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『戦旗』第1278号(2007年2月20日

 

改憲手続き法案粉砕! 米軍再編関連法案粉砕!

国際反戦闘争に起ち上がろう

労働法制改悪阻止! 07春闘勝利!

「日の丸・君が代」粉砕! 全国で卒・入学式闘争を

 

 厚生労働相・柳沢伯夫は、一月二十七日島根県松江市の集会で、女性は「産む機械、装置」との暴言を吐いた。われわれはこの差別発言を断じて許さない。この柳沢の発言に対し、全国から女性たちの弾劾の声が沸き起こり、辞任要求が突きつけられている。しかし、野党の国会審議拒否にも、今後の選挙に影響が及ぶであろうことにもまったく意に介さずに、安倍はあくまで柳沢を擁護する態度をとり続けている。少子化の問題に対して、「十五から五十歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」という発言は、女性をモノ、道具として扱い、女性の性と生殖の権利を踏みにじる許しがたい差別発言である。少子化の問題があたかも女性自身の問題であるかのように描き出し、女性に責任の一切を押し付けようとするまったく傲慢で無責任極まりない暴言である。しかし、柳沢本人と、首相である安倍があくまで辞任要求を突っぱねる態度をとり続けているのは、欺瞞的な「謝罪」の言葉とは裏腹に、本音の部分では「何が悪い」と思っているからに他ならない。日帝安倍政権が推し進める新自由主義グローバリゼーション政策―「美しい国づくり」の本質とは、まさに労働者階級をモノとして扱い、資本主義の抱える矛盾の一切を労働者階級人民に極限的に押し付けて危機的な資本主義の体制を維持し、差別と抑圧と収奪の上に成り立つ資本主義社会を延命させようとするところにある。まさに柳沢の発言は、「失言」などではなく、支配階級・ブルジョアジーの価値観そのものであり、その代弁者たる政治エリートの男の本音が語られたにすぎないということだ。今こそ全ての女性の怒りに立脚して、日帝―安倍政権を打倒しよう!

 

●第一章 改憲を至上命令に突き進む安倍政権を倒そう

 昨年十二月五日、国連大学世界経済研究所が発表した世界の個人資産に関するデータによると、世界人口の1%が個人総資産の四割、2%が総資産の半分以上を所有し、その一方で全体の半分を占める貧困層は総資産の1%しか持っていないという。また、世界の最も裕福である上位10%の内訳は、百人中二十五人がアメリカ人、二十人が日本人、八人がドイツ人で、この三カ国だけで上位の半分を独占している、ということだ。ほんの一握りのものが世界の富の半分を食いつくし、貧困のふちに追いやられている全世界の半数の人々には、たった1%の食い扶持しかあたえられずに生きることもままならない世界、そんな世界にわれわれは直面しているということだ。米帝をはじめとした帝国主義諸国が推し進める新自由主義「グローバリゼーション」は、このような不平等な世界の状況には目もくれずに、ますますその差を拡大していくための暴力的な運動を展開している。

 グローバリゼーションとは、市場の決定に絶対的な価値を置きながら民営化を推進し、あらゆる規制、障壁を撤廃すること、これを一国内部にとどまらず、全世界的規模で展開することだ。まさに弱肉強食とも言うべき諸方策を、自由と正義の名の下に、抵抗するものにはテロリストのレッテルを貼り付けて戦争的な手段をもってしても強制していくのが、米帝―ブッシュ政権が現在推進しているグローバリゼーションの姿に他ならない。

 このような米帝基準のグローバリゼーションにならい、「構造改革」と銘打って新自由政策を推進してきた小泉前政権の基本路線を踏襲し、改憲を実現することを自らの至上命題とするものこそ日帝―安倍政権である。

 安倍は、一月二十六日の第一六六回国会において施政方針演説をおこなった。

(あいも変わらず陳腐な「美しい国」という言葉を連呼しているが、その美しさの中身が開陳されることは無く、美しいという言葉が別の意味を持っているかのようにも聞こえてくる)

 冒頭において、「憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが、二十一世紀の時代の大きな変化についていけなくなった」として、「これらの戦後レジーム(体制)を、原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出をすべき」であると、上からの権力再編を断行すること、そして改憲の意思を改めて明確に宣言した。

 「成長力強化」の項目では、「アジアなど、海外の成長や活力を日本に取り入れる」としているが、これは文字通りアジアを中心とした諸国への資本進出=侵略反革命を推進すること、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)締結を軸に、資本を輸出するとともに最下層労働者としての労働力を輸入し、直接的な搾取をおこなうことをもってグローバリゼーションを推し進めていくことを謳ったものである。

 また、「何度でもチャレンジが可能な社会」とは、つまるところ不平等な社会を前提にしたものであり、格差社会だと文句を言う前に「何度でもチャレンジ」しろ、と、言っているにすぎない。労働者階級を欺瞞するまったくふざけきった物言いである。

 さらに、「内閣の最重要課題」として「教育再生」の項目を設け、現在子どもたちをとりまく様々な問題が、「公共の精神や自立の精神、自分たちが生まれ育った地域や国に対する愛着愛情、道徳心、そういった価値観をいままでおろそかにしてきた」から生まれてきたのだと強弁し、これを子どもたちに刷り込む手段として、教員免許の更新制の導入、教育行政の体制の構築に取り組むとしている。そして、「『健全で安心できる社会』の実現」の項においては、「子どもは国の宝です」といいなしている。個人の人格を国家に従属させるこの発想こそ、「女性は子どもを産む機械」という発言を生み出す根拠となる。「女性は『国の宝』を産む機械」だということだ。この発想に立つからこそ安倍は柳沢を擁護し続けるのだ。

 過去の歴史が私たちに教えてくれることは、国家権力の全面的な教育への介入は戦争への道を準備するものに他ならないということだ。資本の奴隷として働き続けることを強制し、戦争動員に従う臣民を作り出す「教育」への改編、これが安倍政権が推進する「教育再生」だ。そして、国労解体、総評解体が目的である事を隠すこともなく国鉄分割民営化を強行した中曽根政権にならい、今、再び教育労働者、自治体労働者の組織とたたかいを根こそぎ解体しつくそうとしている。教育労働者、自治体労働者に対する現在のマスコミを総動員したバッシングは、この安倍政権の推し進める教育行政再編の攻撃と一体のものとしてある。

 たとえ改悪教育基本法が成立しようとも、教育現場でのたたかいが終わったわけではない(首都圏においては、都教委包囲・首都圏ネットの主催で「やらせ改悪教育基本法を許さない! 『日の丸・君が代』強制反対! 2・3総決起集会」がたたかいぬかれた)。教育労働者と共に、改悪教育基本法を無効にするたたかいを作り出そう。教員免許法、地方教育行政法、学校教育法の改悪を許さず、今春、卒入学式における「日の丸・君が代」攻防を教職員、生徒、地域一体となってたたかいぬこう。

 次に掲げられた「主張する外交」の中身は、「世界とアジアのための日米同盟」強化と、朝鮮民主主義人民共和国に対する「対話と圧力」だ。

 日米帝は昨年末に、新たな朝鮮戦争を想定した共同作戦の詳細な計画づくりを開始した。共和国の核実験、ミサイル発射実験で軍事的危機を煽り、侵略反革命戦争への具体的準備を開始するものだ。共和国を標的とした戦争計画の推進は、共和国敵視政策、民族排外主義の激化と一体化している。安倍政権は、拉致問題こそがもっとも重要な分野とばかりに、拉致問題のみを突出させて六カ国協議に対処しようとしている。中国が協議再開を準備し、米帝が金融制裁解除の条件作りに動く中で、日帝のみが協議を破壊させる動きを強めている。

 警察庁長官漆間は一月十八日の記者会見で、「拉致被害者の帰国に向け、北朝鮮に日朝間の話し合いをさせるのが警察の仕事」「そのためには北朝鮮の資金源について『ここまでやられるのか』と相手が思うように事件化して、実態を明らかにするのが有効」と言い放った。この警察庁の方針に基づき、総聯系団体・個人への微罪デッチ上げ弾圧が連続して引き起こされている。さらにこれと軌を一にして、総連施設や在日朝鮮人民への襲撃が激化している。われわれは在日朝鮮人民への弾圧を許さない。「朝鮮戦争反対!」の旗を鮮明に掲げて、排外主義と対決し戦争総動員体制づくりを粉砕しよう。

 そして、この改憲攻撃と戦争準備の根底には「世界とアジアのための日米同盟」の具体的課題である米軍再編を規定どおりに進めようとする攻撃がある。米軍再編関連特措法は、今通常国会での焦点の一つになる。特措法の成立を許すな。

 

●第二章 ブッシュのイラク駐留米軍増派を弾劾する

 「われわれはイラクで失敗するわけにはいかない。(増派は)イラク政策を成功させるための最善の機会になる」(一月二十三日、ブッシュ一般教書演説)。米帝ブッシュ政権は、米国世論、ジャーナリズム、議会の反対を押し切ってイラク駐留米軍増派を決定、強行している。さらに、「対テロ戦争特別諮問会議」なる超党派の機関設置を提案し、さらに米軍そのものの増強(五年で九万二千人増員)まで主張する始末だ。

 米帝ブッシュはこれまでイラク戦争で積み上げてきた財政赤字に、さらに戦費を積み増そうとしている。二月五日に発表された二〇〇八会計年度の予算教書で、イラク・アフガニスタン関連の戦費が千四百五十億ドル(十七兆四百五十億円)に上ることが明らかになり、これまでの累計の戦費は七千億ドル(約八十四兆七千億円)を超えて、ベトナム戦争につぎ込んだ戦費を上回ることになった(朝鮮戦争=四千四百五十億ドル、ベトナム戦争=六千三百五十億ドル)。

 ブッシュ政権の強硬政策に対して、一月二十四日の米上院外交委員会では、イラク駐留米軍の増派に反対する決議案が民主党などの賛成多数で可決された。また、この決議には共和党議員一名も賛成にまわっている。また、イラクにおける米兵の死者が三千人に達する中で、アメリカの通信社が十二月におこなった世論調査では増派に対して反対が七割との結果が出ている。このようにブッシュ政権は孤立を強いられる状況にあるにもかかわらず、ますます好戦的かつ挑発的な姿勢を貫こうとしている。一月二十六日、イラク国内で武装勢力を支援するイラン工作員を殺害する許可を駐留米軍に与えている事が報道され、ブッシュは即日これを認めた。これに対して、イランのハタミ前大統領は「イラン人が殺されれば、イラン人が米国人を殺害する」と発言、イランとの戦端が開かれ中東が更なる泥沼の渕に追いやられる可能性が出てきた。一月二十八日には、シーア派の聖地ナジャフにおいて、イラク軍と米軍合同部隊とイラクの「武装勢力」の間での戦闘が引き起こされ、イラク治安当局は「戦闘員二百五十名を殺害」したと発表。また、米軍当局は首都バグダッドなどで、スンニ派、シーア派「武装勢力」に対する掃討作戦を開始し、その規模は二〇〇三年のイラク開戦以来最大規模となることを明らかにした。

 アメリカでは再びイラク反戦のたたかいが開始されている。今年に入りイラク増派阻止を掲げて数十万規模のデモが組織されている。これ以上イラク人民の血が流されることは許されない。今こそ、米帝のもとでたたかいぬく反戦勢力との共闘を強め、イラク戦争を即刻止めさせ米軍撤退をかちとろうではないか。三月十七日、ANSWERが呼びかけるイラク反戦闘争に決起しよう。三月二十一日、国際反戦闘争をたたかおう。

 

●第3章 階級的労働運動推進、反帝国際共同闘争へ

 総務省が一月三十一日発表した二〇〇五年国勢調査の労働力集計によると、正規雇用者の総数は四千六十一万七千人で、非正規雇用者は七百七十一万六千人。二〇〇〇年の調査と比べて正規は百四十二万五千人減(3・4%減)、非正規は九十九万五千人増(14・8%増)となっている。しかし、この調査の正規非正規を分ける基準が一年以上の雇用契約を結んでいるかどうかということであり、実態として不安定な雇用関係におかれている労働者の割合はさらに大きくなる。さらに国税庁の調査では年収二百万円以下の世帯の割合が20%を超え、日銀の調査では無貯蓄世帯の割合も20%を超えている。また、生活保護受給世帯は百万を超えている。

 新自由主義グローバリゼーションによってもたらされた階級矛盾と格差の拡大によって、労働者の生活苦、権利抑圧に対する怒りが広く、深く蓄積している。この労働者の憤激を階級的な団結として組織し、階級的な労働運動を拡大強化していかなければならない。労働者の怒りを自己解放のたたかいへと組織するのか、あるいは排外主義の下へと組織され再び侵略戦争の道を許してしまうのか、そのような歴史的岐路にわれわれは立っている。今春闘に勝利し労働者階級のたたかいを前進させよう。

 階級的労働運動の推進と一体のものとして、米軍再編―改憲攻撃とのたたかい、排外主義―朝鮮戦争攻撃とたたかう全人民的政治闘争を組織し、反帝・国際連帯運動を推進していこうではないか。

 韓国では労働運動への弾圧が激化している。昨秋十一月のゼネストを指導した民主労総指導部を逮捕した。しかしこの弾圧を打ち破り韓国の労働者階級は断固として闘争を継続し、労働運動の力強い前進をかちとっている。フィリピンでは、政治的殺害攻撃と対決して、反帝闘争、アロヨ打倒闘争がたたかいぬかれている。韓国・フィリピンの労働者人民のたたかいに連帯し、反WTO・反FTAの国際連帯運動を推進しよう。

 昨年十一月の岩国国際集会の成功をさらに発展させて、全国で反帝国際共同闘争を推進していこう。不屈にたたかいぬく沖縄闘争と、「本土」の岩国、神奈川など全国各地の米軍再編反対闘争を結合し、反戦反基地闘争の陣形を強化しよう。この反基地闘争とAWC運動を結合し、アジア規模での米軍基地撤去闘争を推進していこう。

 アジア共同行動が提起する「九条改悪を許さない! アジア・メッセージプロジェクト」運動を広範に組織しよう。

 農地死守―実力闘争を掲げて不屈にたたかいぬく三里塚闘争はわれわれ労働者階級人民の反戦の砦である。「用地内」市東さんに対する耕作権強奪攻撃、「東峰の森」伐採攻撃、暫定滑走路の北延伸攻撃を粉砕する現地闘争をたたかおう。3・25三里塚全国集会への総結集をかちとろう。

 全国のたたかう仲間のみなさん。改憲と戦争攻撃と対決し、日帝安倍政権を打倒しよう!

 

 

 

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