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『戦旗』第1339号(2009年11月20日)




 新基地建設阻止! 米軍再編粉砕!

 反帝国際連帯運動の前進を

 反失業・反貧困掲げ労働運動を闘おう

 派遣法の抜本改正を!





 ●第一章 米帝オバマ政権の米軍再編重圧を許すな


 十月二十日、二十一日に来日したゲーツ米国防長官は、岡田外相、北沢防衛相、鳩山首相と相次いで会談し、普天間基地の辺野古移設が日米政府間での合意事項であることを強調し、かつ、在日米軍再編がパッケージであることを再確認した。

 これは、十一月十二日のオバマ来日を目の前にして、在日米軍に関する米帝の意図が揺るがないことを日帝に再確認するものだった。鳩山政権は、インド洋での給油活動をやめる代わりにアフガニスタン復興支援に乗り出す事で、普天間基地問題での米側の譲歩を引き出し、マニフェストとの整合性を図ろうとしたようであるが米側によって拒絶されてしまった。この米帝の重圧に、民主党はぶれている。

 沖縄人民、そして岩国、神奈川など米軍基地が強化されようとしている地域住民は、鳩山も岡田も政権発足一カ月余りでオバマ政権の米軍再編重圧に簡単に屈するのかと、大きな不信を抱いている。

 この間の鳩山政権閣僚の間での米軍再編、普天間移設に関する意見の違いは動揺としか言いようがない。政権発足から間もない九月二十六日には、北沢防衛相が「事業がすでに進んでいる中で新しい道を模索するのは極めて難しい」と辺野古移設容認とみられる発言を行った。岡田外相は十月七日「現在のプランでは駄目だと言ってきた。他方、日米はすでに合意を進めている。その中で沖縄の負担が減らせないかを考えている」と、県外移設の方針を後退させ、今や十五年期限付きで嘉手納基地に統合する案を推している。鳩山首相に至っては、七月十九日には「最低でも県外移設の方向に向けて積極的に行動を起こさなければならない」としていたものを十月七日には「時間というファクターによって(マニフェストが)変化する可能性を私は否定しない」と態度を後退させながらも「県外移設」方針は撤回せず時間稼ぎをしている。

 十月二十六日の鳩山首相の所信表明演説では、「緊密で対等な日米同盟」なるスローガンを繰り返しながら民主党のマニフェストでも、政権三党合意でも明記されている「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」という文言を、巧妙に避けている。
 先の選挙では、沖縄の全選挙区において、自民党候補が落選した。また、保守王国である山口県においても、岩国を含む第二区においては民主党の平岡議員が当選した。これらの選挙区では米軍再編、基地強化反対の声が反映したとみるのが当然である。新政権は最大の支持を寄せてきた選挙民の期待に応えるべきであり、米国政府に対して米軍再編を白紙に戻し、普天間基地を無条件で返還せよと要求するのは当然のことだ。鳩山が「官僚政治から国民への大政奉還」「無血の平成維新」などと意気込むのであれば、この当然の要求くらいはオバマ政権に突きつけるべきだ。

 主要なマスコミは鳩山政権の政策に関して、財源、効果など様々な点をついて論評を行っているにも関わらず、「日米同盟」の是非については批判を行っていない。米軍基地問題に関して語るときも他人事のようだ。あたかも日米同盟がなければ日本が滅びるかの様な言説を振りまいている。こうした思想が人民の中にも植えつけられている。反基地闘争を通して反日米同盟の内容を人民の中に持ち込んでいこう。



 ●第二章 反基地闘争の結合で、日米軍事同盟粉砕しよう


 沖縄・岩国・神奈川をはじめとする全国の反基地闘争の結合、闘争強化こそ、日・米帝国主義の軍事同盟を打ち破る大闘争を生み出す。
 基地撤去を求める沖縄人民の意志は11・8沖縄県民大会―東京行動として爆発している。

 『琉球新報』と『毎日新聞』、『沖縄タイムス』と『朝日新聞』とが行った世論調査によると、いずれも六割を超える沖縄人民が普天間基地の県外、国外移設を要求しているという結果が出ている。

 「県外がベストであるが、県内移設もやむを得ない」として、自公政権の普天間辺野古移設方針に協力してきた仲井間知事は政権交代によって梯子を外され、沖縄人民の反基地の声に直面し、動揺を隠せず、内閣批判を繰り返している。

 辺野古移設を容認してきた自治体の首長が動揺する一方で、新政権は基地強化としか言いようのない対案を提示し、人民の怒りをかっている。岡田外相は、十五年の使用期限付き普天間基地の機能を嘉手納統合するという案を推しはじめた。当然の事ではあるが、沖縄人民は強く反発し、十一月七日には嘉手納統合反対の町民集会が開かれている。米帝側も、固定翼機とヘリコプターの統合運用は困難と反対しており、嘉手納統合案は一顧だにされていない。

 同じような事態が岩国においても起こっている。自公政権の岩国基地への空母艦載機移駐計画に協力してきた福田岩国市長、二井県知事は政権交代によって動揺している。福田市長の下での岩国市政の中身は、空母艦載機移駐と愛宕山への米軍住宅建設とを容認することによって、政府から金と事業を引き出すということに尽きる。福田市長は先の衆院選では公務時間中に自民党候補者の街宣車に乗り込んで応援演説を行うなど、まさに自公政権の代理人となって働いた。自身の権力基盤が岩国市民の支持によってではなく、自公政権の支持によって成り立っているということにあまりにも正直であったというべきであろう。岩国市の九月議会では、艦載機移駐反対の四会派によって提起された「米軍再編の見直しに向けて地元との誠意ある話し合いを要望する決議」の採択が行われた。この決議は、基地容認派の市議らによって否決されてしまったが、容認派の言い分は、「政府の方針が分からない内に決議するのは時期尚早」というものであった。そもそも、政権の方針が定まらないからこそ「話し合い」を要望しているのであるから、時期尚早というのは筋違いの言い分である。岩国市議会には表向き移駐賛成の議員はいない。移駐反対を掲げて当選していながら、国におもねって容認に回ったのである。要するに今回の決議は「あんたらはホントに移駐に反対しているのか?」を問う一種の踏み絵であり、基地容認派は自らの宗旨替えを暴露してしまった。

 岩国基地の強化拡大に反対する人々に対する、鳩山政権の態度は沖縄に対する以上に酷薄でさえある。

 政権発足以来、鳩山政権は米軍再編に関して沖縄・普天間を焦点化する一方で岩国に関して後回しにしてきた。また、十月十五日に発表された来年度予算の概算要求において、岩国基地の民間空港再開に向けた施設整備費(三年間で四十六億円)が引き続き盛り込まれた。また、防衛省は米軍再編関連経費八百四十億円を据え置き、岩国基地関連では艦載機移駐に伴う移転整備費七十四億円を要求した。羽田ハブ空港化を掲げる前原国交相の下、空港整備費を特別会計から一般会計に移したうえ、〇九年度当初予算から約一割削減した国交省が採算の見込みのない岩国「民間」空港整備予算を計上している意図は米軍再編がらみ以外にはありえない。

 岩国基地の拡大強化に反対する岩国市民は、こうした鳩山政権の動きに警戒心を抱いている。

 安保政策は国の専管事項として、岩国市民の反基地の闘いを圧殺してきた二井県知事は、十月二十八日、榛葉防衛副大臣に対して「米軍再編計画白紙撤回なら艦載機移駐に反対する」と述べ、政権に対して揺さぶりをかけようとしている。

 こうした流れの中で、十一月二日には、井原前岩国市長が代表する「草の根ネットワーク岩国」が中心となって呼び掛けた「米軍再編を考える市民大集会」が開催され、九百人が参加した。

 この集会では、①米空母艦載機の岩国移転計画を撤回すること、②愛宕山開発跡地を、米軍住宅などいかなる形であれ、国に売却しないこと、③米軍再編容認と引き替えである民間空港再開計画を中止すること、の三点を盛り込んだアピールが出されている。艦載機移駐の見返り事業に対して、はっきりと「NO」を突きつけた本集会の成功を支持しよう。

 この集会では、沖縄選出の赤嶺政賢衆院議員、山内徳信参院議員、神奈川選出の斎藤勁衆院議員も発言を行った。この集会の実行委は、八日に行われた、沖縄県民大会にも参加しており、岩国と沖縄を始めとした全国の反基地運動の結合が強まっている事を示している。

 結局のところ、鳩山内閣の不鮮明な態度が米軍再編反対の側にも推進の側にも、さらには米国にも警戒心を抱かせているということだ。
 ではどうすべきか。全国の基地と闘う住民たちは鳩山政権の態度に不信を抱きながらも、より一層強力に反基地の闘いを進めることで新政権を突き上げようとしている。十一月二十一日には厚木・座間の反基地闘争シンポジウム・デモが取り組まれる。我々もこうした各地の闘いを支援して行こう。

 十月から十一月の、鳩山・オバマ会談反対闘争、沖縄、神奈川をはじめとする全国の反基地闘争、そして、10・14広島事件に対して取り組まれた抗議行動、これら反戦・反基地闘争のいっさいをもって、11・28―29岩国国際反基地闘争への総決起を勝ち取ろう。



 ●第三章 11月岩国反基地集会へ全国総決起を実現しよう


 十一月二十八、二十九日、岩国においてアジア共同行動日本連絡会議(AWC日本連)と労働者反戦交流集会実行委員会との共催で、一連の国際反戦集会が開催される。

 二十八日は、愛宕山神社前でのフィールドワークの後、十六時より岩国市民会館において、AWC日本連と〇九年岩国・労働者反戦交流集会実行委共催による、岩国住民との交流会が行われる。交流会は岩国基地関連の四つの訴訟の原告団を迎えて、裁判闘争を中心にした、この一年の闘いの発展を確認するものとなる。十八時からは、〇九年岩国労働者反戦交流集会が行われる。また、同施設の別室において、学生団体あすじゃの企画である「前夜祭」と、ワークショップ「軍事基地と女性」が開催される。

 二十九日の岩国国際集会の第一部は「アジアから、日本から米軍基地の総撤収を」というテーマで取り組まれる。フィリピン・台湾・アメリカ・グァムからのビデオレターが寄せられる。また、沖縄、神奈川、韓国から発言を受ける。集会後は岩国基地正面ゲートに向かうデモ行進が計画されている。

 沖縄、神奈川、岩国をはじめとする全国反基地闘争の結合として、十一月岩国総決起闘争をたたかおう。

 岩国労働者反戦交流集会実行委を軸にした、労働者―労働組合の反基地闘争への決起を全面的に支持し、全国から総決起を実現していこう。

 昨年の住民交流会において、多くの参加者が岩国住民の闘いに感動した。そしてこの一年で岩国住民の闘いは裁判闘争に見られるように大きく発展している。

 一つは「海の裁判」と言われている沖合移設事業埋立承認処分取消請求訴訟(行政訴訟)である。騒音被害の軽減をうたった沖合移設事業が、空母艦載機の移駐計画が持ち上がったことで、当初の目的から一八〇度変わってしまったにも関わらず、県知事が埋立承認を行ったことに対して、その取り消しを求める訴訟であり、現在も継続中である。

 二つ目は「空の裁判」と言われている岩国爆音訴訟(民事訴訟)である。基地被害に対して「おとなしい」といわれていた岩国住民がついに立ち上がったという意味において画期的であったのみならず、この訴訟が、米軍再編計画の撤回そのものを求めている事、そして、厚木、横田、普天間、嘉手納といった全国の爆音訴訟原告との連帯関係作りと並行して始まったという点においても重要な裁判である。〇九年三月二十三日の提訴の段階で四百七十六名の原告で始まった裁判は、十月三十日、新たに百七十八名が追加提訴。六百五十四名の原告団で闘われている。特に、今回の追加提訴の中心は、基地の間近で爆音にさらされており、基地被害をもっとも強く告発してきた車第三自治会の人々である。

 三つ目は「陸の裁判」こと、愛宕山開発事業認可取消処分取消請求訴訟(行政訴訟)である。この訴訟は、岩国基地沖合移設のための埋立土砂を愛宕山から採った後、跡地を住宅地として分譲するという開発事業を、赤字が確実であるという理由で中止した決定を取り消すよう求める裁判である。

 四つ目は、「テーブルの裁判」こと、愛宕山開発などに係市長協議報告書非開示決定取消請求訴訟である。この訴訟は、市長協議会の内部において愛宕山への米軍住宅建設受け入れを前提に話し合いが進められていた事を明らかにするためのものである。

 いずれも、岩国基地拡大強化のために住民をだまし負担を強いてきたことに対する強い憤りを反映している。原告団は四つの裁判を一体のものとして闘うため、岩国基地四訴訟原告団連絡会を立ち上げた。岩国市は山口県の端に位置するため、三つの訴訟が遠隔地である山口市、広島市で行われているが、各裁判における傍聴も組織的に取り組まれており、闘いとしても格段に強化されている。AWCは九州・山口実行委が中心となって傍聴闘争、現地闘争に取り組み、闘いを支援してきた。また、昨年の労働者反戦交流集会を開催した実行委員会は、昨年末から取り組まれた山口県都市計画審議会への共同申し入れ賛同署名、愛宕山米軍住宅建設反対署名に全国で取り組んできた。そして、岩国の闘いが地方ニュースでしか扱われなくなっていく中にあって、全国化に大きく寄与してきた。

 こうした取り組みの上に強固な信頼関係が生まれてきている。本年の交流会も今後に続くものとして勝ち取っていこう。

 アジア共同行動は九月に行われた第三回総会において、当面する重要な活動方針の一部として「アジア太平洋地域において反戦平和闘争を共同で推進する」こと、「アジアから米軍総撤収を実現するための共同闘争を推進する」ことを決定し、「米軍再編計画に反対し撤回をかちとろう 岩国基地拡大強化に反対しよう アジア太平洋地域の米軍撤収をかちとろう」という決議を採択した。この決議に基づいて、国際集会は開催される。韓国からは米軍群山(クンサン)基地の爆音訴訟を闘っている活動家が発言を行う。クンサン、ウサン(烏山・韓国)、岩国に所属する部隊は沖縄の嘉手納基地との間を行き来しており、外来機として沖縄人民の上に爆音を浴びせかけている。米軍は国境に縛られず展開しており、国際反戦闘争がない限りその被害を止めることは出来ない。反帝国主義の内容を貫く国際共同闘争の意義をはっきりと確認しよう。国際共同闘争として十一月岩国闘争を闘おう。

 さらに、学生戦線、女性解放運動における岩国結集を実現していこう。

 十月十四日、岩国基地ゲート前で「広島事件」抗議行動が闘われた。この事件は二〇〇七年に岩国基地所属の米海兵隊員四名が広島の繁華街で女性を拉致し、暴行を働いた上、現金を奪ったというものだ。被害女性の訴えに対して、広島地検は不起訴処分の決定を下し、裁判権を米軍に譲り渡してしまった。さらに、広島県知事は被害女性に落ち度があると発言し、被害女性を二重、三重に蹂躙した。〇八年五月から六月にかけて行われた米軍大法廷は、集団レイプの事実すら認めず、懲役一年六カ月から一年という非常に軽い判決を下しており、実行犯たちはすでに刑期を終えてしまった。

 十四日当日、AWC山口実行委、あすじゃ山口も参加する「憲法を活かす市民の会・山口」と岩国市民とで、岩国基地への申入れ行動とゲート前でのキャンドル集会とが取り組まれた。また、学生団体・あすじゃは、あすじゃ内の女性解放部会の呼び掛けで、東京・錦糸町、京都・四条河原町、北九州・小倉での情宣活動を取り組んでいる。広島事件は、レイプの被害自体と、被害者がさらに周囲から責め立てられるというセカンド・レイプという、二重の被害を受けるという一般的な問題のほかに、日本の司法当局、米軍自体が組織的に加害者である米兵を保護するという、米軍絡み特有の問題がある。10・14行動は、各地で多くの共感を集めている。米軍基地と女性という観点を反基地運動の中に根付かせていく取り組みである。

 日米同盟に基づく軍事基地は、帝国主義の根底的な矛盾を露呈している。この矛盾を撃ち、ここから、自らの解放をたたかいとるべく、岩国闘争に結集しようではないか。ともにたたかおう。



 

 

 

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