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『戦旗』第1271号(2006年10月20日

 

●核実験弾劾―世界から全ての核の廃棄を! 制裁決議弾劾! 新たな朝鮮戦争許すな!

●11月岩国国際反基地闘争へ

●排外主義扇動し戦争へ突き進む安倍政権打倒!

●アジア・メッセージプロジェクトを推進しよう

 

 朝鮮民主主義人民共和国は十月九日、核実験を実施したと発表した。

 われわれは、被爆者解放闘争をともにたたかう立場から、あらゆる核兵器と核施設に反対する。防衛的核武装を容認するなどという曖昧な立場は決してとらない。共和国の核実験、核保有―核武装も、これは許すことのできない問題である。

 その上で、日帝、米帝が主導して、国連安保理での制裁決議、軍事行動まで想定した新たな制裁の行使に対して、断固反対する。

 現在の東アジアをめぐる軍事情勢を規定しているのは、米帝であり、ロシア、中国である。まさに、核兵器を独占して世界支配を貫いてきた安保理常任理事国―五大国がその軍事力を背景にして、東アジアにおいても軍事的政治的覇権を貫いている。とりわけ、九四年朝鮮戦争重圧以降、米帝と日帝は新安保―ガイドラインを基盤として軍事同盟を強化してきた。さらに、ブッシュ政権の世界規模での戦力再編と一体となった新日米軍事同盟においては、米軍基地を全面的に刷新し、日帝が集団的自衛権行使に踏み込もうとまでしている。安倍政権は、朝鮮侵略反革命戦争を見据えて、集団的自衛権行使に突進しようとしている。この米帝、日帝が共和国にかけてきた重圧こそが、共和国の六ヵ国協議参加を困難にし、東アジアの軍事的緊張を高めてきたのだ。

 われわれは、共和国の核実験を批判すると同時に、現在のNPT(核不拡散条約)体制そのものが、国連安保理常任理事国―五大国が核兵器を独占して世界を支配する体制であり、これこそが廃絶されるべきだと考える。かつ、米帝―ブッシュ政権は、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約から脱退し、CTBT(包括的核実験禁止条約)批准を拒否してきた。先制核攻撃戦略を公言し、また、劣化ウラン弾をはじめとして放射性物質を放出する兵器を公然と大量に使用してきた。米帝こそが、核兵器の拡大、使用を主導してきたのだ。そして今、新たな情勢を利用した、日帝が核武装への道を急激に強めることを許してはならない。米帝、日帝こそが、戦争重圧と軍事基地強化をもって、東アジアを戦乱へと引きずりこもうとしているのだ。

 十月十一日、安倍政権―安全保障会議は日本独自の新たな制裁を決めた。安倍は民族排外主義を激しく扇動しながら、制裁を強めている。在日朝鮮人民への脅迫・襲撃を絶対に許してはならない。排外主義と断固対決せよ。

 われわれは、日帝、米帝の新たな朝鮮侵略反革命戦争を絶対に阻止する。帝国主義の制裁―軍事行動を阻止する闘争に断固立ち上がる。

●1章 小泉を引き継ぎ、戦争に突き進む安倍新政権

 九月二十六日、安倍政権が発足した。日帝中枢部が送り出したのは、自著の中で「昭和の妖怪」であり戦争犯罪人である岸信介との「血脈」を誇らしげに語り、その祖父を糾弾した民衆のたたかいへの、憎悪と敵意、ルサンチマンを披瀝して恥じることのない男である。靖国神社への参拝を繰り返している男である。さらに言えば二〇〇二年、講演の中で「日本の核武装」を主張し、元日本軍「慰安婦」のたたかいと天皇の戦争責任追及の報道に圧力をかけ、今年五月にはあの統一協会系の組織に祝電を打った男である。

 この「プリンス」安倍晋三を押し立てる自民党の総裁選過程で、あらわになったのは何であったか。来年に控えた参議院選での敗北を何より恐怖する、自民党の姿である。小泉の五年半がおし進めた戦争と新自由主義政策への、民衆の怒りの爆発を恐怖する、自民党の姿である。ただ当座をしのぐべく頭目に据えられた安倍ではあるが、既に「選挙管理政権」であり短命であることがささやかれている始末である。われわれは、「美しい国、日本」なるスローガンを掲げた、安倍政権の隠しようもない危険性と反人民性を満天下に暴露し、危機を促進させるのみである。打倒するのみである。

 国内民衆、アジア人民の糾弾の声を踏みにじり、靖国参拝を強行し続けた小泉の「後継者」を自任し、アジア人民への敵意と差別排外主義をあおり、教育基本法改悪、憲法改悪、共謀罪強行導入など戦争政策をおし進めようとする安倍を、アジアとの連帯で打倒しよう。

 九月二十八日、安倍は国会での所信表明演説を行なった。怒りなしに聞くことのできない、反人民性に満ちた演説である。

 まず何よりも重要な点は、改憲に言及してみせた点である。そのための改正法の早期成立をいい、それが「新たな国創り」なのだと言い切った。安倍は総裁選の過程から、「戦後レジームからの脱却」を唱え続けてきた。九月十一日、総裁選候補者の公開討論の中では、「改憲は今後五年をめどに前倒しも」と主張した。祖父岸や、おのれを評価してこなかった、戦後的なるものすべてへの敵愾心(てきがいしん)、復讐心をあらわに、あらためて現行憲法の改悪への決意を表明したのだ。同時に、「集団的自衛権の行使」すなわち米軍とともに侵略反革命戦争に乗り出すことをこともあろうに現行憲法下で公然と実現しようと、「よく研究して」いくとまで言い放ったのだ。ここまで戦争に前のめりな政権はかつてなかったと言うべきだ。

 第二に安倍は、「教育基本法の早期成立を期す」と教育基本法の改悪を宣言した。満たされきった世界しか知らぬ輩(やから)が、あまつさえ自らがおし進めてきた新自由主義政策のもたらす生活破壊、地域破壊にあえぐ民衆の様を、「子どものモラルの低下や学ぶ意欲の低下」「家庭や地域の教育力の低下」などとあげつらうこと自体噴飯ものであろう。安倍は、現状を「国と郷土を愛」し「国際社会の平和と発展に寄与」する方向へと誘導することを、「教育の再生」だと主張しているのだ。加えて内閣に「教育再生会議」を設けると宣言した。

 第三にさらなる格差社会、生活破壊を押し進めようとしている点である。安倍が目玉として掲げる「再チャレンジ支援策」とは、小泉・竹中が押し進めた新自由主義に今後ものっとり、民衆をたたき落とすことは決してやめない、やめる気もない、という日帝支配者層の宣言ではないか。すべてを個人の努力に帰し、「安定した経済成長」に寄与する限りにおいては生かしてやろう、這い上がらせてやろうという政策である。絶対に認められない。

 第四に、「主張する外交への転換」と称し、朝鮮民主主義人民共和国や中国はじめアジアへの敵視政策と、米軍再編をてことした米帝との軍事的一体化を通じ、戦争政策を押し進めることを宣言したことだ。「世界とアジアのための日米同盟」とはまさに、日米帝がともに、アジアで、世界で侵略反革命戦争をやりきって行くことの宣言である。

「官邸における司令塔機能の再編強化」とは、持論であるところの「日本版NSCの創設」にほかならない。「文民統制」を最終的に掘り崩すものだ。

 このような安倍の意向のもと組閣された内閣は、防衛庁長官に九六年の「普天間返還合意」当時の防衛庁長官であった久間章生を据えた。「沖縄および北方対策」の内閣府特命大臣に、権力欲の権化であり沖縄への思い入れや知識のかけらもない高市早苗を当てたことと合わせて、沖縄の反戦反基地のたたかいを叩きつぶし、米軍再編を押し進めようとするなみなみならぬ決意の表れであると言って良い。久間は就任会見でさっそく、「中国脅威論」をぶってみせている。高市はまた、首相補佐官となった山谷えり子とともに、「ジェンダー」バッシング、バックラッシュの担い手であり急先鋒である。女性解放のたたかいを破壊すべく政権に送り込まれたことは明らかだ。

 両院での代表質問の場でも、安倍の反人民性は明らかになっている。十月三日、「日の丸・君が代」を教職員に強制する東京都政を評価し、それが全国化されるべきであるとまで言い切った。さらに、社会保険庁を解体し、職員をすべて非公務員化すると、大量首切りを宣言した。共謀罪の新設も引き続き策されている。

 十月五日、安倍は八日よりの訪中、訪韓を発表した。中国、韓国において靖国参拝を居直るとともに、直前の三日に「今後核実験を行うことになる」と声明した朝鮮民主主義人民共和国への、包囲網を形成するためである。許すことはできない。

 同志諸君、『戦旗』読者の皆さん、取るべき方針は鮮明である。直ちに全国で、安倍政権打倒のたたかいに立ち上がろう。

●2章 「予防訴訟」の勝利受け、教育基本法改悪阻止へ

 九月二十一日、東京地裁において画期的判決がかちとられた。「日の丸・君が代」を強制する東京都の「10・23通達」に対して、それに服する義務の不存在を確認することを求めた「9・21国歌斉唱義務不存在確認訴訟」で、原告のたたかう教職員四百一人が勝利したのだ。

 判決は、「10・23通達」や職務命令は思想信条の自由を侵すもので憲法違反であり、教育基本法のいう「不当な支配」であり、違法、無効であると断じた。そして、教職員に起立、斉唱、ピアノ伴奏の義務はないことを確認し、処分をしてはならないこと、原告全員に三万円の慰謝料を払うことを命じた。当然と言えば当然過ぎるほどの内容なのであるが、現在の司法状況を考えればやはり画期的である。

 都知事石原は翌日の記者会見で、焦燥感もあらわに「当然控訴しますよ」「裁判官は現場を見たらいい」と叫び立てた。都教委は都立学校の校長を集めて臨時の連絡会を開き、通達通りに指導せよとねじを巻き直した。そして九月二十九日、全国から殺到した抗議を踏みにじって、控訴した。石原も都教委も、地裁判決を無視してなお現場への「日の丸・君が代」の強制を続けようとしているのだ。そしてこの都の方針を安倍は国会において評価してみせ、もっと全国化せよと号令をかけた。秋には、都内の多くの学校で「周年行事」が行われるが、都教委は従来から、ここにおいても掲揚と斉唱を通達している。教職員と地域の力を結集して「周年行事」における攻防に勝利しよう。地裁判決の地平を断固として防衛しよう。

 安倍政権が、教育基本法改悪と憲法改悪への意欲を公然と語って登場したことはきわめて重大である。当面する参院選を乗り切ることが政権の最重要課題であり、ただ安倍の登場をもって憲法を巡る状況が一気に流動化するとは言えない。しかし安倍は臨時国会での教育基本法改悪を狙っている。今回の地裁判決の根拠をも奪い去る攻撃である。これを断固として阻止しよう。今こそ反改憲の声をあげよう。アジア共同行動が提起する「憲法九条改悪を許すな!アジア・メッセージプロジェクト」を全国で取り組み、地域からの改憲阻止運動を強力に作り出そう。アジア人民との連帯の力で、改憲を阻止しよう。

●3章 11月岩国国際集会に全国から総決起しよう

 九月二十四日、アジア共同行動の訪韓団はソウル市庁舎前に登場した。米軍基地拡張による農地強奪、住民たたき出しに抗してたたかう平澤(ピョンテク)住民と連帯してともにたたかうべく、「平澤米軍基地拡張再交渉を求める第四回平和大行進」に参加したのだ。アジア共同行動はこのかん、平和大行進の成功に向けて、韓国側から要請のあった韓国政府への抗議署名や、「9・24準備委員」を全国で募ってきた。二万人以上の参加者を前に訪韓団は、沖縄、アメリカからの参加者とともに全員が壇上に上がり、そうした取り組みの報告と、十一月に岩国で国際連帯集会を開催すること、最後まで住民とともにたたかう決意を表明した。民主労働党、民主労総、全農からも発言が行われ、十一月の大闘争が宣言され、集会の最後には、現地大秋里、トドゥ里の住民全員が登壇し、歌を歌い、踊った。本集会の前後の期間、訪韓団は龍山基地前や光化門前での集会に参加し、「平和と統一を開く人々」など反戦平和団体、民主団体と交流を果たした。朝鮮民主主義人民共和国への戦争重圧を、日韓の連帯で打ち破って行くことを確認した。

 第四次平和大行進は大勝利した。アジア共同行動は同日、日本国内においても全国各地で連帯行動を取り組んだ。また同日、北富士闘争も勝利的にたたかわれている。さらに九月二十八日から十月一日まで、民主労総の訪日団が来日し、京都、長野、岩国、広島を巡って各地の労働者や反戦運動との交流を果たした。

 平澤現地の情勢は緊迫している。九月十三日には、支援者が泊まり込んでたたかっていた多くの空き家が強制撤去され、残る住民が生活している家屋の破壊が年内にも迫っていると言われる。一帯は警察と軍隊が包囲・制圧し、住民以外が立ち入ることがきわめて困難な状態だ。

 米軍の世界的再編・強化が人民に何を強制するのかを、平澤の事態はこのうえもなく明らかにしている。アジアを、米軍の世界大の侵略拠点とさせてなるものか。農地強奪・家屋破壊を許すな。われわれはアジア規模での連帯をさらに強め、アジアから米軍をたたき出すたたかいを断固としてやり抜こう。

 九月二十五日、沖縄「県」警はキャンプシュワブ前で新基地建設のための遺跡発掘調査に乗り込んで来た車両に抗議していた、平良夏芽牧師をでっち上げ不当逮捕した。平良牧師はハンガーストライキでたたかい、二十七日には奪還されたが、五月の閣議決定と安倍新政権の発足を受けて、日本国内での米軍再編攻撃―基地機能強化の攻撃に拍車がかけられようとしている。日帝は周辺地域自治体の首長らの屈服を取り付けようと躍起であり、地元のたたかいの封じ込めに躍起である。が、各地における住民のたたかいは、首長らの屈服をも乗り越えて前進している。沖縄で、岩国で、神奈川で、ひるむことなく、また国際的な連帯・結合をも果たしながら広がっている。

 都下では「第二次朝鮮戦争阻止! 教育基本法改悪・共謀罪新設・防衛庁『省』昇格法案粉砕」を掲げて、反戦闘争実の10・7反戦集会とデモがかちとられた。「核実験」声明を口実に朝鮮民主主義人民共和国への戦争重圧を強める日米帝への反撃である。三里塚では10・8全国集会が勝利的にかちとられた。九月二十五日、成田国際空港会社は成田空港の暫定滑走路「北延伸」に着工した。空港会社と千葉県は、天神峰の市東さんの農地の農地法による「耕作権の解除」=強奪を狙うが、反対同盟と三里塚勢力は健在である。

 全国でたたかわれる反戦闘争、反基地闘争の地平と成果を、十一月二十五、二十六日の岩国闘争で爆発させよう。山口県は安倍の地元、お膝元である。十一月、岩国のたたかいの爆発をもって新政権への痛撃とせよ。アジア人民との連帯で、日帝安倍政権を打倒しよう! 帝国主義の侵略反革命戦争を阻止しよう!

 

 

 

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