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『戦旗』第1278号(2007年2月5日

 

日帝―安倍の改憲へ向けた改憲手続き法制定を粉砕せよ

07春闘勝利、階級的労働運動の推進を

労働法制改悪を阻止しよう!

3―4月卒・入学式闘争を闘おう

厚生労働大臣柳沢の女性差別発言弾劾

 

●一章 07春闘を実力で闘い抜き「御手洗ビジョン」破綻へ

 安倍は年頭、「今年は憲法が施行されて六十年であります。憲法を、是非私の内閣として改正を目指していきたいということは、当然参議院の選挙においても訴えてまいりたい」と改憲問題を参院選の焦点にする方針を明らかにした。

 加えて、昨年、教育基本法改悪、防衛庁「省」昇格法を強行成立させた安倍政権は、今通常国会で「国民投票法」=改憲手続き法案の成立を目指して改憲に突き進もうとしている。この間、「十八歳以上の投票権」などの民主党案を同法案に盛り込む修正案を確認し、民主党が賛成することで改憲手続き法案を確実に成立させようとしている。

 また、安倍は共謀罪の新設(組織犯罪処罰法改悪)を「国際社会で組織犯罪に対応していく役割を果たす上で早期に(国際組織犯罪防止法条約を)批准をする必要がある」と指摘し、あくまでも成立を図るよう法相に指示した。法相も「具体的に修正の内容を持っているわけではない。どうすれば円滑に、早期に成立を図れるか相談したい」などと、なすすべない廃案同然の法案をもまた民主党をまきこむことで、どのようにしても成立させようとしている。

 この安倍政権を全面的に援護する、いやあからさまにブルジョアジーとしてブルジョア政党への意思貫徹を鮮明にさせているのが、日本経団連・会長・御手洗が年頭に明らかにした、今後十年間を見据えた将来構想『希望の国、日本』(御手洗ビジョン)だ。

 「御手洗ビジョン」の骨子は、@技術革新などで年平均実質2・2%、名目3・3%の経済成長を実現、二〇一五年に一人あたり国民所得を二〇〇五年比三割増、A二〇一一年度までに消費税率を2%程度引き上げ、B法人税実効税率を30%程度に引き下げ、C労働市場改革で二〇一五年までの労働力人口減少幅を百万人以下に抑制、D東アジア全域に及ぶ経済連携協定の実現、E二〇一五年度をめどに道州制を導入、F愛国心に根ざす公徳心の養成、G憲法改正を実現、である。

 消費税率を引き上げる一方で、法人税を40%から30%に引き下げ、労働者派遣や請負労働のいっそうの規制緩和、そして世論の猛反発で安倍政権が一度引っ込めた日本版エグゼンプション(労働時間規制の適用除外)などを強く要求している。新自由主義グローバリゼーション下の帝国主義本国での再編として、むき出しのブルジョアジーの利益の擁護と労働者へのよりいっそうの搾取・収奪を打ち出しているのだ。

 そのためには、そこから起こりうる労働者人民の決起を押しつぶすために、軍事同盟の強化と報国翼賛・国家総動員体制づくりを同時になしとげていかなければならないとしている。そのひとつは憲法改悪で、「戦力不保持をうたった九条第二項を見直し、憲法上、自衛隊の保持を明確化する」「集団的自衛権の行使」をあげている。二つ目は、「日の丸・君が代」と「愛国心」の必要性を強調していることだ。とくに「日の丸・君が代」に言及するのはこれまでの日本経団連のビジョンで初めてで、「教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を掲げ、国歌を斉唱し、これを尊重する心を確立する」としている。ここで言う「公徳心」とは、「基本的な価値観を共有する共同体の一員という自覚を持つことにより育まれる」としている。

 すなわち、ときの政府やブルジョアジーの支配者どもへ労働者階級人民が怒りの矛先を向けないように、「国家権力」という名目の前には従順な国民、社員に仕立て上げようとしている思惑が如実に出ている。

 さらに、日本経団連はこの「御手洗ビジョン」を踏襲した今年の「優先政策事項」を発表した。これを基準に政党の政策評価をして政治献金をおこなうというもので、政府を日帝ブルジョアジーの政治委員会として貫徹させるしろものだ。

 そこまで日帝ブルジョアジーは新たな体制づくりに危機感を募らせている。

 今こそ労働法制の改悪に反対し、憲法改悪阻止・反戦闘争をたたかいぬき日帝―安倍政権と対決する階級的労働運動の創出と労働者階級人民の総決起が望まれているときはない。

 

●二章 排外主義許さず朝鮮戦争共同作戦計画を粉砕せよ

 日米両政府が、朝鮮侵略反革命戦争の突入へのシナリオ=「共同作戦計画」の具体化に着手していることが明らかとなった。

 作業は、文字通り朝鮮半島での戦争突入を想定。総論部分では、日本への直接攻撃に至らない周辺事態や、日本有事にあたる武力攻撃事態などへの対応を、「情勢」「作戦任務」「実施」「補給」「指揮統制」などに分けて具体的に設定する。

 「周辺事態」では、遭難した米軍人の捜索・救難や、米軍が出撃や補給をする拠点となる基地や港湾などの提供、警護などの具体的項目ごとに、警察や地方自治体、民間の協力も含めた計画をつくる。港湾の提供なら、「深度」「荷役能力」などを算出した後に具体的な使用港湾を、医療であれば、「提供する病院名」「ベッド数」「必要な医薬品類」に至るまで、詳細に詰める。

 また、日本への「武力攻撃事態」では、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)による弾道ミサイル攻撃を想定。自衛隊と米軍の役割分担を、ミサイル防衛や敵基地攻撃などを想定した図上演習などを交えて具体化する。

 まさしく、朝鮮侵略反革命戦争に向けたむき出しの実戦計画だ。

 昨年十二月、自衛隊の統合幕僚副長や在日米軍副司令官ら、日米の制服組を中心とした共同計画検討委員会(BPC)が作業を始めた。日米両政府は〇二年に「5055」というコードネームをつけた「概念計画」に署名しているが、協力項目ごとに方針や必要な施設数などが書かれている程度という。今回の作業は、これを実施可能な「共同作戦計画」に格上げするものだ。今年秋の完成を目指す。

 この米軍のコード番号を記した「5055」は、朝鮮侵略反革命戦争の対米支援と、共和国の特殊工作員による「テロ対策」が柱だ。

 米軍は、有事のレベルに応じて二段階で計三十ヵ所前後の民間空港・港湾の使用を要望し、今春からの現地調査を提案している。しかし、外務、防衛両省庁以外の関係省庁・自治体と調整されていないため、米軍が物資輸送に使用する空港・港湾の具体名に言及がなく、実際には活用できない。

 そこで政府は今後、空港・港湾を管理する会社や自治体との協議に入る一方、輸送物資の種類や量などを米側と詰める。厚生労働省は、負傷米兵の治療などについて関係機関と調整する。

 また計画改定では、自衛隊と米軍の迎撃ミサイルの配置や、弾道ミサイル発射時の情報共有と迎撃の手続きなども定める。

 すなわち、共和国の核実験、ミサイル発射実験で軍事的危機を煽り、侵略反革命戦争への具体的準備を開始するものだ。また、この共同作戦計画の具体化は、集団的自衛権行使へ踏み込む内容を含んでいる。実質的改憲を大きく進め、九条破壊へと突き進むものである。

 この共和国を標的とした戦争計画の推進は、共和国敵視政策、民族排外主義の激化と一体化している。

 総聯系団体・個人への微罪デッチ上げ弾圧を連続させている。病歴のある高齢の在日朝鮮人女性が祖国訪問に際して携行しようとした点滴パックを取り上げ(これまでも携行したが一度も問題にならなかった)、その後六ヵ月も過ぎてから不当逮捕するという事態が起きている。

 これと軌を一にして、総聯施設や在日朝鮮人民への襲撃が激化している。昨年七月の共和国のミサイル発射から三ヵ月の間に朝鮮学校の児童、生徒に対するいじめ、暴言、暴行がすでに百七十件に達している。朝鮮総聯関連施設への右翼による業務妨害、破壊、放火、歌劇団の公演に対する右翼の妨害が相次いでいる。

 排外主義と対決して、戦争総動員体制づくりを粉砕しよう。

 

●三章 反帝国際共同闘争推進し反基地闘争前進させよう

 新自由主義グローバリゼーションによる労働者への搾取・収奪、生活破壊の進行のなかで、世界各地で労働者人民の実力的なたたかいが続き、よりいっそうの弾圧がおこなわれている。

 韓国では、労働運動への弾圧が激化している。韓米FTA協議阻止闘争を指導し展開してきた民主労総指導部のメンバーを不当逮捕・起訴し、一月十五日には有罪判決を下したのだ。

 韓米FTA阻止汎国民運動本部は、拘束糾弾・即時釈放の記者会見とろうそく集会を開き、弾圧を打ち破って、闘争を断固続けている。また日本においても、アジア共同行動日本連らが韓国大使館や領事館へ抗議行動を各地で展開した。

 フィリピンでは、政治的殺害攻撃に対決し、在沖米軍海兵隊員によるレイプ事件を糾弾して、反米反帝闘争、アロヨ打倒闘争がたたかいぬかれている。

 私たちは、これらアジアをはじめとした全世界での反戦、反帝闘争と結合する反帝国際共同闘争を昨年十一月の岩国総決起の地平でガッチリと確認し、その地平を推し広げるべく、全国で国際共同闘争を進めようではないか。

 その具体的実践的なたたかいとして、沖縄、岩国、神奈川で反基地闘争のさらなる前進をかちとっていこう。現在、地域住民と労組、市民団体が粘り強く反対運動を継続しているが、安倍政権は関係自治体の首長をあらゆる方法でどう喝し、屈服を迫っている。その中で、米軍再編関連法案を今通常国会で成立させようとしている。

 在日米軍再編の関係自治体に対する交付金の拡充を柱とする「駐留軍等再編円滑実施特別措置法案」(いわゆる米軍再編関連法案)は、交付金は法案に基づき再編計画受け入れ、環境影響評価の着手、施設整備の着工、工事完了・運用開始の四段階に分けて上積みする方向。法案は十年間の時限立法で、通常33〜50%程度の公共事業の交付金、補助金の国負担割合を沖縄「県」内で最大95%、それ以外でも90%とすると同時に、第十二条には財政状況が悪い自治体の起債も財政投融資で引き受けるなど「特別に配慮する」優遇措置を盛り込んだ。二月九日には閣議決定し今通常国会での成立を目指すとしている。

 とくに「再編の進ちょく状況に応じ、再編交付金を交付する」(第六条)と明記することで、再編の進行に自治体自ら加担しなければ金を出さないとしているのだ。沖縄や岩国のように、地元住民の反対で再編の進行が滞ったら金が出なくなり、自治体自ら住民と対立して国に協力しなければならないことになるのだ。さらにわざわざ優遇措置を設けることで、地方自治体の財政が逼迫していることに乗じ、屈服させようとしている。

 反基地闘争を推進し、断固米軍再編関連法案を粉砕していこう。韓国(平澤)、フィリピンをはじめとするアジアの反基地闘争、反戦闘争との、より緊密な結合をかちとっていこう。労働運動の国際的な結合をさらに強めていこう。

 それらのたたかいを中で、憲法改悪阻止の一大大衆運動を創出すべく、アジア共同行動が提起する、九条改悪を許さないアジア・メッセージプロジェクトを、安倍政権に対する大衆運動として拡大していこう。

 

 

 

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