共産主義者同盟(統一委員会)

 

■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

ENGLISH

■リンク

 

□ホームに戻る

2009年・年頭のメッセージ(3)

 ■政治党派・団体からの年頭アピール





 ●共産主義者同盟首都圏委員会

                     畑中文治さん

 マルクス派の真価が試される時代


 共産主義者同盟(統一委員会)と、皆さんに心からの連帯の挨拶を送ります。そして日頃の、統一委のみなさんのご奮闘に敬意を表し、また私どもへのご友誼に深く感謝を申し上げます。

 山雨欲来風満楼
 山雨来たらんと欲して風楼に満つ(さんうきたらんとほっしてかぜろうにみつ)

 晩唐の詩人、許渾(きょこん)の七言絶句「咸陽城西楼晩眺」第四句です。大唐帝国の滅亡と天下大乱の予感を暗示する名句として、時代の変動に際して、これが繰り返し用いられてきたことはご承知のとおりですが、現在私たちが直面する情勢は、まさにこれであると思えてなりません。

 サブプライムローンの破綻が示した、米国発・世界金融恐慌は戦後世界経済秩序の基礎をなす、ブレトン・ウッズ体制を崩壊的危機へと追いつめています。これによる国内経済破綻と大不況への突入と、アフガン・イラク軍事支配の破産と戦争の泥沼化のなかで、米帝国主義・ブッシュ共和党政権は国民から見放され、先日の大統領選挙では、民主党・オバマが、地すべり的な勝利を収め、〇九年一月、政権交代の道を開きました。他方わが国では、同じく大不況への突入のなかで、経済無策と政治展望の不在によって、麻生・自公連立政権が支持率の墜落状況に入りました。遠からず安倍、福田に続く、政権投げ出しの三番手になることでしょう。解散・総選挙の政治決断もできず、景気対策の補正予算案提出も行わず、その一方で、「新テロ特措法」延長だけは、十二月十二日、衆院での再議決を行ない、米帝国主義への忠誠ぶりを示したわけです。わが国支配階級の政治的劣化も極まったというほかありません。日本においても、戦後政治過程において画時代的な意味を持つ政権交代の可能性は強まったと見るべきでしょう。

 しかし当然ながら米国オバマ政権にせよ、小沢・民主党にせよ、前途洋洋と言うわけではありません。これは、現在の世界資本主義の歴史的な段階を画する、新たな蓄積様式への転換は検出されず、その意味で現在の大不況も底が見えないことによるものです。世界の支配階級は、現在の危機に対する新たな世界的経済秩序の構築を、文字通り手探りの状態で模索することでしょう。これに伴い、米帝国主義の単独覇権は大きく揺らぎ、BRICsなど、新興政治大国の参入を織り込んだ多極的な政治軍事秩序への再編成が進みつつあります。この国際情勢のなかで日米同盟もまた、大変動を免れません。二〇一〇年は六〇年新安保条約締結から五十年目を迎えます。この節目に向かって来る〇九年は、日米同盟体制の再編成が大きく動き出すと予測しています。〇九年の政治闘争は、いよいよ激しいものとなるでしょう。「改憲状況は遠のいた」などとマスメディアは述べますが、とんでもない見当違いと思います。九条改憲阻止、日米軍事同盟粉砕の闘いは一層重要なものになるでしょう。

 他方で、異様に長期にわたって低迷を続けてきた、わが国の政治社会変革の運動も、この二年間ほどの間に、ようやく再興の兆しが現れはじめてきました。いうまでもなく貧困と、格差の拡大のなかでこれに抗して立ち上がった、非正規雇用など労働者下層の闘いがそれです。いまだ小さな運動の波ではありますが、新自由主義・グロバリゼーションに象徴される現在の資本主義社会が生み出した諸結果への直接の抵抗と批判であることによって、根本的な資本主義批判の質を孕むこと、そして全社会的な普遍性と世界的な同時代性をもつことに大きな可能性と発展の展望があります。各国の資本家階級は、自ら作り出した貧困と社会的再生産のサイクルの破綻に動揺し、一たびは投げ捨てたケインズ政策を対症療法として持ち出さなければならないという混迷状況にあります。今しばらく続くであろうこの条件は、労働者階級の成長のために必要な時間的余裕をもたらすこととなるでしょう。わが国支配階級の政治的混乱と政党・政治再編の動きもまた然りです。自衛隊・田母神論文が示す政治反動の突出も、現在のわが国における政治・軍事の統合を具体化する理念を、既に破綻した歴史的過去に求めるしかない不在状況の現れと見ることもできます。

 マルクス派共産主義の真価、資本主義・帝国主義批判の切れ味が試される時代です。こうした情勢のなかで第一次ブント結成五十周年を迎え記念集会を行うことは、私たちの大きな喜びとするところであり、同時期に統一委の皆さんが開催される政治集会と共どもにその意義をわかち合いたいと思います。これによってブントの系譜を引き継ぐ小さなグループの一員として、統一委の皆さんとの友好と連帯をさらに強めことになると信じます。とはいえ、現在私たちが、ほかのグループと共にすすめようとしている共産主義運動の連合・統一の試みについて一言申し上げなければ、やはり政治的な誠意を欠くものになるでしょう。手前味噌になりますのでごく簡単に。レーニンの事績を引き継ぐ点では私たちも皆さんも共通しています。そのうえで私たちは、@自らの組織・活動の実態に踏まえれば、規模、構造において「イスクラ」時代以前の段階にあること、AKI第三回大会・労働者統一戦線戦術、KI第四回大会での演説(レーニン)のさらに延長上に今日の共産主義運動の政治組織展望を求めようとしていることが、皆さんとの意見の相違の理由であると考えています。ただ、新しい試みの端緒以前の段階で、これ以上申し上げることは余り意味を持たないと思います。

 共産主義運動の再生と統一、プロレタリア国際主義の実践と革命的労働者党建設の皆さんの永年にわたる活動の蓄積は、依然として私たちにとっても大事な手本のひとつです。折に触れて私たちの活動への忌憚のないご批判をお願いいたします。相も変らぬ一念を披瀝しても芸のないことですが、同じ目標を目指していれば、現在歩む道筋は異なっていても必ず出会うことができると信じます。終わりにもう一つ、中国の人々が愛好するという南宋の時代の政治家/詩人・陸游の成句を紹介します。

 山重水複疑無路
 山重なり水複(まじ)わり路無きかと疑うに
 柳暗花明又一村
 柳暗く花明るきところに又た一村

 信じる道に沿って活動を続けているのだが、情勢は厳しくいよいよ絶望かと思ったときに、ぽっかりと展望が開けてくるといったほどの意味ではないでしょうか。ブントのよい意味での楽観主義もこれに通ずると思います。

 全国各地における共産同政治集会が広範な人々を結集し、闘いの前進、団結の強化を促すことを願ってやみません。世界的に情勢の流動化がはじまりました。私たちも、これに介入し、九条改憲阻止を環として階級闘争と共産主義運動の前進を促す所存です。帝国主義侵略戦争と資本攻勢の激化のなかでこそ、労働者階級被抑圧民族人民の国際主義的団結と闘争ためのブントの旗幟は一層鮮やかなものとなるでしょう。ともに闘わん!



 ●岩田吾郎さん

   関西共産主義運動/KCM

 帝国主義グローバリゼーション・新自由主義の危機に際して、

 共産主義運動の連合・統一・再建を前進させよう!



 共産主義者同盟(統一委員会)の皆さん! 『戦旗』読者の皆さんへ! 二〇〇九年新年のアピールを送ります。昨年二月アメリカ住宅バブルの崩壊、九月証券会社リーマン・ブラザースの破綻等々から「金融恐慌」が全世界に波及している。そして、「恐慌」の波及は金融に留まらず各国の自動車、建設等々の実体経済に拡大している。「世界恐慌」と言う表現が、新聞、雑誌の記事、論文に使われ始めている。この現代帝国主義の「危機」をどの様に捉えるかは、現代資本主義・帝国主義批判の緊要の課題であります。一方で「信用」「金融」を巡る解明から、他方で「パクスアメリカーナ」等の論議が行われている。しかし、いずれも「経済学」「国際政治力学」等々の評論領域に留まっている。既に、この「世界恐慌」の進行と結果については、日々商業新聞が伝ええている。ブルジョアジーによる、労働者・人民への転嫁として失業、強搾取・強収奪の進行です。資本―賃金労働と言う資本主義の根本領域に於ける「世界恐慌」批判が必要であり、又アメリカ、EU、中国等の政治力学的把握では無く、帝国主義諸国のブロック化と各国の争闘戦が開始される事に注意しなければならない。いずれにしても、資本主義的帝国主義のグローバリゼーション・新自由主義の歴史的破綻が到来し、労働者・人民の失業・強搾取・強収奪に対する反撃が開始され始めている。世界的な反グローバル運動・国際反戦闘争と労働者・人民の「世界恐慌」に反対する闘いと結合する時、新たな世界階級闘争が顕在化し、世界プロレタリア革命の現実性が生まれると思われる。昨年十二月にKCMは、「ブント結成五十周年企画」として「『新左翼』の過去・現在・未来」と題するシンポジウムを開催した。「労働者階級は、ただみずからの実力でブルジョア権力を粉砕し、全世界にわたって共産主義社会を建設する以外に、自己を解放することができない」を掲げて一九五八年に「共産主義者同盟」(ブント)は結成された事を想起して欲しい。激動を開始した世界情勢に対して、他方「共産主義者同盟」五十年の歴史的現実はどうか? 又「新左翼」運動の現実はどうなのか? 東欧・ソ連の崩壊、中国の「資本主義」化、日本共産党を含む各国「共産党」の社会民主主義化等々によって、広義の第三インターナショナル系の共産主義運動は最後的に破産した。政治的、理論的、思想的混迷の中で、際会する国際的階級闘争の激動の序曲は、我々「革命的左翼」に、新たなマルクス主義・共産主義運動の連合・統一・再建を求めている。つまり、新たな「ツインメルバルト左派」の形成が緊要の課題となっている。他方、ブントは、唯一の「革命的左翼」では無い。新たな共同行動―全人民的政治闘争形成の中で、ブント系以外の様々な左翼党派、グループも同様の問題意識に逢着して来ている。KCMは、引き続きマルクス主義・共産主義運動の継承を基軸にする「革命的左翼」の「政治討論の空間」を提供して行きたい。又、昨年十二月の「共産主義者協議会(準備会)」の形成は、共産同(統一委員会)結成と同様に、ブント系諸派、グループ、個人の「一つの一里塚」でもある。しかし、「一里塚」であってマルクス主義・共産主義運動の連合・統一・再建の事業、プロレタリア世界革命の実現に従属する。KCMの役割は、真にプロレタリア世界革命を実現せんとする「党」がこの事業の中で登場する事を願うものです。



 ●共産主義者同盟(蜂起派)

                 槙渡さん

 ブント結成五十年をエポック・メーキングに


 今や情勢は、日本と世界の政治地図が大きく変わろうとする転換期を迎えている。今後 一―二年で、二十世紀には予想もつかなかった激しさで矛盾が噴出し、世界がドラスチックに変わるかもしれない。そういう可能性も大いにありうる「変革の時期」「新しい時代への過度期」に我々は立っている。だが既成政党は民意をつかめず新しい展望を示せない。「時代が人を呼ぶ」という言葉があるように、今こそ共産主義運動再生一新左翼運動再生への「新たな胎動」があることを示す必要がある。

 この国の歴史の舞台に新左翼を登場させた共産同(ブント)は、今年結成五十周年を迎えるが、「プロレタリアの前衛」「新しい左翼」としての存在意義を示せるかどうかの瀬戸際にある。七〇年安保闘争の敗北以降、ブントは分裂し新左翼運動総体も長い低迷を余儀なくされてきた。革共同に比して組織力量においても大きく後れをとり後じんを拝してきた。かつて闘いのダイナミズムや新たなインターナショナリズムを切り拓いた輝きは失われ、今日の「前衛不在」の状況をもたらしたと言える。

 こうした「負の歴史」や自らの弱さ・失敗から目をそらさず、教訓を学ばない限り、同じ過ちを繰り返し、新しい時代を切り拓けない。世界の情勢が大きく変わる時代を迎えて、ちゃちなセクト的駆け引きや粗探し、マヌーバー政治にうつつを抜かすネガティブな内向き思考に陥っている場合ではない。これだけ変化の激しい時代、世界の新たな現実に、変化する情勢に対応できないような党派やイニシアティブを発揮できない組織には未来はない。

 我々は情勢が反転するのをただ座して待つ余裕はない。転機はどっかから訪れるのではなく自ら創るものだ。今後五年―十年のタームを、我々は、新たな共産主義運動の創造に向かう、低迷する新左翼運動の再生に向かう、「過渡期」と位置づける。そのための新しい一歩を踏み出す「共産主義者協議会」の発足とブント系四者による共同声明の発信に我々はこぎつけた。

 我々の前途は険しく道程は遠い。だがサパティスタの「問いかけながら前へ進め」という言葉にあるように、我々は、常に「プロレタリアの前衛」としての存在意義(レゾンデートル)を問い返しながら、自らの立ち遅れ・弱さから目をそらさず、現状を打破しなければ将来がないという危機感と自ら変わらざるを得ないという自覚とそして何よりもプロレタリア世界革命への情熱、これを共有し力を合わせ前へ進まなければならない。我々は、他にはない(ナンバーワンではなくオンリーワンの)「大きな存在感のある少数派」として「新しい左翼の極」を創る。ブント結成五〇周年の節目が、歴史に残る「新たな一章」として刻まれるかどうかは、この先の行動で決まる。二〇〇八年十二月が、新たな試練に挑むプントのターニング・ポイント、新しい時代の幕開け(エポック・メーキング)の年として記憶されることを願う。

 虐げられし持たざる者・無産者・労働者―プロレタリアの心の底に潜在する怒りは、地下深くにあるマグマのように蓄えられ、いつか火を噴き上げるにちがいない。だが、それは一年後なのか、それとも自分が生きている間には起きないのかは分からない。それでもたとえ私たちが生きている間に結果を見ることができなくとも、かつてゲバラが革命への試練の途上で語ったように、「我々は次の世代のために革命の種を蒔いている。それがいつか実を結ぶであろうことに希望を持っている」。

 我々は、「世界の変革」と「プロレタリアの解放」のために「希望と情熱」の火を絶やさず、反帝−反グローバリズムと新しいプロレタリア国際主義の旗を掲げ、共産主義者として闘いに心血を注ぎベストを尽くすことによって、未来と次代に対する歴史的使命を果たしたいと思っている。

   
 

 

 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.