフリカ・中東諸国の支配階級のみならず米帝とイスラエルのブルジョアジーもまた恐怖に慄き、ガタガタ震え、それゆえ情勢分析も方針確立も右往左往しているのだ。
 米帝をはじめ帝国主義諸国は中東利権のために独裁政権を物・金・人の面で強力に支えてきた。自分たちが儲けるためには他国の民主主義や基本的人権はどうでもよい、としてきたのだ。それが奴らのいう民主主義の正体だ。ところが状況が一変すると今度は民主主義者面しながらいけしゃあしゃあと民主主義の基本的人権の擁護、平和的デモへの暴力的弾圧反対などを叫び出している。これまでずっと独裁政権による反民主主義を黙認してきたにもかかわらず、だ。
 冗談もいい加減にしろ! オバマにもサルコジにも民主主義を語る資格はこれっぽっちもない。今回の事態の最大の責任者は、厚顔無恥の帝国主義者であるお・ま・え・ら・だよ! 今後必ずぶったおされるのは、お・ま・え・ら・なんだよ!
 第二に、反政府闘争の直接的原因である失業・貧困・物価高による生活苦は帝国主義の新自由主義グローバリゼーションとそれを受容した各国独裁政権がもたらしたものだ。チュニジアもエジプトも親米政権として新自由主義政策をとり、経済成長を続けていた。しかし、会社の一族経営よろしく政権関係者およびそれと結託したブルジョアジーが富を独り占めにし、一方でエジプトの場合一日二ドル以下で生活する貧困層が人口の二割に達し、また若者の失業率が三割に上るなど、貧富の差が広がり、青年たちにとって将来は暗黒というのが実態だった。また、世界的な金融恐慌の中、金融緩和によって米国でじゃんじゃか増刷された巨額のドル紙幣など投機資金が食糧市場になだれ込み、各地域の不作とあいまって昨年後半の六ヵ月の間に主要食料価格指数が32%も上がった。一握りの金持ちだけがじゃんじゃん儲け続けている。一方、そのあおりを食って世界中の人たちが食べ物すら手に入れられなくなっているのだ。食うためには起ち上がりたたかうしかない。生きるためには新自由主義政策を破棄させるしかないのだ。北アフリカ・中東人民が置かれた状況と解決すべき課題は、そのまま日本の労働者階級人民の状況と課題だ。新自由主義反対! 帝国主義グローバリゼーション反対のうねりが昨年はヨーロッパ諸国で起こり、それが今年は北アフリカ・中東へと広がっている。われわれも続こうではないか。


 ●3 北アフリカ、中東の社会主義者・
                共産主義者と連帯する闘いを


 われわれは、北アフリカ・中東の民主主義民衆革命を断固支持するとともに、その只中で社会主義革命の展望を切り開こうと奮闘している社会主義者・共産主義者と連帯・交流し、民主主義革命の社会主義革命への転化を目指す努力を支援していこう。
 帝国主義諸国は革命の進行に対し、当該国の支配階級及び軍と緊密に連絡を取り管理して、民衆の諸要求や反政府勢力を一部取り込んで不満のガス抜きを図りつつ、資本主義体制の枠内でのよりましな、より民主的なブルジョア独裁を維持しようと必死に動き回っている。公務員給与や年金の引き上げ、新自由主義政策の一部見直し、政治的自由の一部緩和がそれだ。だが、労働者人民の民主主義的諸要求は既存の政治経済社会体制と早晩ぶつからざるを得ない。自らの解放のためには資本主義の枠組みを突き破らなければならないという、始まった革命を完遂させるという課題が将来必ず浮き上がってくるのだ。
 すでにチュニジアでは独裁政権を打倒した日にちなんだ「一月十四日戦線」という民主主義左派と社会主義者・共産主義者による統一戦線が一月二十日に、労働者左派同盟、ナセル主義共和国主義者運動、民主民族主義運動、民主民族主義者(アルワタド派)、バース主義潮流、独立左派、チュニジア共産労働党、愛国民主労働党の八組織によって結成された。
 同戦線の結成宣言の要求項目は、旧支配勢力の一掃、戒厳令解除、議会解散、民主憲法制定、政治弾圧中止、不正究明、失業・社会保障問題の解決、民主経済確立、個人の自由の尊重、シオニズム反対、国際連帯、アラブ諸国の民主化闘争支持だ。宣言は最後に、「民衆蜂起に栄光あれ! 革命的人民大衆万歳!」と結んでいる。一月十四日戦線の動きは先駆的だが、今後他国においても進行する民主主義革命の大河はこうした社会主義者・共産主義者の組織と運動を育み成長させていくだろう。
 世界社会主義革命の勝利に向いて「別個に進んで共に国際ブルジョアジーを撃つ」同志である彼ら彼女らと連携・交流・連帯を位置づけ、推し進めていこう。


 ●4 日帝打倒闘争こそが日本労働者人民の責務

 現在進行中のこの革命を遠い国の遠い出来事としてとらえてはいけない。北アフリカ・中東諸国で起きている事態は将来の日本でありアメリカでありヨーロッパ諸国の姿そのものだ。なぜか。労働者人民の抱えている問題が全く共通しているからだ。彼ら彼女らの決起は帝国主義足下人民の未来を代表している。そして、われわれ労働者人民は立ち上がれば必ず勝てること、支配階級は必ずぶち倒されること、勝つのはわれわれで、帝国主義者とその傀儡は負けるに決まっていることをはっきり示した。革命のバトンを受け取るのは今だ。
 われわれが学ぶべきことは多い。要点だけ書く。
 @集会・デモが怒りの表現方法としてきわめてすぐれていること。
 A民衆の蜂起(集会・デモへの結集及びその篭城占拠闘争=陣地戦への転化、および、労働者のストライキとデモへの合流=マッセンスト)が警察・軍など暴力装置の対峙と反攻、政権打倒へいたる戦術としてきわめて有効であること。
 B民衆の蜂起を促す宣伝扇動の道具としてのインターネット技術に習熟し駆使することが左翼運動にとって不可欠であること。
 Cリビアではすでに、チュニジア・エジプトなど他国では今後問われるだろう人民武装の問題。資本主義の枠内であれば国家暴力装置との全面対決は避けられる場合があるが、その枠を根底からぶっ壊そうとしたときに、警察・軍、さらには他帝国主義の軍事力との対決は必須だ。革命の勝利のために人民武装の問題を正面からとらえ、取り組み、解決していく必要がある。
 労働者人民が最後には必ず勝つのだという確信を北アフリカ・中東の民衆は血を流し、命をかけて示している。われわれも彼ら彼女たちに続こう。日本革命勝利こそが北アフリカ・中東人民への最大の連帯だ。未視の世界革命の勝利に向かって前へ前へ進んでいこう。
 ともにたたかおう。
                           (高橋功作)



 

 

 

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