共産主義者同盟(統一委員会)

 

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2010年・年頭のメッセージ(1)


 ■三里塚芝山連合空港反対同盟

 


 ●事務局長 北原鉱治さん

 全国の支援者と共に現闘本部を死守する


 空港反対闘争が始まり四十四年目を迎える。当時我々は、政府、空港公団の、農民を人間視しない暴力的なやり方に対して立ち上がった。法を守るべき国が、説明会、公聴会など手続き一切を省略して、成田空港の建設事業を始めた。

 反対同盟は、一切、要求をしていない。見返り事業として、施設を作れ、金をよこせなどと要求したことは一片のかけらもない。現在もなお引くことなく厳然と闘っている。成田空港は永久未完の空港としてこれからも続くだろう。

 空港反対闘争は、社会、人間はどうあるべきかを学ぶ闘いであり、生き様は正しかったという気持ちがいっぱいだ。三里塚の長い闘争の年月は、大きな犠牲の連続でもあった。多くの人々を死に追い込んでいった。四千名近い逮捕者を出した。それでもなお抵抗権をもって闘い続けている。

 農民には、展望の見えない時代が今も続いている。日本の行政とは一体何であったのか。今民主党に代わったとはいえ、まだまだお先真っ暗である。これから未来を背負う青年、労働者、学生が、未来の夢を描けるのか?その相貌はまだまだ見えない。「天は人の上に人をつくらず」という言葉があるが、現実の中に生きる人々は、生きている限りそれをめがけて闘わなければならない。人類の将来を作るものとして、いつも抵抗し、闘わなければならない現実が、三里塚にはあるのである。

 自分がやらなくとも誰かがやるだろうというその次元はもう過ぎてしまった。行政そのものを根本から変えるべきときである。勇気あるものは勇気を、声あるものは声を出し、今の国際情勢を見る中で、人を殺す戦争そのものをなくす、資本主義は根本から変えるべき時代が来た。

 昨年、政府、空港会社は、民事裁判において農地を奪い、成田空港の完成を目指そうとした。資本主義を肥え太らす方向に没頭している。ひと月三〜六回の裁判闘争が連続してあった。十一月には、現闘本部裁判の結審を迎えた。一九六六年十二月に全国の皆さんの浄財で建てられた現闘本部は、四十四年間に渡り、空港完成を阻み続けている。本年二月に判決の予定だが、反対同盟は、全国の支援者の皆さんとともに現闘本部を死守する。

 成田空港は国際空港という限り、あくまでも平和空港であるべきだ。しかし有事の際には日本やアジアを防衛するという名目で、戦時体制を取るという。有事という言葉を拡大解釈すると先制攻撃するということも加えられる。私は第二次大戦に参加したものとして、再び侵略戦争に加担することは絶対に許せない。反対同盟は、これからも人類が共に生きられる平和を目指し、戦争協力に反対する。農民が生命の糧、食料増産に励むことに展望が持てる時代を作るために、労働者の団結と農民の団結は不可欠である。反対同盟は韓国、米国、ドイツ、ブラジル等の国々の労働者、農民と、国際連帯を作りつつある。地球上の人々とがっちりと団結して、明日に未来を描けるような世の中にしよう。本年も三里塚は全国の皆さんと共に闘い続けます。



 ●事務局次長 「用地内」東峰 萩原進さん

 重要となる4―5月の攻防 三里塚に結集し闘いぬこう


 世界的な資本主義体制の崩壊の中で、問題が噴出している。社会の体制そのものが問われている。基本的には泥沼から抜け切れない状態だ。総選挙の中で自民党支配体制が崩れた。虐げられてきた民衆、弱い立場の労働者の怒りの結果である。ごまかしがきかない状態になっている。鳩山連立が持つのか。支配者階級は、経済立て直しの決定打として、国民全体にしわ寄せをする政策を行ってくるだろう。大きくは労働者階級が資本と対決していくのか、あるいは屈して死を選ぶのかという状況になるだろう。

 今は厳しくても将来は解放される、という展望をもって闘っていかなくてはならない。三里塚における状況は、前原発言がはっきりと示している。羽田だけではハブになりえない。成田と羽田二つをもってハブにしていこうとしている。経済不況、地方空港の九割以上が赤字。空港産業の衰退の中で、巻き返しを図っていこうとしている。韓国に行ってみて分かったけど、成田なんてラジコン空港みたいなものだ。この状態で何がハブ空港だ。アジアの他の空港に比べてみれば、その差は歴然としている。逆にこういう状態に追い込んできたのは我々反対同盟、三里塚勢力の闘いである。

 三里塚四十年、空港産業を叩きのめしてきた。今成田を始めとする周辺市町村などは、羽田に負けちゃいけない、地盤沈下してはいけないという状況の中で、完全空港化を目指しているが、世界恐慌の経済状況の中で、空港産業そのものが危機に瀕している。この間の前倒しの問題、北延伸におけるジャンボ機の離発着の開始、新誘導路供用開始、第三の誘導路の計画。このままでは貨物空港になってしまう、あるいはローカル空港になってしまう、ということを肌で感じて、必死に形だけは整えようとしている。四十年経って、二本目の滑走路で飛行機を飛ばしたことが、逆に重荷になっている。四千メートル一本じゃしょうがないということで、二本目を作ったが、短くて伸ばしたんだけれども、フル活用できない。一本の滑走路に三本の誘導路を作ろうとしている。とんでもない話だ。四十年のつけが一気に出てきてしまった。それでもなりふり構わずやってしまおうとしている。

 二〇一〇年は三里塚の年になる。二月の現闘本部裁判の判決、市東さんの裁判、現闘本部の仮処分執行、四―五月の攻防が重要になってくる。千葉は国体を控えていて、警備上無理があることを考えるならば、強引さをもって大胆に急ぎ、あらゆるやり方を駆使して攻撃をかけてくる。このような状況での三月の集会は、極めて重要な意味を持つ集会になる。反動判決が下され、あらゆる攻撃がかけられようとしていることに対して、こちら側も戦闘に入る年になるだろう。

 全国のあらゆる闘う人々、全世界で闘う人々と結びつき、三里塚に結集させ、闘い抜いていこう。一日に三回デモをやる、夜中にデモをやる、というような闘いをやっていこう。二〇一〇年を偉大な勝利の年にしていこう。



 ●「用地内」天神峰 市東孝雄さん

 この畑を作り続けることが実力闘争だと思っている


 今年も天神峰の地で腰を据えて農家をやってきました。消費者と直接結びついた、顔の見える関係を作りながらの農業に、やりがいと愛着を持っています。

 反対同盟が一丸となって、数多くの裁判闘争、現地闘争をやってきた一年でした。国交省―空港会社、千葉県の許せないやり方に負けるものかと、ますますたたかう決意を固めています。

 空港会社が成田市農業委員会に契約解除許可を申請したのが〇六年の七月でした。それから三年間、三つの裁判をたたかってきました。「耕作権裁判」では、空港会社は、祖父の代から耕し続けている私の畑を「不法耕作だ」と決めつけ、明け渡せと要求してきています。「農地法裁判」では、一度たりとも耕したことがない畑も含まれていて、私が借りている土地だと勝手に決めつけ、明け渡せと言ってきています。しかし、この間明らかになったのは、空港会社が数々の違法行為を働いてきたという事実です。農地法の六条一項は不在地主を否定しています。公団の本社は一九九六年に成田に移転するまで、東京にありました。しかし、公団が旧地主から買収したのは一九八八年だったのです。八年もの間、空港会社は不在地主として農地を所有していたことになります。こうした追及に対して、空港会社はまったく応えることができていません。

 もうひとつは私のほうから提訴した、行政訴訟です。デタラメな空港会社の明け渡し要求に道を開いたのは、千葉県知事・堂本です。「耕すものに権利あり」という農地法の理念を踏み潰し、時効取得など多くの論点をすべて無視して、空港会社の解約請求にお墨付きを与えたのです。

 この千葉県の動きを後追いするように、昨年の国会で農地法が改悪されました。「耕すものに権利あり」をうたった第一条を削除した改悪です。これは、農家から土地を取り上げて企業に引き渡すことを目的にしたもので、全ての農民にかけられた攻撃です。私に対する農地強奪攻撃は、その先駆けとしてかけられている攻撃だと捉えています。

 親父は土地収用法とたたかい、収用攻撃を粉砕しました。わたしは改悪された農地法とたたかい、必ず勝利します。

 私は、これらを法廷だけのたたかいだとは思っていません。三里塚四十三年の歴史は、国家暴力による農地強奪の歴史であり、法律も正義もありません。私の畑一つ一つをとってみても、嘘とだましの土地買収で、法を次々と破っているのが空港会社を先頭とした連中です。そして、法廷でたたかっていようとなかろうと、力ずくで土地を取り上げる、工事も続行する。それが国と空港会社のやり方です。

 実際に空港会社は、第三誘導路を作るためのボーリング作業を十一月から始めています。この第三誘導路は、私の家と畑を完全に囲い込む形になっています。こうしたやり方に対して、私は一歩も引かずたたかいます。空港会社が手をかけようとしている畑を耕し続けます。この畑は私の闘争現場であり、この畑を作り続けることが実力闘争だと思っています。もしこの先、私の畑に空港会社が手をかけるなら、私は実力阻止のたたかいに立ち上がる決意です。そして、このたたかいは、私一人のたたかいではありません。四十三年たたかってきた空港反対同盟、完全無農薬・有機野菜でつながる消費者、そして、全国の農民と労働者、反戦闘争や住民運動をたたかうすべての人と結びついてたたかっていきます。皆さん、ともにたたかいましょう。



 ●中郷 鈴木健太郎さん

 現闘本部、市東さんの畑を守ることが反対同盟の使命


 〇九年は天神峰現闘本部や市東さんの裁判、一坪裁判など法廷闘争をたたかいながら、他方で、空港会社による第二誘導路や北延伸滑走路の供用攻撃に対して現地闘争をたたかいぬいた一年でした。

 空港会社は東峰の森を伐採しての新誘導路供用を七月に強行しましたが、それと並行して第三誘導路を計画していることが暴露されました。これは、第二誘導路を作っても意味が無いということを、空港会社自身が承知していたことを明らかにしています。無駄な工事だと分かった上で第二誘導路工事を強行し、さらに第三誘導路の建設を強行しようとしている空港会社の狙いは明らかです。それは、なりふり構わない、反対同盟農民へのたたき出し攻撃です。第三誘導路では市東さんの住宅と畑が、完全に空港施設に取り囲まれる計画になっています。市東さんの生活を、丸ごと空港の中に囲い込んで破壊しようというのです。このようなことは絶対に認めるわけにはいきません。粉砕あるのみです。

 自民党一党支配が崩れる中で、羽田のハブ化方針が打ち出されるなど、成田空港をめぐっても流動化が起こっています。成田市議会では、羽田のハブ化に対抗する形で、成田空港の二十四時間化や三本目の滑走路を求める動きなども出てきています。しかし、政権が交代しても、反対同盟への攻撃は変わることなく続いています。

 二〇一〇年は、二月には現闘本部裁判の判決が出されようとしています。反対同盟としては、仲戸川がどのような判決を出そうとも、現闘本部死守でたたかう決意を固めています。さらに暫定滑走路でのジャンボ機の離着陸、そして市東さんに対する農地強奪攻撃も激化してくるだろうと思います。こうした攻撃に真っ向から対峙し、現闘本部、市東さんの畑を守りぬくことは反対同盟の使命です。空港会社の狙いが南延伸であることをはっきりと捉えて、反対同盟は一致団結して、現地闘争・裁判闘争をたたかい抜きます。

 この間、反対同盟は全国の農民との団結を追求してきました。昨年の全国集会では、北総農民が登壇して発言しました。今年は、北総農民だけでなく全国の農民に訴えかけていきます。市東さんのたたかいは、全国の農民に共有される内容をもっていると確信しています。そして、日本だけでなく、韓国の農民との連帯も強めていきたい。〇九年は、萩原進さんがはじめて訪韓しました。今後も交流を続け、韓国農民との連帯も強めていきます。

 米軍再編をめぐって、各地の反基地闘争が力強くたたかわれています。日米安保五十年ですが、これを期に各地の米軍基地を、今こそ撤去させましょう。反戦の砦としての三里塚闘争は、全国の反基地闘争と連帯してたたかい抜きます。

 反対同盟は、〇九年よりもさらに一歩進んだたたかいに立ち上がります。とりわけ市東さんのたたかいが重要です。市東さんの裁判闘争への支援を強く訴えます。みなさん、ともにたたかいましょう。


 

 




 

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