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   ベネズエラ人民の闘いに連帯を
     帝国主義の反革命介入許すな  国際部


 


 ベネズエラにおける革命と反革命の激突が、急速に煮詰まっている。米帝―トランプ政権は軍事介入の可能性も排除しないとうそぶき、経済制裁の強化とあわせて、マドゥロ政権の打倒をめざす動きを強めている。日本もまた、他の帝国主義諸国と歩調を合わせ、マドゥロ非難の大合唱の輪に加わった。帝国主義の反革命介入を許さず、ベネズエラ人民の闘いに連帯しよう。

 ●1 軍事介入も準備する米帝―トランプ

 ベネズエラ野党の国会議長ファン・グアイドが一月二三日に、自ら「暫定大統領」就任を宣言すると、米帝―トランプ政権はその日のうちにそれを承認した。トランプは「民主主義を回復させるため、米国の経済、外交の全力を使って、ベネズエラに民主主義が戻るよう圧力をかける」と言い放った。カナダやブラジル、コロンビア、アルゼンチンなども米国に続いた。マドゥロ大統領はそれを「米国によるクーデター」であり、「侵略行為だ」と強く非難した。
 米国は一月二八日には、国家収入の大部分を石油に依存するマドゥロ政権を財政的に締め上げるため、「国営ベネズエラ石油」を経済制裁の対象に追加した。記者会見でこの措置を発表した米大統領次官補ボルトンは同時に、ベネズエラの軍隊や治安部隊にマドゥロに対する反乱に立ち上がるよう呼びかけるなど、露骨な介入ぶりを示した。これに続いて二月三日には、トランプ自身が軍事介入も「選択肢の一つ」だと明言したのである。
 米帝によるベネズエラ軍事介入の可能性は、単に言葉の上での恫喝として使われているのではない。先に触れた「国営ベネズエラ石油」に対する経済制裁に関する記者会見の際、ボルトンは(ベネズエラの隣国である)「コロンビアに米兵五〇〇〇人」と書かれたノートを持参していた。実際、現代ラテンアメリカの歴史は、米帝国主義による数々の軍事介入の歴史でもある。

 ●2章 帝国主義の狙いは「ボリバリアン革命」の簒奪

 日本のマスメディアはその階級的願望を反映して、グアイドを先頭とした現政権への反対勢力・右派勢力の動向しか報道していない。帝国主義に支援された、旧支配層を基盤とする右派勢力は、確かに大規模な動員を繰り返している。しかし、外国による介入に反対し、マドゥロ政権を支持する人民の闘いもまた巨大なものとして存在している。
 米国を先頭にした帝国主義による緊迫するベネズエラ情勢への露骨な介入の目的は、「二一世紀の社会主義」を掲げて登場したチャベス政権以来の「ボリバリアン革命」(革命家ボリバルの理想を受け継ぐ革命)の成果を簒奪(さんだつ)し、石油をはじめ失った利権を再び奪い取ることにある。とりわけ米帝は、ラテンアメリカで次々と左派政権が成立してきたことによって後退を強いられてきたこの地域における自らの覇権を再確立しようと必至になっている。
 トランプは二月五日の一般教書演説で、マドゥロ政権が「南米で最も裕福だった国を、みじめな貧困と絶望の国に転落させた」などと言っている。だが、石油などベネズエラの豊かな天然資源は、帝国主義と一握りの国内富裕層を潤すのみで、労働者人民は極限的な貧困と抑圧を強制されてきた。その状況を変え、労働者人民の生活条件の改善に向けた諸政策を実施しようとしてきたのがチャベス政権であり、その後継のマドゥロ政権であった。それを経済制裁で締め付け、社会的・経済的混乱を醸成し、いくつものクーデター工作によって政権転覆を図ろうとしてきたのが米帝である。今日のベネズエラを襲っている経済的混乱の最大の要因は、積み重ねられてきた帝国主義の制裁と介入にある。
 こうしたなかでグアイドは、ベネズエラにおける帝国主義の代理人としての位置を与えられた。帝国主義の意のままに動くことによって、グアイドはにわかに右派勢力を代表する人物として登場し、自らを「暫定大統領」と宣言することができたのである。

 ●3章 米国・ANSWER連合の連帯行動

 このような状況下、トランプ政権がグアイドを「暫定大統領」として承認した直後から、米国ではANSWER連合が緊急行動を呼びかけた。一月二四日から二八日にかけて、ワイントンのホワイトハウス前やニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴなど全米約二〇箇所で、米国のクーデター計画に反対し、マドゥロ政権を支持する行動が行われた。ANSWER連合は、きたる三月一六日にホワイトハウス前でより大規模な全国集会・デモを開催する予定だ。
 ANSWER連合の構成団体の一つである社会主義解放党(PSL)はその機関紙で、現在のベネズエラをめぐる情勢に関連して次のように述べている。
 「米国やそのヨーロッパの同盟国、それに追従する『リマ・グループ』(注・マドゥロ政権の正統性を認めない米州一四ヶ国)は、民主主義に関する何らかの見解がゆえにマドゥロをやめさせようとしているのではない。彼らがしたいことは、ボリバリアン革命のなかで実現されてきた進歩的な獲得物の転覆と廃絶だ。米国とベネズエラの右翼野党が成功すれば、革命の指導者、人民、革命的機構を大規模な弾圧が襲うことになるだろう。そのようなシナリオを想像するには一九六〇年代~七〇年代のラテンアメリカの軍事独裁政権のことを振り返ってみるだけでよい。」
 PSLは「闘われているのは、ベネズエラの巨大な天然資源が人民とボリバリアン革命の手にあり続けるか、それとも米国とヨーロッパの帝国主義の手に握られるのかだ」とした上で、「緊急に必要なことは、米国のベネズエラでの戦争に精力的に反対し、ベネズエラの主権を支持する持続的で広範な運動だ」としている(以上は一九年二月一日付けの記事より引用)。

 ●4章 米帝に追随する日帝を許すな

 二月四日、英国、フランス、ドイツ、スペインの欧州四カ国が、グアイドの「暫定大統領」就任を承認した。これに続いて、安倍政権の外相である河野太郎は二月五日、「国際社会の正統性への疑念に対し、説明責任を果たさず、政治・経済・社会情勢が悪化していることを非難する」とマドゥロ政権を非難し、「国際社会とともに、自由で公正な大統領選挙の早期実施を求める」と述べた。こうして日本帝国主義もまた、あいまいな表現であるが、グアイドを支持してマドゥロを追い落とそうとする米国など他の帝国主義諸国と事実上歩調を合わせるに至った。われわれはこれを強く弾劾する。
 われわれは自国帝国主義を含む帝国主義のベネズエラへの反革命的介入策動を徹底して弾劾し、それに反対して闘わなくてはならない。そのことと、マドゥロ政権の個々の政策を批判的に検証することや、官僚主義の問題をはじめチャベス以来の「ボリバリアン革命」の内実を深く検討することは、まったく別の問題である。それらは帝国主義批判のはっきりとした態度と行動を基礎にしてなされなくてはならない。ベネズエラの労働者人民を再び帝国主義の支配の軛(くびき)の下に組み敷こうとするあらゆる策動に反対して闘おう。帝国主義の包囲、恫喝、介入と闘うベネズエラ人民に連帯しよう。


 

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