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   【翻訳資料】
  命と生活のために立ち上がる米国の労働者
   社会主義解放党(PSL)機関紙「リベレーション」(解放)
 (翻訳にあたって)以下に紹介するのは、米国の社会主義解放党(PSL)の機関紙「リベレーション」(解放)に掲載された四月五日付けの記事である。
 ここでは、新型コロナウイルスの感染拡大が米国の労働者にもたらしている深刻な影響と同時に、感染防止を理由にした企業活動の停止措置が多く取られるなかで、米国の労働者が自らの生活と権利を守るために、ストライキを含む手段で立ち上がっていること、またそれが政府・資本に対する圧力となり、失業給付の増額や対象範囲の拡大につながっていることが報告されている。それは現在の状況下での日本の労働者人民の闘いにとっても示唆的である。(なお、〔 〕内は訳者による注)。



 ●1 政治家たちは人民を恐れている――失業者給付の拡大を勝ち取る

 労働局による最新の週刊統計によれば、コロナウイルスによる「シャットダウン〔工場や店舗などの操業・営業停止〕が始まった時点で失業給付を申請していた三三〇万人に加えて、新たに六六〇万人が失業給付の申請を行っている。さらに、ウェブサイトやコールセンターにアクセスできなかったために労働局に申請しなかった人や、移民であることを理由に不当にも給付を拒否された人が数百万人以上いると思われる。セントルイス連邦準備銀行は、パンデミック〔感染爆発〕の結果として、次の四半期に四七〇〇万人が職を失う可能性があると見積もっている。それは失業率が32・1%に達するということを意味し、大恐慌の際に経験した24・9%をはるかに上回ることになる。
 数千万人の人々――その多くがぎりぎりの生活を送っている――が、雇用と結びついている場合が多い健康保険・医療保険に加入できていないことを考えれば、パンデミックの致命的な影響は驚くべきことではない。ビジネスが停止して大量のレイオフが発生し、医療への脅威が本格的な危機へと発展するなかで、利潤優先のシステムの深刻な構造的欠陥が露呈している。パンデミックは、社会を動かしているのは労働者であって、ボスたちではないことを明らかにしている。
 労働者階級の人々は、企業のボスや政治家たちがこの危機を解決するのを受動的に待っているだけではない。給料がないのにどうやって支払いを済ませようかという不安と、防護服がないことへの怒りが相まって、全国で勇気ある行動の波が押し寄せている。マクドナルド、フード・ライオン、ウォルマート、アマゾン、ホールフーズ、インスタカート、パーデューを含むいくつかの企業がストライキに見舞われている。ピッツバーグの衛生労働者たちは、危険な労働条件に抗議するためにストライキに立ち上がっている。
 この最初の波は、ストライキや家賃支払い拒否、その他の反応の形で解き放つことができるだろう力を示唆しており、それは急いで譲歩しなければならないと政治家たちを神経質にさせている。政治家たちが労働者の福祉に本当に関心を持っていると考えるのはナイーブなことではあるが、こうした全国各地での戦闘的な行動がなければ――そしてこれがほんの始まりに過ぎないという可能性がなければ――政治家たちは何らかの対応しなければならないという圧力を感じることはなかっただろうということを理解することは重要である。
 さらに近年、資本主義そのものへのイデオロギー的な反対と社会主義への支持が、とりわけ若者の間でますます顕著になっている。経済的不平等は米国の政治的言説の中心部分となっている。支配階級もまた、こうした現象を十分に認識している。

 ●2 労働者の闘いの成果

 三月二七日に署名された「コロナウイルス支援・救済・経済保障法」(CARES)は、少なくとも二兆ドル〔約二二〇兆円〕にのぼる景気刺激策の一部として、急増する失業に対処するために約二六〇〇億ドル〔約二八兆円〕を割り当ているが、その多くはウォール街や大企業に支払われる。この法律は、パンデミック失業補償、パンデミック緊急失業補償、パンデミック失業支援という連邦政府が出資する三つの新しい失業保険プログラムを制定している。
 これらの新しいプログラムは、より多くの資金を割り当てられなければならないものではあるが、しかし、それらは受給資格を拡大し、支給額を増額させたものになっている。
 それにより、通常給付の対象となる労働者に加えて、フリーランスの労働者や給付限度額を使い果たした労働者も対象となるようになった。その他にも、新たに対象となるグループには、パートタイムの仕事を探している人、十分な職歴がなかった人、新型コロナウイルスのために隔離されたり職場が閉鎖されている人が含まれる。労働者は、それ以前に割り当てられていた支給額以上の週六〇〇ドル〔約六万六〇〇〇円〕の追加支給を受けることになる。
 新しい給付金は州政府の機関が管理・運営するが、その多くは資金不足で、需要の急増に対処できる体制が整っていない。問題が発生した労働者も、あきらめてはいけない。まず労働局のウェブサイトをチェックして受給資格があるかどうかを確認し、その後に電話またはオンラインで州の失業局に連絡しよう。
 また、電話の日時、通話の長さ、話した相手、ウェブサイト上のページのスクリーンショットなど、すべてを記録しよう。主張が拒否された場合でも、法的支援に携わる人々から援助を受けることができるだろう。
 労働者階級からの圧力がなければ、資本家と彼らに仕える政治家たちはどんな譲歩もしない。このパンデミックは、このシステムがどれほど壊れているか、そして、どれほど致命的な結果をもたらすかを暴露した。私たちは、現在および将来の重要な闘争において、ストライキに立ち上がる労働者や失業者と連帯して立ち上がる。

             (佐々木涼 訳)





 

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