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『戦旗』第1315号(2008年10月20日)




  給油継続法案粉砕! 麻生自公政権打倒!

  11月岩国闘争へ

  瓦解する新自由主義グローバリゼーション

  今こそ労働者階級人民の利害を対置せよ!





 時代はさらなる閉塞状況へ向かおうとしている。米証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻を皮切りに、次々と経営悪化が明らかになる金融危機は、米国内のみならず、EU諸国を含め、世界中を不安の渦へと巻き込んでいる。日本への影響について、日銀の白川方明総裁は、九月十七日に「損失が発生する可能性はあるが、金融システムの安定が脅かされることはない」との見解を示したが、他の専門家からは、この国際的な経済後退が日本の地方銀行にも大きな影響を与えるとして、大きく警鐘を鳴らす意見も出ている。巷では、世界同時的な金融恐慌が襲ってくるかもしれないという噂まで聞かれるような状況だ。

 そもそも、この金融危機は昨年夏からの米サブプライム問題に端を発している。貧困と格差を拡大し続ける米国の資本主義が招いたこの問題は、同じく米帝主導で行ってきた新自由主義化・グローバル化経済によって、世界中にその破壊的影響を広げている。

 かつて「一億総中流」と言われた日本が、「先進国」のなかでも貧困率の最も高い国のひとつにまで陥ってしまった。それも、米帝主導による新自由主義・グローバリゼーションの策略であり、また米帝に追随してきた日本政府や資本によるものである。日本の民衆は、深まる格差拡大や景気後退に憤っているにもかかわらず、政府は有効な政策を取ることなく、福田康夫の「政権投げ出し」や自民党総裁選、大臣の問題発言など、茶番を見せ続けた。「苛政は虎よりも猛し」という故事どおり、圧政に苦しむわれわれ民衆の怒りを政府に対して見せつける必要がある。生活を破壊し、憲法解釈変更を含めた改憲への策動と戦争国家化への道を歩み続ける麻生・自公政権を打倒しよう! そして、民衆の怒りを発する契機であり、米帝・日帝による軍事支配にアジア・世界の民衆とともに連帯して対抗する契機でもある十一月岩国国際反基地闘争を成功させよう!



  ●1章 米核空母の横須賀配備徹底弾劾


 九月二十五日、米軍原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀に入港し、米軍横須賀基地を母港として配備された。その日、われわれは、多くの市民とともに入港阻止闘争を行った。八月十六・十七日とアジア共同行動日本連を中心に反戦合宿・集会・デモをかちとった成果で、闘争当日、満を持して闘争に取り組んだ。早朝より、原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会・現地闘争本部などとともに、うみかぜ公園での阻止行動を通して、アジア共同行動日本連の首都圏の仲間や、山口からかけつけた仲間などとともに闘った。七時三十分より約三百五十名の労働者・市民が結集し、入港阻止全体集会が持たれたあと、八時三十分頃、自衛隊のイージス艦の先導のもとに、観音崎方面から、全長三百三十二メートルという米空母ジョージ・ワシントンの巨大な船体が現れた。われわれは、空母が米軍横須賀基地に着岸し、その船体が見えなくなるまで、怒りのシュプレヒコールをあげ続けた。

 抗議の声は横須賀のみならず、全国からあげられた。広島では、被爆者を含む約五十人が広島平和公園内で座り込みをした。山口県岩国市の市民団体なども、外相に対して文書を提出し、抗議の声をあげている。

 ジョージ・ワシントンの横須賀基地配備は、決して首都圏だけの問題ではない。ジョージ・ワシントンが搭載する空母艦載機部隊は、米海兵隊岩国基地への移転を予定している。これに伴い、岩国基地の軍用機の配備数が現状の二倍以上に増大し、中四国・九州北部周辺空域の限界や騒音被害の拡大などの問題が指摘されている。岩国基地のみならず、神奈川県厚木基地も含め、空母艦載機の離着陸および訓練による住民への爆音被害は増加することは必至であるし、また空域の混雑化によって墜落事故へのおそれもあり、基地周辺住民の不安は一層高まってきている。

 そもそも、今回のジョージ・ワシントン配備には、米軍再編の重要な要としての米太平洋軍―第七艦隊の強化という背景がある。石油資源の確保を大きな目的とするイラク・アフガニスタン戦争の勝利のため、あるいは著しい経済発展の真っ只中にあるロシア・中国への牽制のため、またあるいは朝鮮有事への迅速な対応のため、「不安定の弧」とされるアジア全体のちょうど北東アジアに位置する日本との軍事的連携は、米帝にとっては欠かせない課題である。今回の金融危機に象徴されるように、名実ともにアメリカの世界支配にかげりが見え始めているからこそ、アメリカは、アジアの経済利権を守るべく、軍事的なアジア支配を一層強化したいねらいがあるのだ。次期米大統領候補のうち、共和党のマケインはもちろんのこと、民主党のオバマもアフガニスタンの軍事支配継続は容認していることから、ブッシュが米国の政界から姿を消したあとでも、米帝のアジア戦略に大幅な変更を行うことはありえない。

 また、今回の米原子力空母配備は、核を「つくらず、もたず、もちこませず」の非核三原則をないがしろにするものである。原子力空母とは、原子炉を動力とする、いわば「動く原発」だ。このジョージ・ワシントンには、小型の加圧式型原子炉が二基搭載されている。今回横須賀に配備されたということは、首都圏に原発が建設されたのと同じ状況であり、万が一事故が発生し、炉心が融解(メルトダウン)した場合、尋常でない被害が予想される。さらに、米軍側は当初八月入港・配備を予定していたが、今年五月に発生した火災事故によって、その入港が延期となっていた。米軍や日本政府は、この火災事故で安全性に問題はないと繰り返したが、この火災事故によって鉄製の内壁が溶けたり、ゆがみが生じたりしている。火災そのものによって原子炉の溶解は免れても、搭載している弾薬やミサイル等に引火した場合、いかなる被害が予想されるのか、見当もつかない。このような危険な空母が東京湾に常駐することは、反人民的であるとしか言いようがない。

 そのうえ、この原子力空母配備について周辺住民への事前説明は行われず、「抜き打ち」で配備が決定した。確かに、米軍側による原子力空母配備の策動は九〇年代後半からなされていたが、当時の日本政府や横須賀市長は強い不快感を示しており、長い間米軍側と正面から協議することすらなかった。しかし、地元選出の小泉純一郎が首相となり、二〇〇五年秋の「郵政解散」後の衆院選で自民党が圧勝すると、米政府はこれまで非公式で配備を伝えていた計画を突如公に発表し、小泉政権は即座にこれを受け入れた。政府関係者のなかには、「反対論が噴出しても後戻りできないタイミングを米国が見計らっていた」と言う者もある。そして、ジョージ・ワシントン横須賀配備と時期を同じくして、小泉純一郎は政界から身を引くと発表し、この自ら行った政治的策動になんら責任すら感じていない。この米帝・日帝による民衆の意志を無視した卑劣なやり方は、かつての三里塚空港建設閣議決定を、また近年では岩国基地への空母艦載機移駐の対応を想起させる。われわれは、このような権力側の謀略を断じて許すことはできない。

 そんな民衆の怒りをよそに、米軍横須賀基地内にあるケリー在日米軍司令官公邸で、九月二十四日夜、横須賀市長の蒲谷亮一を含めた地元有力者たちは、原子力空母配備の「前祝い」を行っていた。パーティーには、米海軍トップのウィンター長官の姿もあり、「市長の協力なくして配備はありえなかった」と言っている。日米両政府のみならず、地方の首長ですら、民衆の生活や安全を真剣に守ろうとさえしていない。原子力空母の横須賀母港化問題を考える市民の会が、この日の闘争で「国も横須賀市も安全性の確認を怠っているので、市民がプレッシャーをかけていくことが大切」と報道陣に伝えたように、民衆の力で米帝の世界軍事支配・日帝の戦争国家化への道を食い止めなければならない。われわれは、今後とも、米原子力空母ジョージ・ワシントンの配備撤回のみならず、侵略反革命戦争の前線基地である米軍横須賀基地の解体・撤去まで、粘り強く闘いを継続していかなければならない。また、闘うアジア・全世界の民衆と連帯し、日米軍事再編を粉砕しよう。横須賀・厚木・岩国・沖縄など、全国の反基地闘争の高揚をかちとろう。



  ●2章 改憲を目論む麻生政権を打倒しよう


 九月一日の福田「政権投げ出し」からおよそ一カ月にも及んだ政界の茶番劇は、ひとりの国民の生命さえ無意味化する、許し難いものである。八月二十八日、NGO「ペシャワール会」メンバーの伊藤和也さんがアフガニスタン現地で拉致・殺害されたという報道は、日本国内を不安に陥れた。各メディアは、政府が日米同盟を重視し、海上自衛隊のインド洋上での給油活動や陸上自衛隊等のイラク派遣などを行ったことが、今回の事件を招いたのだと指摘した。しかし、政府は「テロとの戦い」をあげ、これらの活動の継続を強調した。さらに、福田の電撃的な「政権投げ出し」によって、メディアの報道は政界の動き一色になり、日本の民衆は伊藤さんの死を悼む時間すら与えられなかった。政府は、これまでの軍事強化路線を見直すことすら考えなかった。
 
 福田の辞意表明から自民党総裁選へと、民衆は散々茶番を見せられた挙句、戦前、朝鮮半島で人民を酷使してきた歴史を持つ「麻生セメント」の社長であった麻生太郎が、総理大臣の椅子を引き継いだ。九月十四日の「流血の日曜日」以来、米国の金融危機の激震が世界経済全体に波及しているなか、麻生政権は景気回復を第一とし、民衆の金融への不安を取り除いて支持率向上を目論んだが、国交相に指名された中山成彬の「成田闘争はごね得だ」「日本は単一民族」「日教組の子供は成績が悪くても先生になる」といったあまりに許し難い発言により、中山は国交相の職をわずか五日で辞し、麻生内閣への不信はさらに高まるに至った。

 われわれ日本の民衆・労働者人民は、このような麻生新自公政権を全面的に否定し、打倒の声をあげていかなければならない。

 まず、日本を含めたアジア・世界の労働者人民、とりわけ不安定雇用労働者は、深刻な生活破壊の原因が、現代資本主義経済の制度そのものにあることにもはや気付いている。かつて巨大資本のトップであった麻生太郎が、日本国内世論の最大関心事である社会福祉・社会保障の充実と労働条件の改善といった問題を解決できるはずがない。もはや経済成長が国民の生活に繁栄をもたらすといった言説は、小泉の政策がペテンであったことを自覚している労働者人民にとって無意味ですらある。

 そもそも、昨年夏の参議院選で与野党勢力逆転から自公政権はなにをしてきたか。彼らは、海上自衛隊のインド洋上での給油活動や陸上自衛隊等イラク派遣の継続の関連法案を成立させるため、衆議院での再議決という、戦後の憲政において類を見ない強硬手段を用い、在日米軍基地の建設・拡張・強化を目論んだ小泉政権以来の日米軍事同盟を具体化しようとした。この路線は麻生政権になってもなんら変わることはなく、むしろ強化されていくことは明らかである。九月二十九日に行われた所信表明演説においても麻生は、外交政策の第一の課題として日米同盟の強化を挙げている。この日米同盟により、横須賀・厚木・岩国・沖縄などの米軍基地周辺住民の生活がいかに破壊されてきたか、また米帝国主義戦争への日本「参戦」によって、日本の民衆の生命が何度も脅かされ犠牲になってきたか、麻生政権はなんら省みることはない。われわれは、今こそ反基地闘争の現場から日米軍事同盟を打倒しなければならない。

 さらに注目すべき点は、九月二十七日に麻生首相自ら述べた、集団的自衛権を巡る憲法解釈変更を示唆した発言である。国連総会での一般討論で、イランのアフマディネジャド大統領やボリビアのモラレス大統領が反米感情を露にするニューヨークで、こういった世界の動きを尻目に、麻生は憲法解釈変更の見解を記者会見で明らかにした。確かに、改憲国民投票法を成立させた安倍政権が昨年夏に自壊して以降、天皇制の存置と国家権力の強大化を含めた戦争国家化への策動は、道半ばに挫折したかに見えた。しかし、福田政権下においても改憲に向けた論議は進んでおり、今年六月には、政府有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が集団的自衛権行使容認のための憲法解釈変更を求める報告書を提出していた。このことは、自公政権が日本の民衆あるいはアジア諸国に対して改憲に向けた攻撃を仕掛け、再び戦争国家化への歩みを進めようとすることにもはや一点の疑念もないことを意味している。改憲への策動が、総選挙後の自公、民主、あるいはこれらブルジョワ政党の組み換えによって再び行われることは必至である。われわれは、こういった米帝戦争への参加、憲法九条の実質的破壊を含んだ改憲の動きに対して強く抗議し、それらを推し進める自公政権を打倒しなければならない。



  ●3章 アジア民衆と連帯し、11月国際共同闘争へ


 世界各地で、政治的変革の胎動が始まっている。グローバルな規模での物価高や食糧危機に対し、暴動の話題が流れない日はない。また、ネパールでの革命、パキスタンでの情勢変動、ハイチでの政権打倒、ベネズエラを筆頭とした南米の反米政権への国民的支持など、民衆による帝国主義傀儡政権への対抗が目に見えて現れてきている。

 隣国韓国でもその動きは高まってきている。金大中―盧武鉉と続いて韓国の労働者に圧政を敷き、労働人口のおよそ半分が非正規雇用労働者となった現実に、韓国民衆は憤激している。また、今年二月に発足した李明博政権が、米産牛肉の輸入開始をブッシュに約束したことを受けて、四月から連日のように抗議運動が行われた。

 われわれは、これまでアジア共同行動日本連とともに韓国の労働者人民と連帯して闘ってきた。今後も韓国の民衆とともに、反帝国際連帯の旗を掲げて、さらなる連帯の強化へと邁進していかなければならない。十一月韓国労働者大会には多くの仲間とともにソウルに結集し、李明博政権を打倒しよう!

 そして、何よりも重要なのは、日米軍事同盟を背景に推し進められる日米軍事再編を阻止することである。米軍再編による基地周辺住民への悪影響はもはや明らかであり、これは住民の生活破壊を意味する。また、イラク・アフガニスタン戦争で疲弊した米兵による犯罪、とりわけ女性への暴行事件は、周辺住民のみならず、多くの女性を不安に陥れ、事件の隠蔽・風化は女性差別の温存を意味する。われわれは、昨年十月に広島で起きた米兵による性暴力事件の忘却に対抗し、米軍および日本政府に被害女性の尊厳回復を継続して求めていく。同時に、今年二月に沖縄で起きたフィリピン女性への米軍による性暴力事件(ヘーゼル事件)にも、正義の声をあげる被害女性とともに闘っていく。そのためには、米軍再編の砦ともいえる岩国基地機能強化は、愛宕山の米軍住宅化とともに必ず阻止しなければならないし、また、重大な局面を迎えつつある沖縄の辺野古沖新基地建設および高江ヘリパット新基地建設への阻止行動も継続して取り組んでいかなければならない。

 さらに、米軍再編との闘争は、単に日米同盟との闘争を意味するものではない。韓国のムゴン里では米韓軍事合同訓練場拡張を阻止する運動が活発化している。また、フィリピンでは、米帝が沖縄の海兵隊員約四千人を駐留させると同時に、アロヨ政権は九百人以上の民衆を虐殺した。また二百人近くの人民が拉致され行方不明となっている。われわれが、反基地・米軍再編粉砕の声を挙げて闘うことは、米帝の軍事支配に対抗して闘うアジア人民と連帯することでもある。

 われわれは、横須賀・厚木・岩国・沖縄といった全国の反基地闘争、韓国・フィリピンなどの米軍基地撤去の闘争と連帯し、米帝・日帝による侵略反革命戦争の根幹を打ち砕いていこう! そのためにも、われわれは、十一月岩国国際反基地闘争を成功させ、沖縄―辺野古・高江現地へ支援にかけつけ、さらなる連帯を築いていこう!

同志、友人のみなさん。そして、『戦旗』読者のみなさん。

 九月十五日、米証券大手のリーマン・ブラザーズが経営破綻した。同時期に経営危機にあった、米証券大手のメリルリンチはバンク・オブ・アメリカに吸収合併された。このリーマンショックは、米国株価の大幅下落、日経平均株価の急落と、世界的な株安が広がる傾向をもたらした。そのつぎに経営危機に陥っていた米保険大手のAIGに対して、米帝ブッシュは公的資金を投ぜざるを得なかった。このことは、サブプライム危機がさらに深刻な世界金融恐慌へと向かっていることを示した。

 九月二十三日、自民党新総裁に、麻生太郎が選出された。九月一日に、福田が安倍についで政権を投げ出して、自民党の危機がより一層深まった。その危機をなんとか挽回しようと、総裁選で五人の候補者まで立て、「なにか変わる」というイメージを振りまこうとしたが、みごとに空振りに終わってしまった。労働者階級人民は、誰が自民党の新総裁―首相になろうとも、「何も変わらない」「ますますひどくなるだろう」ということを見透かしているのだ。逆に札付きの差別排外主義者―麻生太郎を新総裁に据えることじたいが、これまで以上に強権政治に踏み込むことをあらわしている。労働者人民の「痛み、苦しみ、怒り」を「理解できない・理解しようともしない」麻生政権は打倒あるのみだ。

 九月二十五日、米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀入港阻止闘争は、多くの労働者人民の決起で闘いぬかれた。まさに、新日米軍事態勢の強化に対して、大きなくさびを打ち込んだのだ。この闘いの地平をさらにおし広げ、今秋期闘争を闘いぬこう。
 

 

 

 

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