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『戦旗』第1316号(2008年11月5日)




  金融危機、政治危機、階級支配の危機に直面する麻生政権打倒せよ

  岩国国際集会へ総結集を

  給油―派兵、新日米軍事同盟強化打ち破れ

  貧困化攻撃に立ち向かう階級的労働運動の再生を





 全国のたたかう労働者・学生・『戦旗』読者の皆さん。

 冷戦の崩壊後唯一の超大国として新自由主義と戦争を全世界におしつけてきた米帝国主義の危機がはじまった。サブプライムローン(低所得者むけ住宅ローン)の破綻を引き金にする信用危機・金融危機は瞬く間に全世界に波及し、日本をもおそっている。

 日帝支配層は、福田首相辞任のあとを受けて、マスコミを総動員した自民党の総裁選びなる茶番劇を演出し、右翼天皇主義・差別主義者である麻生が首相に就任した。そしていま、金融危機・政治危機に恐怖しながら国会解散―総選挙の時期を模索している。支配階級は歴史的な支配の危機のなかにある。きたるべき総選挙は自民党の敗北と民主党による政権交代の可能性が指摘されている。われわれはこの表層ではなく底流をみておかねばならない。

 八〇年代のバブルの崩壊によって日帝は帝国主義間抗争に敗北を重ねるなかで、急ピッチで新自由主義的政策を採用し、日本の経済・政治・社会を再編成し、社会全体を荒廃させてきた。また、米帝主導の全世界的な「対テロ戦争」に積極的に参加し憲法改悪を一歩手前まで推し進めた。このもとで人民の闘いは頑強に継続してきた。いま、支配階級の危機をもたらしているものは、根本的にこれらの闘いであり階級闘争であったことを確認しよう。総選挙を含む今秋の政治過程は人民闘争にとって重大な任務をつきつけている。危機に瀕した麻生自公政権をさらに追撃しよう。単なる政権交代におわらせてはならない。そのためには人民への生活破壊攻撃を打ち破り、米軍再編、インド洋における自衛隊による給油延長策動、自衛隊の海外派兵恒久法を阻止する大衆的な闘いをさらに推し進めねばならない。十一月岩国闘争に決起し、もって日帝の戦略的攻撃を打ち砕いていくための大きな地歩を獲得しよう。



 ●(第1章)世界恐慌の危機に直面する世界経済


 米国発の金融危機が深まり世界に拡大している。三月に経営破綻した投資銀行ベア・スターンズに続いて九月十五日、経営危機にあった投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産した。またサブプライム問題で危機におちいっていた投資銀行メリル・リンチが米大手銀行のバンク・オブ・アメリカに救済合併された。十六日には米保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が破綻し政府に救済され実質的に国有化された。

 これら米国を代表する金融機関のあいつぐ破綻によって株価も連日暴落し、金融機関相互の短期金融市場は収縮し停止状態におちいった。これはたちまち各国に波及し世界的な株安となり世界の金融市場を混乱におとしいれた。欧州でもイギリスなど大手銀行が資金調達に行き詰まり取り付け騒ぎが拡大し、政府が緊急支援に乗り出した。とりわけアイスランドでは、政府が全銀行を国有化したが、銀行の全負債は政府の支援ではまかなうことはできず国家的破綻すら危惧されている。中国、インドなどアジア市場も例外ではなかった。

 現代帝国主義は、七〇年にプレトンウッズ体制が崩壊して以降、ケインズ主義経済対策で景気循環を調整することができなくなった。これを批判する新自由主義は、一九八〇年代中期から「市場は万能である」という新自由主義のデマゴギーをふりまいた。米国を先頭に各国で九〇年代をつうじて金融の規制緩和が続いた。

 現在進行していることは、この新自由主義デマゴギーの末路である。規制緩和の下で、銀行と証券会社の垣根がなくなり銀行がリスクの高い証券を売買し投機に走った。住宅ローンが証券化され、さらにその破綻リスクさえCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)として証券化されて急速に拡大した。世界的に投資会社、大手銀行などがこれを投資の対象にして借金までして売買した。証券化された金融商品の総額は十兆ドル(千兆円)にのぼるといわれる。こうして金持ちや投資家に20%以上の高い利息を保証し世界中から資金を集めてきたのである。また、破産したリーマン・ブラザーズの経営者は昨年四十二憶円という法外なボーナスを受け取っているのである。これら債券が一気に急落しこれを多く所持している金融機関の危機が世界中に拡大した。

 これにたいして、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)や日銀を含む主要国の中央銀行は市場に大量の資金を供給し、また協調利下げをしてパニックを防ごうとしている。また、米政府は「金融安定化法案」と銘打って金融機関が抱えた巨額の不良債権を公的資金で買い取るために七千億ドル(七十兆円)もの巨額を支出する法案を議会に提案した。人民は「戦争とウォール街に金をだすな」と抗議した。人民の貧困化を放置しながら、金融バブルで大もうけした一握りの金持ちになぜ自分たちの巨額の税金を投入して救済しなければならないのか、という当然の人民の怒りであった。大統領選挙を控えて米議会もいったん否決したがのちに預金保護の強化などを付加修正してようやく法案を成立させた。市場万能論の旗手であった当の米財務長官ポールソン(最大の投資会社ゴールドマン・サックスの前会長)は公的資金(税金)投入の理由として「剥き出しの資本主義はいきづまった。政府の役割というものがある」とのべ、国民にツケを回す言い訳を行なった。

 しかし、この法律の成立をもってしても株安を食い止めることはできなかった。十月十日にはワシントンで主要七カ国財務省・中央銀行総裁会議(G7)が開催された。追いつめられたブルジョアジーは、「迅速で例外的な行動が必要な緊急事態」と言い訳をしながら、公的資金による資本注入をはじめあらゆる手段を活用して対応するという行動計画を発表した。結局のところ、巨額の税金を民間資本である金融機関に直接投入して救出する、というわけだ。いままで吹聴していた市場システムの賛美や人民に強制していた自己責任論などはどこ吹く風である。

 しかし、彼らの税金の投入策によって経済が安定するわけではない。これは単なる一時的な対症療法にすぎない。米国の財政赤字、国際収支の双子の赤字はすでにイラク侵略戦争などによって巨大なものとなっており(〇八年度の財政赤字は四千五百五十億ドルに達し、過去最大を記録した)、その上にこの財政赤字が加わる。また、金融危機はすでに、投資・雇用・消費など実体経済に影響を及ぼしている。九月以降、米経済の指標は急速に悪化している。最大の自動車メーカーのゼネラル・モータース(GM)が経営悪化におちいるなど、実体経済が悪化し不良資産がますます増加し、それを背負う財政負担はますます巨大となる。米国経済の全面的な瓦解、ドルの暴落へと突き進むことになる。そして、これは、七〇年代以降サミット・G7によってかろうじて維持してきた擬制的基軸通貨体制が崩壊することを意味する。

 今回の金融危機は全世界的に新自由主義の欺瞞を暴露した。いまやブルジョアジーは「実体経済とあまりに乖離しすぎた経済のカジノ化が問題だ」「金融危機―世界同時不況の防止は市場(民間)や一国だけではできない。グローバルな監督、規制を強化をせよ」と叫んでいる。金融危機はもちろん監督・規制で解決できる問題ではない。米国を筆頭とする現代の帝国主義が、資本主義の矛盾から逃れようとして、八〇年代の企業合併・買収(M&A)バブル、ついで九〇年代のITバブル、そして直近の住宅バブル、とつぎつぎとバブルをつくりだし矛盾を先送りしてきたこと、またそうする以外に延命できなくなっていることが問題の本質なのだ。労働者人民は日常的に搾取・収奪され、資本家のバブルの破裂した処理のツケを回され、恐慌のなかで塗炭の苦しみをなめさせられる。この犠牲を強いて資本主義は延命しようというのだ。

 九〇年代以降唯一の超大国としての米国を支えたものは軍事と金融であった。その軍事はイラク戦争の泥沼のなかで挫折し、金融・経済はいま金融バブルの崩壊で挫折している。米帝中心の戦後世界体制の崩壊がはじまったのである。



 ●(第2章)反動的本性露呈する麻生自公政権打倒せよ


 九月二十四日、麻生内閣が彼を取り巻いている右翼閣僚をそろえて成立した。その翌日国土交通相の中山が「日教組をぶつ壊す」「成田闘争はゴネ得」「日本は単一民族」なる暴言をはき辞任した。中山は名うての右翼政治屋であり、二〇〇五年文科相時代に「従軍慰安婦という言葉はそもそもなかった。なかったことが教科書にあることが問題」と暴言をはいている。これを熟知し承認したうえで麻生は閣僚に任命した。任命した麻生も同罪であるだけでなく、麻生自身が同質の価値観をもち、たびたび差別発言を繰り返しているのだ。今回の所信表明演説においてもさっそく麻生は「かしこくも御名御璽をいただき」と述べ、また「百十八年の憲政の大河」「日本は強くあらねばならない」とのべて天皇主義者の本質を露呈し大日本帝国を賛美した。

 麻生政権の任務は人民の怒りを懐柔し、あらゆる手段を駆使して当面する選挙に勝利することである。しかし、自民党支配の危機は構造的なものである。まさしく小泉に代表される自民党政権はこの米帝の覇権路線に忠実にしたがってきた。小泉は「金融大国アメリカに学べ」との掛け声のもとに「市場にまかせる」「貯蓄から投資へ」をあおり、金融と雇用の規制緩和をおこない、村上ファンドやグッドウィルなどを生み出した。郵政民営化を強行しカジノ資本主義を推進してきた。一方で金持ち、大企業に減税をおこない、他方で社会保障関連費を毎年二千二百億円づつ削減していく。労働市場の規制緩和で非正規雇用労働者を急増させて社会的大問題となっているワーキング・プアを増大させた。賃金も九年間あがっていない。地方交付税を削減する政策をおしつけ地域経済を疲弊させた。自殺者が毎年三万人をこえている。総じて日本社会の崩壊が進んでいる。加えて後期高齢者医療制度への怒り、年金問題への怒り、石油、食糧価格の上昇・食の安全への怒り、総じて新自由主義改革がもたらした貧困・格差の拡大、ただでさえ貧しい社会保障の破壊への怒りは社会に満ちている。その結果自民党の支持率は大きく下落した。

 麻生政権はこの現実をもたらした新自由主義―構造改革路線への反省もなく、基本的に労働者人民の生活破壊を継承している。そして、この現実を覆い隠そうとして、小手先の「手直し」で支配の危機をのりきろうとしている。それが麻生の緊急経済対策と銘打った、赤字国債による総選挙めあての財政バラまき政策である。

 同時に、麻生政権は米帝の『対テロ世界戦争』と一体化し、憲法改悪を推進する路線を継承している。麻生らはアフガニスタンでのテロの脅威を叫び、来年一月に期限が切れる自衛隊によるインド洋での給油活動を延長しようとしている。これは最近のアフガニスタン戦争で劣勢に立たされた米帝が戦場の重点をイラクからアフガニスタンに移し、米軍を増派しようとしている米帝の方針の一部を構成している。アフガニスタンでの侵略への参加は給油、給水にとどまらない。麻生政権は民主党の「アフガニスタン国際治安支援部隊参加」論をも利用しながら、一気に派兵恒久法の制定をやろうとしている。

 われわれは総選挙を通じて危険な政党再編の可能性が強まっていることに警戒せねばならない。民主党はいま政権交代のために「生活第一」などというスローガンを打ち出してはいるが、本性としては新自由主義派であり改憲派であり、靖国派、天皇主義右翼から市民的リベラル派を含む寄せ集め連合である。また、自民党自身も総裁選挙の茶番をつうじて内部の路線の深い亀裂を露呈させた。総選挙の結果自民党が勝利しようと民主党が勝利しようと、日帝支配階級は必須の課題である新自由主義の推進と改憲・日米軍事同盟の世界的な強化を貫徹するために、自民党、民主党を貫いた政党再編をやらねばならない、もしくはそのための大連立政権をつくることを必須としている。現に、双方とも第一党をとれなければ内部対立が表面化し分裂の危機に直面するだろう。この政党再編、大連立が成立すれば国会の議席の大部分を自民・民主が占め、改憲、米軍再編の攻撃は一気に加速し、国会における改憲の承認成立は時間の問題となるであろう。

 さらに、世界金融危機の影響は日本の実体経済にも及び長期にわたる経済不況が不可避である。不況が深まり人民の怒りがますます増大していくにつれて、戦争とそれにむけた治安弾圧が強化されていく。そのために共謀罪制定、裁判員制度導入、入管法全面改悪などが強権的に推進され、前記の給油新法、派兵恒久法が抵抗なく成立する危険性がある。



 ●(第3章)岩国国際集会に全国から総結集しよう


 われわれは今秋闘争の最大の闘いとして十一月岩国に結集し、AWC日本連のよびかける国際連帯集会に参加し岩国の民衆と連帯しながら米軍再編に抗する闘いの大きなうねりを作っていくことを呼びかける。岩国米軍海兵隊基地の強化、空母艦載機部隊五十九機の岩国移駐は米軍再編計画の要をなすものであり、朝鮮半島―アジア人民へ巨大な軍事打撃力をなすものである。この岩国の闘いは九月、米原子力空母ジョージ・ワシントン横須賀母港化阻止闘争を受け継ぎ、沖縄、横須賀・神奈川をはじめとする反基地闘争、米軍再編粉砕の闘い、日米軍事一体化粉砕の闘いの一環である。また、昨年、一昨年の地平をひきつぎ、米軍再編による基地強化・米軍の駐留に対決し決起している韓国、フィリピンなどの人民と連帯して米軍総撤収を掲げた共同闘争を前進させようとするものである。そして、さまざまな困難にも屈せず基地拡張強化に反対する闘いを粘り強く前進させている岩国市民を激励し連帯を強めるものとしてある。岩国現地では市長選挙の敗北にもかかわらず市民の闘いはいっそう強化され、基地容認新市長も「基地容認」を公言できないでいる。騒音被害、事故の恐怖にたいして市民の爆音訴訟も準備され、全国各地の住民運動、反基地闘争との交流もなされている。八月、愛宕山への米軍住宅建設案を国と県が水面下で市長に打診している、という情報が新聞で暴露され市民のいっそうの怒りを掻き立て反対の声がひろがっている。この闘いを支援し、米軍再編を打ち破っていく展望を切り開いていかねばならない。

 あわせて、この全国反米軍基地闘争の最前線で頑強に闘われている沖縄における辺野古新基地建設阻止闘争、そして高江でのヘリパッド建設阻止闘争を支援し、現地にかけつけて阻止行動をともに闘おう。沖縄県議会は七月、「辺野古新基地建設反対」を決議し基地建設を断念するよう政府に求めている。経済的においつめられ政治的軍事的に限界をみせている米帝一極支配体制と米軍再編計画、それへの自衛隊の一体化政策にたいして、我々の闘いによって風穴をあけよう。

 第二に、十一月九日に開催される韓国民主労総が主催する労働者集会に参加しよう。いま韓国では李明博政権によって米牛肉輸入反対ローソク集会などの大衆闘争にたいする弾圧の嵐が吹いており、国家保安法が乱発されている。それは労働運動にもおよび、指導部の指名手配・逮捕があり、さらなる労働法改悪の動きもある。今こそ韓国の労働運動との連帯を強化しよう。

 第三に、十一月十六日東京で反戦闘争実行委員会が主催する反戦闘争に結集し、新たな国際情勢、米帝中心の世界支配体制の崩壊のなかで、米軍の軍事戦略、日米同盟の新たな役割・反戦闘争の任務を確認しよう。デモを貫徹し給油新法、派兵恒久化法案を阻止し米軍再編を打ち砕こう。

 さらに、12・1から12・7にわたる全国各地でのアジア共同行動の集会に参加しよう。韓国の活動家とともに韓国、沖縄、「本土」各地から米軍の総撤収の闘いを強め、日韓民衆連帯を深めよう。

 第四に、これらの闘いの成果をもって十二月共産同政治集会へ先進的労働者・学生の結集をよびかける。本年十二月、共産同は結成から五十年を迎える。新たな情勢のなかで全世界的に新たな闘いが生まれ、闘い自身が全世界と社会の根本的変革を要求している。これらの闘いと結びつき多くの労働者、学生とともに共産同を革命的労働者党としてさらに建設していこうではないか。ともに闘わん。
 
 

 

 

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