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2011年・年頭のメッセージ(1)


 ■三里塚芝山連合空港反対同盟

 


 ●事務局長  北原鉱治さん

 世の中を変えることで新しい未来が開ける


三里塚は反戦の砦として、世界人類の平和のために四十五年にわたって闘ってきた。本年も決戦の年として、労働者・農民は新たな決意をもって展望を描きつつ闘い続けなければならない。
 政権が民主党に代わったが、自民党政権と様変わりすることはなかった。そのような中で、他力本願ではなく、自分自身が立ち上がって闘うことが求められる。人間はそれぞれ性格も違い、精神的にも多様だ。闘いの中でそれぞれが果たすべき役割がある。「声あるものは声を出せ。勇気ある者は勇気をもって動かなければ、決して未来を作れない」と私は絶えず言ってきた。まさにそのことが問われていると思う。
 最近、尖閣列島や千島列島の問題が起き、領土問題について何か不穏な空気が漂い始めた。このことを憂慮する時、六十五年前をいやおうなく想起する。殺し・奪い・犯した大量虐殺の歴史を深刻に振り返り、かつての道は絶対に避けなければならない。そのような歴史をどう吹っ切っていくのか。生ある者一人ひとりが立ち上がらなければ、人間の未来は切り開くことはできないだろう。
 三里塚現地では空港会社が、江戸時代から続く道路、市東さんが親子三代にわたって使ってきた生活道路を奪い、生命を生産する農地を奪おうとしている。企業優先主義のもと、そこに住んでいる農民を囲い込み、死に追いやろうとする。「これでいいのか!」と私は叫びたい。このような暴虐に対して抵抗が生まれるのは必然的なことである。抵抗は生きとし生ける者の権利である。空港建設に抵抗し闘争を闘う者を虫けらのように扱う、これは断じて許すことはできない。
農業破壊の現状を、全国の労働者・農民が立ち上がって打開しよう。労働者は職場を追われ、生きる希望も見えぬ中でもがき苦しんでいる。労働者と農民が一致団結して立ち上がり、政治や行政そのものを根本から改革して、新しい時代をつくらなければならないのではないだろうか。三里塚闘争の長年の歴史に立って今、私は、若い青年、労働者・学生に、お互いに連帯して世の中を変えることによって新しい未来を開いていくことを呼びかけたい。
 闘いを継承することが生あるものの責任と感じている。これからの時代を背負う若い人々、幼子の未来のために、二〇一一年も三里塚は闘い続ける。このことを全国の皆さんに訴えて、年頭の挨拶としたい。



 ●事務局次長・「用地内」東峰  萩原進さん

 市東さん先頭に闘いぬき今日の闘いを切り拓いた


 昨年は文字通り決戦の年だった。
 政府、空港会社は、去年一年で何とか、空港の目鼻、形を作ろうとしてきた。頂点は市東さんの農地取り上げだが、現闘本部取り上げ、新たな誘導路建設、団結街道廃道という攻撃が、すべてセットでかけられてきた。その攻撃に対して、断固闘いぬいてきた。仲戸川による現闘本部の仮執行処分攻撃を打ち砕いた。
 また東京高裁においても、拙速裁判攻撃を粉砕し、現闘本部強制撤去攻撃を打ち砕いた。団結街道廃道攻撃に対しては、市東さんのまさに体を張った闘いを先頭に、反対同盟、支援勢力が一体となって闘い抜いた。反対同盟自らが、逮捕、流血を辞さず闘いぬき、闘う勢力、人民を奮い立たせるということを実践した。そういう勝利的地平が光った一年だった。そうであったからこそ、向こうの、このままでは成田は捨てられるという、無理に無理を重ねた攻撃があった。弱さの裏返しとしてあるが、こちらが構えなければ、弱さも強さもない。われわれはそれをしっかりと見抜き、引きずり出して、正面から敵の攻撃を打ち砕いた。まさに敵に隙を与えなかった。市東さんを先頭にして、闘いぬいて、三里塚闘争を今日の闘いへと押し上げてきた。
 国際的にも国内的にも、矛盾が表に突き出てきている。民主党の統治能力はないということが国民の前に露骨に明らかになっている。政策的な課題が解決不能状況に陥っている。民主党に代わる勢力もない。戦争遂行、朝鮮半島の危機もありつつ、中国をどうするかという問題もある。とんでもない時代になっている。今年は忙しい年になる。農民つぶしの攻撃がますます強まっている。農地取り上げの問題に対して、FTA(自由貿易協定)締結反対という闘いを一体のものとして、全国の農民の利害に立って闘い抜いていかなくてはならない。戦争攻撃が強まる中で、軍事空港反対の闘いを闘い抜かなくてはならない。
 成田の位置がますます重要になってきている。一昨年の米軍事戦略見直しに明らかなように、有事を想定した軍事演習や、習志野をはじめ各地での迎撃ミサイル配備など、成田の軍事空港としての位置がますます重要なものになっている。大きくは中間派がなくなる状況になっている。排外主義勢力の台頭、それとの激突を通して、われわれは勝ち抜いていかなくてはならない。三里塚と沖縄、さらに全国の反基地を闘う住民との結合を強めていかなくてはならない。あらゆる戦線、闘う人民との結合を大胆に推し進めよう。アジア、全世界で闘う労働者階級人民との連帯を強めていく大きなうねりを作り出す一年として、闘いぬいていこう。



 ●「用地内」天神峰  市東孝雄さん

 闘いの原点を守ることが連帯と団結をつくる


 今年は一年間、いろんなことがありました。私の逮捕もありましたし、また、裁判も増えています。五月十七日の不当逮捕、拘留の際は、みなさんの檄文やメッセージを数多くいただき、そして裁判では傍聴に本当に大勢の方が参加してくださり、ありがとうございます。
 私は不当逮捕と農地の取り上げ裁判は、まったく一つのことだと思っています。
 そもそもの原因は、農家の声をふみにじった力の政治であり、場当たり的な空港建設です。三里塚闘争のこれまでの歴史のなかで機動隊を含めると死者七人、逮捕・投獄者は延べ三千三百人、負傷者は延べ六千五百人です。国の暴力に対して、身体ひとつの農民・労働者・学生が、必死に抵抗したのが三里塚の歴史でした。
 この力による空港建設を、政府は「謝罪」しました。空港会社の前社長・黒野は「人としての尊厳を損なうようなことは二度とやらない」とわび状を書きました。
 ところがその直後には、東峰地区の民家にぶつかるようにして低空を飛ぶ暫定滑走路を建設し、「効率が悪い」からと言って誘導路を二本にしました。東峰の民家は空港の中に取り込まれ、住民は爆音と墜落の恐怖のなかで生活しています。そしてついに、私の家のすぐ横に三本目の連絡誘導路を造る計画が持ち出されてきました。私の家は騒音をふりまく二つの誘導路で囲まれます。
 成田市が廃止した道は、江戸時代の図面にも残る里道で、一日百五十台の車が通り、私の農作業にとっても無くてはならない道です。この団結街道閉鎖も、この場当たり的な空港づくりが起こしたものです。これに強く抗議したら、すぐに逮捕。空港会社が告訴して、二十三日間も勾留されたあげく、不起訴で釈放。こんなひどい話はないと思います。
 欠陥だらけの暫定滑走路は造るべきではなかったのです。
 現闘本部裁判、農地取り上げ裁判は、暫定滑走路の「へ」の字誘導路を真っすぐにするために、畑を強引に取り上げようとする裁判です。
 もともと空港会社は、「へ」の字に曲がるから造るべきでないものを、「安全性に問題ない」と言って強引に建設しました。使い始めたら「効率が悪い」「畑が曲げているのだから裁判で取り上げろ」というのです。信号機で通行規制しなければ使えないのだから効率が悪く危険なことは始めから分かっていました。自分でつくった不具合ですが、その不具合を口実に、今度は農地を取り上げる。こんなことを、どうして納得できますか。
 羽田を「ハブ空港」にするという国の政策転換に、空港会社はあわてて「年間三十万回離着陸」を打ちだしました。三本目の誘導路や、「へ」の字の緩和などの無謀な工事はこのためです。人の命を考えない空港会社に、怒りがこみ上げます。
 三里塚は反戦の砦、共闘と結集の砦です。空港が国策、公共事業だというけれど、農こそ公共だと私は信じてます。農業を守り、畑を耕し続けることが公共だと思います。
 これまでの自民党政治では、政治とカネ、ゼネコン、賄賂の公共事業で環境が破壊されました。そして農地がどんどんつぶされました。そうしてきたのが今の社会じゃないですか。
 人間は土を耕し生きてきたわけで、この当たり前のことに立ち返ることが必要だと思います。農地は私たちの命です。「耕す者に権利あり」です。農家はそうしてこそ、この社会の中で生きていくことができると思います。ところが三里塚ではそうすることが罪になります。
 反対同盟がたたかいの原点を守ることが、みなさんとの連帯と団結を作ることにつながります。また空港が戦争に使われることにも反対する三里塚闘争は沖縄の人たちとつながることになると思っています。
 耕すものに権利あり。これからもこの使命を曲げず闘い続けます。これからも自然体でやっていきます。みなさん、これからもともに闘いましょう。



 ●中郷  鈴木謙太郎さん

 闘争と農業を一本気でやってきた親父を引き継ぐ


 一〇年は、現闘本部裁判の一審判決、団結街道の閉鎖と市東さんに対する不当逮捕をはじめ、数多くの裁判闘争や現地闘争をたたかい抜いた一年でした。現闘本部裁判では、千葉地裁に対する情宣・集会に取り組んで「仮執行宣言」を打ち砕き、その後の全国集会は千五百三十名の人々と共に勝ちとることができました。団結街道の閉鎖阻止闘争では、一カ月以上の現地攻防戦をたたかい抜き、市東さんの実力抗議を先頭にして、空港会社による閉鎖を許さずたたかい抜きました。こうやってたたかい抜く中で、反対同盟にも気合が入りましたし、全国の人々にも、反対同盟のたたかいを示せたんじゃないかと思います。
 東峰・天神峰では新誘導路建設工事によって生活環境が破壊されています。芝山でも、物流倉庫や道路の新設が絶えず行われ、畑を囲んでいた林が切り倒されるなど、空港による生活破壊・営農破壊が続いています。三里塚に来たことがない人はもちろん、むかしは来ていたが最近は来ていない人も、ぜひ援農に来てもらいたい。工事によって環境を変えられていく状況を、時間をかけて見てもらいたいと思っています。
 日帝―政府が進める農政改悪によって、日本の農業は危機に瀕しています。これまでも劣悪な農政によって、日本の農民は農業を続けていく展望を奪われてきました。この五年間でも、農家が20%減って七十五万人が廃業し、農業従事者の異常な高齢化がすすんでいます。自給率が四割にまで低下する中で、自給率を向上させるといっていますが、農業を破壊してきたこれまでの方針に変更はなく、口先だけのことです。APECでは、菅が突然TPP参加を打ち出したり、外務大臣の前原が農林水産業はGDPの1・5%しかないといっていました。工業製品を輸出するために、農業を犠牲にするという姿勢が鮮明になってきています。反対同盟農民としては、こうした農民殺しの政策と市東さんの農地を取り上げようとする空港会社の策動が平行していることを見ないわけにはいきません。市東さんの農地をめぐる問題を、もっと全国の農民に広げて共有していかなければなりません。日本の農民がたたかいに立ち上がるよう呼びかけ、打って出て行かなければなりません。また、反対同盟として「労農連帯」と言ってきていますが、これまでの農政が分断してきた食料の生産者と消費者のつながりを、新しく作っていかなければなりません。これは、全国のみなさんとともに、長い期間をかけて取り組まなければならない課題です。
 市東さんは、これからも農業を続けていきたいという意思をはっきり示し、今も産直農家としてやっています。これまで三代にわたって耕してきた農地を引き継いでやっているわけで、市東さんには、意に反して農地を強奪されるいわれは全くありません。本来なら、空港会社の訴えは門前払いされるべきものです。産直運動で協力する農民として、空港反対同盟として市東さんと一体となって、空港会社の農地強奪を許さず、市東さんの畑を守り抜きます。
 この六月に父親の鈴木幸司が亡くなりました。簡単には言い尽くせませんが、親父は闘争も農業も一本気でやってきたし、私はその背中を見てきました。それを引き継いで闘っていきたい。
 来年はまた、今年以上に現地でのたたかいが取り組まれることになるでしょう。皆さんにも呼びかけますので、裁判闘争と現地闘争に今年以上の取り組みを訴えます。一年一年が勝負です。反対同盟の決意は固まっています。今年も全国の人々に会えるのを楽しみにしています。ともにたたかいましょう。



 

 




 

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