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   AWC日本連が韓国・済州島で反基地国際連帯闘争
   
   韓国入管当局が入国拒否の不当弾圧






 アジア共同行動(AWC)日本連は、さる八月二十六日から二十八日にかけて、韓国・済州島へ訪韓団を送った。これは昨年から始まった「米軍基地と労働運動の闘争現場をめぐる旅」の二回目の取り組みで、今回の済州島訪問の目的は、①済州島での海軍基地建設反対闘争への連帯と参加、②米軍基地と非正規職問題に関する日韓国際フォーラムの開催、③済州四・三民衆抗争の歴史の真実を知ること、にあった。

 ●不当な入局拒否を弾劾する

 ところが韓国入管当局は、韓国語の通訳を担当する二名の日本連メンバーの入国を拒否するという暴挙に出た。済州国際空港の入管当局者は個人的見解として、済州島カンジョン村での基地建設反対闘争の現場を訪れる可能性があることを理由に入国禁措置がとられたことを示唆しつつ、異議申し立てなど正当な法的権利についても「そんな権利はない、帰国する以外にない」など虚偽の発言を繰り返し、かれらを一国も早く送り返そうとするばかりであった。まったく許すことのできない政治弾圧であり、人権侵害である。
 入国を拒否されたうち一名は子連れのためやむなくその日のうちに帰国せざるをえなかった。しかし、もう一名のメンバーは入管当局の不当な弾圧に抗議し、あくまで入国を求めて闘い続けた。また、二十八日午前には、済州国際空港内で、AWC日本連、AWC韓国委員会、民主労組チェジュ本部、海軍基地建設反対道民対策委員会によって、二名に対する入国拒否を弾劾する抗議記者会見がおこなわれた。しかし、二十八日午前十一時、空港入管当局者は多数の警備員を伴い、このメンバーを引きずり無理やり飛行機に押しこんで日本へと強制送還した。
 AWC日本連はその声明で「今回の入国拒否措置は、日本と韓国の労働者民衆が連帯し力を合わせて様々な課題を解決することに対する韓国政府の階級的憎しみと恐怖の表れだ」「韓国政府は、この基地反対運動と日本の反戦反基地運動が結びつくことを憎み、恐れているのだ」と事態を分析し、韓国政府・入管当局を弾劾したうえで、「私たちはこれからも韓国の労働者民衆との連帯運動を力強く推し進めていく。日韓労働者民衆が協力し、新自由主義グローバリゼーションを打破し、米軍基地をアジアから叩き出すために全力を尽くす」という決意を明らかにしている。AWC運動の国際的発展にともなって、このかんフィリピンや韓国などの政府・入管による日本連メンバーに対する入国妨害が繰り替えさている。また、日本政府・入管による同様の入国妨害が他国のAWCメンバーに対して打ち下ろされている。こうした策動を粉砕し、国際的な民衆闘争・反帝闘争の結合のさらなる前進を勝ち取っていかねばならない。

 ●カンジョン訪問、住民に連帯誓う

 二名の入国を拒否されつつも、AWC訪韓団はAWC韓国委員会および民主労総チェジュ本部の同志たちとともに、海軍基地建設をめぐって緊迫した状態にあるカンジョン村に向かった。
 この地に海軍基地建設計画が浮上したのは二〇〇七年のことであった。カンジョン村は済州島のなかでも住みよい場所として有名で、また「クロムビ」と呼ばれる一枚岩が広がる海岸は景勝地であり、希少生物も生息する韓国での「絶対保存地域」、ユネスコの「生物圏保存地域」にも指定されている。
 以前にも島内の別の場所での海軍基地建設計画があったものの、それは現地の住民の反対で頓挫した。そうした状況のなか、カンジョン村の前会長が全村民の5%にも満たない村民を秘密裏に集めて誘致決議をおこない、それを拠り所にして韓国政府・海軍はカンジョン村での基地建設に踏み出した。これに対して住民は臨時総会を開き、前会長を解任し、現在のカン・ドンギュン会長を選出し、圧倒的多数の意思で基地建設反対を明確にした。しかし、政府・海軍はこの臨時総会の決議を無視し続けてきた。こうした経緯から住民たちは、①民主的手続きの無視、②自然環境の破壊、③共同体の破壊(基地建設をめぐって住民相互、親子・親戚までに分断が持ち込まれ、冠婚葬祭も共にできないような状況が生み出されている)などから海軍基地建設に反対し続けてきた。
 この海軍基地建設はまた、米軍の使用を前提とするものである。基地がつくられ、米艦船が寄港すれば、中国大陸が米軍のミサイルの射程圏内に入ることになる。そのため住民や活動は、米中間の軍事緊張を煽り、朝鮮半島の平和を破壊するものだとして、この海軍基地建設に反対してきた。
 八月以降、海軍基地建設をめぐる状況は緊迫の度を増してきた。十四日には島外の「陸地」から戦闘警察が多数動員されてきた。これはまさに六十数年前の四・三抗争以来の事態である。二十四日には工事資材の搬入阻止闘争のなかでカンジョン村会長のカン・ドンギュンさんが連行された。政府・海軍は基地建設予定地全体をフェンスで覆い、人が完全に近づけないようにしようとしており、それを阻止するための座り込み、体を張った工事資材の搬入阻止闘争が続けてられていた。そうした緊迫した事態のなか、AWC日本連訪韓団は二十六日夜から二十七日にかけて、カンジョンの闘争現場を訪問し、広大な基地建設予定地を視察し、座り込みを行なっている様々な人々と連帯を誓うとともに、工事現場の入口前で開催されていたロウソク集会に参加して、チェジュ海軍基地建設反対・アジアからの米軍撤収実現への意思を再度新たにした。

 ●韓日フォーラムで共通課題つきだす

 八月二十七日午後からは、カンジョン村の村民会館で「帝国主義と軍事基地反対、新自由主義反対、非正規職撤廃、韓日共同国際フォーラム」が開催された。日韓のAWC、民主労総チェジュ本部、海軍基地建設反対道民対策委員会の主催によるものである。
 フォーラムは「基地問題」と「非正規職問題」の二部に分かれ、それぞれ韓国側と日本側からの発題と追加討論がおこなわれた。
 「基地問題」についてはまず、韓国のチェジュ海軍基地建設反対汎国民対策委員会の方が、チェジュ海軍基地建設の概要とその問題点を報告するとともに、「南方海上の権益の防衛」「有事への対応」等、韓国政府・海軍が基地建設の理由としてあげている論点をひとつずつあげて、それに対する説得力ある反論をおこなった。さらに「平和と統一を拓く人々」(ピョントンサ)のメンバーが、「駐韓米軍の戦略的柔軟性」などこのかんの駐韓米軍の役割の変容と米国の東アジア軍事戦略のなかでのチェジュ海軍基地の位置を明らかにする追加提起を行った。日本側からは、現下の米軍再編をめぐる状況とそれに対する闘いを主テーマにした報告がおこなわれ、さらに岩国基地強化反対闘争を中心にした追加報告がおこなわれた。
 また、「非正規職問題」をめぐっては、民主労総チェジュ本部の方から、韓国における新自由主義政策の展開とチェジュでの観光サービス産業における地域産別労組建設の経験を中心にした報告がおこなわれ、さらに現場での経験と実情を主とした報告が補足された。日本側からは若者層のなかでのユニオン運動の経験を中心にした報告がおこなわれ、さらに日本における非正規職労働者、とりわけ若者が直面する全般状況が追加提起された。
 それぞれのテーマに対する質疑応答を含めて、「基地問題」と「非正規職問題」の双方において、日韓の労働者民衆がよく似た状況に直面していること、そしてそれをめぐる相互の経験の交流をさらに強めていく必要性が明らかにされた。同時に、基地あるいは戦争の問題と、非正規職問題をひとつの問題として取り組んでいくことの必要性と重要性を突き出したことがこのフォーラムの意義であった。

 ●日韓の反基地闘争を前進させよう

 AWC日本連訪韓団は、二十八日には四・三平和公園および記念館、抗日運動記念館を訪問し、日帝の植民地支配と四・三民衆抗争の歴史を学び、その訪問日程を終了した。またさらにオプショナルツアーとして、翌日には日帝の植民地支配および四・三民衆抗争に関する現場訪問がおこなわれた。
 訪韓団の帰国後、海軍基地建設をめぐる情勢はさらに緊迫したものとなった。九月三日にカンジョンの現場への大規模な結集が呼びかけられていたが、それを前にして、八月二十九日にはチェジュ地裁で海軍による「工事妨害禁止」の仮処分申請が認められ、以後座り込みなど現場で抗議行動を行ってきた住民・活動家らの連行・逮捕が続き、九月二日早朝には約千人の警官部隊を動員したフェンス設置工事が強行されて、海軍基地建設予定地は完全にフェンスで囲まれるに至った。しかし重要なことは、それによって抵抗が終わったわけではないということだ。九月三日には事前の想定を上回る二千人がカンジョン現地に集まり、基地建設反対の意思を明らかにした。AWC韓国委員会のメンバーはまた、AWC日本連の入国闘争とチェジュ訪問闘争の成果を拡大強化し、AWCの反帝国主義闘争が弾圧によって決して挫けるものではないことを明らかにするものとして、現場での座り込み闘争のために再度カンジョンに入っている。こうした現場での闘いに連帯し、今回の訪韓団の成果を踏まえ、チェジュ海軍基地建設阻止、日韓の反基地闘争の連帯の推進、アジアからの米軍総撤収に向けた闘いがさらに強化されていかねばならない。



 

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