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『戦旗』第1333号(2009年8月5日)




 日帝―自公政権打倒!

 右翼ファシストの排外主義扇動粉砕






 「百年に一度」と政府―資本家でさえ呼ぶ、昨年来からの金融経済危機から恐慌への動きは、時代が大きな曲がり角にさしかかっていることを物語っている。米帝の金融グローバリゼーションを軸にして世界経済が発展していく、という現代の資本循環ともいうべきグローバル経済の流れが袋小路に入り、根本的に崩れつつあることを、それは示している。これによってむき出しになったのは、強大な生産力によって過剰となった資本の延命のために、倒産・失業・非正規雇用化・過重労働・増税などへの「付回し」が、労働者・被差別大衆に打ち下ろされている悲惨な事態である。

 帝国主義世界の危機を繰り延べようと支配者たちは躍起になり、もはやこれ以上、帝国主義―独占資本の支配を許すことはできないと、全世界の労働者・民衆が立ち上がっている。この攻防の中、反帝・国際主義、階級的労働運動の闘いを、全力で前進させていくことが、すべての先進的部分に要請されている。



 ●第1章 6~7月の大衆運動の前進


 帝国主義グローバリゼーションと新自由主義政策は、この十数年、日本においても戦争遂行国家化と「構造改革」として推し進められてきた。「構造改革」は、大企業―独占資本の利益最優先を阻む様々な規制を取り払い、失業・半失業、非正規雇用化を拡大し、社会保障などのセーフティネットを縮小し、自殺者や野宿者・ワーキングプアを増大させてきたことは、多くの人が知るところとなっている。並行して、多国籍化した独占資本や金融資本の海外権益のために、日本経団連は「改憲・集団自衛権明記」を求める意見書を出し(〇六年)、また米帝とともに、日米一体の侵略戦争遂行体制を築き上げることを目的にした「米軍再編」を進めようとしている。

 六―七月闘争は、継続するこれらの攻撃との真っ向からの闘いとして行われた。

 左派労働運動は、昨年以来、恐慌による経済危機のもとで、拡大する派遣や非正規切り・内定取り消し・事業所や工場閉鎖に対し、労働者の雇用を守るための闘いを行うとともに、病休や失職、生活保護などをめぐって、生存権を守るための闘いを繰り広げた。

このような中で、六月末から七月にかけて、アジア共同行動日本連絡会議は、韓国における非正規雇用労働者闘争の象徴と言われるイーランド闘争の活動家を迎え、全国各地で国際交流集会を行った。イーランド闘争は、非正規雇用労働者問題を社会化したのみならず、非正規雇用の多数を占める女性労働者の解放の希求を可視化した、という点で、多くの人たちの注目を集めてきた。おりしも六月には韓国・李明博大統領が来日し、東京では日韓首脳会談弾劾の集会とデモも行われた(六月二十八日)。経済危機が進む中で、ウォン低落に伴って、日本資本による韓国投資が増大している。それは韓国労働者への支配の拡大であるとともに、日本の労働者の労働条件のいっそうの切り下げをもたらし、労働者間の〝底辺へ向かっての競争〟を激化させている。アジア規模、全世界規模で拡大する、このような資本の支配を突破していけるのは、国境をこえた労働者階級の反撃であり、共同闘争だけである。このような日韓の連帯と交流が、各地で積み重ねられたのである。

 しかし帝国主義は、国際的な資本間抗争、帝国主義間抗争を勝ち抜き、また、より強い国がより弱い国を支配するために、労働者階級の国境を超えた団結と共同闘争を破壊し、自国の労働者・民衆を排外主義と侵略戦争へと動員していく。働いても人間らしい暮らしができない、将来に希望を持つことができない、という社会の荒廃の中から、「希望は戦争」「在日の権利を許すな」などの声が登場してきている。五月には、「在日特権を許さない市民の会」が、「日本会議」などの右翼団体とともに、外国人参政権および人権擁護法案に反対するデモを全国四ヵ所で行った。六月十三日京都、七月十八日大阪(鶴橋)、七月二十日福岡と、排外主義宣伝とデモが続いている。外国人排斥と、他方での監視強化(入管法改悪)によって、ますます非人間的な社会へと、日本社会は閉塞しようとしている。

 しかし他方、排外主義と戦争・基地強化に対する反対の闘いが立ち上がっている。排外主義デモに抗議して、各地で在日外国人の権利防衛と共生を求める対抗行動が行われた。

 また六月十三日には、日米軍事一体化を進める米軍再編に反対する岩国(愛宕山)連帯・関西学習交流集会が、大阪において約百八十名を結集して行われた。戦争・大量殺戮のための米軍・米軍基地と、住民の生活と未来とは相容れない、と立ち上がった岩国住民の「空の反撃(爆音訴訟)」「海の反撃(埋立地訴訟)」「陸の反撃(愛宕山米軍住宅反対)」の闘いの報告が、「愛宕山を守る市民連絡協議会」の岡村代表から語られた。この集会は、アジア米軍総撤収をかかげて国際共同闘争を推進する「アジア共同行動」、戦争動員と闘う労働者反戦運動の再生をめざす「〇九年岩国・労働者反戦交流集会実行委」の二団体が共催し、また大阪で反戦政治闘争を担ってきた「しないさせない戦争協力・関西ネットワーク」が協賛して行われたものである。神奈川からのメッセージが寄せられ、沖縄・辺野古における米軍海上ヘリ基地建設に反対する闘いへの連帯活動を続けてきた大阪行動・全港湾メンバーが報告を行い、沖縄―岩国―神奈川を結んだ米軍再編反対の闘いが、関西においても一歩ふみだしたことを実感させるものであった。

 アメリカ帝国主義に見られるように、貧困と戦争は一体化して進んでいる。生産力と生産技術の発展、すなわち資本の巨大化・独占化は、失業と非正規雇用を不可避に増大させていく。労働者は、資本が儲けをあげる間しか雇われず、それゆえの貧困から抜け出すために、軍隊や基地に就職し、あるいは戦争労働へと動員されていく。戦争産業は、消費が確実で利益の大きい産業であり、ブッシュやチェイニーなどのネオコンがアフガン・イラク戦争で大儲けしたことは有名だ。日経連は、武器輸出解禁や、憲法九条を改悪して戦争政策を転換することを要求し続けている。

 六―七月闘争は、このような帝国主義の貧困と戦争攻撃に対する反撃戦として闘われたのである。



 ●第2章 帝国主義の延命目論むラクイラ・サミット


 七月八日―十日、イタリア・ラクイラにおいて、主要国首脳会議が行われた。マスコミは、こぞって「先進国クラブの終わりの始まり」と報道した。三日間のサミット期間中、G8での論議はわずか半日。二日目からは、G8に加え、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、メキシコ、エジプトを加えたG14で共同宣言の議論が行われた。議長国イタリアのベルルスコーニ首相は、「実に世界経済の90%をカバーしている」と胸を張ったが、実際は米帝・G8を基軸とした世界支配が大きく揺らぎ、もはやG8だけでは世界恐慌や地球温暖化などへの対処を決定することができず、中国やインドなどの台頭してきた新興国をまきこんで、新たな世界支配再編が始まろうとしていることを示している。


 ▼1 空しく響く「世界経済についての宣言」

 G8の首脳宣言は、「世界経済は……安定化をしめす兆候が見られる」という一方で、「状況は依然として不確実、大きなリスクが引き続き存在している」と言わざるを得なかった。各国の財政は悪化し、将来的なインフレ懸念などの副作用もハッキリし始めている。

 わずか二ヵ月後の九月に、アメリカ・ピッツバーグでG20首脳会合(金融サミット)が予定されている。G8宣言は、それへ向けての「中間報告」に過ぎない。昨年十一月に緊急招集された金融サミットは、「三回もやれば充分」と言われた〝第二サミット〟であったが、「G8を消失の危機にさらす〝パンドラの箱〟」(日経新聞)と開催後は報道された。円卓に参加した新興国からは「G20こそ正当な国際協調の枠組み」(中国)、「G8には存在意義がない」(ルラ・ブラジル大統領)など、G8による世界支配への不満が相次いだ。今年四月の金融サミットで、それは存在感を増し、新たな国際金融システム構築の兆しを見せている。帝国主義の新たな世界支配の再編成をめざすアメリカ・オバマも、G20を本格的なサミットに衣替えし、実質的な定例化の調整に入ると言われている。

 G8にしろG20にしろ、その関心事は、各国経済、その主軸を占める自国産業と資本の利益を、いかに防衛し、世界の〝勝ち組〟となっていくのかである。雇用対策が必要という声は上がったが、ラクイラ・サミットで主要な議題となったのは、「世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)」をめぐってであり、「国際通貨制度」をめぐってのものであった。急成長する中国・インドなどと、帝国主義的な成長を遂げているG8との利害調整なくして、グローバル化した世界経済は軋みと亀裂を広げるという現実を背景に、貿易の障壁をめぐる利害対立、ガタガタになった現在のドルを基軸にした通貨体制の見直しなどが議題に上げられているのである。

 こんな帝国主義者や大国主義者の議論と、労働者・被差別大衆の利益はまったく無縁である。昨年来の経済危機は、日本でもアメリカでも、大量の失業者を生み出し、新自由主義政策によって、もともとお粗末なものがズタボロとなった社会保障政策の下で、食べるものも住居もなく、教育も医療も受けられない貧困線以下の労働者が増大している。また発展途上国では、飢餓・栄養不良人口が、過去最悪の十億二千万人(〇九年国連食糧農業機関FAO)になる見通しである。一方で、富の集積、他方で、貧困の蓄積を、原理的な仕組みとして持つ、現在の資本主義体制、その独占化・多国籍化した姿である帝国主義世界体制を打ちこわし、労働者・農民・被差別勤労大衆を主人公とした社会を作り出していく以外に、この悲惨な事態は突破されないのである。


 ▼2 「核なき世界」の欺まん

 米シカゴ大が年末に核戦争突入の危険度を示す「世界終末時計」の針は、一九九一年に「終末まで十七分」に設定された。それが二〇〇七年には、「五分前」となった。

 このような中でG8は「核軍縮」を打ち出した。その前哨戦となったのが、七月六日の米ロ会談である。世界の核弾頭の九割をアメリカとロシアが保有している。この優位性を保持したまま、核体制の再編を行う共通利害によって、「核軍縮」の合意は行われた。

 しかし一つに、米ロの言う「大幅削減」には〝からくり〟がある。老朽化が進む戦略核の核弾頭や、ミサイルの命中精度向上でムダになった弾頭や運搬手段を減らすということである。戦術核は削減の対象外であり、米ロは他国に対し圧倒的優位性を保持し続けることを明確にしている。

 二つには、この「核軍縮」提案は、現在の戦争性格を反映したものである。戦略核を用いた米ロ全面戦争が、ソ連邦の崩壊によって、現実的でなくなる一方で、「核拡散の脅威」が高まっている、と米ロ首脳は主張する。核保有国パキスタンの国家的解体状況下でのアルカイダの核強奪発言や、共和国の核実験、イランの核開発疑惑など、局地紛争での核兵器使用の可能性は、以前より拡大している。これを押さえ込む体制の構築である。

 この二つの背景によって、米ロの妥結があり、欺瞞に満ちた「核兵器のない世界」への協調がうたわれた。五大核保有国の核独占を軸に、「核不拡散条約(NPT)」の再構築を呼びかけたのが、G8首脳宣言である。そしてブッシュが足蹴にしてきたCTBT(包括的核実験禁止条約)を、オバマは米帝の新たな戦略の上に据えなおした。オバマが核による支配を手放さないことは、六月の米韓首脳会談で、李明博大統領に「核の傘」を保証したことにも示されている。これらの核管理のための当面の標的は、イランと共和国である。イランの「脅威」を口実に、アメリカはロシアの反発を尻目に、東欧でのミサイル防衛(MD)システム配備を進めている。共和国に対しては、「もっとも強い表現で非難する」として、国際的な制裁措置と、六ヵ国協議への無条件復帰を要求した。

 このような流れの中で、来年三月に「世界核安全保障サミット」が開催される。G8以外の核保有国を巻き込んだ核管理体制の再構築が進むのである。


 ▼3 持ち越された「地球温暖化対策」

 昨年の洞爺湖サミットでは、「世界で五〇年までに50%削減する」という目標が提案されたが、中国やインドなどの新興国が、「これまでの温暖化の責任は先進国側にある」と主張し、合意は実現しなかった。オバマ政権は、それまでの米国の方針を転換し、G8は、「先進国が温暖化ガスを二〇五〇年までに80%以上削減する」ことを確約し、拡大首脳会談(MEF主要経済国フォーラム)に持ち込んだ。

 しかし結果は、あらためて先進国と新興国との隔たりが、一段と広まったことを鮮明とするものであった。新興国側は、「これまでの温暖化の責任は先進国側にある」「一人当たりの排出量が多い先進国が世界の温暖化対策のコストを負担すべき」という立場を崩さなかった。先進国責任論に加えて、「新興国の成長を制約する」という懸念が根強くある。また基準年のあいまい化=「九〇年または最近の複数の年と比べ80%削減」への批判や、「むしろ当面の負担が重い中期目標(今後一〇~一五年)に対する先進国の対応を見極めるべき」などの意見が噴き出ており、結論は先送りとなった。

 合意されたのは「世界の気温上昇を産業革命前比で二度以内に抑制する」ということだけである。マスコミ報道は、「長期目標の共有化が一歩すすんだ」ともてはやしているが、誰がどのように、という責任を持たない〝お茶飲み話〟を持ち上げねばならないほど、事態は深刻である。この隔たりは、先進国と新興国という平板な問題ではなく、産業革命―資本主義勃興以来の抑圧する国とされる国への世界の分裂の歴史の中で、この温暖化ガス排出量をめぐる論議があることを示しているからである。


 ▼4 ウイグル武力弾圧を許すな

 ラクイラ・サミットで示されたように、新興諸国、とりわけ中国の存在感は、かつてなく高まっている。中国は国内総生産(GDP)規模では、来年にも日本を抜き、世界第二位となる可能性がある。外貨準備高は世界一で、米国債をもっとも多く保有している。いまや中国なしでは世界経済は語れない、とサミットでは語られた。

 フランスのサルコジ大統領は、「最初から新興国を議論に加えるべきだ」と記者団に語り、中国を除いた国際会議は無意味との認識を示した。議長国イタリアのベルルスコーニ首相は、「今後の政策決定は主要十四カ国(G14)が主要な場所になる」「もはや新興国を抜きに世界的決断をするのは不可能だ」と言い切った。中国は、「世界経済の回復問題に続く論点として国際金融改革が重要」(国務委員)と共同宣言に「基軸通貨の多様化」を入れさせ、また慎重とされた温暖化対策では、共同宣言に何らかの制約を入れさせなかった。

 このように存在感を示した中国であったが、内政面では、課題が山積みである。

 G8サミットに付随して行なわれる「主要経済国フォーラム(MEF)」に出席するためラクイラ入りしていた中国国家主席胡錦濤は、ウイグル自治区における中国政府の弾圧に抗議するたたかいが拡大するなかで、急遽帰国した。また基軸通貨の見直しの提案も、ドル債運用に懸念が出ているためで、一歩間違えば、中国国内でのうっ積した民族問題や貧困問題などが、爆発する火種を抱えている。

 中国ウイグル自治区の区都ウルムチで、七月五日に起きた暴動は、死者百九十七人・負傷者千六百人以上と発表された(七月二十日報道)。一九四九年の中国建国以来、少数民族による暴動としては最大級の事件に発展した。七日には、漢民族一万人のデモの一部が暴徒化してウイグル族経営の商店を襲撃し、中国政府の民族政策の破たんをあからさまにした。

 中国にとってウイグル自治区は、中央アジアからのイスラム原理主義や独立派の浸透を抑える要所であるとともに、資源に恵まれた同地域と中国をつなぐ拠点でもある。二〇世紀末のソ連・東欧の崩壊、民族運動の激化と独立という流れの中で、ウイグル独立運動も活発化し、一九九七年にはイリ事件など民衆と武装警官の衝突が相次いだ。以来、この一帯には人民解放軍「新疆軍区」の約十万人が駐留する。さらに、普段は農業や紡績を手がけながら、有事の際には即戦力となる屯田兵組織である約二百五十万の「新疆生産建設兵団」も駐留している。治安維持を目的とした軍駐留と、開発に伴う漢民族の大量入植で、一九四九年に一割弱だった漢民族の人口比は、二〇〇七年には四割にまで高まった。

 ウイグル族の中には、「漢民族が富を独占している」という根深い反発がある。その背景には、中国内で多数派の漢民族と少数派のウイグル族、発展が進む沿岸部と遅れる内陸部という、民族と地域の「二重の経済格差」がある。さらに加え、石油資源の宝庫であり(〇八年の中国内石油生産量の14%)、石油パイプライン・希少金属の流通路でもあるウイグルにおいて、それらの開発事業や国有石油事業は漢民族によって占められているという事情がある。中国政府は自治区に積極投資し、域内総生産(GDP)は拡大したが、投資の多くは鉄道や資源開発に向けられ、ウイグル族には冷遇されエネルギー供給源として利用されているとの不満がある。事実、ウイグルの可処分所得は上海市の約四割、沿海部の発展につれ格差は広がっている。

 「改革・開放政策」の下で、軍駐留や開発事業への漢民族の大量入植のみならず、ウイグル自治区の共産党委員会からウイグル族が排除され、漢民族が主導権を握るという事態が進んだ。このような中、ここ数年、地方政府が、南部などの貧困地域のウイグル族に、「拒否すれば土地の使用権や戸籍を没収する」と、沿海部への出稼ぎを強要したりしている。その結果、起きたのが今年六月の広東省の玩具工場での漢民族労働者とウイグル族労働者の衝突である。今回のウイグル自治区での暴動の引き金となった事件である。中国政府の「少数民族軽視」の政策によって、民族間対立は引き起こされてきた。中国政府は、「国外の分裂主義者の扇動による破壊活動」を非難しているが、中国内における民族問題は、危険水域を越えつつある。中国政府による武力での弾圧を許さず、開発・開放政策の下で進む格差と不平等の構造をうちやぶる闘いを前進させていくことが必要である。



 ●第3章 夏秋期の闘いへまい進しよう


 国家間対立や民族間対立を超えて、この世界を変えていく真の主人公は、帝国主義グローバリゼーションと侵略戦争、新自由主義と闘う労働者・農民、被抑圧人民・被差別大衆である。イタリアでは、ラクイラ・サミットをにらんで、七月四日には、ヴィチェンツァの米軍基地拡張に反対する抗議行動が展開され、七月七日には、ローマでの集会と連動して、ローマとラクイラを結ぶ高速道路上での抗議行動が行われた。開催地ラクイラは、四月のイタリア中部地震の震源地で、現在もテント生活をする被災民が五万人以上である。被災者たちは、「サミットより住宅を」と訴えた。

 全世界の帝国主義支配からの解放を求める闘いは絶えることなく、わきおこっている。

 これらとともに、今夏期・秋期のたたかいを推し進めていこう。

 闘いの第一は、 貧困と戦争の元凶、麻生政権を打倒することだ。

 麻生自公政権は、その反人民性ゆえに政権瓦解の危機に立たされつづけてきた。

 危機に瀕した金融機関をはじめとしたブルジョアジーの救済のために巨額の財政出動を行なってきたが、現実には失業は拡大し続けている。赤字国債のとめどない発行は、大きな財政負担となってのしかかっている。一方では、グアム協定批准、海賊対処法など、派兵、軍事同盟強化を急激に進めてきた。麻生自公政権の支持率は急落し、「このまま選挙に突入することは集団自殺だ」とまで自民党幹部に言わせしめた。

 麻生政権はついに、広がる自民党内での「麻生下ろし」の動きがから逃れるが如く、七月二十一日に国会を解散した。総選挙の投票日は八月三十日に決まった。自公政権への憤りは、日に日に広がり、東京都議会選では、民主党躍進となって現れている。しかし民主党が、現在の危機を突破できるわけではない。反帝・国際主義勢力の前進によって、貧困と戦争を進める自公政権をたたきつぶさなければならない。

 闘いの第二は、沖縄―岩国―神奈川を貫く米軍再編反対闘争の前進を実現することだ。

 ブッシュ政権、オバマ政権との間で自公政権が進めてきた在日米軍再編そのものを粉砕していくたたかいを、今こそ強めるべきである。沖縄、岩国、神奈川の反基地闘争の現場から、闘いをすすめていこう。

 十一月には、アジア共同行動や岩国・労働者反戦交流集会実行委によって岩国現地闘争が行われる。岩国現地と連帯し、全国闘争として成功させていこう。

 闘いの第三は、世界恐慌の下、労働者への生活破壊が深まり、現代帝国主義の世界支配体制の再編が始まろうとしている時に、労働者人民が国境を越えて集い論議し、反戦運動、労働運動の国際的結合を進めていくことは、非常に重要である。
 アジア共同行動は二〇〇九年、第三回総会を開催し、改めて国際共同行動の内容を確定していこうとしている。これを支持し、全力で支援していこう。


 

 

 

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