共産主義者同盟(統一委員会)

 

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2011年・年頭のメッセージ(3)

 ■政治党派・団体からの年頭アピール




 ●共産主義者同盟首都圏委員会  畑中文治 さん

 希望の時代をひらく共産主義運動を


 二〇一一年の年初に、統一委員会の仲間と『戦旗』読者の皆さんに、連帯の挨拶を送ります。
 昨、一〇年もまた、皆さんとともに、反帝国際連帯の階級的国際主義的な共同闘争の機会を持つことができたことは、私たちにとっても大きな喜びでした。二一世紀最初の一〇年間の、世界的な規模での政治経済の歴史的な変動のなかで、共同闘争に基づく団結を育ててきたことを、私たちは意義深く確認しています。
 とりわけ、この一年間は、〇八年以降顕著となった世界資本主義の破綻、米国発金融恐慌から世界的経済恐慌・大不況への突入のなかで、この資本主義の危機を救済するための処方箋のあれこれが、容赦のない現実の検証にかけられた日々でありました。
 〇九年一月に発足した米国オバマ政権は、国内経済破綻の処理と、イラク・アフガン侵略政策の手直しに汲々として、見るべき改革の「成果」を挙げることもできず、「ティー・パーティ」など保守反動キャンペーン攻撃のなかで一〇年一一月中間選挙において、歴史的大敗北を喫し、共和党に下院過半数を明け渡しました。
 日本では、やはり〇九年八月の総選挙によって、戦後五五年体制成立以降初めて「政権交代」が実現し、民主党主導連立政権が発足しました。これは「小泉・竹中」構造改革の破綻と自民党政治の自壊によって呼び寄せられた、政治と経済の政策における雑多な要素を含むものでした。したがって鳩山政権の沖縄をめぐる迷走と破綻、菅政権への交代と七月参院選挙での大敗と、一層の混迷には十分な理由があったと考えられます。
 中国は、〇八年北京オリンピックに続き、上海万博という国家的大事業を成し遂げ、国内の資本主義化を一層進めるとともに、「世界の工場」、世界経済成長の推進力としての役割を果たし、国内高度経済成長を続けてきました。しかし、そもそも世界資本主義には、新たな成長モデルが見当たりませんから、低廉な労働力に基づく「チャイナ・プライス」が、持続的な経済成長を保証するとは考えられません。これは、今後の経済発展が期待される、南アジア、ラテンアメリカ、アフリカなどの地域にも該当するように思われます。
 EUでは、二月にギリシャ財政危機が大きな問題になり、五月にはEUとIMFによる一一〇〇億ユーロという巨額の支援が決定されました。さらにギリシャを含む、ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインの五カ国における経済破綻が懸念されてきました。財政規律を重視してきたとされ、また堅調な経済運営を進めているように見えたEU諸国にあっても深刻な財政危機が進行していた訳です。
 自由貿易主義によって経済成長をめざそうとすれば、当事者すべてが結局、輸出拡大路線を採用することになるので、G20もAPECもはかばかしい合意をつくることはできませんでした。また経済成長そのものが、金利上昇を招くとすれば、それが直ちに政府債務の膨張、財政危機の激発につながります。他方、これ以上の赤字財政の累積は、政府信用の破綻を招くので、これらに代わる新ケインズ主義の政策も明瞭には見えていません。現在の政治と社会の停滞と閉塞の背景には、こうした資本主義そのものの行き詰まりがあると考えられます。
 言うまでもありませんが、この経過を通じて支配階級や、その改良主義的な手代たちの資本と国家の支配を延命させるための手口は、ほぼ明らかになったのではないでしょうか。この事態についてのマルクス主義の批判的認識と、共産主義運動の実践によって突破する展望が問われています。この点につき、みなさんのよい知恵と経験からご意見をいただきたいと思います。また昨年は、私たちにとって、沖縄に関わり、とりわけ日米安保体制に組み敷かれた日本の政治社会のありようを変革するための行動を積み重ねる一年間でありました。この事情は、来る一一年においても変わらないものと思いますが、ここでもみなさんの尊い実践に学びたいと思います。
 私たちは、この時代を希望のあるものとするためにこそ、共産主義運動があることを、生産と生活の実践と、着実な政治社会変革の現実をともなって粘り強く訴えていく所存です。統一委員会の皆さんの変わらぬ友誼をお願いいたします。もてる力をさらに振り絞って、この数年の鎬を削る闘いを進めましょう。ともにたたかわん!



 ●関西共産主義運動(KCM)代表  八木沢 二郎 さん

 日米軍事同盟再編、排外主義、生活破壊に抗する戦線構築を


 T)「生活第一、東アジア共同体から、新成長戦略、日米安保強化へ」―民主党政権の変質 
 〇九年八月の選挙で生活第一を掲げて勝利した民主党政権は、その後一年完全に変質した。もともとその内部に―特にその首脳部に―新自由主義者を持つこの党が変質することは驚くことではなく十分に予測しえたことでもある。西欧の社会民主党も政権をとった時`社会自由主義a党となったのだから。左派を自称するいくつかの組織は、人民革命などとこの政権を持ち上げたことを恥じねばならないだろう。
 我々は、この変質を弾劾するとともに、この急速な変質の背景と動因を解析せねばならない。
 変質は、一つは、云うまでも無く、沖縄(普天間の県外移設から辺野古へ)と五月の日米共同声明による日米安保の確認、そしてより一歩進んだ尖閣、北朝鮮問題を背景とするいわば`準戦時体制aへの踏み込みである。これは、鳩山が掲げた東アジア共同体―それは、一方で多国籍企業の意を体して成長センターのアジアでの地歩を築くという経済的側面と、日米安保を相対化して中国との関係を強化するという外交的、政治的、あるいは軍事的側面の転換を意図した―構想の放棄である。日米同盟を相対化するどころかその政治的・軍事的一体化をとおして共同でアジア市場での分け前を取ろうという方向への転換、変質である。
 もう一つの変質は、生活第一から新成長戦略への転換である。民主党政権を成立させた(自民党の転落)要因は、それまでの新自由主義政策による貧困・格差の拡大、社会保障制度の磨耗と改悪による人民の怒りと五五年体制(統治形態)の終焉の複合による。だが、民主党政権は、これらの課題を何一つ解決できなかっただけではなく完全に多国籍独占資本の意にそって新成長戦略なるものを打ち出してきた。その内容は、成長するアジアで多国籍企業を、とりわけアジア諸国市場を連結するインフラ整備に多国籍企業と国家が一体となって乗り出すことで支えるものである。
 新自由主義が`官から民へaであったのに対して現在進行しているのは、国家の前面(全面)化である。この特徴を見なければ現在進行している事態を把握したことにならない。それこそが、政治的にも日米同盟のより進んだ段階への踏み込みと強まる排外主義ナショナリズムを生み出している基盤でもあるから。
 U)リーマンショック―世界金融恐慌以降の情勢の転換
 以上簡単に素描した民主党政権の変質は、〇八年金融恐慌以降の世界的情勢の大転換と深く関連している。
 先進国企業は、中国、インドをはじめとするアジアやブラジル市場へ殺到し、超金融緩和策で資金も途上国へと動き、先進国の深刻なデフレと途上国への過剰流動性の流入によるインフレ、バブルという対照的情況を生み出している。だが、そこから生み出されているのは、単なる局面的、一時的事態だけではない。いわば「基軸国家」の転換という世界史的事象の開始であろう。
 産業資本主義段階から帝国主義段階の前半まで続いたイギリスの圧倒的力、パックスブリタニカは、ドイツとりわけアメリカの発展によって揺らぎ第一次世界大戦→二九年恐慌→二次大戦を経てパックスアメリカーナへと変化した。だが、そのアメリカの地位も、一九七一年ドル兌換停止とヴェトナム戦争での敗北によって揺らぎはじめ、一時社会主義の崩壊の中で金融を軸に巻き返しに成功するかに見えた。だが、まさにその金融によってしっぺ返しにあい金融恐慌を引き起こした。それは景気循環の一過程であるだけではなくパックスアメリカーナの崩壊の狼煙であった。勿論、イギリス→アメリカの転換がおおよそ半世紀をかけて進行したように、現在の中国を先頭とするアジアへの転換もいくつかの`事件aを重ねながらじょじょに進む。基軸としてのアメリカの位置が喪失することは避けられない。
 基軸国家の移転は、多くの論者が言い、歴史が示しているように、危機の時代である。経済を基底としながら政治、軍事、あるいは文化にいたるまでの世界的地殻変動、つまり旧来の秩序が崩れ新たな秩序への大転換、変動の時代であり、新たな力関係に応じる`再分割aの時代である。必然的に`国家aが前面化しナショナリズムが台頭する。
 V)民主党政権は、新成長戦略と日米同盟の強化を不可分一体のものとして推進する以外にない。日本の多国籍独占資本は、Uで述べたような動きのなかでアジア市場へ国家を動員して更に進出する、そのためには、中国との対抗や様々な不安定要素をはらむアジアでアメリカの軍事力をあてにせざるを得ない。また、アメリカも戦略目標としての中国の`民主化a(経済成長にともなう中産階級の増大、民族問題をテコとして)のためには、日本との同盟強化は、不可欠である(そのために鳩山―小沢の東アジア共同体構想をつぶさねばならなかった)。日米(韓)軍事同盟の強化とそして元のフロート(切り上げ)への移行への圧力のためにも。
 新成長戦略は、ほとんど実効性のないものである。ブルジョアジーにとって唯一と思われるてだては、アジアへの特に円高を利した資本輸出だが、これもすでに、アジア諸国は、流入する先進国過剰流動性とそれによって引き起こされているバブルにたいして金融引き締めと資本輸入の制限へ転じつつある。
 このような、諸条件は、ブルジョアジーの`統治形態aの転換を早晩もたらす。〇九年に自民党政権が崩壊し五五年体制が終焉したが、それに取って代わった民主党政権の性格は、本質的にボナパルチズム的傾斜の`強権a的なものだ。
 排外主義の強まりとあわせて今後の情勢は、そのような統治の転換を―民主党政権としてか大連立等の形態としてかは別にして―はらむものであろう。日米安保―排外主義(ナショナリズム)強化と生活破壊そしてこれを統合する強権的な統治形態の転換に抗した左派の戦線の強化を急がねばならない。貴同盟がその先頭に立って奮闘されることを期待する。



 ●共産主義者同盟(蜂起派)  槙 渡 さん

 世界を変えて希望を取り戻す共産主義運動の再生へ



 いま世界は、かつてない激動の時代、現代史の転換期にある。歴史の過渡期とは、常に混迷を伴った「危機と変革」の時代である。政治、経済、軍事、社会全体のあらゆる旧来のパラダイムが、大きな地殻変動に見舞われている。戦後の政治体制や「冷戦」構造を規定してきた旧ソ連・東欧のスターリン主義体制が崩壊して以降、グローバリズムが世界を席巻し、アメリカの一極支配(パックス・アメリカーナ)が喧伝された。だがアメリカが始めたイラク侵略戦争は失敗し、米一極支配の黄昏を告げた。エンジン役だった新自由主義は金融―経済危機を招き、獄門を免れたものの被告席に引き立てられヘゲモニーを失った。いまや新自由主義とは、社会保障を解体し雇用や生活に不安定(プレカリテ)をもたらす代名詞になっている。経済は破綻し、雇用は崩れ、社会保障や医療・介護は荒廃し、地方はシャッター通り商店街に象徴されるように疲弊・社会全体が壊れかけている。多くの人々が、医療や介護の負担の重さに苦しんだり、半失業―半就労状態の不安定な雇用を強いられ、将来に不安を抱えている。自殺者は毎年三万人を超えている。こうした閉塞感に覆われた殺伐とした状況は、この国の社会保障が「先進国」中、最低レベルであること、なのに政治はいっこうに変わらず劣化するばかりであることの反映であると言える。「政権交代」から一年余、民主党政権は、沖縄の普天間基地問題や雇用・社会保障をめぐって公約を反古にし裏切り、失望と不信感を与えた。「新しい政治」を訴えた民主党だが、一皮めくれば旧態依然、新自由主義によってもたらされた社会的な不公正や不平等を正すポリシーなど持ちえていないばかりか、自民党と大して変わらないことが明白になった。
 この国の「劣化した政治」を変えうるのは、草の根の大衆運動の力だけである。労働運動や社会運動など大衆運動の力が弱くて、どうして人々の政治意識や権利意識を成熟させられるだろうか。大衆運動の立ち遅れた現状――欧州の反グローバリズム運動とは周回後れの低迷――に我々左翼は責任を免れることができるだろうか。資本主義社会の歪み、不公正、不平等に対しての怒りを組織し、社会を変えて希望を取り戻す、そうした「理想と情熱」に燃えて大衆行動のうねりを起こすことを使命とした左翼は、今やこの国ではすっかり希少になった。六〇年―七〇年の安保闘争の中で、その旗手として輝いた新左翼も旧左翼の後じんを拝する「旧い新左翼」になってしまってはいないか。いったいどこで我々は間違ったのだろうか。これまでも「左翼退潮論」は、しばしば語られてはきたが話半分で聞き流したり深刻な事態だという危機感は伝わってこなかったと言える。たしかに諸党派諸政治勢力の利害や思惑がからみ一筋縄ではいきそうにない。明るい展望が簡単に見えるわけでもない。だが困難にたじろいで内向き志向に堕し力を合わせることを怠れば、左翼運動の裾野を広げられず廃れていく他ない。情勢を反転させるための連携・共闘や新機軸を立てる努力は、この国の左翼には明らかに不足しているのではないか。旧来の思考―行動様式から脱却し、旧い殻を破るイニシアティブを創造しなければ「再生」はおぼつかないのが、今日、存亡の岐路に立たされた左翼の現状だ。我々は「新しい左翼の極」を立ち上げ、戦略を再構築し共産主義運動の新たな荒野を切り拓いていく。「再生」(ルネッサンス)こそ、転換期の時代における共産主義者の合言葉にふさわしい。

 

 

 

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