共産主義者同盟(統一委員会)






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   【翻訳資料】
  
バイデン次期米政権とウォール街の利害
   労働者階級の大衆行動こそが重要だ
                      社会主義解放党(PSL)
 (翻訳にあたって)米大統領選でのバイデンの勝利が確実なものとなった。現実を受け入れられないトランプの絶望的なあがきの一方で、バイデンは政権移行に向けた準備を着々と進めている。
 米国の左派にとっては当然、新たに発足するバイデン政権は闘争の対象である。社会主義解放党(PSL)は、一方では共和党・民主党の双方と対決する大衆行動の必要性を強調しつつ、大統領選に関わっていくつもの声明を発表している。以下はそのうちのひとつで、一一月二二日付けで発表されている「バイデンが閣僚人事を発表へ ハイパー軍国主義者、親ウォール街の政権が具体化」というタイトルの声明である。簡潔なものだが、バイデン政権の実態を考えていく上で参考になるだろう。
                                    (訳者)佐々木涼


 ■バイデンが閣僚人事を発表へ
 ハイパー軍国主義者、新ウォール街の政権が具体化
 社会主義解放党(PSL)声明

               (一一月二二日)

 次期大統領ジョー・バイデンの側近はさる日曜日、閣僚人事の第一ラウンドが火曜日に発表されると声明した。いくつかのメディアもすでにそれを報道している。閣僚候補の顔ぶれは、労働者のための重要な改革は選択肢にないと示すことをもってウォール街を安心させようとするものであり、世界支配のための米国の軍事力の積極的な行使へとバイデン政権が全面的に向かおうとしていることを明らかにするものである。
 自らが選挙の真の勝者だというドナルド・トランプの茶番劇は、日に日によりとんでもないものになってきている。彼の弁護団の主張は法廷で嘲笑されており、重要な州で投票結果が正式に認定されれば、結果を逆転させることができるのではないかという薄い望みは破られつつある。トランプは、支持者から騙し取ることができる金額を最大化し、また、今後も共和党の支配的な勢力として自らの地位を強固なものにするために、可能な限りこの茶番劇を続けようと決意しているようだ。しかし、一二月一四日には選挙人投票が行われ、幻想に終止符が打たれるだろう。
 バイデンは時間をかけることなく、徹底した反労働者的、軍国主義的政権を準備しようとしている。閣僚の中に「進歩的」だとされる指導者を多少加えておくことは、民主党の大統領の慣例である。これらの人物は一般的に、政権の徹底して反動的な政策に左派的なカバーを提供するイチジクの葉として機能している。バイデンは政治エリートの一員として半世紀近くにわたって大銀行と企業に忠実に仕えてきた人物であり、大統領になってもそうであり、われわれが針路を変更すべき理由はない。
 アントニー・ブリンケンが国務長官に就任予定だ。ブリンケンはバラク・オバマ大統領時代に国務副長官を務め、オバマ、バイデン、ゲイツがまだ躊躇していた頃から、リビアへの空爆を猛烈に支持する陣営の中にいた。彼はまた、シリア政府への軍事攻撃も提唱していた。ブリンケンはそのキャリアの初期、ジョー・バイデン上院議員(当時)の最側近の一人だった時に、宗派に沿った植民地式のイラク分割を提唱している。
 米帝国にとって重要な他の問題について、ブリンケンは戦術的な転換を主張するかもしれない。さる九月、ブリンケン氏米商工会議所主催のイベントで、「一部の人が示唆しているように、中国から米国を完全に切り離そうとすることは……非現実的であり、最終的には逆効果だ」と述べ、バイデンが「中国に関与できる強みのある位置に自分たちを置く」ことを支持しているとも述べている。このようなコメントは、関税や制裁ではなく、地政学的な面で米国の経済的・外交的な優位性を強化しつつ、中国国内に親米派を育成することに重きを置いたアプローチを好むバイデンの姿勢を示しているように思われる。ブリンケンは、トランプ氏が撤退したイラン核合意の支持者でもあり、「近いうちに北朝鮮の完全な非核化を達成することは、不可能ではないにせよ、非常に見込みが低いというのが現実だ」と認めている。
 ジェイク・サリバンの国家安全保障顧問への任命は、バイデン政権が今年初めに全面戦争の爆発直前までいったイランとの緊張を緩和しようとしている可能性を示すものでもある。サリバンは、二〇一三年にオマーンでイラン高官との極秘会談に参加し、「共同包括行動計画」(核合意)につながる交渉を開始したチームの一員だったと報じられている。しかし、「共同包括行動計画」は、外交政策のエスタプリッシュメントからは、アメリカ帝国主義がその力を他の場所、とりわけ中国に集中させることを可能にするための戦術的後退と概念化されていたことを覚えておいたほうがよいだろう。
 国防長官の最有力候補であるミシェル・フロノイは最近、米軍は七二時間以内に南中国海にいる全中国艦船を沈められると脅すことができるようになることがいかに重要かを強調する記事を書いている。
 国内政策に関しては、バイデン陣営はこれまでのところ、セドリック・リッチモンド下院議員がホワイトハウスの市民参加室を率いることを発表している。リッチモンドは石油・ガス産業と密接な関係を持ち、有権者に不利益を与えたことで悪名高い。
 環境保護庁によれば、リッチモンド下院議員の選挙区には、国内で最も大気汚染の進んだ一〇地域のうち七つが含まれている。
 アレハンドロ・マヨルカスが国土安全保障省の長官に指名されることになった。マヨルカスの父親はキューバ革命によって米国に向かう以前にはキューバの工場経営者だったが、彼女はオバマ大統領の下では米国市民権・移民局の局長であり、また国土安全保障省の副長官であった。オバマ大統領の移民チームの一員として、移民コミュニティーに恐怖を拡散させた驚異的な数の強制送還を実行したことで、「強制送還司令官」の異名を持つようになった。
 徹底的に帝国主義的で反動的な政権の下で、切実に必要とされている改革は、断固とした戦闘的な闘争によってのみ確保することができる。すべての人のためのメディケア(医療保険)、学生の債務の取り消し、殺人警官の刑事告発、気候変動に関する劇的な行動などを勝ち取る唯一の方法は、それを要求し、労働者階級の闘う運動をもってそれらの要求を支えることである。


 


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