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『戦旗』第1346号(2010年3月20日)





 派遣労働廃止をめざし抜本改正を! 国鉄闘争の勝利を!

 10春闘の勝利を闘いとろう

 「戦争と大失業」打ち破り、反帝国際主義学生運動に決起しよう


                    
共産主義青年同盟(学生班協議会)




●1章 世界大恐慌下流動化する情勢

 すべての青年学生の皆さん、とりわけ新入生諸君に、共産主義青年同盟(学生班協議会)から、反帝国際主義学生運動への決起をよびかけます。
 昨年一月、超大国アメリカにおいて、共和党ブッシュにかわり、「CHANGE(変革)」を掲げた民主党オバマが、第四十四代のアメリカ大統領に就任した。
 アメリカ帝国主義(以下「米帝」)ブッシュ政権が九〇年代をとおして推し進めてきた「グローバリゼーション」と表現される新自由主義経済政策は、そのイデオローである「自己責任論」と一体となって、全世界の労働者民衆に極限的な貧困化を強制しつづけてきた。
 そればかりではない。巨大軍需産業や、ネオコン(新保守主義)を支持母体とする米帝ブッシュ政権は、単独行動主義(ユニラテラリズム)を標榜し、二〇〇二年九・一一事件以降、「対テロ戦争」の名のもと、イラクやアフガニスタンをはじめ、世界中を戦争の渦に巻き込んできた。
 アメリカの政変という事態は、「戦争と大失業」と表現される一時代と、それを強制している共和党政権への、アメリカ労働者民衆の強烈な否定であり、また同時に変革を求める圧倒的な熱望であることは疑いのないところだろう。
 その意味において世界情勢は、確実に流動化を開始したといえる。
 だがしかし、ブッシュからオバマに政権が変わったとしても、労働者階級人民に強制される「戦争と大失業」の時代が終わりを告げることは決してない。
 米帝ブッシュの「対テロ戦争」の標的となったイラク・アフガニスタンでは、すでに何十万人にのぼる多くの民衆が、米軍とその同盟軍によって無差別に大量殺戮されている。
 米兵の死者もすでに四千人を突破している。
 しかし、イラク・アフガニスタン民衆による武装抵抗闘争は現在も頑強に継続されており、「第二のベトナム」と称される、出口のない泥沼化が現在進行している事態だ。
 このようななか、本年二月一日に、米軍の四年ごとの国防計画見直し=「QDR2010」がオバマ政権になってから初めて発表された。
 それによれば、二つの地域紛争に対処する、米軍の伝統的な「二正面戦略」を、「テロ」などの非対称的戦争を想定した「多様な脅威」へと転換するという。
 また、アフガニスタンとイラク戦争での「勝利」が最重要の目標として掲げられており、泥沼化する中東侵略戦争をさらなる軍事力発動をもって乗り切ろうとしているのである。
 じっさい、米帝の次年度予算は七千億ドル(約六十三兆円)台という史上最大規模となっており、アフガニスタンへの三万人の増派も決定されている。
 さらには、「核開発疑惑」をもっての反米政権イランへの政治・軍事的圧力や、「対テロ戦争」のパキスタンやイエメンへの拡大をももくろんでいるのである。
 このことからも、米帝=オバマ政権は、ブッシュ政権以来の中東軍事戦略を継承し、さらに戦火を拡大させようとしていることは明らかなのだ。
 石油権益の確保と、「対テロ戦争」を名目とした、パレスチナ解放闘争やイスラム革命運動の根絶を目指す米帝の帝国主義的本質は何ひとつ変わってはいないどころか、オバマ政権になってますます強化されているのである。
 〇八年九月の「リーマンショック」以降の信用不安の顕在化によって、米国内バブル経済は一挙にはじけ、アメリカ発の金融危機・大不況が全世界を覆っていったのである。
 結果、多くの労働者が首切りにあい、生活権を奪われ、路頭に迷うことになった。ILO(国際労働機関)の今年の年次報告によると、〇八年末の全世界での失業者は一億八千二十万人にのぼるという。前年比で、約七千万人増という急速な増加だ。
 〇九年には、失業者数はさらに二億千百五十万人になると予測され、失業率は〇・八ポイント上昇の6・6%へと上昇するとしている。
 オバマ政権は七千億ドルという、日本の国家予算に匹敵する規模の予算を使って景気対策・米帝経済の立て直しを行っているが、その効果は米帝支配階級内部ですら疑問視されており、その効果はほとんど数字に表れていない。
 「百年に一度」という規模での世界大不況は、まだその端緒についたばかりなのである。


●2章 民主党の本質は第二ブルジョア政党だ

 日本においても、「聖域なき構造改革」をかかげた小泉以来の自民・公明連立政権に変わり、昨年七月「国民の生活第一」をかかげた民主党(社民・国民)鳩山政権が誕生した。
 小泉政権以降の新自由主義的経済政策(公共部門の民営化、規制緩和、社会福祉の切り捨て、労働者派遣法や労働基準法の改悪など)は、日本国内においても貧富の差を格段に進め、労働者人民にたいして、極めて深刻な生活破壊を強制しつづけている。
 そしてさらに、〇八年九月以降の世界大不況が、労働者人民の急速な貧困化に追い討ちをかけている。
 総務省が発表した「労働力調査」(速報)によれば、〇九年平均の完全失業率は前年比で一ポイント増の5・1%だった(前年からの上昇幅は過去最大)。
 また、失業者数で見ても前年比で七十一万人増の三百三十六万人となり、増加幅はこちらも過去最大となっている。
 完全失業率の上昇は、十五歳から二十四歳の若年層においてとりわけ深刻だ。
 この層の完全失業率は前年比で二・二ポイント増の10・1%に達している。若者の実に十人に一人以上が、完全失業状態に叩き込まれているのだ。
 「ワーキングプア」あるいは「ネットカフェ難民」として新しい形での若年貧困層が群として形成されてきており、その数はさらに増加傾向にある。
 これが小泉の主張した「痛みをともなう改革」がもたらした実態なのである。
 小泉構造改革路線を継承して登場した麻生自公連立政権は、労働者階級への不況のしわよせについて、何の有効な対策をとることもしなかったばかりか、閣僚による「不祥事」を連発し、すさまじいばかりの腐敗した姿をさらけ出した結果、完全に失速状態におちいったのである。
 そして、昨年夏以降、日本国内においても自公連立政権からの「変革」を求める機運が急速に高まりをみせた。
 民主党は「政権交代」を前面に押し出すと同時に、「国民の生活第一」を掲げ、大失業に苦しむ労働者人民の票の取り込みをはかっていったのである。
 八月末の衆院選では、自民党派閥のトップクラスが、あいついで民主党の新人候補に敗れ、民主党が単独過半数を獲得するという劇的な結果となった。
 その意味においては、民主党の選挙戦略は効を奏したということができるだろう。
 しかし、民主党の第二ブルジョア政党としての本質は、日を追うごとに明らかとなってきている。
 小沢脱税疑獄や、鳩山への九億円にのぼる個人献金問題などをみれば、いかに民主党政権首脳部が、労働者階級の生活実態からかけ離れている連中かが一目瞭然ではないか。
 こんな輩に労働者階級人民の苦しみなど理解できるわけがないのである。
 とりわけ、われわれが注目しなければならないのは、在日米軍再編をめぐる、民主党鳩山政権の迷走状態についてである。
 民主党はマニュフェスト(政権公約)において、普天間在日米軍基地の沖縄「県」外移設を打ち出した。
 危機意識をあらわにした、自民・公明によるお得意の「体制選択論」や、公然たるネガティブキャンペーンの全面展開にも関わらず、民主党は沖縄人民からの多数の支持票を獲得した。
 その結果、沖縄選挙区において自民党候補は全員が落選することとなった。
 これら沖縄人民の、普天間基地撤去の断固たる意思表示にもかかわらず、鳩山政権は具体的な撤去案を米帝に提示することすらできず、ただただ結論の先延ばしをはかるのみなのである。
 また、普天間基地の「県」外移設先として政府に指定された名護市においては、本年一月末の市長選で、移設受け入れ反対をかかげる候補が当選し、沖縄人民の基地撤去の意思が改めて確認されたのである。
 にもかかわらず、官房長官の民主党・平野博文は、(移設先の自治体と)合意をとらないと物事が進められないものなのか。日本の安全保障にかかわってくる問題だ」、「自治体の反対を斟酌(しんしゃく)していたら何もできなくなる」などと許しがたい暴言を吐いているのである。
 もはや民主党の第二ブルジョア政党としての本質は明らかであろう。
 労働者階級人民は、鳩山民主党政権への一切の幻想を捨て、在日米軍総撤収の大衆行動にたちあがろう。


●3章 「規制緩和」「構造改革」が学生にもたらした影響

 小泉政権以降の新自由主義的経済政策の全面化、すなわち「規制緩和」「構造改革」は、大学・学生にどのような影響を与えてきたのだろうか。
 〇一年の小泉政権時代にさかのぼると、まず国立大学に対する文部科学省からの構造改革構想である「遠山プラン」がある。
 これは、日帝・文科省が新自由主義グローバリゼーションによる世界再編の中で、「国際競争力のある大学づくり」を目標としたものである。
 この「遠山プラン」において、大学は「構造改革」の一環として日帝から明確に位置づけられたのである。
 その骨子は、①国立大学の再編・統合を大胆に進める②国立大学に民間的発想の経営手法を導入する③大学に第三者評価による競争原理を導入する、という三本柱で成り立っており、民営化と規制緩和、そして競争原理導入を特徴とする、新自由主義的再編そのものである。
 日帝・文科省はこの「遠山プラン」にもとづき、〇四年に国立大学の「独立行政法人」化を、教員や学生の反対の声を無視して強行したのである。
 国立大学の「独立行政法人化」により、大学運営に民間的経営手法が導入された。
 より具体的には、学長に「法人の長」として権限を集中させ、マネジメントとトップダウン式の運営へと転換していったのである。
 これは大学自治、教授会自治の最終的な解体の攻撃としてあったのだ。
 さらに、文科省が策定する中期目標に基づいて、各大学に中期計画を提出させ、その実績を文科省内の国立大学法人評価委員会が評価し、それを大学運営交付金に反映させているのだ。
 これは、運営交付金による政府・文科省の統制を意味するばかりでなく、同時に大学間への交付金をめぐる競争原理導入をも意味しているのだ。
 〇一年以降、国立大学運営交付金、私学助成金は、毎年1%ずつ削減されている。
 独法化以降の四年間ですでに合計六百八億円が削減されており、年々減少する運営交付金獲得のため、大学が文科省への従属ぶりを競い合うということが実際に起こっているのだ。
 「二一世紀大学経営協議会」が〇五年五月に開いた総会において、首都大学東京理事長・高橋宏(元日本郵船副社長)は以下のように発言した。
 「大学経営は民間会社の経営と同じ。よい原材料を仕入れ、委託加工して製品に仕上げる。卒業証書という保証書をつけて企業に送り出す。
 欠陥商品の場合は、ある自動車メーカーがそうであったように、社会的制裁を受ける。だからアフターサービスが必要だ」。学生を公然と「商品」に例えて説明する、この高橋宏のような輩が、現在の大学当局の真の姿なのである。
 かつて、超階級的ではあれ、「真理の探究の場」と称された大学の位置づけなどは、完全に過去のものとして歴史のくずかごに葬り去られた。
 それに代わって、資本主義のあからさまな競争原理・むき出しの資本の論理がまかりとおっているのでる。
 さらには、〇八年末、日本学生支援機構から「奨学金滞納者のブラックリスト化」が発表された。
 これは、奨学金返済が三ヶ月以上滞った人を金融機関に通報し、クレジットカードを作ることや銀行ローンを組むことを困難にするものであり、もはや「学生支援」でも何でもない、「借金取立て屋」そのものである。
 学生を企業向けの「商品」としてしか見ることができない大学当局。そして就職率を上げるための「スキルアップ」=資格取得が大学「教育」の目的と化し、もはや「人格の発展」が名目にすらなっていないのが、日本の大学が置かれた現状なのである。
 サークル活動などは「就職率アップにつながらない」とから規制の対象とされている。
 サークル会館や学生寮など、学生の自治・自主活動の拠点も、二〇〇〇年代につぎつぎと破壊されている。
 学生が団結する契機は、大学当局によってことごとく奪い去られてきており、学生の孤立と分断化が現在ますます進行しているのである。
 資本の要求する「商品」となるために大学でも競争にさらされる。そして就職してもリストラにおびえながら、同僚との絶え間ない競争をつづける。
 労働者階級は、個別に分断されたままでは、資本の奴隷として自らが勝ち残るために死ぬまで絶え間なく競争しつづけることを強要されているのである。
 重要なことは、競争に勝つということは、その背後に必然的に敗者を生み出すということだ。
 われわれは、このような資本の強制する競争を断固として拒否し、団結してともにたたかい、自らの未来を切り拓く活動にともに参加されることを、特に青年・学生に強く訴えたい。
 そして絶え間ない競争や戦争・貧困の資本主義に代わる「もうひとつの世界」をめざす世界観を持つ、共産主義運動への参加を、多くの青年・学生の皆さんに呼びかける。
 全世界で、労働者人民は、帝国主義の強制する「戦争と大失業」に抗してたたかっている。
 一九九〇年を前後する、東欧・ソ連スターリン主義の歴史的崩壊以降の一時代、社会主義革命運動は帝国主義者の喧伝によって、大きく後退を強いられてきた。
 しかし、二〇〇〇年代中盤以降、中南米諸国(ベネズエラ・ボリビア・エルサルバドルなど)において、反米左翼政権が次々と誕生し、相互に支援・連帯しながら米帝の反革命と対峙しつづけている。
 アジアにおいても、フィリピンをはじめとする民族解放・社会主義革命勢力は、米帝を背景とした国軍・警察の暗殺攻撃に屈することなく不屈の前進を続けている。
 今こそ「戦争と大失業」を強制する帝国主義に抗し、全世界の労働者階級人民とともに、帝国主義の世界史的打倒のたたかいに立ちあがろう。
 その実践の中にこそ自らの解放の展望も切り拓いていけるはずである。
ブルジョアジーの歴史的命脈はすでに尽きている。そのいき着く先にはさらなる貧困と戦争の道のみだ。
 われわれ共産主義青年同盟(学生班協議会)とともに、帝国主義打倒・日本革命の勝利に向けて、全国の学生はともにたちあがろう。


●4章 2010年代新たな学生運動の前進をかちとろう

 次に、本年のわれわれの運動方針を明らかにしたい。
 まず第一に、五・一五沖縄現地闘争を当面の焦点とする、反戦・反基地闘争を広範に巻き起こしていくことだ。
 鳩山連立政権は、普天間基地の移設先について「五月末までに結論を出す」と言っている。
 だが、そもそも普天間基地の移設ではなく、その即時撤去が原則なのだ。「県内か県外か」「国内か国外か」、移設先をどこに求めるかという問題設定自身が間違っているのだ。普天間は即時・無条件撤去以外ありえない。私たちはこの点をはっきりさせよう。
 一月名護市長選の勝利、そして二月「県内移設」反対の沖縄県議会決議によって、沖縄民衆の意思はいよいよ明確になり、それが鳩山連立政権を突き上げている。何よりも辺野古における座り込み・海上調査阻止行動と粘り強く続いてきた住民のたたかいこそが、ここまで日米政府を追い詰めてきた核心である。
 しかし鳩山政権は、「市長選の結果は必ずしも斟酌しない」と表明するばかりか、「キャンプシュワブ陸上案」なるものを持ち出し、沖縄民衆の意志をまたしても踏みにじろうとしている。絶対に許してはならない。移設を前提にした五月結着を許さないために、五・一六普天間包囲・撤去をたたかう現地闘争に全国から決起しよう。
 そもそも、普天間基地所属の米海兵隊は、中国や朝鮮民主主義人民共和国に侵略し、米帝が「テロリスト」とみなす人民を虐殺するための殴りこみ部隊そのものだ。日米安保改定五十年を迎える今年、在日米軍の存在そのものを問い、日米安保そのものを破棄するための運動を巻き起こしていかなければならない。
 沖縄と岩国、神奈川を結ぶ米軍基地反対の住民のたたかいに連帯し、米軍再編の現場から安保を撃つたたかいをまきおこそう。
 その先頭に学生がたとう。
 運動方針の第二は、排外主義と対決する広範な運動をつくりだしていくことだ。在特会(在日特権を許さない市民の会)や主権回復を目指す会を社会的に包囲し、孤立させ、解体しよう。
 在特会らは、民主党政権の外国人参政権法案の成立を「Xデー」と位置づけ、その民族排外主義に依拠した危機感をエネルギーに、在日韓国・朝鮮人や滞日外国人、排外主義に抗する人々への襲撃をエスカレートさせてきた。
 参政権を求める不逞外国人を日本から叩きだせ」だの「在日朝鮮人はみな犯罪者」「日本が中国人に乗っ取られる」だのと聞くに堪えない民族差別の暴言、デマをまきちらし、公然と街頭に登場し、民族学校や外国人居住地域への襲撃を繰り返してきた。このような集団の跳梁跋扈を許さず、解体させることは日本民衆の責任だ。
 我々はかれらの主張や行動に、本来、資本家や反動政治家と立ち向かうべき貧困層の若者が引きよせられている現実を、最も重大視する必要がある。
 なぜなら歴史的に見てもファシスト勢力は貧困や社会的疎外からの解放を求める若者を、民族排外主義を利用して組織してきたが、まさに在特会らは失業と貧困が若者を直撃している現実を根拠として、その勢力を倍化させているからだ。
 やつらが排外主義へ若者を組織するのを、黙ってみていていいのかどうかが問われている。われわれは、在特会らが八月に行おうとしている「日韓併合百周年記念国民大集会」という、朝鮮の侵略・植民地支配を賛美するイベントを許さず、これを包囲弾劾するたたかいのなかで、排外主義集団による若者の組織化を食い止めなければならない。
 そして第三に、今年度総力のたたかいとして、十一月横浜APEC粉砕の現地闘争に決起しよう。
 横浜APEC(アジア太平洋経済協力会議)は、「先進国は遅くとも二〇一〇年までに、また途上国は遅くとも二〇二〇年までに自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成する」という、いわゆるボゴール目標の節目となる。
 この目標に沿って、帝国主義諸国家の「成長のアジア市場」をめぐる争奪戦は激化している。
 「貿易と投資の自由化」をうたい文句に、多国籍資本による労働者の極限的な搾取と、自然からの野放図な収奪がよりいっそう強まることは明らかだ。
 金融恐慌でその没落が決定的となった米帝は、アジア市場への進出に延命を求めて必死だ。日帝もまた「東アジア共同体」構想を掲げ、アメリカを除外した排他的経済圏をつくろうと策動している。
 こうしたなかで大企業は、「国際競争力の強化」を叫んでいる。青年労働者にとってそれが意味するものは、失業、非正規雇用、低賃金、長時間労働だ。とりわけ東アジアでは韓国、台湾、そして日本において、異様に高い失業率となって現れている。まさに資本家の飽くなき利潤追求によって、青年労働者は互いに国境を越えて競わされ、困窮に落とし込まれ、未来を奪われているのだ。
 われわれは、アジアの学生や青年たちとともに、こうした現実を促進するAPEC粉砕闘争を総力決起でたたかう。G8洞爺湖サミット粉砕闘争の地平を継承し、権力の不当弾圧を許さず、たたかいを準備しようではないか。
 以上、三つの運動方針と同時一体的に、我々はたたかう学生団体・あすじゃを支持し、その組織的飛躍のために今年度、より力を尽くしていく。
 反戦・反差別・反貧困をたたかう学生団体、あすじゃは昨年度、十一月岩国現地行動を頂点として、多くの学生たちをたたかいに立ち上がらせてきた。新しい仲間も着実に増えてきた。
 今日、資本主義の矛盾が青年、学生に集中するなかで、これをはねかえす学生運動の復権は喫緊の課題となっている。
 いま学生たちは資本間競争のもとで個人に分断され、孤立されている。高い学費のもとでアルバイトに明け暮れ、就職難のもと就活でほとんどの学生が消耗している。こうした貧困と「生きづらさ」を抱えている学生たちを、たたかいのなかで団結させ、反資本主義の運動へと組織していくことが二〇一〇年代の新たな学生運動に問われている。
 そのとき、ほとんどの学生が労働者予備軍といっていい今、労働者、労働組合のたたかいに大いに学び、連帯していくことがカギとなるだろう。
 また、反戦反安保闘争を牽引してきた戦後学生運動の地平を継承し、それを今日的に復権していくことだ。六〇年安保闘争を巨大な全人民闘争へと高揚させたのは、ブントに指導された全学連だ。
 このたたかいから五十年たった現在、安保闘争は米軍再編阻止の反基地闘争として引き継がれ、沖縄や岩国をはじめ住民が日米権力と真っ向から対決している。
 こうした住民のたたかいとしっかり結合し、現場攻防に一人でも多く学生が駆けつけ、その勝利に向けて体を張ってたたかうことが、改めて求められている。
 さらには、日本政府や「在特会」らによる排外主義とたたかい、在日・滞日外国人と連帯すること。女性や野宿労働者、障害者、部落民など、差別と抑圧のもとに置かれている人々と連帯し、具体的な差別のあらわれとたたかうことも、七〇年代以後の学生運動が培ってきた重要な地平であり、ぜひとも継承していかなければならない。
 こうした地平を持った学生運動をさらに発展させるために、我々は今年度あすじゃ運動により多くの学生を糾合していくために奮闘する。
 今や、民主党や日本共産党など議会政党に期待したり、幻想を抱くのは意味がないことがはっきりしてきた。学生みずからの力によって、そのたたかいによって権利をかちとり、未来を切り開くほかはない。大学を拠点に、戦争と貧困をもたらす政府とたたかおう。
 最後に我々は、統一委員会の戦略部隊・行動隊への決起を、すべての先進的学友に訴える。行動隊は、日本における反戦・反帝闘争の拠点=三里塚を現地闘争団とともに支えぬき、日帝打倒に向けて様々な闘争現場の最先頭でたたかい抜いている。
 いま三里塚闘争は、市東さんの農地と現闘本部に対する強制収用攻撃が迫るという決戦局面を迎えている。空港会社は、市東さんの家を囲い込む形で三本目の誘導路をつくろうとしている。爆音と排ガス地獄に叩き込んで追い出そうという攻撃だ。絶対許せない。
 反対同盟はこうした攻撃に対し裁判闘争、現地攻防を一歩も引かずにたたかい抜いている。このたたかいを支える行動隊の役割はいっそう重要だ。行動隊に決起し、三里塚闘争の勝利に向けて反対同盟とともにたたかおう。


 

 

 

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