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   ■KMUメーデー参加報告

   フィリピン・マニラ       2011年


  


 五月一日、炎天下のマニラでKMU(五月一日運動)主催のメーデーが開催された。ノイノイ・アキノ政権下での初めてのメーデーだ。昨年大統領になったアキノは、ルイシタ農園を所有する一族の出身で、日米帝国主義や多国籍資本、そして国内大地主らの利益に立っている。まだ政権発足一年にいたっていないが、その間にも四十人以上の左派活動家が殺されている。昨年のメーデー直後には日系企業の労働組合指導部も殺害されている。フィリピン・トヨタに見られるようにフィリピンでは労働運動潰しの攻撃がかけられている。そうした厳しい政治的弾圧や組合潰しの攻撃の下でKMUは、命がけで労働者人民の闘いを前進させている。

 ●五月一日 メーデー「怒りの日」

 フィリピンでは、原油価格の上昇にともなって交通費や生活必需品の物価が上昇し、人々の生活が苦しくなっている。この状況に対して、地主・資本家寄りのアキノ政権は、最低賃金引き上げ等の対策を取ろうとない。こうした反労働者的なアキノ政権に対して、五月一日メーデーは「怒りの日」と名付けられ、組織された。マニラ首都圏だけで約二万五千、全国で約六万五千人が、KMUメーデーを闘った。
 午後一時頃、メーデー会場のボニファッショ広場には、市内各地からのデモ隊が合流し、メーデー集会が開始された。
 今年のメーデー会場に掲げられているメインのスローガンは、「賃金引き上げ、物価引き下げ」だ。
 集会開始早々、アキノ大統領がポルシェに乗ったハリボテに火がつけられた。これは一月にアキノ大統領が、高額のポルシェを買ったことに対する批判だ。もともと多くのフィリピン労働者人民が貧困にあえいでいて、そこにアキノ政権下での物価上昇でさらに苦しんでいるにもかかわらず、これ見よがしに普段乗りもしない高級車を購入するアキノ大統領に対する批判が沸き起こっている。大統領府は中古車で新車より安いと弁解したが、こんな弁解で労働者人民の怒りを鎮めることなど到底できない。メーデー集会は、このパフォーマンスで盛り上がる中で開始された。
 炎天下の下で集会は、KMU、KMU傘下の労働組合や友誼労働組合、バヤン、農民団体KMP、女性団体ガブリエラ、学生団体LFS、都市貧民組織カダマイ、移住労働者団体ミグランテ、選挙政党のバヤン・ムナ、アナック・パウィス、アナック・バヤンなどの団体が次々と発言に立った。労働団体は賃金の引き上げや新自由主義下での非正規職化の問題などを、農民団体はルイシタ農園での虐殺と農地改革を、バヤン・ムナはアキノの進める民営化・民間委託化が公共料金の引き上げにつながることを、というように、それぞれの立場からアキノ政権批判を行った。それら一人ひとりの発言の合間に、コールや歌がはさまれ、集会が引き締められていた。KMUメーデーに参加した海外からの参加者も登壇し、オーストラリアの仲間が代表して全世界の労働者の団結、国際連帯の重要性を訴えた後では、「インターナショナル・ソリダリティ(国際連帯)」のコールが繰り返された。
 集会の終わりと共に、「マラカニアン(大統領府)に行くぞ!」とコールが繰り返されると、それまで直射日光を避けて公園の日陰や車の中にいた人たちも、続々とデモの隊列を整え始めた。大型トラックの上にステージを作った先導車に続いて、一列十人~二十人程度の長蛇の列がマラカニアンへと向かう。
 マラカニアンの前で再度、集会を行い、最後にエルマー・ラボッグKMU代表の「賃金引き上げと真の社会変革に向けて闘おう」「新自由主義攻撃を受けている世界の労働者と共に闘おう」との呼びかけでしめくくられ、インターナショナル(フィリピン語)を歌って、「怒りの日」と名付けられたメーデーの闘いは終わった。

 ●最低賃金引き上げを求めるKMU

 首都圏の最低賃金は一日四百四ペソ。これに対して一家族六人の生活費は一日九百八十八ペソ(十一年三月)。この間の諸物価高騰の中で、必要な生活費はさらに上がっている。とても労働者家族は生活していけない状況が続いている。
 アキノ政権下での最初のメーデーで、人々の関心は最低賃金の大幅な引き上げに集まっていた。KMUらは、立法による最低賃金の百二十五ペソの引き上げを求めていた。
 ところがアキノ政権は、メーデー前に早々と賃金引き上げは行わない旨を発表し、メーデー当日は、TUCP(フィリピン労働組合会議)をはじめとした御用労働組合指導部らと朝食会を持ち、労働者の声を聞くふりをしただけだった。TUCPですら七十五ペソ引き上げを求めていたにもかかわらず、そうした声すら無視され、地域賃金・生産性委員会(RTWPB)の開催による検討を指示するだけにとどまった。
 メーデー翌日の五月二日、首都圏の最低賃金に関する公聴会が行われた。KMUは、メーデーに続いて、公聴会での最低賃金引き上げを求めて労働雇用省前で集会を行ったのち、公聴会会場までのデモを行った。結局、委員会は、五月九日、最低賃金引き上げを行わず、その代わりに生活手当一日当たり二十二ペソの支給を決めて終わった。これで首都圏の労働者の一日当たりの受取額は四百四ペソと合わせて一人四百二十六ペソとなる。しかし、最低賃金の引き上げではなく、手当支給の決定によって、残業手当・深夜手当・十三カ月目の支払い(クリスマスの際の一カ月分のボーナス)・定年退職金その他の給付金の計算は、相変わらず四百四ペソを基に計算されることになる。
 KMUは、アキノ政権による、こうしたごまかしの生活手当支給を弾劾し、全国一律百二十五ペソ引き上げを求める下院決議案三七五号の採択を求めて、大衆的活動を展開している。

 ●日系企業の生産調整、賃金カット、一時帰休に反対する闘い

 KMUは「ノーユニオン、ノーストライキ」政策を打ち破り、多くの日系企業で労働組合を組織している。それらの日系企業では、日本の地震・津波・原発事故以降、部品調達などを理由として、生産の削減や休業が行なわれ、労働者は休暇や一時帰休を強いられている。とりわけ非正規職に犠牲が強いられている中で、KMUは、正規・非正規雇用労働者の団結を訴えている。そして被災を口実とした一方的な生産削減等に対しては、労働者の権利を守る立場から、職場では労働者との協議を、政府に対しては労働者保護の政策を求めている。こうした日系侵出企業の下で苦闘するフィリピン労働者と連帯しよう!
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 不屈に闘うKMUをはじめとしたフィリピン労働者人民の闘い、反帝民族解放―社会主義革命の闘いを支持・支援しよう!日米帝国主義とたたかい、労働者の国際連帯を進めよう!



 

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