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『戦旗』第1331号(2009年7月5日)




 貧困化・戦争攻撃粉砕! 日帝―麻生政権打倒

 民族排外主義の激化許すな!

 階級的労働運動の前進を






 六月十二日国連安全保障理事会は朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)に対する制裁決議案を全会一致で採択した。共和国による二回目の核実験に対する制裁決議である。

 言うまでもなく我々は一切の核使用に対して反対するものであるが、この制裁決議案なるものには決して与しない。核保有国が共和国の核実験に対して何が言えるというのか。

 一方、日帝はこの制裁決議案採択を受けて独自の追加経済政策を実施するとしている。共和国敵視政策の全面発動に他ならない。そしていまや、政府・与党においては共和国に対する「先制攻撃論」が公然と主張され、「敵基地攻撃能力の保有」や「核武装」といった本格的な戦争準備が具体的に進行しようとしているのである。

 世界同時不況と言われ、まさに全世界に「恐慌」の嵐が吹き荒れている。帝国主義者どもはその矛盾の発露を貧困と戦争として労働者階級人民に押し付けようとしているのである!プロレタリア国際主義を掲げ、貧困と帝国主義戦争を粉砕せよ!

 アジア共同行動(AWC)日本連絡会議は、全世界労働者階級人民との実践的具体的連帯を掲げ、帝国主義の諸攻撃に対して大衆的に対峙している。アジア規模の民衆運動のネットワークであるAWCは、九月には第三回国際総会をこの日本において開催し、あらためて国際的連帯関係の強化と団結の深化を実現しようとしている。国境を越えた労働者階級人民の団結した力によって、帝国主義を打倒しようではないか。第三回総会の成功を勝ち取ろう!

 そしてAWC日本連は十一月には山口県・岩国において反基地闘争を闘う地域住民とともに国際集会を開催しようとしている。さらにその前日には戦闘的組合の人士が呼びかけ人となる、労働者反戦交流集会が予定されている。

 全国の同志ならびに友人諸君! 六〜七月、AWCの闘いを断固支持連帯し反戦闘争の国際的発展を勝ち取っていこうではないか。そして九月AWC総会の成功と十一月岩国集会の成功を実現していこう!



 ●第1章 共和国に対する制裁・敵視政策の強化を徹底弾劾する


 六月十二日国連安全保障理事会は全会一致で共和国に対する制裁決議案を採択した。決議案は共和国の五月二十五日の核実験に対して、「最大限の表現で非難する」として二度と核実験や「弾道ミサイル」発射を行わないよう要求している。

 制裁の中身は「貨物検査の厳格化」「武器の全面禁輸」「禁輸制裁」の三つを柱とし、共和国の核・「ミサイル」開発を資金、物資の両面で封じ込めるものとされている。「貨物検査」とは、共和国の核ないしは「ミサイル」関連禁輸物資の出入りを阻止するとしたうえで全加盟国に領海・公海上での検査実施を要求するというもの。「金融制裁」とは日帝が強く主張した内容で、核・「ミサイル」計画につながる資金運転の阻止や新規融資・援助禁止、資産凍結対象の拡大というものである。当初、「貨物検査」について米帝は軍事的措置としての「臨検」義務化を主張したが、武力衝突への発展を懸念した中国が頑強に抵抗し、「米国が譲歩する形で臨検は見送られ、軍事措置の可能性は排除された」(六月十三日東京新聞)とされている。

 一方日帝は、この安保理決議を受ける形で独自の追加制裁を実施する。共和国からの全面的輸入禁止に加え日本からの輸出品目を全品目に拡大し輸出入ともに禁止と、共和国渡航者が三十万円超の現金を持ち出す際の届け出義務に違反した在日外国人の再入国を禁止する、というものである。

 まさしく共和国敵視政策の全面発動に他ならない。そして我々はこの敵視政策がすでに一般的なイデオロギー攻撃ではなく、日米両帝国主義が具体的戦争前夜的に対応していることに着目しなければならない。明確な軍事行動である「臨検」だとか、「輸出入の全面禁止」などという対応は軍事的に敵対する交戦国に対する対応である。我々は今次国連決議案と日帝の独自追加制裁策を共和国敵視政策・キャンペーンであり、再び三度の朝鮮侵略反革命戦争策動として徹底的に弾劾する。

 我々は被爆者そして被爆二世・三世・四世の闘い、さらには反原発などの反核運動に連帯する立場から核兵器保有と実験に反対する。かかる観点から共和国の核実験にも断固として反対する。しかし、現在の事態を招いた責任はひとえに日米帝国主義にあることは明白である。

 米オバマ政権は、朝鮮半島において今年二〜三月に共和国侵略を想定した韓米合同軍事演習を強行している。共和国に対する無視の姿勢をとりながら「六者協議への復帰を求める」とペテン的言辞を吐き、共和国に対して侵略訓練で重圧を加え軍事的緊張を煽ってきたのがオバマ政権である。

 一方、日本政府は日米軍事一体化を推し進めながら朝鮮半島の平和構築に一貫して敵対し続けてきた。今年二月の共和国が打ち上げた人工衛星を「ミサイル」と言いなし、まさに「国民総動員」型の軍事演習と見間違えるばかりの共和国敵視キャンペーンを展開してきた。そして与党―自民党サイドでは共和国に対して「先制攻撃論」「敵基地攻撃能力保有論」と言った挑発的言辞を振り撒き、軍事的恫喝まがいの言動を公然と行っている。共和国敵視政策と民族排外主義の国家的キャンペーンが展開されているのだ。

 今回の共和国による核実験は日米両帝国主義による敵視政策が招いた結果である。共和国に対して挑発を繰り返してきたのは、日米帝国主義であることを忘れてはならない。

 また韓国は五月二十七日に大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加を表明。米帝主導の世界戦略に自らを位置付けることを表明し、保守派による核武装論が叫ばれ始めている。現在、西海では南北双方の兵力が増強され軍事衝突の危険性が高まっている。

 明らかに日米韓三角軍事同盟の強化こそが朝鮮戦争の危機を生み出しているのである。

 六月十六日に訪米した李明博韓国大統領はオバマ米大統領との共同声明において、米国が「核の傘」を提供する「拡大抑止」を維持・強化することを明らかにした。共和国の核実験を意識した政策であり、かかる声明において朝鮮半島における核戦争の危機がより一層深まった。

 ソフト路線と言われるオバマ政権においてもブッシュ前政権の軍事外交路線は継承され、イラク・アフガニスタンで無数の民衆が殺戮されている。オバマは「核廃棄を目指す」と言いながらもイスラエル・パキスタン等の核保有は容認しているではないか。

 そもそもこれまでに無数の核実験を行い、現在も大量の核兵器を保有する米帝をはじめする核保有国、そして原子力発電推進による核開発を進めている日帝に他国の核実験を批判する資格などない。

 我々は国連安全保障理事会における共和国制裁決議を弾劾する。共和国による核実験とは日米帝国主義による敵視政策による軍事挑発の結果である。その責任は日米政府にある。そして今次制裁決議とは、朝鮮半島における戦争衝動を誘発するものであり、朝鮮半島の政治的安定に真っ向から敵対する行為に他ならない。そして何よりもこの機に乗じた日帝政府―与党による侵略反革命戦争―戦争国家化政策策動を弾劾しなければならない。



 ●第2章 民族排外主義の激化を許すな、反帝国際連帯運動の推進を


 これら政府主導の敵視政策に連動して、民間での民族排外主義運動が激化しようとしている。

 今年四月、「在日特権を許さない市民の会」(以下「在特会」)なる団体が埼玉県蕨市でのデモンストレーションを計画した。これは「不法滞在」を理由として両親が強制送還され、家族と別れて暮らすことを余儀なくされた蕨市の女子中学生を攻撃対象とした行動であった。外国人労働者を犯罪者として規定し、外国人をたたき出せという主張をもって、この女子中学生宅にデモをかけようとしたのである。

 一切の権威・権力から無縁な個人、しかも中学生を直接的に標的にするというこの運動に対して、当然のごとく近隣から各地から排外主義デモに対する抗議行動が組織された。そしてその過程で排外主義反対を唱える数名が不当逮捕されるという事態が起きている。

 さらにこの団体は六月十三日に京都で「外国人参政権断固反対」デモを行う。「八〇年代より民団が執拗に求めてきた外国人参政権が、民主党・公明党・自民党左派などの政治勢力によって実現目前となる危険水域に入っています。在日特権を許さない市民の会は関西地域からも外国人参政権断固反対の声を上げる」(「在特会」HPより)として、関西での政治登場を果たそうとしているのである。「主権回復を目指す会、NPO外国人犯罪追放運動、外国人参政権に反対する会・東京、日本を護る市民の会」等という団体が賛同に名前を挙げている。「在特会」による京都での排外主義デモは、関西各地から結集した人々の抗議行動によって徹底的に弾劾された。

 一見して明らかなように、「在特会」は明確に排外主義扇動を目的とした民間右翼団体である。そして我々が注意しなければならないのは、こうした「在特会」のような排外主義を目的とした民間運動が日本だけでなく世界各地で起きているということである。

 アメリカでは史上初のアフリカ系大統領の誕生に対する反発を根拠に、白人至上主義の右翼団体が地域的に勢力を伸ばし移民の排除を活発に訴えている。オーストラリアでも白人至上主義者によるインド系留学生に対する暴行事件が頻発して、国家間の政治問題事項にまで発展している。恐慌の嵐が全世界で吹き荒れ、労働者階級人民の生活が破綻に追い込まれ状況下において、貧困層がその矛盾のはけ口を安易に排外主義に求めるという傾向が強まっている。

 「在特会」運動もまた、こうした世界的傾向の一環であることは間違いない。そして日帝の共和国敵視キャンペーンが、こうした排外主義運動に拍車をかけていることも間違いない。

 我々はあらためて、貧困と生活破壊の現代において排外主義との闘いが本格的に問われるということを肝に命じなければならない。貧困層と排外主義との結合をくい止めなければならない。あらゆる職場・学園・地域で排外主義を批判する討論を組織せよ。貧困と生活破壊に苦しむ労働者階級人民に、プロレタリア国際主義と社会変革の展望を大胆に提起し排外主義者との結合を分断せよ!民族排外主義扇動を意識的に行う「在特会」運動を大衆的に包囲せよ!国際的団結と連帯を実践するアジア共同行動の活動を強化しよう!



 ●第3章 沖縄、岩国、神奈川の反基地運動の前進を


 共和国敵視政策とこれに連動する排外主義運動の跋扈、米軍再編と日帝の独自武装による本格的侵略戦争国家化という攻撃のなかで、生活破壊を許さず反戦を叫ぶ労働者階級人民の闘いは確実に前進している。

 「グアム移転協定」(米軍再編実施条約)は参議院での否決にも関わらず、条約批准に関しては衆議院優先ということから批准が強行されている。しかし参議院での否決という事実に変わりはなく、かかる地平を切り開いたものこそ広範な沖縄人民の闘いであり、国会前闘争などの批准反対の大衆闘争を展開した辺野古実等の闘いである。

 そして沖縄、岩国、神奈川の現場では米軍基地と再編に対決する住民運動がさらに強まっている。米軍再編の具体化としての基地強化、新基地建設の矛盾が拡大し、地域住民の怒りが噴出しているのである。

 沖縄では環境アセス手続きに対する広範な大衆闘争が行われている。

 辺野古新基地建設のため防衛省沖縄防衛局は、「県」に基地建設に伴う環境影響評価準備書を提出した。しかし、この準備書なるものの中身は「史上最悪の独善的アセス」(島津康男環境アセス学会初代会長)と言われるほどの非科学的代物であり、根拠もないところで「(基地建設は)環境への影響は少ない」と結論づける代物である。はじめから基地建設ありきの恣意的アセスであった。

 四月に準備書の公告・縦覧を行ったところ、実に五千通以上の意見が沖縄防衛局に寄せられた。もちろん、そのほとんどが準備書の不備をつくものであり、新基地建設に反対する中身であった。これはまさに、辺野古新基地建設に対する沖縄人民の怒りが世論として確実に表現されたということであり、新基地建設にいたる手続きに対して圧力を加える具体的な反撃である。

 岩国では爆音訴訟をはじめとする裁判闘争の原告団形成に多くの岩国市民が参加している。

 岩国爆音訴訟では基地周辺二百十三世帯四百七十六人が国を相手取り、基地への空母艦載機移転差し止めと騒音被害に対する損害賠償を求めて裁判闘争を展開している。七月九日は第一回の口頭弁論が闘われる。

 四月二日、神奈川の相模原総合補給廠に陸軍訓練センターが設置された。陸自中央即応集団司令部がキャンプ座間に移駐してくれば、実際の地上戦を想定した米陸軍と自衛隊の共同訓練、戦闘訓練が行われることになる。

 こうした事態に対して、六月六日「基地撤去をめざす県央共闘会議」等が主催となり相模原で「戦場への道を断て!日米軍事強化反対!戦闘指揮訓練センター建設即時中止を求める相模原集会」とデモが闘われた。「一九三〇年代後半、日本軍国主義時代に強制的に接収され、一九四五年に米軍に引き継がれて六十年余、座間、相模原両市は基地による迷惑・被害を押し付けられてきた」「ベトナム戦争時代には相模原補給廠から戦闘車両が大量に運ばれ、ベトナム人民殺戮の用に供されたこともある。その後も湾岸戦争、アフガン戦争に軍事物資・機材を送り出すという、戦場と直結する役割を果たしてきた。平和を願う私たちは、キャンプ座間と相模原補給廠のこうした動きを見過ごすことはできない」とする集会宣言を採択した。座間、相模原市民は陸自中央即応集団司令部移駐計画に抗議する意志を明らかにし闘っている。

 我々はこれら沖縄・岩国・神奈川の反基地闘争が、米軍再編と日米軍事一体化を断固として阻んでいる地平を確認し、これら闘いとしっかりと結合して日帝による侵略戦争策動―労働者階級の戦争動員策動を粉砕していこうではないか!



 ●第4章 労働者こそが反戦・反基地闘争の先頭に起とう


 アジア共同行動は六月、全国各地で国際連帯集会を開催し国際連帯と反戦闘争の推進を大衆的に確認してきた。

 また六月十三日には大阪で、「岩国・労働者反戦交流集会実行委員会」の結成と、「関西学習交流集会」が勝ち取られている。戦闘的組合に結集する労働者が一同に会し、労働者階級の闘いとして岩国で反戦・反基地闘争を展開することを確認していったのである。

 世界恐慌が深まる中にあって、貧困化と戦争に対する国際共同闘争を構築して行くことが求められている。貧困化攻撃のなかで強まる民族排外主義と対決して、労働者階級人民の国際的結合を強めていくことがますます重要になってくる。

 すなわちアジア共同行動(AWC)・日本連絡会議の活動のいっそうの発展が時代的に求められているのである。我々はこのAWCの活動を支援し、ともに反帝国際共同闘争の巨大な前進を勝ち取っていかなければならない。九月のAWC総会を何としても成功させよう。全世界から集う反帝・反戦を闘う人士とともに、国際的連帯の具体的実践的に確認していこうではないか!

 沖縄、岩国、神奈川を軸にした反基地闘争は、日帝・米帝の軍事戦略の根幹としての日米安保を、その実態的基盤から打ち破っていく闘いである。五月沖縄闘争の勝利をうけ、〇九年十一月岩国闘争を全国闘争として実現し、反戦闘争のさらなる飛躍を勝ち取っていこう! 海賊対策新法制定阻止を闘っていこう! 全ての同志・友人諸君! 十一月岩国で再会しようではないか!


 

 

 

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