共産主義者同盟(統一委員会)

 

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『戦旗』第1325号(2009年4月5日)




  「ミサイル破壊命令」の発令弾劾! 新たな制裁発動を許すな!

  「グアム移転協定」を打ち砕け

  金融恐慌下、戦争と貧困に抗して闘おう

  新たな社会築くために全国の学生は共に決起を

  派遣切り許すな! 反貧困09春闘を闘い抜こう



                                  ■共産主義青年同盟(学生班協議会)





 全国の学友たち、とりわけ新入生のみなさんに、共産主義青年同盟(学生班協議会)からアピールを送る。私たちは搾取と収奪、侵略と抑圧に根ざした現代世界の根底的な変革をめざして活動してきた。いま金融恐慌の陰が私たち学生の生活へも忍び寄るなかで、もはや現代の社会のあり方をその根底からつくりかえていくことなしには私たちの未来への展望もまた描き出すことができないことがますます明らかになっている。そして、日本でも世界でもこのような状況を変えるために、たたかいに立ち上がる人々が拡大している。そのたたかいに連帯し、戦争と貧困に抗して、新たな社会を築きあげていくために共に立ち上がることを訴える。



  ●(1)資本主義にかわる新たな社会をめざして


 世界は大きく揺れ動いている。金融危機は世界的な恐慌へと転化した。その震源地となったアメリカをはじめ各国で、企業や銀行の倒産と「合理化」が相次いでいる。明日の生活の糧を奪われ、路頭に迷う人々の数は日々拡大している。日本もまた例外ではない。自動車や電機などの基幹産業での「派遣切り」をはじめ、一片の通告で一夜のうちに仕事と住む家を失う労働者が各地で急増している。雇用が収縮するなかで、新たな職に就くこともままならない。賃金はますます下がる。内定取り消しは卒業予定者がこの春からの生活設計を無に帰してしまった。未来への展望が描けないなか、世の中はますます息苦しいものになっている。

 各国の政府や資本家たちは「百年に一度の危機」だと叫び、そこからの脱出のためだと称して銀行への公的資金(税金)の注入や「景気対策」に大慌てだ。だが、金融の自由化を通して一挙に拡大した証券取引をはじめ銀行や資本の無軌道な利潤追求こそが現在の状態をもたらしたのではなかったか。世界恐慌に至る今回の事態は偶然に起こったことでは決してない。それは世界を支配する権力者や資本家たちが推進してきた政策と行動によって引き起こされた。資本のグローバルな展開のなかで、資本主義の矛盾が世界的な規模で蓄積され、それがついに爆発したのだ。

 今回の事態はまた、「階級社会」である資本主義社会のあり様を照らし出した。犠牲は資本家ではなく労働者の側に一方的に押し付けられた。経営危機に陥って政府から公的資金の注入を受けたアメリカの大手保険会社AIGの経営者は、「合理化」=労働者の首切りを進める一方で、巨額のボーナスを手にしている。日本でも同じことだ。期間工や派遣労働者の首切りを進めるトヨタなどの大企業は、「内部留保」として何兆円もの金をためこんでいる。災厄はすべての人に等しく降りかかっているわけではない。貧しい者ほどより大きな犠牲を強いられているのだ。

 このような状況のなかで、資本主義の「強欲さ」を批判する論調も生まれている。その指摘は一面では正しい。資本家たちは強欲に利潤を追求し、そのための舞台としてあらゆるものを市場化してきた。そのなかで労働者は互いに競争させられ、資本が肥え太るのとは逆に、ますます厳しい生活条件に追いやられ、犠牲を強いられている。しかし、資本主義からその「強欲さ」だけを取り除くことはできない。資本の運動は利潤の追求を動因とし、それを拡大することなしに生き延びることはできない。問題は資本主義そのものにある。あくなき利潤の追求を第一義とする資本の運動に人間の生活が従属させられ、労働者は景気の循環に翻弄されながら、ただ資本家が必要とするときのみに生きることが許される、このようなシステムを根本的に覆していくことこそが必要なのだ。

 金融恐慌のなかで大規模な首切りや内定取り消しに直面する現在の青年労働者の状況は、多くの学生にとって明日のわが身の姿である。しかし、このような状況は「仕方がない」ことでは決してない。世界は変えることができる。フランスでは政府と大資本による一方的な労働者への犠牲の押し付けに抗議して数百万人の労働者がゼネストに立ち上がった。アメリカで、ギリシャで、アジア各地で人々は自らの権利を守るために、そして人が人らしく生きられる社会をめざして立ち上がっている。日本でも非正規職の青年労働者のたたかいを始め、さまざまな人々が貧困と抑圧に抗して自ら声をあげ始めている。

 現代の社会のあり方をその根底からつくりかえていくことなしには、私たちの未来への展望もまた描き出すことができない。このことがますます明らかになっている。だからこそ、資本主義に代わる新たな社会をつくりだすためのたたかいに立ち上がろう。逆にこのたたかいのなかにこそ解放に向けた希望がある。共産主義運動は、資本主義が労働者にもたらしている過酷な現実のなかで、そしてそれに対する労働者階級のたたかいのなかから生まれた解放への希求であり、現実の運動だ。それはまた、資本主義を打倒し、階級と階級対立を廃絶し、人による人の搾取と支配を廃止することを通して、あらゆる抑圧と差別を全世界から一掃していく歴史的な事業である。全国の学友のみなさん。貧困と抑圧に抗してたたかう人々と連帯して、共にこの歴史的な事業に立ち上がっていこうではないか。



  ●(2)戦争と貧困を拡大する帝国主義の支配と闘おう


 政府や資本家は「百年に一度の危機」と叫んでいる。世界を支配する者たち、資本主義体制を維持することによって利益を得る者たちにとって、事態はまさにそのようなものとして進展している。状況は資本主義の歴史的な危機ということだ。だがしかし、貧しき者、抑圧された者はこの百年間、世界のあちこちで常に生存の危機にさらされ、命を奪われ続けてきた。私たちにとって必要なことは、その「危機」から資本主義を救済することではなく、資本主義に終止符を打ち、全世界ですべての人が人らしく生きていくことができるような新たな社会・世界を築きあげていくことだ。

 世界を支配する一握りの帝国主義国とその資本家にとって、世界は資源を収奪し、市場を拡大して利潤を追求するための舞台でしかない。とりわけソ連や東欧などの旧「社会主義国」の政権崩壊以降、資本のグローバリゼーションの進行のなかで、無制限の搾取を追求する独占資本・多国籍資本の国境を越えた展開が拡大するなかで、事態はますます深刻なものになった。あらゆる場所、あらゆる領域が市場化され、利潤追求の場とされてきた。電気や水、医療や教育でさえもいまやお金がなければ手に届かない「サービス」とされてしまった。

 資本主義のもとで生産力は巨大に発展してきた。だがそれはアメリカや日本などの一握りの資本家、一握りの大国に富を集中し、貧富の格差を世界的に拡大し、貧しき者がますます貧しくなるような構造を全世界におし広げてきただけだった。現在、一日一ドル以下の生活を強いられる人々は世界で十三億人におよび、飢餓状態にある人は八億人におよぶ。その数は歴史と共に減少してきたのではなく、拡大している。実際、かつてこれほどまでに多くの人々が生存の危機に立たされた時代はなかった。

 貧しき者、抑圧された者はまた、たえず侵略戦争と軍事的抑圧の犠牲にさらされてきた。資本の利益を擁護し、その利潤追求の場を確保・拡大するためには、権力者たちは軍事的手段に訴えることをためらわない。規模の大小はともあれ、第二次世界大戦以降も世界の各地で帝国主義による侵略戦争・軍事介入は続けられてきた。それは今日でもイラクやアフガニスタンで「対テロ戦争」などという名目で推進されている。そのためにいったいどれほどの人々がその命を奪われてきたことか。権力者たちは自国の資本家たちの利益、そして帝国主義の世界支配秩序を維持するための侵略戦争を発動しつつ、それをさまざまな口実をもってごまかしてきた。今日では抵抗する者に「テロリスト」というレッテルを貼り付けることによって、侵略戦争と弾圧を正当化しようとしている。しかし、抑圧があるからこそ抵抗が生まれるのであり、抵抗は民衆の権利なのだ。

 帝国主義の世界支配のもとで、貧困が世界的に拡大し、侵略戦争が続いている。そのようなあり方によってしか帝国主義はその世界支配を維持できない。つまり、労働者・民衆からその権利を奪って貧困を拡大再生産し、侵略戦争を発動することによってしか、いまや世界を覆う資本主義というシステムは維持できなくなっているのだ。資本主義の歴史的な危機とは、このような貧困と戦争によって成り立つ帝国主義の世界支配が「危機」に直面しているということだ。

 世界各地の抑圧された人々が望んでいるのは、まさにこのような帝国主義の支配を終わらせることだ。だが、資本主義はどんなに「危機」におちいっても自動的には崩壊しない。帝国主義の世界支配を打ち破り、資本主義に終止符を打つことができるのは、労働者・民衆の国際的に団結したたたかいを通してのみである。それはいま新たに拡大しつつある。資本主義に代わる社会への希求は広がり続けている。世界各地で搾取され抑圧されながらも抵抗し、たたかう人々と連帯し、その希望を共にして、帝国主義の世界支配を打倒して、労働者・民衆による新たな世界・社会を築きあげていくためにたたかおう。



  ●(3)学生運動を全国各地のキャンパスでつくろう


 「戦争と貧困」は日本社会にも大きな影を落としている。

 貧困と格差は拡大し続けるばかりだ。労働者の三割が非正規職労働者は全労働人口の三割に達し、低賃金と無権利に留め置かれ、社会保障制度からも排除されている。五人に一人の労働者がフルタイムで働いても生活できない状態にされてしまった。現在の金融恐慌によって、事態はますます深刻なものになろうとしている。その一方で、大企業に対しては国際競争力の強化などと称して法人税の減免措置など手厚い優遇政策がとられてきた。資本の利潤を拡大するために労働者からその権利を奪う政策を次々と進めてきたにもかかわらず、「エンプロイヤビリティ」(雇われる能力)などと称して、非正規職であるのも首を切られるのも「自己責任」だとするようなでたらめなイデオロギーがまかりとおっている。大学においても、「資本の役に立つ人材を育成することこそ大学の使命だ」と考え公言するような大学経営者が増えている。労働者相互の競争と対立が煽られ、学生もまた就職のために、生きるためにふだんの競争のなかに投げ出されている。同時に、授業料の値上げや奨学金制度の改悪、夜間部の廃止など「教育も金次第」というような状況がますます進んでいる。

 貧困が拡大し、金融恐慌が人々の生活をますます圧迫するなかでも、日本政府・麻生政権は軍事費に膨大な予算をつぎ込んでいる。イラクからは自衛隊をようやく撤退させたものの、現在もなおアフガニスタン侵略戦争に協力し、自衛隊によるインド洋での米軍・多国籍軍への無償の給油活動を続けている。麻生政権は歴代の政権と同じく日米安保体制の強化を進め、アメリカ政府とともに「米軍再編」の名で沖縄、岩国、神奈川などで在日米軍基地の飛躍的な強化を狙い、米軍と自衛隊の軍事一体化を推進しようとしてきた。自衛隊の海外出動も拡大・強化されている。今では「海賊対策」を口実にソマリア沖にまで自衛隊は派兵されている。これらは憲法九条の実質的な改悪に他ならない。

 日本はアジアを中心にして世界各地に莫大な海外権益をもっている帝国主義国だ。そしてそれらの権益は、日本資本がアジア・世界の労働者・民衆からの激しい搾取と収奪の上に築きあげたものだ。日本政府が海外派兵体制の強化と戦争国家化を進めているのは、帝国主義国の一員としてその支配秩序を維持・強化するとともに、自国資本の権益を自らの軍事力をもって防衛できる体制を確立しようとしてきたからだ。そうすることによってしか日本がアジア・世界を支配する帝国主義として生き残ることはできないことを知っているがゆえに、日本の独占資本・多国籍企業の経営者たちは口をそろえて海外派兵体制の強化と戦争国家化を要求してきた。現在の麻生政権をはじめ歴代の自民党政権は、労働者・民衆ではなく、つねにこのような大資本の利益を代弁してきた。民主党もまたその立脚する階級的な基盤は同じだ。しかし、私たちにとって未来への希望と展望は、アジアと日本の民衆に「戦争と貧困」を押しつけることによって延命しようとする日本帝国主義を打ち倒していくことにある。

 全国の学友のみなさん。新入生のみなさん。

 このような時代だからこそ、現代世界をその根底から変革し、新たな社会をつくりだしていくことをめざそうではないか。そのための実践は社会と世界の現実に正面から向き合い、政府・資本による攻撃と対峙して現実に取り組まれているたたかいへと自ら参加することから始まるだろう。

 各地でさまざまに取り組まれている「戦争と貧困」に対するたたかいに参加しよう。沖縄、岩国、神奈川など在日米軍基地の強化が狙われている地域では、住民がそれに抗して、基地強化を阻止し続けている。例えばその現場を訪れ、住民と連帯して、そのたたかいを共にしよう。そして、日米安保体制の強化と日本の戦争国家化の具体的な現れに対して大学からも抗議の声をあげていこう。また、現実の労働者が置かれている状況を知り学びながら、そのたたかいに連帯しよう。こうした実践を通して、労働者・民衆の立場から現代の社会と世界に対する批判的な視点をつかみつつ、政府・資本がおしすすめる「戦争と貧困」に対する労働者・民衆のたたかいの一翼を担っていこう。

 また、排外主義と差別を許さずにたたかおう。支配者たちはさまざまなかたちで労働者・民衆を分断し対立させることで、自らの支配の延命を図ってきた。現実にある重層的な分断支配を打ち破っていくことでしか民衆のたたかいは前進しない。この点で、日本の民衆にとって日本資本の搾取と収奪に集中的にさらされているアジアの民衆のたたかいへの連帯はきわめて重要だ。また、女性差別、障害者差別、部落差別、在日外国人差別などあらゆる差別を許さず、差別とたたかうことを自らの課題とし、被差別大衆が置かれた現実とその苦闘に向き合い、その自己解放闘争に連帯していこう。

 そして、こうした戦争と貧困、差別と抑圧に対するたたかいを推進する学生運動を全国各地のキャンパスでつくりだしていこう。そして、それをアジアの民衆の帝国主義に対するたたかい、日本のなかの労働者や抑圧され差別された人々の解放をめざすたたかいと固く連帯し、結合したたたかいへと発展させていこう。

 現代世界と日本社会の現状は、それを変革するための学生の決起を求めている。全国の学友のみなさん、新入生のみなさん。私たち共産主義青年同盟(学生班協議会)とともに、帝国主義の支配の打倒をめざし、資本主義に代わる新たな社会を築き上げるために共にたたかいに立ち上がろう。

 

 

 

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