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『戦旗』第1319号(2009年1月1日)




 09年、激動の21世紀初頭の今こそ

  プロレタリア世界革命の旗を打ち立てよう

  資本主義、帝国主義の最後の時代

  労働者階級、被抑圧人民の勝利へ



 ●序章

 ブント主義を継続し、革命的労働者党建設に邁進しよう



 〇九年の年頭にあたり共産主義者同盟(統一委員会)から全ての労働者、学生、被抑圧人民、市民に対して連帯のアピールを送ります。

 〇九年を取り巻く内外情勢は極めて緊迫の度を深めている。アメリカの昨夏の金融危機に始まった全世界の金融恐慌は一層深刻化し、実体経済を破壊して、長期大不況への突入を想起させる事態をもたらすに至っている。またアメリカ帝国主義によってソ連崩壊以降推し進められてきたグローバリゼーション―世界の資本主義化、とりわけブッシュ政権によって進められた「戦争とグローバリゼーション」の政策が破綻的状態に陥り、世界は新たな再編と流動化を不可避とする時代に入っている。この二十年間、主要には中心国米帝によって作り出されてきた、「一定の世界秩序」「一定の世界体制」が大きく崩れているのである。侵略戦争と植民地支配、新自由主義政策と労働者の分断、非正規雇用の拡大の攻撃は、イラク、アフガン人民の抵抗闘争、南米大陸の反米左翼運動の高揚、イラク反戦運動の国際的高まり、そして非正規雇用労働者の反撃を軸にしたたたかいによって決定的な行き詰まりに直面した。また同時に進めた投機的資本の実体経済を無視した肥大化と経済のギャンブル化政策は自己破産した。

 昨年進んだ事態は明らかに資本主義、帝国主義の基本的矛盾が爆発し、この体制の終焉が近いことを示したのだった。しかし、資本主義や帝国主義は自動崩壊することは決してない。労働者階級と被抑圧民族人民のたたかい、決起によってのみ、この資本主義と帝国主義を打倒することが可能なのである。労働者階級と被抑圧人民の自己解放運動の促進とその完遂、プロレタリア権力の樹立と社会の建設、創造によってのみ、資本主義、帝国主義を打倒し止揚していくことができるのだ。

 現在は歴史の転換点である。既存の秩序が崩壊し、一方では資本主義、帝国主義は自ら生き残るために労働者階級、被抑圧人民への搾取と収奪、差別と抑圧を激化させている。金融恐慌、長期大不況と失業、格差の拡大と貧困層の大量の形成、侵略戦争、民族抑圧、植民地化攻撃の激化、差別、抑圧、分断、切り捨て政策の拡大である。しかし既存の秩序が崩壊することによって、他方では労働者階級、被抑圧民族、被抑圧人民の抵抗運動は拡大し資本主義、帝国主義に対抗する階級的なヘゲモニーを打ち立て、階級的な力を増大させている。侵略、植民地支配に対する武装抵抗運動、多国籍企業の搾取、収奪に対するストライキと暴動の決起、イラク・アフガニスタン反戦の国際連帯運動、また非正規労働者の労働組合の結成を通した資本権力とのたたかいの発展、首切り、リストラへの抵抗、被抑圧、被差別社会集団の解放運動、学生、市民の運動の広がりが一つの趨勢となっている。資本、帝国主義が労働者階級人民への一層の抑圧を強めて延命しようとし、しかしながら労働者階級、被抑圧人民の抵抗運動が権力、資本の攻撃を砕き、対抗するという情勢が急速にもたらされている。労働者階級、被抑圧人民の抵抗運動、解放運動によって資本主義と帝国主義は一層規定されていかざるを得ず、事態は流動化し、たたかいは不可避に拡大していく。

 二十一世紀のプロレタリア革命を、現在の歴史の転換点にたって構想することこそ重要なのである。共産主義者と革命的労働者党は二十一世紀百年の展望を持って「労働者階級と被抑圧人民が真に解放される道」を明らかにしなければならない。二十世紀が「戦争と革命の世紀」であったとするならば、二十一世紀は明らかに、「プロレタリア世界革命の勝利の世紀」である。「資本主義、帝国主義の最後の世紀」であることは間違いない。帝国主義による二度の世界大戦と一七年ロシア革命の成立、また中国などの民族解放―社会主義革命の勝利、第二次大戦以降の米ソ分割支配による「冷戦」、資本主義の無力を示した七一年ニクソン二つの声明、さらには九〇年前後のソ連・東欧スターリン主義圏の崩壊と米帝の一極支配の形成があった。これが二十世紀の歴史の流れである。そして労働者人民にとって重要なことは、革命ロシアがレーニン死後スターリン主義支配への変質によって、労働者階級と被抑圧民族、人民の自己解放、団結形成が破壊されて、その結果、帝国主義との対抗に破れ、また内部からの人民の反乱によって崩壊してしまったことである。二十一世紀初頭の現在、米帝の一極支配が大きく崩れている。これは不可避の必然である。もちろん「世界の多極化」、「極なき世界」などが語られているが、実際は世界資本主義の防衛のために各国帝国主義、支配階級、支配集団、そして多国籍企業が対立とともに協調、結託を強めているのが現実である。延命のための侵略と戦争、暴力、搾取と収奪、差別と抑圧の攻撃は解消されるのではなくて、深まっていく。共産主義者と革命的労働者党は二十世紀のスターリン主義を主原因とするプロレタリア革命の失敗、敗北を教訓として、この二十年間の「戦争とグローバリゼーション」の結果として一層増大している全世界の労働者階級を主体とし、また被抑圧人民を主体として、この敗北を越え出る「在り方」において「二十一世紀のプロレタリア革命」を実現するものでなくてはならない。



 ●ブントが09年果たすべき役割


 二十一世紀ブントが果たすべき役割は鮮明である。何よりも資本主義、帝国主義の最後の断末魔的な延命の攻撃に、労働者階級、被抑圧人民の内部にあって常に先頭で反撃することであり、労働者階級、被抑圧人民の解放運動をトコトン前進させるために、全力で活動することである。帝国主義国日本の革命的労働者党として全世界の労働者人民に連帯する日本の革命運動を徹底的に推進していくことである。いうまでもなくわがブントの規範は産業資本主義段階のマルクスの実践であり、帝国主義段階のレーニンの実践である。資本主義、帝国主義の打倒を正面から見据えたプロレタリアの運動、被抑圧人民の運動を推進していくことにある。労働者階級、被抑圧人民の階級としての形成、資本家、帝国主義・独占資本を打倒し、プロレタリア権力を樹立していくところにある。

 〇九年われわれブントは、日本における「新しい階級闘争構造」を生み出すために全力でたたかいぬく。社会党―総評の運動の存在とこれを前提とした新左翼運動の形成という過去の構造に代わる新しい階級闘争構造を、すなわち労働運動、学生運動、被差別大衆、被抑圧人民の解放運動、市民運動、住民運動が反資本主義、反帝国主義の方向性において大きく連合し、政府、資本家に対抗して行く基本的なたたかい、運動の構造を作り出していくことだ。とりわけ左派労働運動、左派労働組合が拠点となり、規定力となって権力、資本に抵抗し団結をより拡大させていく闘争構造を形成していくことが重要なのである。全国的、地方―地域的に左翼、労働者、被抑圧人民、学生、市民の共同したセンターなどを作り、たたかいの構造の建設を目指していく。

 また実践的には階級的労働運動の構築、アジア共同行動の発展、反戦反基地闘争、被抑圧人民の解放運動を反帝国主義の体系の下に進めていく。非正規雇用の拡大―ワーキング・プアーの増大の労働政策、資本攻勢は強まっている。またアジア諸国への日帝・多国籍企業の進出は拡大している。沖縄―岩国など米軍再編と戦争策動が拡大している。また沖縄人民、部落大衆、障害者、女性など被抑圧人民への差別抑圧、切り捨ての攻撃が激化している。労働者階級人民への支配の強化に反対して対抗して運動を形成することは極めて重要である。労働者階級、被抑圧人民の側からのヘゲモニーの形成が重要なのだ。

 また、われわれ共産同(統一委員会)は、ブントとして、階級形成の党派として自らの役割を貫いていく。

 この労働者階級、被抑圧人民の運動形成にあって、これら主体の二十一世紀的な存在形態の変容に踏まえた団結形成を推進していく。そこにおいてはブントの党派性をしっかりと発揮して、スターリン主義や宗派が決して実現することのないプロレタリア、被抑圧人民の階級形成を、未来社会を担い切り拓く革命の主体としての自己形成の内実をもって推進する。またその推進のてことして、すなわち共産主義者の党として断固として活動する。現代の資本主義、帝国主義の中にあって労働者階級は、製造業部門という旧来の産業の担い手である労働者とともに、流通や人間の生産、再生産に携わる第三次産業部門に拡大する労働者でもある。また、資本家階級によるこの間の機械化(ロボット化、IT化)による労働の一層の単純化、骨化、細分化の攻撃と賃金部分の低下を目指す労働力の流動化政策と結び付いて、労働者階級の内部に膨大な非正規の無権利、低賃金の部分を発生させた。この傾向は二十一世紀凄まじい勢いで拡大している。労働者内部の階層的な分断支配が強化されている。こういった主体の変容を見据えた労働者相互の団結形成を党は重要な任務とするのである。

 また現代の資本主義、帝国主義の中にあっては、世界の資本主義化が一層進められることを通して、被抑圧民族、被抑圧人民が資本や帝国主義の凄まじい搾取と収奪の対象となって現れると同時に、この現代社会を構成する不可分の主体としてその存在の位置を確定(変容)させられている。これらの民族、人民は資本主義的有機性にますます蹂躙(じゅうりん)され、それゆえに変革の主体としての基盤を拡大させている。被抑圧人民の社会集団としての団結形成、階級形成が重要な課題となり、また被抑圧人民と労働者階級の連帯と団結形成、被抑圧人民諸集団の相互の連帯と団結の形成が重要となっており、党はこの過程で積極的役割を果たす。

 そして、われわれ統一委員会は、ブントとして革命的労働者党建設のために活動していく。

 〇九年、米帝の「戦争とグローバリゼーション」の破綻は世界秩序を動揺させ、労働者階級人民の解放闘争の拡大は一層進む。資本主義、帝国主義の延命をかけた攻撃と人民の反撃で全世界における階級闘争の発展は不可避である。この様な階級情勢の流動化の中で日本においては新左翼内部での党建設を巡る動きが活発化するだろう。われわれはブントとして過去の党建設の失敗を謙虚に反省しつつ、労働者階級と被抑圧人民の解放運動の推進のために革命的労働者党の建設を正面から掲げ、この実現を目指して活動していく。われわれの規範はマルクスの党建設論であり、レーニンのボルシェビキ組織の建設にある。「労働者階級は自らを政党に結成していく」、すなわち労働者の運動と決起が労働者党の結成に不可避に結び付くというマルクスの組織論をしっかりと自覚し、現在の労働者と被抑圧人民の自己解放の運動が一方で階級への形成を進めると共に、他方では政党への結成を進めるというかたちを貫いていくことだ。多くの先進的労働者、被抑圧人民、学生、市民に革命的労働者党への結集を呼び掛けていくことが大切だ。また資本主義を批判し共産主義を措定していくこと、その意識的努力によって初めて共産主義者の結集体として党は生み出される。この過程も大切にしなければならない。そしてより重要なことは実践的に現実の階級闘争を労働者階級、被抑圧人民の自己解放闘争の貫徹、完遂に向けて非妥協に断固として貫徹していくこと、すなわち現実の帝国主義国家権力、資本家階級(資本家)との血みどろの汗にまみれた闘争、抗争を勝利に向けて組織していくことである。敵権力の弾圧、破壊、投獄、スパイの攻撃を中央集権制と同志的信頼関係の形成を軸にして打ち破っていくことだ。レーニン組織論の確信はここにある。もちろん組織の内部においては開かれた党運営、民主主義が大きな力になることはいうまでもない。ボルシェビキ党的規律、ボルシェビキ党的団結を今一度レーニンに学ぶべきだろう。近年組織の内部運営のみをそれとして持ち出して、組織の単一の意志の形成の努力を軽んじたり、規律、気風の確立をはなから否定したりする傾向も見られる。しかしこれは敗北の組織論でしかない。われわれはブントとして原則的にレーニン組織論を見据えて組織を作っていく。

 さらにわれわれ統一委員会は、ブントとして二十一世紀の共産主義、社会主義の構想、理論の発展のために努力していく。二十一世紀の共産主義者が問題とするべきものは、反帝国主義、反資本主義あるいは反戦争、反グローバリゼーションを掲げ、民衆レベルで支持を集めている運動の中にあって、これらの運動の意義、意味を踏まえつつ、あくまでも資本主義と帝国主義を打倒、転覆したプロレタリアと被抑圧人民を主体とした、社会主義権力の樹立による革命である。そしてこれは二十世紀のスターリン主義体制の崩壊の分析、批判といういわば反措定的な作業ではなくして、より直接的な二十一世紀民衆運動の分析措定にある。もちろん資本主義の危機が最後の局面を迎えていると言う意味において、資本主義批判と共産主義の措定、研究の意義もあるのは確かだ。

 現在の世界情勢に大きな影響を与えている運動は、中東―アラブ地域のイスラム主義を掲げたイスラム民衆の解放運動の形成であり、また中南米における反米・反グローバリゼーション、地域の自立経済の建設の動きである。この中南米の運動は、労働者市民の政治的自由の確立運動をはらんだ左翼の運動形成の側面をもっている。とりわけ、労働者、農民を主体とする社会主義建設を進めるキューバと、主要産業である石油産業の国有化、労働者と貧民の生活保障と政治動員をもって権力形成を進めるベネズエラ・チャベス政権が、その最左派として存在している。さらに反グローバリゼーションを掲げる社民主義をおおきなベースにした世界社会フォーラム(第四インターを含む)の世界潮流がある。そして第三世界においては貧農を主体にした一種のコミューン運動を掲げる毛派の潮流も数多く存在している。フィリピンのCPPを中心とする反帝民族運動は大きな地平を切り開いている。さらにいわゆるイラク反戦闘争を国際的な大闘争に発展させたアメリカの党派などの原則的左翼、韓国における労働運動、民主化運動を指導する党派も存在している。こういった現実の中で、労働者階級の国際的団結と労働者階級、被抑圧民族、被抑圧人民の連帯と、資本主義と帝国主義を打倒してプロレタリア社会主義革命の方向を目指す共産主義運動の復権が強く求められている。少なくともイスラム法の実現による社会の建設を目指すイスラム主義勢力、これとは同一視できないものの、いわゆる「原理主義」を掲げるテロリズム勢力は、決して労働者階級人民の解放を実現するものではない。また世界社会フォーラム系の一部において、多国籍企業の「政策転換」なる名目の下にここからの資金援助に因って運動を形成しているようなものは、決して資本主義にとって代わる「新しいプロレタリア、被抑圧人民の社会」をもたらすものではないことは確かだ。

 われわれは国際的な反戦闘争(反米軍、反基地闘争)、国際的な労働運動、反グローバリゼーション、総じて反帝国主義を掲げこのたたかいを担う原則的な左派との交流を深め、共闘していく。その中から新たな国際的な共産主義運動の潮流の建設を目指していく。




 ■第1章―世界情勢

 劇的に深まる世界金融恐慌

 全世界規模で反帝闘争の前進を



 ●世界金融恐慌に突入した現代帝国主義


 二〇〇七年に米国のサブプライム・ローン問題から始まった金融バブル崩壊は拡大し、二〇〇八年秋、金融恐慌に突入した。

 昨年九月、米投資銀行リーマン・ブラザーズ破綻を端緒としたニューヨーク株式市場の株価大暴落が全世界に波及した。米帝―ブッシュ政権は、リーマンに対しては一民間金融機関の破綻として関与しなかったが、続く保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の経営破綻に対しては、米国および世界各国の金融機関に波及するとして、公的資金注入をもって救済に入った。各金融機関の経営危機ごとに右往左往する米財務省とFRBの一貫しない対応が、さらなる不安を呼び、株価暴落は止まらず、ドルも急落した。

 ブッシュ政権は公的資金注入を明確に打ち出したが、このための金融救済法案を即座に成立させることはできなかった。これまで新自由主義を掲げてきた政権の考え方を百八十度転換し、民間の巨大金融機関を救済するというのだ。詐欺金融のサブプライム・ローンが破綻して以降、この高利貸しの犠牲になった下層労働者に矛盾が集中していた。ブッシュ政権はこのような金融手法を規制することもなく、この犠牲となって住宅を奪われ、借金に追われる人々を救済しようとはしなかったのだから、批判が集中したのは当然だ。この金融救済法が審議された九月下旬、米国労働者人民は抗議行動に立ち上がった。この世論の批判が集中する中で、米下院は金融救済法を一旦否決した。民主党ばかりではなく、十一月大統領選・上下両院議員選挙を目前にして共和党議員も反対した。

 しかし、リーマン・ブラザーズだけで事が済んだ訳ではなかった。三月に経営破綻したベア・スターンズ(JPモルガン・チェースへ吸収合併)を合わせ、ゴールドマン・サックス、メリルリンチ、モルガン・スタンレーの米投資銀行五行が、破綻するか、銀行に吸収合併されてしまった。この事態の中で、金融機関相互の不信が高まり、銀行間取引が収縮した。この信用収縮は世界中に波及した。各国中央銀行は資金を供給し、さらに、米欧の中央銀行が協調利下げ(0・5%)を行い、中国などもこれに同調して利下げした。

 このクレジットクランチ(信用収縮)を放置すれば、銀行の資金仲介能力は停滞し、企業の資金調達は困難になり、企業倒産が連鎖して起こることになる。この後も、銀行間取引の実質的停止状態は続いている。中央銀行の資金供給がなければ、資本主義のシステムそのものが崩壊して、政策的に回復することは不可能になる。まさに、国家権力が緊急対応を続け、恐慌が実体経済全体に波及するのをどうにか喰い止めている状態なのである。

 昨年九月以来、各国政府は緊急事態への対応に入っている。英帝がまず公的資金注入に踏み込み、欧州各国政府は全面的にこの金融危機に積極的に介入した。この動きに突き動かされる形で、ブッシュは、マケイン、オバマをも含めて緊急会議を行い、危機意識を共有し、公的資金注入方針を挙国一致的に確認した。

 ブッシュ自身が記者会見して公的資金注入を表明した。十月十日の財務省・中央銀行総裁会議(G7)は、経済危機に国家が積極的に介入することを明確にする「行動計画」を発表した。ブッシュ政権が大手銀行に具体的な公的資金注入を実施して、株価暴落などの危機が一旦収束した。金融恐慌に直面した帝国主義、米帝をはじめとするG7諸国が行ったことは、これまで投機を続けてきた金融機関(銀行)への公的資金注入=救済である。住宅を奪われ、職を奪われて困窮する労働者は放置し、金融投機に明け暮れてきた金融機関は救済する。新自由主義政策の階級的本質が、この破綻の中でこそ如実に顕れた。

 しかし、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、クライスラー、米国の機軸産業である自動車産業のビッグ3は破綻寸前まで経営が悪化している。十二月二日、ビッグ3は、再建計画とともに最大三兆二千億円の金融支援要請を米政府に行った。ビッグ3が倒産すれば三百万人の失業者が生まれることになる。自動車産業の破綻は膨大な関連産業に波及し、経済全体を沈滞させることになる。しかし、金融機関ではなく、産業資本の経営破綻を公的資金で救済すれば、「貿易と投資の自由」を掲げてきた米帝が率先して保護主義に突き進む原理矛盾をおこすことになる。ブッシュ政権もオバマ新政権もこのジレンマの中にある。

 米国金融恐慌は全世界に波及し、通貨の下落を引き起こしている。当初のドルの暴落から、世界的な株価崩落、銀行間取引の逼迫という状況の中で、ユーロなどの通貨に対して一時的にドル高が進んでいる。金融危機の中で、決済のための通貨をとにかく必要としているからだ。金融恐慌が爆発する中で、国際的な決済通貨ドルの枯渇という事態が引き起こされているのだ。

 米国からはじまった金融恐慌は、金融のグローバルな規制撤廃ゆえに、一挙に世界規模で波及している。「デカップリング(非連動)」などと称して帝国主義諸国の経済の影響を受けないと捉え、BRICsなど新興国投資を展開してきた金融機関が大きな打撃を受けた。新自由主義の世界的な進展の中で市場経済化・貿易自由化・金融自由化を進めてきた新興国は、確かに経済発展が進んできた。しかし、金融恐慌の打撃は大きく波及し、帝国主義国以上に急激な株価暴落、そして通貨急落が引き起こされている。しかし、それは金融面にとどまるものではなく、投機資本の急激な流出によって、これら諸国自体の実体経済は大きな打撃を受けている。新自由主義の世界的な流れを受けて金融自由化を進めてきたアイスランドは国家デフォルトの危機に陥った。ハンガリー、ウクライナなど九〇年代以降に急激に資本主義化―新自由主義化が進んだ中東欧諸国、旧ソ連邦諸国も経済的打撃は大きい。

 九七年の通貨危機では相対的に打撃の小さかった中国だが、急激な市場経済化を進め、二〇〇一年にはWTOに加盟して貿易・投資を拡大してきたがゆえに、帝国主義国の経済の動向に大きく影響されて、株価暴落、輸出企業の倒産が急増している。十月十七日には、広東省で世界最大手の香港系玩具メーカーの工場が閉鎖され、七千人の労働者が突然解雇された。外資を積極的に導入して急速に工業化を進めてきた広東省を中心に、企業倒産が急増している。

 韓国では急激にウォン安が進み、九七年の通貨危機―IMF危機を超える不況へと進んでいる。

 世界金融恐慌が深刻化する中で、ブッシュ政権は十一月十四、十五両日、帝国主義各国とロシア、中国、インド、ブラジル、韓国など新興国、合わせて二十カ国首脳による金融サミット(G20)を開催した。

 G20首脳は、事態を現代資本主義の危機として捉え、「世界経済の成長を回復し、世界の金融システムに必要な改革を達成するために協働する」「緊急かつ例外的な措置の努力を継続する」ことを確認した。そして、この危機に対処する国際機関として国際通貨基金(IMF)の役割を再確認した。IMFによる監督機能の強化を確認するとともに、その資金基盤の強化をも確認した。さらに、「ブレトンウッズ体制の包括的改革」が中期的行動計画の中に記された。

 英帝ブラウンと仏帝サルコジは、G20に先んじた欧州連合首脳会議において「EUが中心になった新ブレトンウッズ体制」について議論した。サルコジはG20直前に「ドルはもはや唯一の基軸通貨と言い張ることはできない」と主張した。これは、現状の擬制的ドル基軸体制を欧州各国帝の側から批判したものだが、そもそも、金=ドル兌換を軸にしたブレトンウッズ体制は七一年に瓦解しているし、基軸通貨というのは「言い張る」ことで成り立っているのではない。しかし、G20では、ドルに代わる新たな基軸通貨の論議が深められた訳ではない。そんな余裕などない事態に直面しているからだが、本質的には、米帝が、擬制的基軸通貨国であるがゆえに、義務を負わずに経常赤字を拡大することができた特殊な立場を手放す気がないからだ。平和的な国際会議で通貨体制の移行が確認できる訳ではない。

 一方では、日帝と中国は、経済危機の中でドル基軸体制を維持することを確認しあっている。

 かつて、九七年のアジア通貨危機に際しては、宮沢がこれを奇貨と捉えてアジア通貨基金(AMF)構想を打ち出した。これは即座に米帝に潰されたが、宮沢はチェンマイ・イニシアチブという形でアジア通貨圏構想の手がかりを残した。麻生には、独自の通貨圏構想をもって米帝に対抗するような発想など全くなく、「IMFに十兆円の資金融通」という手土産を持ってドル基軸体制への「忠誠」を示しただけだった。

 また、現在の金融恐慌の発端となった投機資本に対する監視・規制の強化ということが事前には論じられていたが、結論としての「首脳宣言」においては、「経済成長を阻害」を理由として「過剰規制の回避」が記されている。「自由市場原則」「保護主義を拒否」を強く確認した。この危機の中にあっても帝国主義ブルジョアジーは、新自由主義グローバリゼーションにしがみついているのだ。



 ●軍事的覇権の世界規模での再編


 危機の時代ゆえの、これを戦争で突破しようとする帝国主義の動きをしっかりと見据え、これと対決する反戦闘争に立ち上がっていくことが問われる。

 金融恐慌から世界規模での大不況に突入しつつある情勢の中、昨年十一月四日の米大統領選で民主党バラク・フセイン・オバマ・ジュニアが当選した。本年一月二十日の大統領就任で民主党に政権が移行するが、オバマは大統領選翌日の十一月五日には政権移行委員会を発足させ、六日には大統領主席補佐官にエマニュエル下院議員を任命し、政権人事の準備に入った。十一月二十四日には、財務長官にガイトナー・ニューヨーク連銀総裁、国家経済会議議長にサマーズ元財務長官などを起用することを発表した。新政権発足二カ月前の段階で、他の閣僚に先駆けて新政権の経済チームを決定し発表したのは、オバマ新大統領が経済危機の深刻さを捉え、新政権の緊急かつ最大の課題を経済対策と捉えたからだ。

 ブッシュ政権は「対テロ」戦争を掲げてアフガニスタン戦争、イラク戦争に突入し、かつこの戦争を終結させることもできぬまま、戦争を泥沼化させてきた。一方では、ITバブル崩壊以降の急激な低金利政策によって誘導した住宅ブームによって、新たな経済バブルを作り出した。しかし、不動産投機の過熱の一方で、下層労働者はローン地獄の中に突き落とされてきた。第二期ブッシュ政権においては、この新自由主義政策の破綻が明確になり、〇七年にサブプライム・ローン問題が表面化して以降、「金融工学」が産み出した巨大な金融バブルの崩壊が始まった。

 〇八年秋以降の急激な崩落の中で、米国民は「変革」を掲げたオバマを選択した。

 経済対策を最大の課題と捉えるオバマは、米帝ブルジョアジーの利害として、その金融システムを維持し、機軸産業である自動車産業を堅持するという課題に直面している。同時に大統領選過程で「中流層の再生」を掲げ、労組に対しては雇用確保を明示してきた。恐慌が深化する只中で、銀行や自動車産業を国家が救済し、かつ、雇用、医療保険などを向上させていくという困難な課題に直面するオバマ政権は、国内政策に大きな比重をさくことになるだろう。

 オバマはイラク戦争を終結させ、アフガニスタンへ増派して「対テロ」戦争を継続することを主張してきた。

 しかし、第二期ブッシュ政権の下、イラクでは何が起こっているか。イラク駐留米軍は「アルカイダ関連組織への攻撃」という理由で、シリアへの越境攻撃を行っている。イラク撤退どころか、戦域を拡大する米軍に対して、イラク、シリアなど中東諸国からの批判は急激に強まっている。イラク・マリキ政権は〇九年以降の米軍駐留に関して地位協定を決定した。当初、米側が作成した協定案をマリキ政権は拒否。十一年末までの米軍撤収の明記、米兵が任務外で犯した重大犯罪に対するイラク側の訴追権、米軍がイラク周辺国攻撃の軍事拠点としてイラクを使用しないことなどを、マリキ政権が要求して修正案が策定され、マリキ政権はこの修正案を承認した。イラク国民議会は、より強い反対もあったが、十一月二十七日に修正案を可決した。

 一方、アフガニスタンにおいても、駐留米軍が隣国のパキスタンを越境攻撃している。米帝のアフガニスタン侵略反革命戦争において、出撃の拠点となった親米パキスタンだが、この越境攻撃には抗議している。十一月二十六日、インド・ムンバイで爆弾などによる同時多発無差別攻撃が起こった。インド・シン首相は、この犯人を「パキスタン国内の組織」と決めつけて批判。パキスタン・ザルダリ大統領はこれを反批判。米帝はインド・パキスタン間の緊張が高まることを警戒し、ライス米国務長官を仲裁のため急遽インド、パキスタン両国に派遣した。

 オバマが描くような、イラク撤退からアフガニスタン戦争集中の戦略が簡単に実現する訳にはいかない。イラクからの撤退を強く主張してきたオバマだが、この任務を直接遂行する国防長官に、共和党ブッシュ政権の国防長官ゲーツを留任させることを決めた。撤退させるためにはイラク戦争の現状を把握している現長官の指揮を継続させることが必要というものだ。しかし、これは第二期ブッシュ政権の「対テロ」戦争を継続・拡大していく危険をはらんでいる。

 オバマは、ブッシュのような極端な単独行動主義はとらないだろう。しかし、ブッシュ政権の下で進められてきた世界規模の米軍再編を、「対テロ」戦争継続と一体に引き継ごうとしている。このまま、引き継いでしまえば、朝鮮半島、沖縄を軸にした東アジアに対する軍事戦略も変更させないだろう。この政権交替期にこそ、人民の側から米軍再編反対―軍事基地撤去のたたかいを大きく突きつけていくことが問われている。

 米帝が誇った金融の力が大きく崩れだしたことと対をなすように、国際政治における米帝の力は大きく減退している。昨年のグルジア戦争は、ブッシュ政権下で起こったこととはいえ、その事態を鮮明にしている。

 昨〇八年八月八日、「南オセチアの武装集団の攻撃」を理由に、グルジアは南オセチア自治州に攻撃を始めた。これに対して、ロシアはグルジアに侵攻し、ロシア―グルジア間の武力衝突へと発展した。ロシア軍は、南オセチアのみならず、アブハジア自治共和国にも侵攻した。十三日には、EU議長国フランスが仲介して停戦に合意したが、ロシアは八月二十六日には、南オセチアとアブハジアの「独立」を一方的に承認した。

 グルジア大統領サーカシビリが軍事行動に出た裏面には、米副大統領チェイニーや共和党大統領候補マケインがいたと報道されている。しかし、引き起こされたロシア―グルジア戦争を現実に停戦へと進めるべく動いたのは、サルコジであり、メルケルであった。ブッシュもライスも何もできなかった。もちろん、サーカシビリが思い込んだように米帝が軍事介入することなどできなかったし、「和平」に関与することもなかった。
 すでに、アフガニスタン戦争、イラク戦争の失陥は明らかである。九一年の第一次イラク戦争のように、戦争に全世界を巻き込むことで新秩序を構築するなどということは、もはや米帝にはできなくなっている。自ら引き起こした戦争を実質的に終結させ、停戦させることさえ困難な事態であることを露呈している。
 米帝が直面しているのは経済危機だけではない。七五年、ベトナム戦争の敗北と七四―七五年恐慌の中で、戦後世界を編成してきた中心国としての力を失墜したように、米帝は経済軍事政治全般にわたる危機に直面している。しかし、この経済危機は七五年よりも深い。そして、冷戦下でないがゆえに軍事同盟は危機感を共有してはいない。米帝の本当の失墜がこれから始まるだろう。



 ●反帝(反米)闘争の前進

 ▼中南米、社会主義政権の拡大と脱新自由主義の枠組み



 中南米は、米帝が北米自由貿易地域(NAFTA)を米州全体に拡張する米州自由貿易地域構想(FTAA)の対象地域である。かつて、海兵隊と軍事顧問団、軍事援助によって実質的に植民地化していた地域を、新自由主義政策の布教によって再度、米帝の権益圏として囲い込もうとしてきたのだ。

 米帝はさまざまな手法をもって、中南米諸国に新自由主義政策を押しつけてきた。チリのような軍事独裁政権に対しては、そのクーデターを後押しして、経済政策は全面的に新自由主義政策を採用させた。あるいは、アルゼンチンやメキシコのような国際収支赤字国にIMF・世界銀行が融資を行ってコンディショナリティを課し、当該国の金融・資本市場の自由化を進めさせた。これを根拠にして、米帝資本は中南米支配を拡大してきたのだ。
 しかし、キューバ、ベネズエラをはじめとする中南米の反米闘争の発展と結合は、この米帝の侵略の意図を打ち砕きつつある。

 二〇〇一年にベネズエラ大統領チャベスが提起し、〇四年十二月にキューバとベネズエラとの間で締結された米州ボリバール代替構想(ALBA)は、ボリビア、ニカラグアも参加して、米帝の支配と対抗した地域統合を進めている。エネルギー問題をはじめとする多面的な経済協力を進め、域外の外国資本への依存を下げ、米帝の多国籍企業の侵出に対抗することを明確に掲げている。〇七年には、ALBAをさらに具体化するものとして、四カ国の間でALBA銀行の設立が合意されている。ALBA銀行は、中南米諸国をIMF・世銀の融資とコンディショナリティから解放することを意図している。

 一方、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、エクアドル、ボリビア、ベネズエラの六カ国は〇七年十一月、南米銀行を設立した。これは、IMF、世銀、米州開発銀行の融資から、中南米諸国が一定の自立をはかろうとするものである。

 キューバ、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグアなど反米社会主義政権の発展と結合が、NAFTA―FTAAという米帝の中南米支配の経済基盤を大きく掘り崩す情勢を切り拓いてきていると言えるだろう。



 ▼帝国主義足下における新自由主義政策との闘い


 米国発の金融恐慌は欧州、アジアをはじめ全世界に伝播した。各国政府は公的資金注入をはじめあるゆる手段をもって救済に入っている。新自由主義政策の下で、帝国主義各国は行政機関の民営化を進め、福祉・教育・失業対策・年金などへの財政支出を削減してきた。一方で、金融の規制緩和を進め、金融機関が投機へとのめり込み、世界規模での投機によって、原油などの資源や食糧など産業や民生に直結する物価の急騰が引き起こされてきた。結局は、投資銀行やヘッジファンドなどの収益を拡大するために、労働者人民の生活が破壊されてきたのだ。労働者階級人民にとって生活破壊の元凶といい得る金融機関の破綻を、国家財政をもって救済することをどうして許すことができようか。

 昨年九月、ブッシュ政権が金融救済法を緊急にまとめ、議会で押し通そうとしたとき、米国の労働者階級人民はニューヨーク証券取引所を取り囲んで公的資金注入に反対して抗議集会を続けた。人々は「ウォール街を救済するな!」と叫んだ。十月のG7、十一月のG20を通して、帝国主義をはじめとして資本主義化が進む諸国・地域の政府総体が公的資金注入をはじめとする金融機関救済を確認する事態の中で、労働者階級人民の抗議行動が大きく広がっている。

 フランスでは十月七日、「まともな労働を求める」抗議デモが各地でたたかわれ、フランス全土で十万人がデモに参加した。フランス労働者人民は、大銀行を税金で救済することを批判し、雇用・賃金、そして住宅・医療・公共サービスを要求した。十一月五日からは鉄道労働者がストライキに立ち上がり、十三日には大規模なデモをたたかっている。

 イタリアでは十月十七日、政府の改革に反対するゼネストがたたかわれた。教育改悪、医療改悪に反対し、低賃金と短期雇用契約に抗議して、教育労働者をはじめとする労働組合が立ち上がった。イタリア労働者階級は十月三十日にも再び、ゼネストに立ち上がっている。

 ギリシャでは十月二十一日、民営化と年金制度改悪に反対し、銀行救済の公的資金支出に反対するゼネストがたたかわれ、全土で数十万の労働者が参加した。

 まさに金融恐慌の中で、帝国主義国家権力の階級的本性が鮮明になっている。労働者人民への非正規雇用化をはじめとする貧困化の攻撃は、資本の危機の只中でより凄まじいものになっている。その一方で労働者人民から絞り上げた税金を金融機関救済に注入し、さらに救済のために債務を増やし、未来の増税の根拠までつくりだしているのだ。



 ▼アジアにおける反政府闘争、反帝闘争


 韓国では昨年二月に発足した李明博政権が、米帝追随、大企業優遇の経済政策をとった。輸出主導の経済成長を進めようとウォン安誘導を行い、一方では大運河構想を進めようとした。しかし、米ブッシュ政権の言いなりにBSEの疑いのある米国産牛肉輸入を全面解除したことをきっかけにして、支持率は急落した。李政権批判のローソク・デモは韓国全土で大規模に発展し、李政権打倒闘争へと発展した。これに対して、李明博は戦闘警察による暴力、大量逮捕の大弾圧を発動してきた。

 九月に米国で金融恐慌が勃発すると、極端な輸出主導政策の失敗が露呈し、急激なウォン安に陥った。韓国のブルジョアジーは一段のリストラを進め、李明博政権は民営化と富裕層優遇政策、さらにはファシズム的弾圧を強めて階級闘争の破壊を狙っている。

 韓国労働者階級は、経済危機と大弾圧の激化に抗して、争議、ストライキに立ち上がっている。とりわけ、矛盾が集中している非正規職労働者がこのたたかいの先頭に立っている。

 フィリピン・アロヨ政権は、労働運動、農民運動、あるいは反帝闘争に対して政治的殺害、強制失踪、逮捕、拷問、長期投獄、脅迫をもって弾圧を激化している。九百名以上が殺害され、二百名以上が行方不明になっている。フィリピン人民は、アロヨ政権の残虐な攻撃にひるむことなく立ち上がっている。

 トヨタ、ヤザキなど日系企業などの労組指導者に対しても暗殺攻撃、逮捕弾圧がなされている。日帝の機軸産業である自動車産業のグローバル展開が、このような弾圧と結びついてなされているのだということをしっかりと捉え、殺害―弾圧粉砕にともに立ち上がらなくてはならない。

 金融恐慌、企業倒産がアジア各国におよぶ中で、労働争議も多発している。輸出企業の倒産があいつぐ中国では、突然解雇された労働者の抗議行動、抗議デモが多発している。

 金融恐慌の下で延命しようとする資本は、今までとは段階を画した残忍な生活破壊―貧困化攻撃をかけてくる。帝国主義足下においても、植民地・従属国においても、資本の横暴と国家による資本救済を弾劾する労働者階級人民の総決起が始まっている。世界恐慌下においてこそ、たたかう労働者階級人民の国際共同行動を大きく発展させていかなくてはならない。



 ●世界金融恐慌は何を意味しどう進展するのか


 現代帝国主義の下で始まった金融恐慌は何を意味しているのか、どう展開していくのか。

 結末が具体的にどうなるのか予言することはできない。しかし、本質的には、この金融恐慌の深化を押し止めることはできないだろう。本当にあらゆる手段を尽くして国家が金融機関救済を進めていくなら、実質的な国有銀行が資本主義を運営していくということになってしまうだろう。

 重要なことは、この事態が何を意味しているのかをはっきりと捉え抜いていくことだ。

 第一には、九月のリーマン・ブラザーズ破綻を画期として起こっていることは、現代帝国主義の金融恐慌だということだ。

 三月のベア・スターンズの経営破綻と九月リーマン破綻以降の事態の中で、五つの米投資銀行が破綻するか、銀行に吸収されるかして消滅してしまった。

 事は、サブプライム・ローン不履行の損失というレベルではない。サブプライム・ローンは証券化された上、リスクの低い証券と混合された金融派生商品(デリバティブ)の債務担保証券(CDO)として発行され、全世界にばらまかれてしまった。かつ、このCDOのなどの金融派生商品のリスクを保証する「保険」としてクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が発明され、投資銀行はこのCDSの売買でも高収益を上げてきた。リスクが高くなると保険料が上がる。つまり、リスクが低く料金が低いときに契約したCDSを不履行の危険が高まる時に売れば儲かるという金融商品なのだ。このCDSで高収益を上げていたのがAIGだった。このような詐欺と高利貸を積み重ねて高収益を上げてきた投資銀行が一挙に破綻したのだ。

 しかし、米帝国主義を中心にしたグローバリゼーションとは何だったのかということをもう一度捉え直してみるならば、これこそ、現代帝国主義の資本循環の破綻の始まりであるといえるだろう。

 資本主義はそもそもイギリスで起こったときから世界市場を前提として展開してきた。自由主義段階のイギリス資本主義は、植民地や後進資本主義国との貿易の上に成立していた。また、帝国主義段階においては、世界規模での帝国主義と植民地・従属国との関係は必然化し、これが世界戦争の根拠になった。そして、現代帝国主義は、資本輸出を全面化し、生産拠点を他帝や植民地・従属国に移転しながら、多国籍企業化を展開してきた。しかし、近年、とくに九〇年代以降、没落しつつある中心国―米帝がなしてきたことは、金融と軍事力を全面的に発動してその世界覇権を復興しようとするものだった。

 米帝は擬制的基軸通貨国の特権をもって、慢性的な経常収支赤字を続けてきた。それだけなら、ドルの下落へと進んでいくことになる。米帝は金融自由化を進め、全世界から過剰資金を集め、それを世界中に投資して高い収益を出し続けてきた。実体経済の利潤も、投機による収益も、もうかれば同じだという論理だ。高い収益を上げるためには、原油などの商品市場も、為替も、すべてを投機の対象にした。巨額の資金を動かす米帝金融機関が世界の資本主義を支配しているかのように見える。そして、米帝は、中南米はもとより、アジア諸国、東欧圏や中国に対しても、金融自由化を要求し、新興国投資と称して投機の場を拡大してきた。IMF、世界銀行、WTOは、この米国が主導する金融自由化を国際基準の制度として全世界に強制していくことを、ブレトンウッズ体制崩壊以降の任務としてきた。

 これは、米帝だけの身勝手な行動ではない。米帝に先んじて金融自由化を進めてきた英帝など欧州各国帝や日帝も金融投機を経済活動の領域として拡大してきた。それだけではない。この米帝資本の金融グローバリゼーションを軸にした資金の流れによって、現代資本主義総体の資本の循環が成り立ってきていたのだ。米国は、経常赤字、財政赤字、さらには、家計の赤字を拡大してきた。しかし、全世界から流入する過剰資金によってこの赤字を支え、米国の消費によって、世界貿易は拡大してきた。中国も韓国も、日帝も、米国への輸出を大きな要因として、経済成長を続けてきたのだ。また、新興国投資によって世界各国の工業・商業が急速に発展したことも事実だ。それが、投機の場を拡大することにもなった。そして、黒字国は、米国債を買い続けてきた。

 米帝の金融グローバリゼーションを軸にして世界経済が発展していくという、この現代の帝国循環とでもいうべき資本の流れが、米国投資銀行の破綻において崩れた。CDO、CDSの決済を政府が保証すれば修復できるというレベルの問題ではない。借金国アメリカの金融投機資本主義を軸にした資金循環の根拠が失われたのだ。これこそが、現代的な意味での世界金融恐慌の開始である。

 第二に、金融恐慌へのさまざまな救済策が発動されているが、その規模が巨大であるがゆえに帝国主義が抱え込む矛盾はすさまじいものになるということだ。そして、この矛盾の発露として、改めてドルの大暴落に進むことになるだろう。

 米帝は、銀行、保険会社、さらには、GMやフォードなど機軸産業へも公的資金を投入して救済しようとしている。米国資本主義そのものを国家が丸抱えしていくことになるが、この米国は豊かな貿易黒字国ではない。全世界からの借金で消費を拡大し、巨額の貿易赤字を抱え、かつ、この輸入が日帝や中国をはじめとする世界の輸出を支えてきた。一方では、泥沼のアフガニスタン戦争、イラク戦争によってブッシュ政権は財政赤字を膨張させてきた。

 七十兆円とも百五十兆円とも言われる財政赤字を上乗せすることになる。今、世界規模で決済資金が枯渇する状況下、国際通貨ドルの需要は高く、一時的にドル高は続いている。しかし、これまでの比ではない巨額の財政赤字を抱えることになる。いずれ、米国債の下落、ドルの暴落へと突き進むことは必然だ。G7、そして、中国やロシアが、どこまで協調してドルを防衛し続けるだろうか。それが不可能になったときには、七五年以来、サミット―G7によって辛うじて維持されてきた擬制的基軸通貨ドルを世界が失うことになる。

 ユーロの通用する地域が拡大したとはいえ、九月以来の金融危機に際して、ユーロが急激に下落したことを見るならば、即座にユーロが基軸通貨になるという準備がなされているとは言えない。ただし、一時的なドル高の反動としてユーロは下落しているが、実はユーロ圏周辺の諸国の方が激しい通貨下落に陥っている。当然のことだが、自国通貨下落によって混乱する北欧諸国や中東欧諸国は、ユーロ圏に参入すれば、このような危機を緩和できるであろうと総括し、改めてユーロ圏が拡大する動きが始まっていることも事実だ。

 基軸通貨を失った世界、それは統一市場としての現代資本主義世界体制の瓦解を意味する。サルコジが主張する基軸通貨の移行は、むしろ、米国経済総体が経済恐慌に陥り、ドルが国際通貨たり得ない事態が引き起こされて初めて進むことになる。巨大銀行の一つ二つが破綻するのとは訳が違う危機に、現代資本主義が直面することになる。この金融恐慌が貿易・投資の一大混乱をもたらすのか。あるいは、ブロック化に進むのか。通貨だけではない覇権を争って戦争へと進むのか。戦後の現代帝国主義が経験したことのない時代へと突入することになるだろう。

 第三に、これは七四―七五年恐慌以来、米帝・英帝を先頭にした帝国主義が進めてきた新自由主義そのものが原理的に破綻したことを意味する。

 市場万能主義、自由放任、小さな政府を掲げて新自由主義を主張してきた輩は、市場の暴走が金融機関も実体経済も吹き飛ばしてしまう事態の前に、何もできず、何も言えなくなっている。

 そもそも、八〇年代以降の現実の政策に新自由主義が全面的に取り込まれていったのは、資本家階級の側が、労働者階級から、利潤と権利を奪い返すためだった。初めから本質的に社会全体を豊かにするものではなかったことが、恐慌の爆発の中ではっきりしたというべきだろう。
 新自由主義政策が資本家階級の利害の貫徹としてあるがゆえに、現実の政治における階級支配政策としては、「自由」どころか新保守主義との折衷としてあったのだ。サッチャー、レーガン、中曽根がやったことは、いずれも戦闘的階級的労働運動を叩き潰すことだった。新自由主義の「自由」とは、共産主義、社会主義、あるいはケインズ主義に対抗して「自由」を主張するだけであり、そもそも、国家権力との関係を断ち切って個人の権利を全面的に解放するような「自由」を原理としているのではない。資本の利潤を最大限に増大する方便としての「自由」であって、これまでは、その目的のために国家による規制がじゃまだっただけに過ぎない。

 市場万能主義なる論議が、現在の事態において一挙に潰えたことは確かだ。そして、新自由主義なる似非経済学が、徹底的に資本家階級の側の論理なのだということが、誰の目にも明らかになった。帝国主義の国家権力はブルジョアジーの利害に立つことを鮮明にして、死に体になった巨大金融機関の救済に入っている。恐慌下の全世界でまきおこる労働者階級の抗議行動、ストライキは新自由主義の本質に対する憤激に満ちている。

 第四は、国家が乗り出したからといって、この金融恐慌の進展を阻止することは困難であろうということだ。

 FRBをはじめとする各国中央銀行は市場に資金を流し続けているが、銀行間取引は停滞したままで機能していない。信用収縮が収まらない限り、銀行も、さらには実体経済を担う企業も、債務不履行の危機に直面した状態が続く。

 新自由主義の破綻が明らかになったからといって、世界は再びケインズ主義政策を採用して危機を乗り切り、改めて福祉国家型帝国主義の道を歩む、などという社民主義的な平和な未来はありえない、ということをはっきりと見なければならない。

 七四―七五年恐慌を経て、ケインズ主義政策が有効ではないとされ、八〇年代以降、米・英を中心に新自由主義政策へと進んできたのは、決してレーガンやサッチャーの自由な選択としてあったのではない。

 戦後、米帝の圧倒的な生産力と金保有、核兵器体系と全世界に兵力を展開する強大な軍事力を土台にして、ブレトンウッズ体制は成立していた。そして、この金―ドル本位制の下で、帝国主義各国は復興をなし、国家独占資本主義的政策を継続しえた。ソ連・東欧圏と対抗しながら、国内においては労働者階級を社会政策によって懐柔し、「福祉国家」が資本主義の下で可能であるかのように見せた。しかし、これは、二十年間にわたって経済成長を続ける中でのみ可能であっただけであり、西独帝、日帝の復興、生産力回復によって、米帝の一超大国としての力は掘り崩されていったのだ。

 そもそもケインズ主義政策は、大恐慌後のニューディール政策としても有効ではなかったし、戦後も、この米帝の力の下でのブレトンウッズ体制においてのみ「有効」に見えただけだ。だから、七一年から七五年の過程でブレトンウッズ体制が瓦解し、七四―七五年恐慌を経験すると、ケインズ主義の幻想は砕かれてしまった。新自由主義政策は、資本がその利害を率直に貫徹する原理として、八〇年代以降、米帝、英帝の政策の軸になってきた。しかし、それ以外に選択の余地がなかったのだ。

 歴史的必然として突き進んできた新自由主義。資本が利潤を拡張させるために、規制を取り払って労働者階級から徹底的に搾取する。福祉・年金・教育・医療など帝国主義の社会政策に必要な財政を極限まで削減し、法人税減税あるいは富裕層減税を進める。そして、二九年大恐慌の歴史的教訓としてあった金融上の規制を取り払って、金融の拡大が「経済発展」だと称えてきた。結局は、搾取の強度を増し、その上前をはねる詐欺技術を金融工学として奨励してきたにすぎない。

 新自由主義を掲げた資本主義とは、こんな社会制度へと転換しなければ「経済成長」を続けられない状態だということだ。国家が救済には入っているが、経済政策総体においてはケインズ主義にもどるなどというものではない。G20の「首脳宣言」はわざわざ規制強化を批判し「自由市場原則」を掲げているではないか。

 資本主義は限りない成長を続けてきたのではない。危機と対立を繰り返しながら、労働者階級人民から搾取し収奪するシステムを巧妙に作り重ねてきたにすぎない。

 現代帝国主義がこれまでの政策の延長で、この金融恐慌をのりきることはできない。危機はますます深まる。そして激烈な階級支配の危機に直面する。

 新自由主義かケインズ主義かという議論が、われわれを救済するのではない。全世界で立ち上がる労働者階級人民の憤激は、未来を資本家階級に託すのではなく、自らの力で切り拓くのだという意志に満ちあふれている。

 われわれは今、恐慌の只中でこそ、絶望の資本主義の命脈を断ち切って、プロレタリアートによる独裁、社会主義、共産主義への道に踏み出すことを、すべての労働者階級人民に提起する。

 残虐な本性をあらわにした帝国主義を打倒しよう!




 ■第2章―国内情勢

 二大保守政党に収斂されることなく

 プロレタリア階級闘争を前進させよう



 ●人民に完全に見放された麻生―自公政権


 麻生政権は、もはや風前の灯火である。小泉以来の急進的な新自由主義・構造改革は完全に破綻した。構造改革は、劇的に貧富の格差を拡大した。階級対立を拡大し、労働者階級、被抑圧人民・被差別大衆の苦悩と怒りは深まり拡大した。そのことによって、小泉政権を引き継いだ安倍、福田両政権は次々と崩壊した。麻生政権の運命も同様である。自公政権は、もはや、構造改革によって生み出された労働者階級人民の怒りをまえに、これを放置しては一歩も前に進めない。軌を一にして、世界資本主義は、金融恐慌へと突入した。支配階級は動揺している。麻生は、景気対策を口実に、解散―総選挙に打って出ることもできず、ずるずると政権の延命を策している。だが、発足後、二カ月半で、麻生政権の支持率は30%を大きく下回った。一部に存在したかに見えた麻生への人気に期待して、総選挙に打って出ようとした自公政権の淡い幻想は完全に消え去った。もはや、麻生政権も人民に完全に見放されている。早晩、衆院解散―総選挙は不可避である。一方、民主党は、参議院選挙での勝利に続いて、衆議院選挙での勝利と政権獲得を狙っている。支配階級は、政権交代可能な二大保守政党のもとに人民の不満を糾合し、政治支配・階級支配の安定化を狙っている。労働者階級は、麻生政権を打倒するとともに、民主党の果たす欺瞞的役割を暴露し、二大保守政党に収斂されることのないプロレタリア階級闘争を前進させることこそ急務である。



 ●米帝発の世界金融恐慌と日帝への危機の連鎖


 米帝発の世界金融恐慌は、世界資本主義の根幹を揺るがす事態へと深化している。欧州や米国で、金融機関は次々と破綻した。急激な信用収縮が引き起こされ、株は全世界で暴落し、世界経済は一挙に同時不況へと突入しつつある。これは、ソ連崩壊以降、米帝を先頭に全世界へと拡大した新自由主義グローバリゼーションの帰結である。同時に、米帝の一極支配の歴史的終焉の序曲であり幕開けである。現状では、いまだドル以外に基軸通貨を持ちえないなかで、帝国主義諸国はそれぞれの勢力圏化を強めつつ、結束してこの歴史的に終焉しつつある世界支配体制の防衛に汲々としている。だが、世界は確実に、多極化、不安定化へと突入した。

 危機の連鎖は、日帝を直撃した。株は暴落し、銀行や証券株も大幅に下落した。みずほは大幅な収益減を公表した。トヨタは一兆円の収益減を公表した。三菱自動車は生産縮小と一〇〇〇名の派遣労働者削減を打ち出した。主要な自動車産業は、一斉に、非正規雇用労働者の首切りを開始した。これらはまだ序章である。景気後退は決定づけられた。〇二年から始った好景気は終焉し、日本経済は一挙に不況へと突入した。だが、そもそも戦後最長とうたわれたこの好景気は、多国籍企業化による外需主導・自動車産業などの輸出産業主導の好景気に他ならなかった。労働者階級人民にとっては何の実感もないばかりか、生活苦が深まるだけでしかなかった。金融危機突入とともに、まず、ユーロなどが売られ急激な円高が襲った。そのことが、好景気を支えた輸出産業への打撃に拍車をかけた。急激な経済の収縮が始まった。麻生政権は、銀行保有の株式の買い上げや銀行への公的資金投入の強化を打ち出した。



 ●生活破壊攻撃に抗し、反貧困闘争に決起する労働者人民


 他方で、またもや、労働者階級人民に一切の犠牲を転化し事態を乗り切っていこうとするブルジョアジーの攻勢がすでに始まりつつある。銀行による中小零細企業への貸し渋り・貸しはがしによる倒産が増える。好景気を謳歌した自動車産業での非正規雇用労働者の削減はすでに大規模に開始されだした。新卒採用は抑制され、すでに内定取り消しなども始まっている。新たな就職氷河期が始まりつつある。労働者階級人民の生活苦はますます深まり拡大していこうとしている。

小泉以来の新自由主義・構造改革は、階級対立の拡大・深まり、貧富の格差を拡大させてきた。労働者階級人民は貧困を強制され、諸権利を剥奪された。あらゆる領域で規制緩和が進められた。郵政民営化が強行され、「既得権益の擁護者」として自治体労働者や部落解放同盟は標的にされた。労働市場の規制緩和と社会保障制度の解体によって、労働者階級人民は強搾取を強制され、生活破壊にさらされた。労働者派遣は自由化され、派遣労働者は三百二十万人を超えた。正規雇用労働者は非正規雇用労働者に置き換えられ、非正規雇用労働者はこの十年で、五百七十万人増の千七百二十六万人となった。非正規雇用労働者は、三人に一人、若年者では二人に一人となった。年収二百万円以下の人は千六百六十二万人。民間企業で働く労働者の三割に達する。生活保護世帯は百十万世帯を超えた。広範なワーキングプアが生み出された。世代を越えて貧困が固定化されつつある。農民は切り捨てられ、地方も切り捨てられた。すべては、一切の規制を取っ払った資本の利潤追求の草刈り場となった。後期高齢者医療制度、障害者自立支援法、年金崩壊、社会保障費の毎年二千二百億円の削減……、人民の生活はとことん破壊された。こうしたすべてが自己責任論というイデオロギー攻撃で正当化されてきたのだ。だが、労働者階級人民の生活苦と怒りは深まり拡大した。反貧困運動が起こり、非正規雇用労働者を主体とした労働運動が拡大した。石油高騰に対する漁民のストライキも登場した。政府への不満はあらゆる階級階層で増大した。また、米軍再編など新たな日米軍事同盟の強化のために新基地建設や基地拡張が各地で進められ、沖縄や岩国をはじめ当該自治体住民の政府への不満も増大した。急進的な新自由主義・構造改革は、人民の広範な怒りを引き起こし、これがここ数年の情勢を規定した。安倍、福田と続いた自公政権の崩壊はその結果であった。いまや、世界金融恐慌への突入のなかで、ますます大規模に、人民の生活破壊は推し進められようとしている。人民の怒りは、ますます深く拡大する。



 ●構造改革路線の破綻、人民懐柔の失敗


 こうした事態を前に、支配階級は、動揺している。現在の危機を突破するために、日帝は、まず第一に、小泉以来の破産した急進的な新自由主義・構造改革を見直し、人民の不満を懐柔しながら構造改革のテンポを緩めることで事態を打開しようとしている。

 自民党内部には、この間、二つの傾向が形成されてきた。一つは、急進的な構造改革を、さまざまな矛盾と破綻にもかかわらず、引き続き強行しようとする部分である。小池百合子や中川秀直がその表現者である。だが、小泉以来の急進的な構造改革を引き続き強行していこうとする部分は、一旦は後景に退いた。もう一つは、人民の不満を懐柔しながら構造改革のテンポを緩め事態を乗り切っていこうとする部分であり、これが自民党内の現在の主流である。与謝野や麻生がその代表である。「歳出歳入一体改革」を主張し、人民の不満をなだめるためには、まず景気対策であるとする。すなわち、いわゆる、ばらまき政治である。民主党への対抗上も、麻生政権は、高速道路の休日料金一律千円化、地方交付金の増大、後期高齢者医療制度の見直しなどを打ち出している。定額給付金の支給はこうした政治の典型に他ならない。そして、同時に、消費税大増税で歳入をまかなおうと言うのだ。麻生は、三年後の消費税増税を宣言した。

 だが、景気対策というばらまき政治にもはや効力はない。定額給付金も、所得制限や実行方法をめぐる地方自治体へのまる投げという無責任さもさることながら、こうした一時しのぎの手法、人民をわずかばかりの札束で懐柔しようというあからさまな愚民政治は、すでに多くの人々に見透かされてしまっている。麻生は愚劣きわまる。秋葉好きや漫画好きをことさら演出し、人気をとろうなどということ自体、噴飯ものだ。「部落出身者は首相にはなれない」というかつての部落差別発言は絶対に許すことができない。首相就任以降の医者非常識論、なにもしない高齢者の医療費をなんで払うんだ(要旨)などの暴言……麻生人気はもはや跡形もなく消え失せた。構造改革による諸矛盾の激化は、小手先の手法で何とかなるものではない。新自由主義・構造改革路線そのものを基本路線とし、労働市場と社会保障領域の規制緩和を進めてきた今日では、階級対立の拡大による労働者階級人民の怒りと抵抗が強まることは不可避なのだ。しかも、世界金融恐慌への突入のなかで、ブルジョアジーは、また新たに労働者階級人民にそのツケを押しつけながら乗り切っていこうと、新たな攻勢を開始している。独占資本の新たな再編成が進み、多国籍企業化が一層促進されていこうとしている。他方で、内需拡大などと小手先の手法で人民の不満の解消をもくろみ、構造改革のテンポを緩めてみても、階級闘争の激化は不可避なのだ。



 ●派兵恒久法―改憲攻撃に突き進む日帝


 第二に、派兵体制を強化し、派兵恒久法制定・改憲攻撃を推し進め、戦争国家化を一段と進めていくことにある。

 米帝の「対テロ」戦争と結合して、日帝は、特措法方式で自衛隊派兵を飛躍的に強化してきた。だが、日帝は、その都度、立法化を経なければならず、機敏に対応できない特措法方式による派兵の限界を痛感してきた。日帝は、派兵恒久法の制定によって、これを突破しようと望んできた。この点では、自民党も民主党も完全に一致している。同時に、派兵恒久法制定は、九条改悪の決定的な先取り攻撃である。派兵恒久法の制定とこれによる派兵の実現は、九条を明文改憲するぎりぎりにまで近づく。改憲スケジュールを提示した明文改憲攻撃は、安倍のもとで一旦は頓挫した。しかし、改憲はブルジョアジーの総意である。決して後戻りすることはない。現に、新憲法制定議員同盟が、自民党、民主党、公明党、国民新党の名だたる議員によって新たな布陣を形成し、改憲にむけた活動を開始している。

 オバマになっても、米帝が世界中で推進してきた戦争政策が根本的に変化するわけがない。せいぜいブッシュが進めた単独行動主義を改め、帝国主義諸国との共同の軍事行動を重視することに力点が移るだけである。オバマのイラク撤兵をアフガニスタンへの増派に振り向けるという主張は、小沢民主党と完全に一致している。小沢は、アフガンへの地上戦闘部隊の派兵こそ重要と主張してきたのである。これは、当初、自民党さえも尻込みしたが、今日では民主と自民は、ほぼ歩調をそろえつつある。

 米帝発の金融恐慌―世界同時不況への突入、米帝の圧倒的な一極支配がぐらつき、米帝の歴史的後退の始まりと世界の不安定化・多極化へと情勢が突入していくなかで、日帝の派兵・改憲攻撃は、ブルジョアジーの死活をかけたものとして一層激化する。不安定化し多極化する世界のなかで、日帝には、ますます自己の帝国主義権益を拡大し、それを武力を使ってでも防衛していくことが死活的となるからだ。日帝は、この間、米軍再編―日米軍事同盟を強化しながら、これと連動して派兵策動を強化してきた。自民党であれ民主党であれ、日米軍事同盟を堅持するという立場は変わらない。一方で、米軍再編のもとで策動されてきた新基地建設・基地拡張とたたかう沖縄、岩国、神奈川などの住民のたたかいは、日米両政府の前にたちはだかってきた。こうした各地でのたたかいを力でねじ伏せ、日米軍事同盟の強化、新基地建設・基地拡張、派兵・改憲攻撃を強めていこうとする動きは、本年を通して一層強まろうとしている。



 ●階級対立、人民の抵抗拡大に対応する治安弾圧の強化


 第三に、階級対立の拡大、人民の抵抗の拡大に対応する政治支配体制を強化し、治安弾圧の強化を新たに推し進めていくことにある。

 新自由主義・構造改革路線によって、日本社会はある意味で急激に変化した。階級対立はあからさまとなり、貧富の拡大、無権利で強搾取にさらされる労働者階級の内部に広範なワーキングプアが形成された。一億総中流などという言葉は完全に死に絶えた。人民の不満と抵抗は増大した。こうした状況に対応する政治支配体制の一つが、二大保守政党制であった。小選挙区制の導入以来、支配階級は一貫して二大保守政党制の形成を有力な選択枝の一つとしてきた。ブルジョアジーは、政権交代可能な二大保守政党のもとに人民の不満を交互に吸収しあうことで、政治支配・階級支配の安定化を狙っている。解散―総選挙を通して、政党再編などを伴いつつ、政権交代可能な二大保守勢力の形成がより策動されていくだろう。

 また、階級対立の拡大に対応したイデオロギー攻撃も激化していこうとしている。新自由主義・構造改革に伴って、自己責任論が弱肉強食社会を正当化し貧困を正当化するものとして吹き荒れた。既得権益批判が労働組合批判にすり替えられて吹き荒れた。一方、差別排外主義攻撃は、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策と結合して一貫して強化されている。総連弾圧が続いている。教育現場での「日の丸・君が代」攻撃、さらに、本年は、天皇在位二十年式典が予定され、十一月十二日を「国民の記念日」とする休日化法案制定が策動されている。派兵時代の天皇制賛美が治安弾圧と結合して強化されようとしている。同時に、人民のたたかいに対する直接の治安弾圧が、組対法などを使って革命党派のみならず労働組合などへも襲いかかっている。階級対立の拡大、階級闘争の激化に対応した、治安弾圧攻撃が強められていこうとしている。



 ●ブルジョアジーの危機を自公にかわり救済する民主党


 小泉構造改革以来の矛盾の拡大、人民の抵抗の増大、そして、世界金融恐慌への突入、こうしたなかで、危機を深める自公政権は、ずるずると解散―総選挙を引き延ばし、混迷を深めている。では他方、「生活第一」を掲げ、自公政権を批判する民主党はどうか。

 そもそも、民主党は、小泉政権時代に、新自由主義・構造改革を自民党より徹底して推進することを売り物にしてきたのだ。ところが、小泉構造改革に対する人民の不満が拡大するや、一転して、「生活が第一」を標榜し自公政権を批判しだした。そのことによって、自公政権から離反した人民を引きつけ先の参議院選挙で圧勝した。民主党は、ブルジョアジー内部で、さらに連合指導部などの支持や切り捨てられる地方の支持を取りつけ、政権獲得を狙ってきた。民主党は、農家戸別所得補償制度や、子育て支援基金創設で中学卒業までの子一人につき月二万六千円の給付、高速道路料金の完全無料化、中小企業いじめ防止法制定……などを掲げる。だが、民主党は、新自由主義・構造改革路線に反対しているわけではない。結局は、急進的な小泉構造改革を修正し、人民の不満を懐柔しながらそのテンポを緩和しようとする麻生自公政権と同列に位置するにすぎない。先述したように、派兵・改憲路線など、日帝の主要方向をめぐっては、自民党と基本的な対立はまったくない。それどころか、小沢や鳩山などは、自公政権を上回る派兵・改憲論者なのだ。危機が深化すれば、こうしたブルジョア保守党は、いつでも挙国一致体制を作るのだ。現在の民主党の役割は、日帝の危機に直面して、自公政権から離反した人民を自らのもとに糾合し、自公政権にかわって、ブルジョアジーの危機を救済しようとすることにある。ブルジョアジーの一部は、人民の離反を招いた自公政権にかわって、その基本路線において相違のない第二ブルジョア保守党としての民主党に期待しているのだ。



 ●革命的労働者党が大衆的に要求される時代が到来


 いまや、二大保守政党に収斂されることのないプロレタリア階級闘争を前進させることこそ急務である。日本階級闘争は、長期の低迷期を経て、いま、新たな局面に入りつつある。階級対立が拡大し、資本と賃労働の関係が誰にも分かるものへと浮かびあがってきた。資本による強搾取、長時間労働、無権利状態の強要に立ち上がる青年労働者、若い世代のたたかいも生まれてきた。反貧困運動、非正規雇用労働者を主体とする労働運動、各地における反戦運動、反基地闘争、反改憲運動、国際連帯運動など、さまざまなたたかいが重なりながら拡大している。

 だが、労働者階級人民が直面する生活苦の深まりと不満の拡大に比して、こうした現状に対する闘争を組織すべき革命勢力がいまだたち遅れていることもまた事実である。人民の不満の増大と支配階級の腐敗そして左翼勢力のたち遅れは、その対極に右翼ファシスト勢力の台頭を促すのも歴史的教訓である。全力で、労働者階級の組織化を進めることは急務である。いまや、階級闘争を新たに真に大衆的に復権する時代が到来したのである。革命的労働者党が大衆的に要求される一時代が到来したのだ。

 こうした時代を受けて、労働者階級を資本主義の改良のもとへと永遠に縛り付ける役割りを果たすのが日本共産党である。日本共産党は、二大保守政党制のもとで、社民勢力としての自己の位置をブルジョア議会の一角で占めることに、すべてを目的づけ、このために汲々としている。

 日本共産党と分岐し、労働者階級の自己解放闘争を推進する革命的労働者党の建設を推し進め、日本階級闘争を大きく発展させよう。




 ■第3章―総括と方針

 反貧困反戦反基地を総力で闘い

 恐慌―大不況を革命に転化せよ



 ●サミット、横須賀、岩国を軸に08年を闘いぬいた


 〇八年、米欧日など帝国主義の戦争と新自由主義グローバリゼーションと対決する国際的な反撃が前進した。ブッシュ共和党政権の戦争・失業・貧困化に米帝をはじめ世界で「ノー」の声が沸騰した。民主党・アフリカ系米国人のオバマが「変革」をかかげ次期米国大統領となった。日本でも、米軍再編―戦争・改憲そして新自由主義への抵抗は強まり、閉塞感からの脱出を求める人民の憤りは高まった。安倍が打倒されて以降、福田、麻生と続く自公政権、それに対抗する小沢民主党、これらの保守二大勢力は新自由主義「構造改革」・改憲攻撃を「緩和」し、「解散総選挙」へ向けた権力抗争を行っている。

 米帝の没落、大欧州の動き、中国をはじめBRICsが台頭する多極化時代。日帝はアジア太平洋への覇権戦略を明確化できず、争点なき二大保守政党化、強引な日米同盟強化の動きを突出させている。格差・貧困化の拡大と、日帝の政治外交戦略の行き詰まりを背景にして、侵略国家・改憲を公然と政治主張する田母神など自衛隊中枢や右翼ファシスト勢力が活発化している。明らかに時代は大転換期に突入した。

 同志友人たち。わが同盟とともに、アジア各地の階級闘争・革命運動と国際主義的結合を強め、日帝打倒―プロレタリア社会主義革命を準備する路線を推進しようではないか。階級的労働運動建設を軸にして、学生青年運動、被差別大衆の自己解放運動などを発展させ、新たな階級闘争構造の基礎を組織すること。アジア各地の反帝・労働者民衆闘争と日本階級闘争を結合する反帝アジア国際統一戦線を建設すること。この両輪を推進する革命的労働者党の全国建設が求められている。日帝の侵略反革命戦争とグローバリゼーションの総攻撃に総抵抗を組織しよう。右翼ファシスト勢力の台頭を許さず、プロレタリア社会主義革命の強大な陣地を全力でつくりあげようではないか。

 〇八年、こうした総路線のもと、われわれは貧困化と米軍再編・自衛隊派兵の攻撃と正面からたたかいぬいた。G8サミット粉砕闘争、米核空母ジョージ・ワシントン(GW)横須賀母港化阻止闘争、そして岩国基地強大化阻止の国際集会・現地闘争、これら三つの全人民的 政治闘争を組織したたかった。

 環境問題、経済危機、食料―貧困問題などを解決しようと演出しはしたが、G8サミットは帝国主義列強の戦争と略奪を謀議する場となった。各地で広範な反G8闘争が、AWC各地実行委や労組、反戦闘争実などにより進められた。五月の神戸・環境相会合の反対闘争、六月には、大阪・財務相会合、東京・司法相内務相会合、京都・外相会合、これらの抗議行動をたたかった。洞爺湖現地闘争の前段として、7・1に大阪と東京で反サミット街頭行動が取り組まれた。日帝権力は一連の反サミット闘争に対して、京都や大阪・東京・札幌などで弾圧をくり広げ、韓国民衆運動活動家十数名の入国拒否・不当収監・強制退去、日本の活動家の不当逮捕などを行った。この不当な暴挙に大衆的反撃が行われた。北海道・洞爺湖のたたかいでは、アイヌモシリ連絡会議の伊達キャンプへ、AWC日本連やASSJAが参加したたかったが、われわれはこれを支えきった。たたかうアイヌ先住民族や、海外から韓国全貧連、フィリピン・バヤン、台湾労働人権協会、米国反戦団体・ANSWERが結集し、反帝国際共同闘争の現地反対行動がたたかわれた。さらに、オロフレ・キャンプの仲間や、現地闘争の最終日には豊浦キャンプの仲間も合流し、抗議デモをたたかった。われわれには内外から反サミット闘争牽引の期待と責任が求められた。弾圧や妨害をはねのけ、各地と洞爺湖現地を貫く反サミット闘争の全体を成功裏に展開した。

 米核空母GW横須賀配備阻止闘争では、7・19の一万数千人の現地集会・デモへ労組などやAWC首都圏の決起を組織した。八月には、AWC日本連の横須賀反戦合宿が行われ、フィールドワーク・学習会や米海軍横須賀司令部や海自横須賀総監部への抗議デモが取り組まれた。9・23、厚木基地北側での県央共闘の反対行動へ参加。9・25、GW入港阻止の現地闘争がうみかぜ公園でたたかわれた。AWC日本連も首都圏やAWC九州山口実・「被爆二世の会」など全国から抗議へ決起した。午後の抗議集会、夜の五千名結集の全国集会・デモを貫徹した。

 十一月岩国現地のたたかいは、基地強化―愛宕山米軍住宅建設反対、アジア米軍総撤収をかかげ、大きな成功を勝ち取った。「岩国は負けない」と粘り強いたたかいが続く現地。愛宕山に四千名規模の米軍住宅を建設するという計画が暴露された。この新たな米軍施設建設絶対阻止を期して「愛宕山を守る会」が結成された。基地の沖合移設によって基地を強化しようとする策動に反対する「公有水面埋立承認」取消訴訟闘争、岩国基地爆音訴訟へむけた準備など、陸・海・空にたたかいは広がっている。岩国国際集会の十一月二十九日は、「愛宕山を守る会」の方と現地フィールド・ワーク・交流会を行った。AWC各地から参加し、反戦労働者交流集会をたたかう各地の左派労働運動、学生・青年、韓国民主労総、滞日バヤンが結集した。米軍住宅反対への想い、それが岩国基地強化をくいとめることにつながる意義などを「守る会」側から熱心に訴えられた。夜には、岩国・反戦労働者交流集会、学生交流会、日韓障害者解放運動交流会が組織された。翌三十日、国際集会の一部は、海外ゲスト、神奈川反基地闘争の発言、沖縄メッセージ、「軍事基地と女性ネット」の「広島事件」一カ年の取り組みや米兵による性暴力を許さないたたかいの報告、そして地元岩国からの訴え。二部では、愛知大学教員・小林武さんから「4・17名古屋高裁判決」の意義とともに「平和的生存権」についての講演と質疑が行われた。その後、労働運動活動家諸氏と反戦労働者交流集会代表、学生運動から発言を受け、岩国からこのたたかいの勝利に向けたいっそうの支援を訴える呼びかけが発せられ、決議、まとめで終えた。そして、約二百名の岩国基地抗議デモがたたかわれた。粘り強い岩国住民のたたかい、これを支援・激励し、米軍再編・改憲とたたかう労働運動・学生運動・全国反基地運動、そして女性解放運動・障害者解放運動など被差別大衆の自己解放運動などの力で、全人民の課題として岩国闘争が発展した。韓国・フィリピン・米国との民衆連帯も推進した。これらは、各地・職場・学園・全国を貫く全人民による階級闘争構造再構築の大きな原動力の一つとして、岩国闘争の位置と役割を前進させたのだ。〇九年も、岩国現地大闘争を組織していくことが全体で確認された。

 反戦反帝の人民闘争拠点である三里塚闘争。〇八年も、日帝国家権力・空港会社の攻撃を現地の実力闘争態勢によって、反対同盟・支援のたたかいで跳ね返した。軍事空港建設強行・農地強奪・騒音・延伸工事など生活破壊と住民叩き出しに抗し、三月、十月の全国総決起集会が勝利的にたたかわれた。用地内反対同盟・市東孝男さんの農地への耕作権解除―強奪をねらって、十月、空港会社から訴訟が起こされた。この攻撃や天神峰闘争本部の裁判も含めて、裁判闘争の大衆的発展が進められた。われわれは新日米軍事同盟のもとでの三里塚軍事空港の完成化を許さず、労働者階級・被抑圧人民の実力決起を堅持し、沖縄闘争連帯、米軍再編粉砕、全国反基地闘争連帯、アジア連帯を掲げ、現闘―行動隊を軸に日々たたかい抜いている。

 沖縄解放闘争は、日帝による沖縄戦と集団強制死を「軍命令無し」とする歴史改竄・侵略戦争美化の攻撃に反撃し、これを後退させた。海自掃海母艦「ぶんご」の治安出動など、一連の沖縄差別軍事支配に対する怒りの高揚を基盤にして、辺野古新基地・高江ヘリパッドの建設攻撃を喰い止めている。七月十八日、沖縄県議会は仲井真保守県政と日帝に痛打を浴びせる「辺野古新基地建設に反対する決議」を採択した。守屋疑獄・海自の漁船激突殺害事件・田母神論文などをめぐる防衛省への批判の高まりを追い風に、辺野古・高江の現地阻止行動が続いている。5・15を前後してAWC日本連やAASJAの沖縄現地闘争がたたかわれ、「本土」の左派労働運動は平和行進に参加した。首都圏の辺野古実は、防衛省を包囲する「人間の鎖行動」などや定例・緊急の抗議行動を続け、現地支援者の派遣、新基地建設阻止の国会請願署名などを組織してきた。沖縄―「本土」を貫き、沖縄解放闘争を後退させることなく勝利に向け展開した。

 AWC日本連は、これらの諸闘争を担い、各地集会や、韓国・フィリピンの国際連帯を推進した。アフガン・イラクの反戦国際行動が各地で取り組まれた。米兵による広島や沖縄で相次ぐ性暴力事件に各地で抗議行動を組織した。10・14「広島事件」一カ年には「軍事基地と女性ネット」の全国一斉抗議がたたかわれた。フィリピン人被害女性・ヘーゼルさん支援も行っている。韓国から民衆運動・民主労総のゲストを招いた交流と連帯闘争を続けた。八月末には、三十八度線近くのムゴンニ米韓軍事合同演習場の拡張攻撃に反対し、現地住民や韓国民衆運動/AWC日本連/フィリピン・バヤン/台湾労働人権協会とともに、米軍総撤収の東アジア平和国際シンポが行われた。11・9韓国労働者大会派遣を取り組んだ。フィリピン連帯では、五月KMU・ISA派遣、タガイタイ5政治犯救援、殺人的弾圧・人権破壊を行うアロヨ政権への抗議を頻繁に組織した。

 党派共闘として、有事立法 改憲阻止 反帝国際連帯―反戦闘争実の闘争をたたかった。インド洋給油新法阻止の国会闘争、五月沖縄現地闘争への四月前段集会・デモ、反G8サミット闘争、GW横須賀母港化阻止現地闘争、給油法延長阻止の十一月反戦集会などを取り組んだ。

 また、国民保護法制―戦争動員に反対する首都圏の防災訓練抗議行動が、8・31、山谷・荒川・墨田・足立の四地区を軸としてたたかわれた。

 階級的労働運動建設では、各地で激化する解雇・失業・貧困化に困苦する労働者の不安と怒りに結合し、団結を作り出し、労働争議・組合組織化を前進させた。「生きさせろ」反貧困の労働権・生存権・最低賃金引き上げのたたかいを推進した。権利春闘を各地でたたかった。メーデーの組織化。国鉄闘争支援。反戦反基地・改憲阻止の政治闘争をたたかい、岩国基地強化を許さない現地闘争など反戦闘争への労働者決起も推進した。韓国の日系企業争議への支援、日韓労働者連帯、反サミット労働者国際連帯を進めた。大不況のなかで、数万規模の「派遣切り」・期間工などの大量解雇に反対し、派遣法の欺瞞的「改正」を許さず、たたかった。「日雇い」「登録型」の派遣禁止や派遣自由化以前の専門職種に限定すること、「偽装請負」禁止・労基法強化などを要求し、左派労働運動全体の発展を支えた。そして労働運動活動家の交流を促進した。

 学生運動では、全国学園拠点化に向け、奮闘した。反サミット闘争では、たたかいの先頭に立って牽引し、洞爺湖現地への大きな決起をつくり、ASAを招請して、AWCとともに反帝国際共同闘争・実力闘争をたたかった。沖縄・岩国・神奈川の反基地闘争、韓国・フィリピンとの連帯、在日朝鮮人韓国人のたたかいへの支援、反差別闘争などを推進した。

 女性解放運動や被差別大衆の自己解放運動などでは、貧困化・生活破壊、諸権利の空洞化・剥奪と対決し、反戦反基地闘争も進め、自らの運動と大衆的団結組織の前進を勝ち取ることに奮闘した。

 階級的労働運動の組織化、学生運動の前進、被差別大衆の自己解放闘争推進、あらたな階級闘争構造を建設するたたかいは、革命的労働者党建設の基本活動である。地方・地区・基本組織において奮闘した。



 ●09年、反貧困、反戦・反基地、反改憲闘争に総決起しよう


 〇九年方針の第一は、反貧困闘争と沖縄・岩国・神奈川の米軍再編粉砕―反戦反基地反改憲闘争を結合し、日帝・麻生自公政権打倒の全人民政治闘争を総力で組織することである。金融恐慌は信用収縮を激化させ、自動車・電機・機械・素材など製造業や商業・サービス・情報などの全産業部門で倒産・リストラ・雇用破壊・失業―貧困化を激発させている。すでにトヨタやシャープなど大手製造業現場で派遣労働者・期間工など非正規労働者、数万人の「首切り」が行われた。地方や中小零細の職場・地域では、労働者・勤労者・農漁民に犠牲が一挙に広がっている。大量失業は深まるばかりである。小泉「構造改革」路線から三代続く自公政権の中枢に居た麻生は、毎年の社会保障費二千三百億円削減、高齢者・障害者などの切捨て、医療・教育・地方自治の劣悪化、そして消費税などの増税を進めようとしている。世界大不況のなかで、景気対策として十兆円の大型財政出動や減税・会計基準緩和など「第一次景気対策」による大銀行・大企業の救済、他方、勤労大衆を路頭に迷わせ貧困を強いている。労働者・被抑圧人民の怒りが燃え広がっている。「生きさせろ」「雇用確保」「社会保障・福祉の拡充」などの反貧困・生存権の抵抗闘争を強めなくてはならない。この反貧困闘争と米軍再編―新日米軍事同盟―実質九条改憲に抗する反戦闘争を結合し、日帝―麻生政権打倒の全人民政治闘争の高揚を作り出していくことである。防衛省・自衛隊の軍事費は年間五兆円規模となった。さらに在沖・在日米軍への「思いやり予算」、米軍再編への三兆円超の出費、米軍グアム基地建設への支援で約七千億円など、莫大な税金が日米帝の戦争政策に注ぎ込まれている。だが、沖縄の辺野古新基地・高江ヘリパッドの阻止、岩国の米軍住宅反対・基地拡充粉砕、神奈川の反基地闘争、そしてイラク派兵違憲判決、米兵の性暴力事件や犯罪への抗議など、各地で、反米軍闘争・反戦平和闘争が粘り強く拡大しながらたたかわれている。反貧困と米軍再編粉砕―改憲阻止を全国的に結合し、現場で実力反対行動を組織しよう。そして韓国、フィリピン、米国などアジア太平洋地域の反米軍・反グローバリゼーションの国際連帯を強め、日帝―麻生政権と右翼ファシスト勢力を国際主義に貫かれた全人民政治闘争によって打倒しよう。総選挙では、保守二大政党を徹底的に批判し、反改憲・反戦反基地勢力の強化をかちとろう。

 第二には、AWC運動とアジア共同行動日本連の発展を支え、反帝アジア国際統一戦線の発展をかち取ることである。金融恐慌―世界大不況の情勢、米帝の歴史的な転落とオバマ政権登場など、国際階級闘争は一つの節目を迎えている。「日米のアジア侵略支配に反対するアジアキャンペーン」(AWC)の運動と方針・体制の更新と強化が求められている。このようなAWCの運動・方針・体制の充実と発展にむけ、支援することである。AWC運動は、国際主義の精神に立って国際的な支援・連帯活動を進めてきた。現代の労働者・被抑圧人民の解放運動、その階級闘争や革命にとって、国際主義は核心となる実践内容である。日帝ブルジョアジーの延命路線は、天皇制を軸にした差別排外主義と国家暴力装置を強め、国内とアジア各地の社会主義運動・解放闘争を鎮圧し、植民地・市場を強奪する侵略反革命戦争―国家総動員のうちにあることは明らかである。世界大不況の煮詰まりの中で、真に国際主義に立脚して活動を推進していくことが問われている。排外主義と戦争による日帝の階級再編攻撃とたたかい抜く上で、独占資本・国家権力と非妥協でたたかい、かつ、プロレタリア国際主義を担う実践路線は死活的に重要である。

 AWC韓国委員会・民主労総、フィリピン・バヤン、台湾労働人権協会、インドネシア・YMBなど、(米国のANSWER連合はオブザーバー参加)、これらアジア各地の諸団体が組織する労働者人民闘争・反帝闘争と結合して「アジア共同行動日本連絡会議」の位置はある。AWCはまさに東アジアの反帝国際統一戦線へ発展する基礎を有している。南北分断・駐韓米軍強化や重弾圧、搾取・解雇とたたかう韓国労働者民衆運動。米軍駐留とその支援を受けるアロヨ政権・軍部の虐殺的弾圧や、米日韓など多国籍企業による侵略抑圧とたたかうフィリピンの反帝民族解放闘争。米日帝の軍事介入支配と搾取収奪とたたかう台湾労働者民衆やインドネシア民衆。これらアジア各国階級闘争の国際支援をすすめ、排外主義と分岐し、日米帝とたたかう労働者人民運動を発展させよう。〇九年も、反戦・反米軍・反貧困のアジア共同行動各地集会、フィリピンKMU/ISA、韓国労働者大会などへの派遣と交流、弾圧・人権侵害への国際抗議行動、在日韓国朝鮮人への歴史的な差別管理支配強化―入管法改悪攻撃や外国人労働者抑圧への反対運動、これらの闘争をはじめとするAWC運動を進めよう。

 第三には、三里塚闘争、沖縄闘争、これらの反帝人民闘争拠点を強めることである。国家権力の農地強奪―軍事空港建設を阻止する三里塚闘争は、四十三年間一貫して、人民の反帝闘争拠点を堅持している。〇九年も、反対同盟農民と支援による実力闘争を軸にして、新日米軍事同盟のもとで自衛隊・米軍一体化による侵略戦争の軍事空港化を許さずたたかい抜くことである。「用地内」農民・市東さんへの耕作権解除・農地強奪の不当極まりない訴訟攻撃、天神峰闘争本部の強奪訴訟など、日帝国家権力・空港会社の強権的反人民政策を満天下に暴露し、大衆的実力闘争の強化を組織していこう。北延伸工事による暫定滑走路・誘導路の拡張攻撃、騒音や環境と生活の破壊による農民叩き出しの攻撃を許さず、たたかい抜こう。三里塚闘争を沖縄・韓国などの反基地・アジア連帯の運動と結合し、新日米軍事同盟―改憲を粉砕する人民闘争拠点として前進させよう。

 沖縄への差別軍事支配の要である米軍再編、すなわち辺野古新基地・高江ヘリパッドの建設攻撃との攻防は、正念場にある。政府・防衛省による、違法な環境影響調査を強行しての、なりふり構わない辺野古新基地建設は、座り込みや海上の抗議行動、ジュゴン・サンゴの保護など国際的環境運動などによって、大幅な延期へと到っている。沖縄―「本土」を貫く闘争を強め、辺野古新基地・高江ヘリパッドの阻止闘争の現地支援を拡大強化しよう。軍用地の新たな強制使用を許さず、反戦地主・一坪反戦地主を先頭として反撃を強めよう。岩国、神奈川の反基地闘争、韓国、フィリピンなどアジアの反米軍闘争と結合し、反基地国際連帯運動を強めよう。そして左派労働運動勢力の内部に沖縄解放闘争支援をひろげよう。

 第四には、階級的労働運動を前進させることである。それは階級闘争の基礎構造を再建する重要な長期戦である。世界大不況によって、労働者人民への倒産・首切り・失業などの攻撃が激しくなっている。〇九年こそは、その失業・貧困化攻撃への生存権・生活を賭した労働者の数々の抵抗闘争を職場・地域や全国で連携させ、階級的労働運動を強め、左派労働運動の全国的発展を進めよう。雇用破壊・貧困化の元凶である「偽装請負」「登録型派遣」などを許さない派遣法の抜本的「改正」や労働基準法・労組法など労働者保護法制の強化をかちとろう。「名ばかり管理職」廃止、サービス残業や長時間労働・過労死を阻止し、最低賃金千円以上の大幅アップをたたかいとろう。正規―非正規を貫く労働組合運動・地域ユニオンを拡大し、労働運動と社会主義・国際連帯を結合し、階級的労働運動の全国陣形構築を進めよう。教育労働者のたたかいを組織しよう。左派労働運動を階級的に牽引する活動家の全国ネットワークを建設しよう。

 第五には、学生運動、そして女性解放、部落解放、障害者解放、被爆者解放など被差別大衆の自己解放運動の前進をかちとろう。

 学生運動は、共産主義青年同盟学生班協議会のもとで、全国的学国拠点化の拡大に勝利してきた。〇九年もこのたたかいを強めよう。三里塚闘争、沖縄闘争、反戦反基地・米軍再編粉砕、反差別運動支援、労働運動連帯、反帝国際連帯・実力闘争を担おう。激しい学生青年層内部の階級的分解を階級闘争と結合し、学生運動の発展を組織していこう。反侵略アジア学生共同行動(AASJA)を前進させよう。日帝・麻生政権打倒の全人民政治闘争を先頭でたたかおう。マルクス・レーニン主義、革命史、資本主義・帝国主義批判―共産主義の思想・理論を学習し、学生活動家を共産主義者・革命家へと育成しよう。

 女性解放運動では、米兵による広島や沖縄、横須賀などで相次ぐ性暴力事件への抗議と糾弾のたたかいが、岩国反基地闘争と連携した「軍事基地と女性」の運動を拡大し取り組まれている。沖縄で米兵に性暴力を受けたフィリピン人女性・ヘーゼルさんへの支援運動も活発に続いている。アジア各地の元日本軍「慰安婦」女性が日帝の新たな侵略支配を阻止する内実をもって戦後補償運動を展開したように、これらは新日米軍事同盟―米軍再編強化の根底にある侵略軍隊による女性をはじめ被差別大衆への抑圧支配を根底から批判し変革するたたかいである。また貧困と差別そして搾取抑圧の犠牲が集中する女性労働者による均等待遇運動やユニオン組織化が推進されている。階級的労働運動の一翼を担う女性解放運動を進めていくことは今後ますます重要となっている。ともに、これらの運動をいっそう広げ、組織化しよう。

 部落解放運動では、激化する悪質な差別攻撃を許さず、糾弾権と糾弾闘争を堅持し、部落民大衆の自己解放闘争に連帯して闘おう。全狭連は、昨年5・23、10・31の狭山闘争で、たたかう部落大衆とともにたたかった。狭山差別裁判糾弾の第三次再審闘争を切り開く百万人署名の勝利の上に、狭山闘争の大衆的展開をつよめ、全証拠の開示をかち取り、再審をたぐり寄せ、石川さんの完全無罪をたたかいとろう。反差別共同闘争、反侵略国際連帯をすすめよう。

 被爆者解放運動をたたかう被爆二世の仲間は、八月広島青空集会、反原発闘争、反基地闘争、米核空母ジョージ・ワシントン横須賀母港化阻止の現地闘争に決起した。被爆者への「原爆症認定制度」の現行の認定基準では被爆健康手帳所持者のほんの少数しか適用されない実態を批判し、すべての原爆症申請者への認定をもとめ、かつ韓国など海外被爆者への国家補償の拡充を要求したたかってきた。また核爆弾搭載のB52米爆撃機の岩国基地展示策動を粉砕した。アジア侵略戦争拠点の岩国基地強大化や米軍住宅建設に反対し、反戦反核・反基地・反原発―被爆者解放のたたかいを推進しよう。

 障害者解放運動は、新自由主義政策と戦争国家化による「社会保障・福祉切捨て」攻撃―「自立支援法」や「精神病棟保安処分導入」による差別抹殺攻撃に全力で反撃してきた。いっそう、地域―全国で障害者解放運動をつよめていこう。

 第六に、革命的労働者党の全国建設を強化することである。新自由主義グローバリゼーションを謳歌してきた独占資本家たちとその政府が、危機にのた打ち回っている。シティバンクなど巨大銀行が、GM、フォードやフォルクスワーゲンなど自動車大企業が、石油などの資源や食料・穀物の取引を支配してきた独占ブルジョアジーたちが、あがいている。これらがつくりだした矛盾を労働者被抑圧人民に押し付けさせててはならない。

 米欧日の帝国主義諸国とBRICsなど新興資本主義大国の抗争が激烈化している。生産手段の私有化、資本の賃労働搾取支配、利潤追求の生産と市場競争の無政府性、これらの激化を原因として、戦争・貧困・差別迫害・環境破壊などの社会的矛盾と災禍が爆発している。求められているのは、「一人は万人のために、万人は一人のために」、平等・社会的公正・自由にむけて、戦争と貧困を生み出しつづける現実社会を革命することである。資本主義・帝国主義の打倒と社会主義革命・共産主義運動を強めることだ。戦争と恐慌・失業などの爆発する社会矛盾への決定的な回答として、社会主義・共産主義の思想と理論・実践、その情熱と倫理と行動力を、粘り強く、労働者人民の中に組織しなくてはならない。われわれは、他の共闘する社会主義者・共産主義者諸グループや活動家とともに、そうした革命的労働者党の全国的建設を進める決意である。

 日本共産党指導部に、それはできない。彼らの路線は、一国主義であり、社会主義革命でなく資本主義の改良と延命であり、労働者被抑圧人民の実力の解放闘争を議会代行主義へと簒奪し、日本帝国主義を防衛し、第三世界諸国の反帝民族解放闘争と敵対する、そうした反階級的で反革命の排外主義の路線だからだ。誤ったスターリン主義路線のニセの「社会主義」では、事態を突破できない。もちろん、社会民主主義や、大衆運動を囲い込み分断させる宗派主義も、誤っている。

 したがって、@プロレタリア国際主義を実践すること、A労働者・被抑圧人民の抵抗闘争・自己解放闘争を実力で推進すること、Bその運動の階級的団結と統一戦線を徹底的に促進すること、Cマルクス・レーニン主義の革命理論と実践を創造的に発展させること、これらを推進する原則的な共産主義者による革命的労働者党建設こそがたたかいとられねばならない。われわれはこの事業を、内外のベテランと若者の共産主義者・活動家を大胆に結合させ、推進する。共産主義者同盟(統一委員会)とともに〇九年をたたかおう。


 

 

 

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