共産主義者同盟(統一委員会)

 

■政治主張

■各地の闘争

■海外情報

■声明・論評

■主要論文

■綱領・規約

■ENGLISH

■リンク

 

□ホームに戻る

『戦旗』第1330号(2009年6月20日)




 新誘導路7月供用開始阻止! 7・5三里塚現地に決起しよう

 反戦・反基地運動の前進を

 「制裁決議」徹底弾劾! 排外主義と対決せよ

 解雇攻撃を許さず労働者は団結して闘おう






 共産主義者同盟(統一委員会)より、六月の政治基調を提起する。

 五月十一日、民主党・小沢一郎が代表を辞任し、鳩山由紀夫の下で新執行部が発足した。鳩山新代表は、「愛のある政治」「友愛社会」などを掲げ、金融恐慌下の労働者民衆の不満や不安を組織して、次期衆院選勝利―政権交代を実現しようとしている。しかし、鳩山自身は改憲論者であり新自由主義の信奉者にほかならない。今、重要なのはブルジョア保守二大政党制への幻想を断ち切り、労働者民衆の実力闘争を組織して日帝・麻生政権に打撃を与える陣形を構築することである。

 われわれは日帝・麻生政権の貧困化攻撃と戦争攻撃に対して、具体的な反帝国際連帯運動を対置する。各地でたたかわれる六月アジア共同行動を支持・支援しよう! 諸戦線における今夏期のたたかいを全力で推進し、九月AWC第三回国際総会と十一月岩国闘争の大勝利にむけて奮闘しよう!



 ●第1章 貧困化攻撃、排外主義と対決せよ


 五月二十五日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国と略す)が、二〇〇六年十月に続いて二度目の核実験を行った。

 われわれは、被爆者や被爆二世・三世の解放闘争に連帯し「二度と被爆者を生み出さない」という立場から、あらゆる国の核開発と原発建設に反対する。そうした立場から、今回の共和国政府が行った核実験を弾劾する。

 だがしかし、共和国による核実験が物事の基点にあるのではないことを明確にしておかなければならない。日本帝国主義による植民地支配から解放されたわずか五年後の一九五〇年に開始された朝鮮戦争の休戦状態と朝鮮半島の南北分断のなかで、共和国は日米韓の三角軍事同盟の軍事的包囲のもとに置かれてきた。現に、共和国は在外米軍と核兵器によって周囲を囲まれている。四月の人工衛星打ち上げの際も、日米韓政府は露骨に敵対的な反応を示した。今回の核実験に対しても、国連安保理常任理事国および日韓両政府は「国際社会」の名のもとに、共和国の資産凍結と船舶臨検(武力行使を含む)を柱とした追加制裁―安保理決議に向かおうとしている。また、韓国の李明博政権は国内における反対の声を無視して、米帝主導のPSI(大量破壊兵器拡散防止構想)への全面参加を決定した。共和国政府はこれを「宣戦布告」とみなすと激しく反発している。制裁強化と戦争挑発を絶対にゆるしてはならない。

 日本のマスメディアは、共和国に対する一面的かつ断片的な情報をまことしやかに報道し民族排外主義を煽っている。そして最後は「何をするかわからない国」と結論づける。だが、朝鮮戦争は今でも終結していないことにはなかなか触れない。南北間および朝米間において戦争状態は継続し、日本もまた準交戦国なのである。そうした認識をもって朝鮮半島の問題を捉えていかなければならない。わたしたちは、共和国脅威論を喧伝して「敵基地攻撃」や「核武装」を唱える政府内極右勢力を厳しく糾弾し、日本の軍事大国化に反対しなくてはならない。朝鮮総連弾圧や朝鮮民族学校へのいやがらせをゆるすな!在日韓国・朝鮮人の人権を防衛し、吹き荒れる民族排外主義を粉砕していこう。即時の日朝国交正常化を要求し、朝鮮半島の自主的平和統一を支持しよう。

 金融恐慌が深まるなかで、昨年来「派遣切り」が相次ぎ、この三月末までに万単位の労働者が職を失った。とりわけ、それまで働いていた会社の寮から追い出される労働者は、失業=住居を失うという事態になっている。正社員の求人倍率も過去最低を更新し、失業率と求人倍率は悪化の一途をたどっている。リーマンブラザーズの破綻後の世界金融恐慌は、資本主義・帝国主義の危機にほかならない。日帝・麻生政権と独占ブルジョアジーたちは、資本の延命のためにその矛盾を労働者に押し付け、とりわけ、自動車・電機などの主要産業を先頭に「派遣切り」をはじめとした正規―非正規を貫く大量解雇・合理化攻撃で危機を乗り切ろうとしている。労働者民衆への犠牲の押し付けをゆるすな!そしてこれは帝国主義足下も含め、全世界の労働者階級人民が共に直面している現実である。貧困と戦争に対してたたかう国際的な共同行動が今こそ問われているのだ。

 このかん、各地で突然の倒産や工場閉鎖による不当解雇が相次いでいる。ほとんどの場合、経営者たる資本家の経営責任は問われることなく、労働者の不当解雇によって資本は逃げ切ろうとしている。労働者から仕事を奪うということは、労働者とその家族の生存を脅かし、労働者本人の尊厳をひどく傷つけるということだ。不当解雇を徹底的に弾劾しなければならない。

 「新型インフルエンザ」の世界的拡大に伴っての日本政府の対応は、麻生首相自身が「これは国家の危機管理の問題だ」と述べたように、「危機管理訓練」の様相が強かったといえる。現場の検疫官からも公然と政府を批判する声がでてきた。この「新型インフルエンザ騒動」は、労働現場にも深刻な影響をもたらした。「新型インフルエンザ」への処置として、休業を実施し労働者に自宅待機を指示した会社もあったが、これに対して、とりわけ非正規労働者に、賃金も休業手当も支払わない会社が出てきた。事実上の強制休業であるにも関わらず賃金を補償しないというのは、労基法二六条に明確に違反しており、非正規労働者への差別・不当待遇の一端である。絶対にゆるしてはならない。

 労働者の反撃も始まっている。東京の京品ホテルの労働者たちが「不当解雇撤回」を掲げて自主管理闘争を展開し、このたたかいが全人民的闘争に押し上げられ、東京地裁・警視庁機動隊の強制代執行と実力攻防をたたかったことは記憶に新しい。各地域・各国の労働者運動間の連帯・連携をかちとろう!恐慌下で強まる不当解雇攻撃を絶対に許さず、労働者の権利を対置し、団結してたたおう!

 深化する恐慌の中で、帝国主義諸国をはじめとした保護主義が急激に台頭しつつある。同時に、それは民族排外主義を煽動しながら強行されている。欧州各国帝では、民衆の不満を糾合した極右勢力が伸張し外国人労働者排斥の動きが広がっている。米帝の「ハイヤー・アメリカン条項」や日帝の入管法改悪も同じ文脈の攻撃だ。日帝・法務省は、民主党を取り込みながら、「出入国管理および難民認定法」改悪案を今通常国会に提出した。資本の要請に応じて外国人労働者を受け入れ、かつ「在留カード」と「外国人台帳制度」の新設をもって、外国人の選別・排除と一元的管理を強めようとする攻撃である。入管制度そのものの改悪・強化を許してはならない。恐慌下で、外国人への差別排外主義がファシズムの肥大化を促進した歴史を思い起こせば、貧困化攻撃とのたたかいを差別排外主義とのたたかいと結びつけて推進することが肝心である。



 ●第2章 反戦・反基地闘争の先頭に労働者が立ちあがろう


 日帝・麻生政権は、貧困化攻撃とともに戦争攻撃を強めている。

 沖縄―岩国―神奈川を軸にした反基地闘争は、日米両帝国主義の軍事戦略の根幹としての日米安保同盟を、その実体的基盤から打ち破っていくたたかいである。

 米軍再編の焦点のひとつになっている岩国においては、米軍住宅建設をめぐって愛宕山の住民たちが怒りをもって立ち上がっている。愛宕山を守る市民連絡協議会が呼びかけた「愛宕山に米軍住宅も米軍施設もいらない!」署名は予想を上回る十一万筆に達し、岩国市と山口県に署名を提出。さらに、四月七日には岩国現地からの上京団が防衛省に対して署名提出を行い、怒りの声をたたきつけた。四月十二日には、愛宕山神社前の公園で「愛宕山に米軍住宅も米軍基地もいらない」を掲げた「4・12愛宕山大集会」が二千名の結集でかちとられた。集会において住民たちは、愛宕山開発が米軍住宅や米軍施設の建設にされることを拒否し、さらなる反対運動を進めていく決意を示した。ウソによってふるくからの鎮守の森・憩いの場であった愛宕山を無惨に破壊された住民たちの怒りの立ち上がりは、保守勢力の地盤を揺さぶっている。また、昨年二月七日に岩国基地の沖合移設事業埋立承認処分取り消し請求の行政訴訟が、十八名の岩国市民によって開始された。さらに今年三月二十三日には、四百七十六名の大原告団による岩国爆音訴訟も提訴された。「騒音対策」と銘打って開始された岩国基地の滑走路沖合移設は、さらなる騒音と基地機能強化をもたらすものであった。日本政府は、岩国基地の機能強化と愛宕山での米軍住宅・米軍施設建設に際して、現地住民を完全にだましうちにした。日本政府は、「国を守るため」「脅威に備えるため」にと米軍再編を推進し、軍事大国化路線を進めている。しかしながら、現実は沖縄などと同様に、日米両政府の「防衛政策」が地域と住民に負担を強いて、地域の人々の生活を破壊しているのである。ウソと利権にまみれた米軍再編計画を頓挫させよう。岩国の住民たちのたたかいを支援していこう。

 こうした米軍再編を粉砕していく闘争の先頭に労働者が立つべきである。恐慌下、数多の労働者民衆が職を失い、住居を失い、社会保障を切られ、路頭に迷いながら生命までも失っている。そうした情況にも関わらず、日本政府は日米地位協定で負担義務があるとされる数千億円のほか、「思いやり予算」の名の下で、米軍基地や米軍住宅・施設の運営・維持に対して湯水のごとく税金を注いでいる。在日米軍基地職員の人件費も基地内の光熱費・水道費も施設建設費も訓練移転費も、民衆の血税によって支払われているのである。まさに、米軍基地の問題は、基地周辺住民だけの課題ではなく、全国的な全人民的な課題にほかならない。巨額の税金を戦争体制づくりに投入し、民衆の生活をかえりみない日本政府を徹底的に弾劾しようではないか。今こそ、労働者が反戦・反基地闘争の先頭に立ってたたかう時である。

 厚木基地からの艦載機移駐が強行されれば、岩国基地は北東アジア最大の基地へと強化される。岩国基地は朝鮮半島に最も近い在日米軍基地である。現に、岩国基地所属の米軍機は、南北の休戦ラインの手前まで飛行するという訓練を頻繁に行っている。岩国基地強化は、共和国への戦争挑発にほかならず、朝鮮半島の緊張をますます高める大きな要因となっている。岩国基地強化および各地での米軍再編計画とたたかう陣形を構築し、日帝・麻生政権が進める具体的な戦争攻撃に風穴をあけていこう。矢継ぎ早に強行されたソマリア沖への海上自衛隊派兵とその既成事実化をゆるしてはならない。報道によれば、ソマリア沖の護衛艦「さみだれ」は、「関係国」からの連絡を受け、搭載ヘリコプターを出動させた(五月十九日『東京新聞』朝刊)。武力行使にあたる「駆けつけ警護」は、憲法で禁じられているにも関わらず。ソマリア沖派兵は、改憲の先取りである。「海賊対策新法」制定を阻止しよう。麻生首相は連休明けから、集団的自衛権の解釈変更を検討する「勉強会」を開いている。日帝・麻生政権の国家意思は、あくまで「戦争のできる国づくり」である。そして、これは民主党政権が誕生したとしても本質的には変化はないのだ。一切の自衛隊の海外派兵に反対しよう。海外派兵恒久法制定と改憲を阻止しよう。

 五月沖縄解放闘争の勝利的高揚をうけ、〇九年十一月岩国闘争を全国闘争として実現していくことを掲げ、反戦・反基地闘争を推し進めていくことが問われている。同時に、韓国やフィリピンを中心としたアジア諸国・諸地域の反基地闘争との結合を追求しよう。反帝国際連帯の内実のもと、反米軍基地闘争の国際的な爆発をかちとり、日米両帝国主義のアジア支配を打破しよう!



 ●第3章 成田空港の10月延伸滑走路、7月新誘導路供用開始阻止


 四十三年目を迎える三里塚闘争は、今ふたたびの決戦情勢を迎えている。

 国土交通省と成田国際空港会社は、四月二十二日、東峰地区住民に対して、北延伸滑走路の十月末供用開始を通告してきた。同時に、東峰の森を伐採して建設を強行した新誘導路に関しては、三カ月前倒しして七月に運用開始するとし、この五月にはテスト走行を開始している。また、反対同盟・市東孝雄さんへの農地法を悪用した農地強奪攻撃もヤマ場を迎えている。「自分の畑で野菜を作ることが実力闘争」と市東さんと反対同盟は、裁判闘争と実力攻防を軸にして農地強奪攻撃を迎え撃っていく決意を示している。

 昨年、成田空港は暫定開港から三十年を迎えた。今日、成田空港は「羽田国際化」もあるなかで、「国際空港」としての位置づけを急激に落としている。また、恐慌下で空港の取り扱い貨物量が、輸出量で前年比五割減、輸入量でも前年比の三割減を記録している。日帝の空港政策の破綻と「表玄関ナリタ」の地盤沈下はもはや明白なのだ。さらに、少なくない操縦士が証言している空港の「危険性」も明らかになっている。三月二十三日のフェデックス機の事故では、成田空港そのものが頻繁にウィンドシェアの起こる危険な気象条件の下にある空港であることが鮮明になった。大型機の運用には短すぎる延伸滑走路を供用することは極めて危険である。このような空港にならざるをえなかった理由は、住民を機動隊の暴力と札束によってたたき出し、強権的に建設した空港だからということに尽きよう。A滑走路もB滑走路も含めて、成田空港そのものを閉鎖すべきである。

 周辺事態法―有事法体制下、成田空港の軍事利用も常態化している。侵略反革命拠点―軍事空港の完成をゆるしてはならない。陸上自衛隊のジブチ派兵や「国民保護法」の共同作戦計画五〇五五などでも成田空港が使用されている。今こそ、軍事空港粉砕を掲げて、軍事利用と北延伸攻撃と真正面から対峙しよう。反戦・反基地闘争としても三里塚闘争に決起していこう。

 三里塚闘争においては、日帝国家権力による国家暴力を発動しての農地強奪―空港建設攻撃に対して、反対同盟を先頭にして、現地に結集した広範な勢力によって激烈な攻防が展開されてきた。「パリコミューン」や「市民戦争」に形容されるほどの内乱状態を作り出してきたのだ。そして、四十三年経った今でも空港は完成せず、無様な姿をさらしている。日帝国家権力によるあらんかぎりの暴虐に抗してたたかっている三里塚闘争は、まさに日本の階級闘争にとっての「財産」にほかならない。騒音と警察権力による攻撃のなかで、日々たたかいぬく三里塚農民に連帯・支援しよう。

 これまでの、土地収用法や成田治安法を使っての国家暴力を前面に出した攻撃が粉砕されると、権力は民事裁判での農地強奪・闘争拠点破壊へと攻撃の手段を変えてきた。しかし、攻撃の本質はなんら変わることはない。反対同盟は、この暴挙に対して、七月と十月の現地闘争を軸にして反撃していく方針を打ち出している。三里塚闘争は反対同盟を先頭にして「流血も投獄も恐れず」徹底非妥協・実力闘争の原則で四十三年間たたかいぬいている。大恐慌の情勢下で、いよいよその地平が重要な意味を持ってくる。「ふたたび三里塚に巨万の民衆を!」という反対同盟のよびかけに応えて、三里塚の地に広範に結集し、闘争の爆発をかちとろう。新誘導路七月供用開始阻止!延伸滑走路十月供用開始阻止!を鮮明に掲げ、7・5三里塚現地闘争に立ち上がろうではないか。

 すべての労働者・学生・市民のみなさん!『戦旗』読者のみなさん!

 今夏期のたたかいは、歴史的な恐慌情勢のなかで行われる。貧困化攻撃の只中で呻吟する多くの人々が、様々な形で反撃に打って出ようとしている。今こそプロレタリア国際主義の旗を掲げ、具体的な反戦・反差別・反貧困・反新自由主義グローバリゼーションの内実と蓄積をもって、広範な人々の中に入っていこう!民族排外主義煽動を粉砕し、日帝・麻生政権と対決する陣形を構築しよう!AWC日本連の呼びかける九月第三回国際総会と十一月岩国闘争の大高揚をかちとろう!
 

 

 

当サイト掲載の文章・写真等の無断転載禁止
Copyright (C) 2006-2007, Japan Communist League, All Rights Reserved.