共産主義者同盟(統一委員会)

 

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2010年・年頭のメッセージ(3)

 ■政治党派・団体からの年頭アピール




 ●共産主義者同盟首都圏委員会   畑中 文治さん

 皆さんとの団結にふさわしい準備整え、新しい一年の闘いに臨む




 二〇一〇年の年初に、統一委員会の仲間と『戦旗』読者の皆さんに、連帯の挨拶を送ります。

 二〇〇九年の政治社会状況は、世界的にも一国的にも経済社会的な地殻変動が、政治的な上部構造の激変に結果したことをまざまざと示しました。〇八年米国民主党オバマ政権の登場、〇九年八月わが国総選挙における、自・公政権の惨敗、民主党主導(民・社・国)連立・鳩山政権の登場などがそれにほかなりません。

 だが、こうした「政権交代」によって、サブ・プライムローンの破綻に始まった米国発世界経済危機が克服されたわけでもなければ、この経済危機を招き寄せた世界的な帝国主義ブルジョアジーによる搾取と収奪が緩和されたわけでもありません。新自由主義とグローバリゼーションの破綻が、これほどまでに明瞭になったにもかかわらず、ケインズ主義的政策による表面だけの取り繕いが行われる一方で、金持優遇、福祉切り捨て、労働者の権利剥奪を声高に扇動し、実行してきた大資本家とその手先たちは、責任を問われることもなく居座っています。失業と貧困に突き落とされた労働者大衆に、わずかばかりの施しの国家予算をあてがう一方で、「経済危機の救済」のために「首切り自由」の公認と、金融・大独占資本への億兆単位での資金投入が行われています。依然として続く資本攻勢に対する、労働者の反撃はまだ始まったばかりです。

 オバマ政権は「核兵器廃絶」「CO2削減」など、「平和と環境」を触れこむ政治アピールによって人気を得てきましたが、資本の飽くなき蓄積と戦争への衝動を根絶することはブルジョア政治の「理想」ではできません。世界を覆い尽くすマネー経済の浸透によって、「グリーン」の修辞を施したとしても、今日の資本主義経済の成長にはバブルと貧困、自然破壊が伴うでしょう。「ノーベル平和賞」をもらっても、衰退一途の世界的覇権をきっぱり清算できなければ、ブッシュ・前政権によって引き起こされたアフガン・イラク軍事侵略は一層の泥沼化を避けられないでしょう。「友愛」を掲げる鳩山政権についても、事情は同じです。

 したがって、この資本主義・帝国主義の権力を根本から覆す、労働者階級の闘い、共産主義運動が、世界的な規模で労働者階級、勤労被搾取大衆、被抑圧民族人民の多数を獲得して、いたるところで政治権力に到達することだけが、現在の「資本主義の危機」に対する根本的な回答です。米帝国主義を先頭とし、わが国支配階級をもふくむ帝国主義諸国の戦争政策、その軍事的集約環としての世界的規模での米軍戦略展開との国際人民連帯による対決が政治的な最前線になります。わが国社会に即して言えば、日米安保体制の再編強化に向けて進行する米軍再編、九条改憲攻撃に、労働運動を基礎とした東アジア・環太平洋圏人民連帯の力をもって対決することが焦眉の課題となります。二〇一〇年は、六〇年安保改定五〇年にあたり「日米同盟再再定義」の動きも始まっています。民主党主導政権の下で、改憲攻撃も先送りされたように見えますが、民主党の政策には改憲論が含まれていることを忘れるわけにはいきません。七月参院選挙をめぐって、政党再編とともにこの問題が再浮上する可能性があると私たちは見ています。

 そして何より私たちが当面、全力を挙げて取り組まなければならないのは、沖縄・辺野古新基地建設阻止の闘いです。鳩山首相、岡田外相、北沢防衛相の「普天間基地移設問題」をめぐる迷走と暴言は目に余るものがあります。この闘争の帰趨は、鳩山政権の政治性格を内政・外交の全般にわたって明瞭にするでしょう。同時にわが国労働者階級人民と、沖縄人民との団結の質を示すものにもなります。すべての軍事基地撤去、政治的自己決定の実現のための沖縄人民の闘いに連帯し微力を捧げる決意です。

 この二〇一〇年は、引き続きわが国社会と世界的な階級闘争の将来を決定する重要時期となるでしょう。労働者革命党建設を着実に進める統一委員会の皆さんの実践の一つ一つは、私たちの活動の大事な手本です。変わらぬご友誼をお願いいたします。私たちも皆さんとの団結にふさわしい準備を整え、決定的とも言える新しい一年の闘いに臨む所存です。ともに闘わん!




 ●共産主義者同盟(蜂起派)    槙 渡さん

 最も求められているのは変革の構想力とイニシアティブ




<1>
 いま私たちが生きている世界は、かつてない変革の時を迎えている。今後一〜二年の間に、これまで予想もしなかった激しさで矛盾が噴出し、情勢がドラスティックに変わりうる、そういう可能性がある時代、言い換えると危機が深まり旧来の仕組みやパラダイムが通用しなくなる歴史の大きな転換期に立ちあっているのである。

 グローバルな金融―経済危機は、世界同時不況と大失業時代の到来を告げ、「冷戦」終焉後のアメリカ一極支配(パックス・アメリカーナ)の「世界秩序」が足元から揺らいでいる。従来の経済システムは破綻し、地方はシャッター通りに象徴されるように疲弊、雇用は崩れ、社会保障・医療・介護は荒廃、社会全体が壊れかけている。路頭に迷う失業者や生活に困窮する貧困者がかつてないほど増えている。なのにこの国の政治は、変化の激しい時代に対応できず劣化するばかりだ。社会の構造はとっくに変わっているのに、何故、政治はいっこうに変わらないのか。それが閉塞感や失望感を生み、他方で、現状打破への渇望も生み出している。従来型の自民党中心の政治が行き詰まりをみせる中で、歴史的な「政権交代」がもたらされた。いつまでも同じ状況が続くわけではない。政治には、ある時点で、潮目が変わり、情勢が反転し始める局面がある。

<2>
 国境を越える資本移動が自由化・多国籍(超国籍)化されたグローバリゼーションは、「富の再分配」を重視してきたケインズ的福祉国家モデルによる社会保障を解体し、さらなる「富の蓄積」を優先する新自由主義モデルを全面化させた。だが、その結果、一握りの金持ちには利益を与え、貧しい持たざる者には苦しみを押し付ける不公正で不平等な社会のひずみをもたらした。貧富の格差を拡大し、殺伐とした弱肉強食の競争に駆り立てる新自由主義・グローバリゼーションに対して、人々は、世界中で「もう、たくさんだ!」と怒りを募らせているのだ。

 新自由主義的な「構造改革」――@社会保障の切捨て、A労働市場等の規制緩和(雇用の不安定化)、B民営化を三位一体とする政策――によって、この国の労働・教育・生活の三大社会権を保障する公的支援やサービスは、「先進国」の中で最低のレベルだ。働く権利、学ぶ権利、生きる権利に「格差」が広がり、社会的な権利から排除された人々が貧困にあえいでいる。

 貧しい持たざる者・無産者――プロレタリア!――怒りの火種が燃え上がりグローバル資本への反抗が拡大することを恐れる国家権力は、インターネットと携帯電話を駆使した「近代化と進歩」の言説で粉飾しながら、人々の目と耳と口を塞ぎ、不安を煽り、生きる権利を愚弄している。だがプロレタリアの苦しみは怒りに転化し、心の奥底にたまった怒りは臨界点に近づきつつある。臨界点に達した怒りは、マグマのように一挙に噴き出す。その時、プロレタリアを虐げてきた鎖が断ち切られ、歴史は大きな転換期―過渡期の到来を告げるであろう。

 私たちは、人類の長い歴史の中で、階級社会が音をたてて崩れつつあるという「前史」の終幕、つまり搾取も抑圧も階級も国境もない社会への入口、人類史の「本史」への過渡期を目の当たりにすることができる、そういう歴史の扉が開かれようとする時代に生きているのである。世界史における資本主義の時代は、やがて幕を閉じる。すべての虐げられし者・プロレタリアが解放される、新しい時代のステージが始まる。

<3>
 「全世界のプロレタリアの団結と解放」を使命とする我々共産主義者には、こうした新しい時代の扉を開く先導役として、反グローバリズム運動のうねりを起こす新たなイニシアティブと共産主義運動再生への新機軸を創造する「前衛の任」を担わなければならないという重い役割が課せられているのである。

 そのためには、プロレタリアの中に「深く深く、もっと深く」(レーニン)根を下ろし、草の根からの「陣地戦」によって怒りの火種を大きな反抗の火柱に燃え上がらせていくこと、そのイニシアティブとポリシーを創造すること、それこそが今、我々共産主義者に最も求められている緊要な課題である。新たなイニシアティブを創造することによって、反グローバリズムの闘いを前進させ情勢を反転させる、それができるかどうかで、「プロレタリアの前衛」であるかどうか、共産主義者の存在意義(レゾンデートル)が決まるのだ。こうした「時代の要請」に応えられなくて、情勢を反転させられなくて、どうして我々は、共産主義者としての役割を果たすことができるのだろうか。我々は自問を迫られている。

 我々(蜂起派)は、二〇〇九年三月、共産同首都圏委、同プロレタリア通信編集委とともに「共産主義者協議会」を結成した。それは、「新しい左翼の極」を立ち上げることによって、共産主義運動の再生を期し、新左翼の統一戦線と反グローバリズムの連合の形成・陣地戦に資するイニシアティブを創造するためである。国境を越えたラディカルな連帯行動を通して、プロレタリア国際主義と反グローバリズム運動を前進させていくこと、この「前衛の任」を担うことなくして、長い低迷と立ち遅れから脱却し、新しい左翼運動の展望を切り拓くことはできないと考えたからである。

 いま最も求められているのは、変革の構想力とイニシアティブである。どのような戦略・展望によって階級闘争―左翼運動を再生しようと考えているのか、共産主義者は、何よりもその基本的なコンセプトを明確にすることが問われている。「再生か衰退か」、存亡がかかった岐路に立たされているという危機感を共有し、各党派が共産主義運動再生への具体的方策と道筋、展望、創意を提示し、そして検討、討論すること、それが我々が切望することである。




 ●関西共産主義運動(KCM)   八木沢 二郎さん

 広範な「左派」の陣形構築に向かおう



 昨年、米国でのオバマ、日本での鳩山といずれも民主党が政権についた。この政権はいうまでもなくブルジョア政権である。だが、その政権を生みだしたものは、一方でイラク、アフガンに戦争をしかけ(米帝、ブッシュ)あるいは、それに加担した(自・公)政権への反撥であり、他方では、多国籍独占資本とそれを代弁するグローバリズムと新自由主義のあくなき労働者、人民への搾取と収奪に対する反撥だった。従って、成立した政権は、この労働者、人民の反撥を慰撫し、多国籍独占の利害と調停≠キる事によって、ヘゲモニーとして(直接的の独占の利害ではなく)資本主義の延命をはかる事を使命とするものである。(詳しくは『情況』十一月号に書いておいた)

 そして、オバマはアフガンへの増派をきめ恐らくは第二のベトナムの泥沼に突入しつつあり、鳩山政権は、この米帝の世界戦略―米軍再編に逡巡しつつ従いつつある。我々は「民族自決」の原則のもとでこれに対する戦いを広げていかねばならない。

 他方、サブプライムローンに端を発する恐慌もD・ハーヴェイを引用して述べておいたように(『情況』)その後の財政出動のカンフルによって先進国では一時的な雇用なき回復≠ェなされているが、このカンフル切れと共にいわゆる二番底が近づいている。オバマは、医療保険の導入にいきづまり失業の増大に手を打てず、鳩山も予算編成にいきづまっている。いずれにしろつかぬまの調停≠フ破綻が近づいている。

 当面の政治的焦点は、いうまでもなく第一に普天間、辺野古の沖縄(広くは米軍再編、安保)第二に通常国会での労働者派遣法の改定である。

 沖縄は、戦後の米(日)帝国主義の世界戦略の推移の中でその役割を変化させつつも一貫して前線基地として犠牲を強いられてきた。一九四五年の敗戦時の唯一の地上戦の地として、米軍の本土攻撃の出撃拠点化として、そしておおよそ四八年以降の冷戦体制、朝鮮戦争の過程で、又、五二年サンフランス講和での米軍統治の継続の中で(本土では、全面講和か片面かの論争はあってもいわゆる平和勢力も含めて沖縄のありかたをほとんど俎上に上げなかった)、そして、六〇年安保からベトナム戦争の前線基地として、その過程での七二年復帰へ、そして現在、社会主義の崩壊―冷戦体制の終焉とグローバリズムと新自由主義すなわち多国籍企業の利害を代弁するテロとの戦い≠ヨの米軍再編の中で再び三たび沖縄は、その焦点となった。我々は、なんとしてでも普天間の基地撤去と辺野古の新基地建設を阻止しなければならない。

 現在、いわゆる非正規雇用労働者は、全体の三分の一に達し、雇用の不安定だけではなく劣悪な労働条件にある。この状況は、先に述べた二番底の到来と共により厳しさを増すであろう。この状況を生み出したのは多国籍企業のビヘイビアであると同時に自公政権とりわけ小泉政権下での労働市場の規制緩和、労働者派遣法である。民主党はその改定を公約に掲げてはいるが、ブルジヨアジーにとってそれは妥協出来ない線であるだけでなく、民主党の最大の支持基盤である連合、特に多国籍企業労働組合はそれと利害を共にしている。従って派遣法の抜本改定は社民党の動向を含めて連立政権の要石である。多くのユニオンを中心とした戦闘的組合の力で公約の実現を迫り、抜本改定を勝ち取らねばならない。だが、沖縄や派遣法にしても調停的に揺れ動く連立政権の裏切りを許さないのは労働者、人民の力だけである。そして、遠からずくる調停の破れ後のボナパルチズム的権力に対峙しうる幅広い統一戦線をこれらの諸闘争を通じて形成しなければならない。革命的翼(マルクス・レーニン主義者)は、そのために奮闘しその中核を担わねばならない。貴同盟の健闘を祈る。


 

 

 

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