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■寄稿(2009年11月)


   10・10 日中韓シンポジウム

  「外国人研修・技能実習生制度から見た労働契約法制」に参加して




 十月十日、シンポジウムの行なわれた明治大学リバティタワー一〇八五教室は百五十名ぐらいの人の熱気であふれていた。

 シンポジウムには中国から中国人民大学教授の常凱さん、中国労働学院・副教授の陳歩雷さん、首都経済貿易大学労働経済学院副院長・教授の馮喜良さん、同学院労働関係主任・副教授の王晶さん、人力資源と社会保障労働科学研究所労働関係係研究室・主任研究員の李天国さん、広東労維律師事務所主任律師・弁護士の段毅さん、韓国からは民主労組のパク・スギョンさんと弁護士のチョン・ジョンファンさん、日本からは日本労働弁護団会長・宮崎邦夫さん、外国人研修生問題弁護士連絡会・弁護士の指宿昭一さん、外国人研修生権利ネットワーク共同代表の大脇雅子さん、全統一労働組合・書記次長の中島浩さんらが出席し、問題提起者・パネラーとして意見を述べた。


 ●研修・技能実習制度の問題点について提起

 常凱教授は「@研修生制度=移住労働は経済のグローバル化がもたらしたものである。A日本の研修生制度は三十年たち、大きな問題が発生している。Bとりわけ、九〇年代から外国人労働者の利用が激しくなっている。それも低賃金で危険な労働のうえに危険な労働環境、外国人労働者への社会保障の非適用と人権無視。C研修制度を導入する前はこのような外国人労働者の労働力利用の仕方はなかった」「D外国人労働者の地位と権利を守るため、どのような救済方法があるのか。ヨーロッパでは一定の経験があり、一部の国では解決策を実施している。しかし、日本では研修生・実習生という名のもと、実際は労働力として利用しているだけである」と提起した。

 そして、これらの外国人移住労働者の問題を解決するために、「経済のグローバル化によってもたらされている研修生制度という名の移住労働者の人権等の問題を解決すること。そのため、日中韓が解決のため、統一した意識と労働者保護の価値観を持つ必要がある。そして、外国人労働者の保護のための国家間条約や国際法の制定に取り組み、また派遣国は派遣組織の資質・義務・監督、海外労働者の基本的権利および法的救済などの規定をつくるべきである。また、受入国は移住労働者の職務に制限を設けること、雇用主の責任義務、労働者の権利義務、法的手段と救済手段などを具体的に規定することである」と結んだ。


 ●移住労働者への法適用の現状を報告

 次に、宮里弁護士から、移住労働者の問題についてどの国の法を、どのような観点から適用しているかの現状について報告。

 「@どの国の法を適用するかの原則について言えば、労働契約当事者が労働契約締結に合意している場合は合意したところでの法律が適用される。A日本で働いている移住労働者で日本以外つまり派遣国で労働契約が合意されている場合でも、強行法規(労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、労働組合法)は適用されるし、労働災害の損害賠償責任(使用者が安全配慮義務をおこたったり、不法行為を行い労働者を傷つけた場合)は使用者に責任がある」と法的関係について述べた。


●移住労働者の現状と問題解決について報告

 その後、パネルデスカッションに移り、中国から五人、韓国から二人、日本から三人が、それぞれの国における移住労働者・海外派遣労働者の現状と今後なされねばならないことについて述べた。

 その中で、印象に残ったのは中国からの「日本で労働組合に入れるのか。問題解決には労働者の団結が重要である。二〇〇八年度、日本での外国人研修生・技能実習生の死亡者は三十四名。研修生・技能実習生は二十代・三十代であるのに脳・心臓疾患で亡くなったものが十六名」であり、「この脳・心臓疾患の死亡者は前年の二・五倍になっている」という報告であった。

 韓国の発言者からは、韓国では研修制度から「雇用許可制」へ移行した中で、「いまだ労働者の人権が制限されている。とりわけ、職業選択の自由制限の問題(事業所移動は韓国で働く間三回に制限されている)である」と述べられた。

 そして、中国、韓国、日本の発言者から、送り出し機関への労働者からの保証金の納入、受入国で問題を起こした場合の賠償金請求や本人・家族への脅し、このことを緊急の課題として取り組む必要が述べられた。また、研修・実習生=外国人移住労働者受入国日本における係争中の労働問題での裁判が紹介された。

 最後に問題提起者・パネラーが、外国人移住労働者と受け入れ国労働者の団結の重要性を強調した。労働者の国際連帯、国の違いを越えた団結が労働組合運動にとって大切であることを再確認させられた一日であった。


 

 

 

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